【レビュー】MFの100mmマクロながら最大撮影倍率2倍!|LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO

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等倍とは別世界を写し出す最大撮影倍率2.0倍


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■LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO
ボディ:Canon EOS 6D Mark II
マニュアル露出(F11、1/100秒)/ISO 100/WB:オート
ピクチャースタイル:オート/ワイヤレスストロボ1灯使用

 新しいカメラや使ったことのないレンズをみると解像力や高ISO感度特性、ダイナミックレンジ、ぼけディスク、周辺光量落ち、最短撮影距離などの実写チャートを撮影したくなる齋藤千歳です。変わった人だな〜くらいに思っていただけるとうれしいのですが、変わった特徴を持つレンズやカメラが発表されるとうれしくなってしまいます。
 そんな私に、今回はLAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOの解説をさせていただけるということで、すでにうれしくなっております。
LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOは、35mm判フルサイズにも対応する開放F値2.8の100mmでマニュアルフォーカス専用マクロレンズです。キヤノン EF、ニコン F、ソニー Eマウントの対応するレンズがそれぞれ用意されており、レンズサイズはΦ72×125mm(ソニー Eマウント用のみ:Φ72×155mm)、質量約638g〜(マウントにより変動します)、レンズ構成は10群12枚になっています。他の100㎜F2.8マクロレンズと大きな違いが無いように感じられます。
では、一体なににうれしくなっているのだという話ですが……。
「2倍」なんですよ。
最初に掲載した作例をみてもらえば気付いてもらえるかと思います。
「最大撮影倍率が2倍」なんです。

最大撮影倍率2倍


 まずは、撮影倍率「等倍(1倍)」の作例からご覧ください。
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■LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO
ボディ:Canon EOS 6D Mark II
絞り優先AE(F2.8、1/5秒)/ISO 100/露出補正:−0.3EV
WB:オート/ピクチャースタイル:オート

 これに対してLAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOの最大撮影倍率である2倍で撮影すると、こうなります
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■LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO
ボディ:Canon EOS 6D Mark II
絞り優先AE(F2.8、0.6秒)/ISO 100/露出補正:−0.3EV
WB:オート/ピクチャースタイル:オート

 この2枚の作例をみてもらえば、もう解説はいらないのではないかと思ってしまいます。レンズの最大撮影倍率は、それぞれのレンズごとに決まっており、最短撮影距離と一緒にスペック表に記載されるのが一般的です。LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOは、最短撮影距離が24.7cmで最大撮影倍率が2倍です。
 では、最大撮影倍率とはなんでしょうか。フィルム時代から、あるスペックなので35mm判フィルムを基準に解説します。36×24mmのフィルム面(デジタルは撮像素子面)に36×24mmの範囲を画面いっぱいに撮影できるのが等倍(1倍)です。ハーフマクロなどと呼ばれる最大撮影倍率0.5倍のマクロレンズは72×48mmの範囲を画面いっぱいに撮影できます。これに対してLAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOは最大撮影倍率が2倍なので18×12mmの範囲を画面いっぱいに撮影できるのです。
 そのため、1枚目の掲載したカブトムシの顔だけのアップといった撮影が簡単に行えます。普通のマクロレンズでは、あんなに大きく写ることはありません。比較用に撮影した普段からみなさんも見慣れているであろうSDカードは幅24mm×高さ32mmです。等倍(1倍)マクロレンズでは、SDカードの一部が切れることはあっても、中央部だけのアップといった撮影はできないサイズがSDカードなのですが、2倍のマクロではその中央部だけをアップにできます。等倍マクロレンズでの撮影時にだれもが一度は思う「もうちょっと寄りたい」を簡単に実現してくれるのです。
 マクロファンはもちろん、同じ花を撮影していてもほかの人とは違う作品が撮れる、この最大撮影倍率2倍というスペックだけで、所有する意味が十分にあるレンズといえます。

無限遠の被写体も普通に撮影できる中望遠


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■LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO
ボディ:Canon EOS 6D Mark II
絞り優先AE(F5.6、1/5,000秒)/ISO 100/露出補正:−1.7EV
WB:太陽光/ピクチャースタイル:オート

 マクロ好きなら、最大撮影倍率2倍というだけでうれしく、熱くなってしまうのですが、逆に心配になるのが「普通の撮影もできるのか?」です。事実、特殊なマクロ専用レンズでは近接以外の撮影ができないものもあります。しかし、LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOは、近接以外の無限遠などでの撮影も普通に行え、マニュアルフォーカスで明るい中望遠としても使えます。逆光での描写も掲載した作例のようにコントラストが高くシャープです。

チャートの結果からも優秀な100mmF2.8マクロレンズだ


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■LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO
ボディ:Canon EOS 6D Mark II
マニュアル露出(F2.8、1/160秒)/ISO 100/露出補正:+0.7EV
WB:オート/ピクチャースタイル:オート

 ほかの人が使っている普通の100mmF2.8マクロ等倍と違い2倍まで寄れるというだけで、私なんぞは「ほかの人とは違った写真、作品が撮れる!」と思い、ついほかのことは多少なりとも目をつぶるといいたくなります。しかし、Amazon Kindle電子書籍『Laowa 100mm f/2.8 2X Ultra-Macro APO レンズデータベース』を制作した際に、撮影した各種実写チャートの結果からLAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOの各種性能を冷静に解説していきたいと思います。
 解像力については、100mmF2.8マクロは優秀なレンズの多いカテゴリーですが、そのなかでもほかのレンズにひけをとる部分が無いように感じます。基本的に絞り開放のF2.8から画面中央はもちろん、周辺部分まで実用に十分な解像力を発揮します。またF4.0まで絞ると解像力はワンランクアップ、レンズの画面全体の解像力のピークはF8.0からF11といえるでしょう。ただしF16以降では、絞り過ぎによる小絞りぼけや回折と呼ばれる解像力低下が起きるので、特別な撮影意図がない限りF11程度まで撮影するのがおすすめです。

大きく美しいぼけを堪能できる


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■LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO
ボディ:Canon EOS 6D Mark II
絞り優先AE(F2.8、1/320秒)/ISO 100/露出補正:+0.3EV
WB:太陽光/ピクチャースタイル:オート

 近接撮影のため被写界深度は非常に浅く、ピント合わせは恐ろしくシビアで、大きなぼけが画面全体に発生します。単焦点レンズのF2.8はあまり明るく感じませんが、超近接撮影の多いマクロレンズは小さなF値だけでなく、被写体との距離が短いことで発生する大きなぼけが楽しめます。作例は花の陰で羽を休める小さなトンボを撮影した1枚です。ピントはわずかに甘いものの、トンボの左目に合わせています。しかし、右目はすでに被写界深度外です。
 LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOで極小の点光源を撮影したぼけディスクチャートの結果は、ぼけの円の外側にわずかにフチが発生する以外は、気になる部分はなく、ぼけの美しいレンズの多い100mmマクロのなかでも、素直で美しい大きなぼけが楽しめます。ただし、絞り開放付近では口径食によって、画面周辺では丸ぼけの形が変形するのは頭に入れておいてください。

画質面の不満をあげるとすれば、周辺光量落ちのみ


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■LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO
ボディ:Canon EOS 6D Mark II
絞り優先AE(F5.6、1/100秒)/ISO 100/露出補正:+0.3EV
WB:オート/ピクチャースタイル:オート

 LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOを使って不満を感じないわけではありません。レンズの画質面で不満をいうならば、絞り開放付近で明確な周辺光量落ちがあります。
 カメラメーカーの純正レンズでは、レンズとカメラ本体が情報をやりとりできるため、周辺光量落ちはデジタル処理で軽減できます。
 しかし、本レンズは電子接点があることによってEXIFデータなどのやりとりはされているものの、周辺光量落ちの補正は少なくとも今回使用したキヤノン EFマウント向けでは行われていないように感じました。そのため開放のF2.8からF3.5、F4.0付近まで明確な周辺光量落ちが観察されます。これはF5.6程度まで絞ると気にならないレベルになります。しかし、周辺光量落ちを軽減するために絞るくらいなら、RAW+JPEGで撮影しておき、RAW現像の際などの後処理で対応しましょう。
 レンズ操作や質感については、厳密なピント合わせが要求されるマクロ撮影ではレンズ操作やピントリングの質感が重要になります。本レンズはピントリングの質感が良く操作感なども満足しました。
 また、私はマクロ撮影時はMFを使用することが多いため、AFがないことや手ぶれ補正機構が搭載されていないことについて、ほとんど不満はありませんでした。
 100mmF2.8マクロ等倍は、プロやハイアマチュアにとっては定番の1本であり、逆にほとんどのユーザーが所有しているからこそ、新しいモデルが出てもよほどの理由がない限り、買い換えないレンズともいえるのではないでしょうか。
 しかし、最大撮影倍率2倍で撮影ができ、画質面でも不満を感じる部分のほぼないLAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APOは、2本目の100mmF2.8マクロレンズとしても、同じ撮影条件でも等倍マクロレンズユーザーに差を付けられるレンズとしては、はじめての100mmF2.8マクロとしても、十分に購入検討の対象になると思います。多くの純正100mmF2.8等倍マクロレンズと比べても安い点も含め、おすすめの1本です。