【バトン連載】写真家のカメラバッグの中身が知りたい!【前編】|礒村浩一


最適なカメラバッグを求め続けて


SPZZ7841.jpgハクバGW-PRO G2 バックパック(左)、カメラバックパック CBG-12(右)


 写真家の愛用カメラバッグを紹介するこの企画。お話しを頂いてまず思い返したのは、私がこれまで使用してきた数々のカメラバッグについてである。思い返せば、人生で初めてカメラバッグを購入したのはおよそ35,6年前の高校生の頃。所属していた写真部の先輩方より代々引き継がれてきた、テーマパーク内でのフイルム販売のバイト代で購入したものがハクバのショルダータイプカメラバッグ「Godwin II GSP」であった。今思えばカメラバッグしては小さく入る機材もごく限られていたが、当時所有していた50mmレンズ付きカメラ本体(オリンパスOM-1)と望遠ズームレンズ(ZUIKO AUTO-ZOOM 65-200mm F4)、小型のクリップオンストロボを収納するには十分なサイズであった。このカメラバッグは今でも所有している。

 その後、写真学校を卒業しプロカメラマンとなってからは、収納する機材の内容と量の変化に伴い実に様々な種類のカメラバッグを使用することになる。とにかく丈夫さが売りで防弾チョッキの生地を使用しているといわれていたTENBAや、大容量ながらも軽量なケンコーのAOSTA、クッション性が高くリブデザインが特徴的なイスラエル製のKATA、1980年代から変わらない定番中の定番ドンケF-2、意欲的なデザインと機能性が特徴のバンガード、アウトドアブランドモンベルの大型リュック型カメラバッグなどなど、これまで使ってきたカメラバッグは実にさまざまだ。

 さらに中版や大判フィルムカメラ用にはゼロハリバートンやペリカンを代表とするアルミ製や樹脂製のハードカメラケースも使ってもいたし、一時は横須賀のドブ板通りにあった鞄店で手作りアルミケースを購入し、自らクッションを入れてカメラケースとして使っていたこともある。このように私のカメラマン人生=カメラバッグ探しの人生であり、「レンズ沼」ならぬ「カメラバッグ沼」の住人なのである。

機材の種類や使用シーンに合せてカメラバッグは使い分ける


 さて、最近の話に戻ろう。ここ数年、私が使用するカメラバッグには3パターンがある。ひとつは手持ちのカメラ機材を丸々収納することができる大型のオーガナイザータイプ。こちらは主にスタジオでの撮影などに持ち込む際に使用するもので、現在は車輪の付いたトローリータイプのものを主に使用している。もうひとつはカメラ1台にレンズ数本程度を入れて持ち歩く軽装なショルダータイプで、スナップ撮影など機動性を重視してのものだ。そして今回紹介するものはバックパックタイプのもので、必要な機材をセレクトして都度入れ替えて持ち歩くものである。こちらは主に店舗やオフィスなど、カメラバッグを極力大きくしたくない限定された空間での撮影や、公共交通機関での移動が伴う撮影旅などで使用する。

 バックパックタイプのカメラバッグのメリットは、多くの機材を収納することで重量が大きくなるものの、背中に背負うことで比較的負担を減らしながら持ち歩けることだ。特に撮影旅では撮影機材以外にも着替えなどの荷物を入れたバッグがあるため、公共交通機関での移動を想定して極力両手はあけておきたい。また、セキュリティの観点からも常に体に密着できるバックパックタイプの利点は大きい。

 現在、私は二つのバックパックタイプのカメラバッグを使い分けている。ひとつはフルサイズ一眼レフのシステムでも余裕をもって収納できるラージサイズのもの。もうひとつはミラーレス一眼のシステムに最適化されたミドルサイズのものだ。もちろん大は小を兼ねるので、ラージサイズのバックパックでもミラーレス一眼を持ち運ぶことは可能だが、フルサイズ用カメラやレンズの大きさに合わせて設計されたバッグ内仕切りの間隔だと、ミラーレスのカメラやレンズを入れると微妙に隙間が空いてしまい無駄なスペースが生まれてしまう。せっかく小型であることが売りのミラーレスシステムであるのに、カメラバッグがフルサイズと同じとなってしまうのでは、小型軽量なシステムのメリットが削がれてしまうことになる。また持ち運ぶ際にレンズが余分な隙間でガタガタと不安定に動いてしまうのを避けたいという思惑もある。これらの考えより、私はラージタイプとミドルタイプの二つのバックパックを使い分けている。

【前編】「フルサイズシステムでも余裕の収納力」ハクバGW-PRO G2 バックパック


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【収納例】キヤノンEOS 5D MarkIV + バッテリーグリップ、シグマsd Quattro H、14-24mm F2.8 DG HSM|Art 2本、24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art 2本、18-35mm F1.8 DC HSM|Art、70-200mm F2.8 DG OS HSM|Sports、EF40mm F2.8 STM、セコニックL-308X、MacBook Air15inch

 ハクバのGW-PRO G2 バックパックはラージサイズのバックパックタイプカメラバッグだ。バッテリーグリップを装着したフルサイズ一眼レフカメラ1台を、バッグ上部からレンズを付けたまま収納することができ、そのほかF2.8クラスの望遠&広角レンズを各1本、F1.4クラスの大口径単焦点レンズを3〜4本、バッテリー類や露出計などが収納できる。

 これだけの機材を収納すると当然重量はかなりのものになるが、実際に背負って歩いても意外なほど肩への負担は大きくない。これはしっかりとしたハーネスと厚めの肩パッドが設けられていることに加え、型崩れしにくい構造を採用していることが大きく寄与している。このGW-PRO G2 バックパックにはバッグの構造体として外周にアルミフレームを埋めむことで形状が維持されており、これにより重量のある機材を収納してもバッグ全体が重さで歪みにくくなっている。重心が移動することによる体への負担が最小限に抑えられるのだ。以前、このバッグのデザイナーに話を聞く機会があったのだが、デザイナー自身がこのバックパックの試作品を背負い、実際に山歩きを行なっては改善を繰り返すなど、開発には時間と手間をかなりかけたそうだ。
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機材は背当て側の蓋を開けて出し入れする。重量級のバックパックの場合、背中からバッグを下ろした状態のまま蓋を開け閉めできるのはとても都合が良い。また防犯面からも背当て側が蓋になっていると、知らぬ間に蓋を開けられてしまうこともなく安心感が増す。

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背当ての一部分のみを開閉させての中身の出し入れも可能。
SPZZ7675.jpgバッグ上部からレンズを付けたままのカメラを出し入れできる。中の仕切りを調整すれば望遠レンズを装着した状態でも収納できる。

SPZZ7715.jpgバックパック前面には15インチクラスのノートPCやタブレットを収納できるスペースがある。蓋は袋状の立体的な構造で若干の余裕があるので、脱いだ薄手の上着などを入れておくこともできる。

SPZZ7732.jpgバッグの両サイドにはおおきなメッシュポケットが設けられている。リモートケーブルや筆記具、小型LEDライトなどを収納するのに便利。

SPZZ7745.jpg背当てとハーネスには厚みのある立体的なクッションが用意されており、しっかりとしたホールドが可能。肩への負担も最小限となる。またバッグにはアウトドアで役立つループなどが複数用意されていることもポイントが高い。私は山の中での撮影に備えて熊避け鈴とエマージェンシーホイッスルを常に取り付けている。

SPZZ7751.jpgハーネスの肩の部分にはカメラのストラップをかけることで首にカメラの重さがかからなくなるハクバの「くびの負担がZEROフック」が装備されている。ストラップを掛けるのにコツがいるが効果は高い。

SPZZ7720.jpgバックパックの前面には三脚を装着可能。
蓋への固定ベルトとバッグ本体への固定ベルトの二本を併用することで、歩行時でも三脚が不用意に振れることなく安定して持ち運べる。

ハクバのバックパックへの思い入れ


 私がこのGW-PRO G2 バックパックを使用開始してすでに4年近くが経過している。使用頻度はとても高く、また機材を満載した状態で撮影旅にも頻繁に持ち出しているが、型崩れや表皮の破れ、ファスナーの故障などこれまでトラブルは一度もない。使用しているファスナーはすべて信頼性の高いYKK社製であることも耐久性の高さに繋がっていると思われる。

 GW-PRO G2 バックパックはすでに販売が終了されており、現在は後継モデルのGW-PRO G3 バックパックが販売されているが、これまでノントラブルで運用できているこのG2 バックパックは、今しばらく現役として頑張ってくれることだろう。
(次週後編へ続く)