光を見極めてレベルアップ!写真と光の考え方【写真家:高橋良典】

高橋良典

はじめに

写真にとって光は切っても切り離せないもの。素晴らしい作品を見るときちんと光を意識して撮影されて
いることに気づくことでしょう。もちろん狙うのは、お目当ての被写体ですが、写真を撮るということは、
ある意味、光を撮っているといっても過言ではありません。それほど重要な「ヒカリ」について以下に解説していきます。

光線の種類

大きく分けて順光、サイド光、逆光、拡散光に分類されます。被写体に対して光の当たり方が変わると
影の付き方に違いが生じるため光線状態が変われば被写体の印象が大きく変わります。

・順光
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(写真1)

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(写真2)

光が被写体を真正面から照らしている状態。陰影がつきにくいことで立体感や質感が乏しくなり、
べったりとした印象になります。全体に光が回るのでものの色や様子を正確に記録したい時などに
最適と言えるでしょう。また個人的には、その明暗差の少なさから穏やかな表現をしたい時に選ぶ
光線です。被写体の色については、最も忠実に表現することが出来ます。

・サイド光
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(写真3)

     
4.JPG

(写真4)

光が被写体を横から照らしている状態。陰影がハッキリとつき、立体感、質感描写にすぐれます。
 被写体の色も表現できるので私自身が撮影の際、基本としている光線状態です。絶景などを昼間に
 撮影するときにも向いています。

・逆光
5.JPG

(写真5)

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(写真6)

光が被写体を後ろから照らしている状態。花や薄い葉など光を透過する被写体は、キラキラと輝いて
見えます。光を透過しないものは影になるので暗く写ってしまう場合もありますが、それを活かして
シルエット表現にもトライしてみよう。被写体の色を正しく表現するには向きませんが、
ドラマティックなシーンは逆光であることが多く、良い作品が生まれる可能性大!作品作りには
積極的に選びたい光線状態です。ケースによっては大幅な露出補正が必要になるので撮影後の
画像確認をしっかりとして適正露出を探ることが重要です。ミラーレスカメラの場合は、露出補正を変更
するとファインダーの中にその明るさが反映されるのでシャッターを切るまでに露出イメージを
把握することが出来ます。

・拡散光
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(写真7)

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(写真8)

 曇りや雨の日の光線状態。直射光が当たらないために影がつきません。立体感や質感描写では逆光や
サイド光には及びませんが、落ち着いた雰囲気や、しっとりとした感じを出すのに有効です。直射光が
当たることによって、陰影が邪魔をしてしまうような場所(写真7)で撮影する際にも拡散光を
選ぶことによって(写真8)描写する事が出来ます。

撮影意図によって光線を使い分けよう。

前述の通り、「ヒカリ」は写真の仕上がりに大きな影響を及ぼします。よって光線状態を意識的に
選ぶことは一歩進んだ写真撮影への最短距離であるとも言えます。また、日中の太陽が高い状態と
朝夕の太陽が低い状態とでは光の角度が変わり描写が変わります。光の方向だけではなく、そのあたりも
頭に入れておくと良いでしょう。

光線状態を意識した具体的な撮影方法

晴れている時には撮影地に到着後、まず太陽の位置を確認する癖をつけておきましょう。
そして撮りたい思った被写体にどの方向から光が当たっているかを確認。その被写体を色々な方向から
観察してみましょう(色々な方向から見ることによって、光線状態が変わるため、見た目の印象が変わり
ます)とは言え、撮りたいアングルからの光線状態がいつでも良い条件というわけではありませんよね?
その場合は、スマートフォンの地図アプリや方位磁石を活用して太陽の位置を予測。時間が許せば、
最も良い時間にもう一度、同じ場所で撮影してみましょう。光の感覚がつかめるまでは両方の条件で
撮影しておいて後で比べるとわかりやすいです。同じ場所でも、曇りや雨の日に撮影することによって、
随分印象が変わるので、気に入った場所に通うことが良い結果を生むというわけです。遠方へ出かける
時でもあらかじめ地図で方角を調べて検討をつけておくと良いでしょう。

まとめ

私の場合、選ぶ光線状態の頻度としては、サイド光 > 逆光・拡散光 > 順光 となります。
光による描写の特徴を頭に入れて、撮影に出かけてみてくださいね。

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