【レビュー】APS-Cミラーレス一眼ユーザーにおすすめ広角レンズ!|SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

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多くの方におすすめしたい超広角単焦点レンズ


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■13秒 F2.0 ISO4000 Kenko MC プロソフトン(B)N


 今回はSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSについてお話させていただきます。サムヤンは単焦点マニュアルフォーカスレンズを主体とした(最近ではオートフォーカスレンズも作っています)韓国のレンズメーカーです。日本に正規代理店がないころから、星と風景をいっしょに撮影する星景写真の分野で高い描写性能とコストパフォーマンスの高い価格によって、その分野への情報感度の高いユーザーから称賛されていました。現在では、日本国内の正規代理店はケンコー・トキナーが行っており、ユーザーサポートの面でも安心して購入できるレンズだと思います。
 そんなサムヤンのなかでも人気の高いSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSはAPS-Cセンサー採用のミラーレス一眼向けで、キヤノン EF-M、ソニー E、フジフイルム X、マイクロフォーサーズ用のレンズがそれぞれ用意されています。価格もこれだけ明るい大口径超広角レンズとしては大変リーズナブルです。
 APS-Cセンサーを採用したカメラを装着すると18mm相当(キヤノン EF-Mでは19mm相当、マイクロフォーサーズでは24mm相当)の画角※で開放F値2.0から撮影できます。それではSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSの人気の秘密をみていきましょう。
※35mm判換算での画角

レンズ先端にねじ込み式フィルターが使える


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■13秒 F2.0 ISO4000


 「なんで、この人、連載初回から同じ写真を2枚掲載しているの?」と思った方もいるのではないでしょうか。しかし、わかっている方にとっては「そういうことね!」といった2枚なのです。1枚目の写真は同条件で「Kenko MC プロソフトン(B)N」を使ったもので、2枚目は「フィルターなし」です。星の大きさが違って見えないでしょうか?デジタルカメラでは、フィルムとは異なり、長時間露光で星を撮影しても光の強さによって星のサイズが異なって写るイラジエーションが起こりません。そのためケンコーのプロソフトンなどを使って光の強さごとに星をにじませて撮影するのが定番の手法になっています。
 しかし、10mm前後の超広角レンズでは「出目金レンズ」などと呼ばれるレンズ最前面のレンズが半球状に膨らんだ形状になっており、レンズ先端にねじ込んで装着する丸型フィルターが使えないというものも珍しくないのです。SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSは67mm径のねじ込み式丸型フィルターが、まったく問題なく装着できます。なので、各種フィルターを普通のレンズと同じように装着し、超広角でのフィルター撮影が楽しめます。
 明るい超広角レンズを買って、星を撮影してみたいと考えている方にとっては、プロソフトンだけでなく、最近流行のナトリウム灯や水銀灯による光害の影響を軽減してくれるスターリーナイトフィルターなども使えるので、星景撮影にチャレンジしたいユーザーにも人気の1本になっています。

絞り開放から安心の解像力が素晴らしい


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■1/25秒 F2.0 ISO100


 SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSの解像力チャートなどから、読み取れる解像力のピークはF5.6からF8.0です、というと多く方が風景などでは「やっぱりF8.0まで絞らないとダメだ」と思うようですが、私は少し違う考えを持っています。
 SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSのような超広角の単焦点レンズは、解像力のピークがF5.6からF8.0であっても、ズームレンズなどと比べると絞り開放から中央部分はもちろん、周辺部分まで十分以上の解像力をもっていることが珍しくありません。当然、SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSも絞り開放から十分な解像力を発揮してくれるので、掲載写真のように光量が足りないけど、カメラは手持ちでぶれそうといったシーンでは、まったくためらうことなく、絞り開放での撮影を選択できます。絞り開放でも画面全体で高い解像力が得られることも、SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSの人気の秘密のひとつといえます。

解像力のピークF5.6で撮影してみる


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■1/250秒 F5.6 ISO100


 すでに解説したとおり、絞り開放から解像力の高いSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSですが、画面全体の解像力のピークはF5.6からF8.0と考えています。そのため、掲載写真のように細かい描写の多い風景ではF5.6を選択して、レンズの最高のパフォーマンスを発揮できるように撮影しています。
 ただし、SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSを使うときには、単純にF5.6からF8.0を使うというわけではありません。私の場合は、レンズの明るさを優先するなら開放F2.0前後、わずかに解像力を上げるならF3.5からF5.0、レンズの最高の解像力を得るならF5.6からF8.0、そしてF16以降は絞り過ぎによる回折や小絞りぼけと呼ばれる解像力の低下が起きるので使わないというマイルールで運用しています。

弱点も頭に入れて撮影しましょう!


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■1/8秒 F2.0 ISO100


 これまでの解説を読んでいただくとSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSの人気が高いことも納得してもらえるかと思います。しかし、まったく弱点のないレンズというわけでもありません。
 カメラ本体との情報やりとりをする電子接点すらない完全なマニュアルレンズなので、カメラ本体による画像の補正が期待できません。そのためか、周辺光量落ちと画面周辺における収差の発生が観察されます。周辺光量落ちについては、F4.0まで絞るとやや軽減しますが、それ以降は絞っても周辺光量落ちがさらに軽減することは、私のテストでは見受けられませんでした。画面の周辺に発生する収差についても、絞るとわずかに軽減しますが、絞り開放から絞りの最大値まで発生していると感じております。
 また、12mmの超広角でカメラ本体による補正が行われていないことを考慮すると比較的軽微といえますが、タル型の歪曲も若干ながら発生しているように見えました。
 SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSの周辺光量落ち、収差、歪曲を撮影時になんとかしようと躍起になるよりも、JPEG+RAWで撮影することを私はおすすめします。撮影後にどうしても、これらが気になるときはRAW現像時に補正すれば、気にならないレベルに調整できるので、気になりそうなシーンではJPEG+RAWで撮影しておくとよいでしょう。
 APS-Cセンサーのミラーレス一眼専用とカメラを選びますが、SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSは、掲載写真のような水族館や星景撮影での絞り開放から高い解像力を発揮し、しかも小型軽量で低価格、フィルターも使えるなど、使用可能なカメラのユーザーで超広角レンズを検討するなら、ぜひ選択肢に加えたいレンズに仕上がっています。
大口径の超広角単焦点というと、初心者には少し敷居が高いように感じる方も多いと思いますが、初心者の方にこそ、体験してもらいたい描写が得られるので、ぜひチャレンジしてみてはどうでしょうか。