【撮影テクニック】プロが教える航空祭「ブルーインパルス」の撮影方法とポイント!

坂井田富三

ブルーインパルスを撮影した作例

はじめに

 ブルーインパルスは、航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)を拠点とする人気のアクロバット飛行チームで、航空祭は基地が開放されています。また、様々なイベントがおこなわれ迫力ある航空機のショーが楽しめるとあって、人気のイベントになっています。
 今回は「松島基地航空祭2019」を、ソニーから新しく発売(2019年7月26日)されたレンズ「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」でたっぷりと撮影してきました。

航空祭・ブルーインパルスとは

 航空祭とは、日本各地の基地で開催され、基地を一般公開して行われるイベントです。開催中は戦闘機や輸送機などの様々な機体の飛行展示をしますが、一番人気はなんといっても航空自衛隊のブルーインパルスのアクロバット飛行です。
 ブルーインパルスは、航空自衛隊の航空祭や国民的な大きな行事などで、アクロバット飛行を披露する専門のチームで、正式名称は宮城県松島基地の第4航空団に所属する「第11飛行隊」です。
 各基地で開催される航空祭は、間近でアクロバット飛行を見る事ができるので、とても人気が高く旅行会社で見学ツアーが組まれるほどです。

 小さなお子様を連れた親子から航空機マニアの方々まで幅広いファンが集まるイベントです。気になる方は、イベントスケジュールを確認してみはいかがでしょうか?

◇2019年度航空自衛隊イベントスケジュールはこちら
◇2019年度ブルーインパルス展示飛行予定こちら

機材・設定のポイント

 機体が間近で見える航空祭と言っても、迫力ある写真を撮るには望遠レンズは必須です。お勧めレンズの焦点距離は、100-400mm・150-600mm・200-600mmなどの望遠ズームレンズです。実際に航空祭で撮影していると、このクラスのレンズで撮影されている方を大変多く見かけます。

作例1

■SONY α9 + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
■シャッター速度1/8000秒 絞りF8 ISO800 焦点距離600mm

 可能であればメインのカメラに望遠レンズを装着し、それとは別にワイド側で撮れる広角ズームレンズを付けたサブ機を用意しておくと良いでしょう。そうすればブルーインパルスがスモークで描く大きな演目「バーティカルキューピッド」や「スタークロス」などを撮影する時に便利です。

*青空に描く大きなハートマーク「バーティカルキューピッド」
作例2

■SONY α6400 + E18-135mm F3.5-5.6 OSS
■シャッター速度1/800秒 絞りF8 ISO125 焦点距離33mm(35mm換算)

 オートフォーカスの設定は、高速で動く被写体なので「コンティニュアンスモード」。オートフォーカスエリア設定は、青空の下、コントラストもあって被写体を捉えるのは容易なのでワイドエリアを設定して、広い範囲での被写体を入れる構図に対応しました。雲が多い場合や曇りで被写体とのコントラストが低い場合は、オートフォーカスのエリアを絞って撮影した方がよい場合もあります。

 シャッター速度は、できるだけ速いシャッター速度をキープして撮影します。特に望遠レンズで被写体をアップで撮影する場合は、1/1000秒以上を確保したいところです。

撮影のポイントはこれ!

 航空祭での撮影ポイントは、事前にアクロバット飛行の演目の名前を覚えておく事です。航空祭では次にどんな種類のアクロバット飛行をするか会場でアナウンスがあります。アクロバット飛行のパターンを知っていれば、ブルーインパルスの動きが予測でき、ファインダーを見ながらブルーインパルスをしっかりと追跡して撮影することができます。

 会場のアナウンスを聞くことは、非常に重要な要素です。どちらの方向から進入してくるのか、どんなアクロバットをするのか、聞き逃さずに撮影の準備に入り、ファインダーでブルーインパルスを捕捉したらタイミングを見計らって連写で撮影します。

*「オポジットコンティニュアスロール」
作例3

■SONY α9 + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
■シャッター速度1/6400秒 絞りF8 ISO800 焦点距離200mm

 こんなシーンは、ほんの一瞬のタイミングなので連写での撮影は必須です。
 ブルーインパルスの動きは速いので、動きをうまく捉えられない場合は、ズームレンズであればワイド側を使って少し広い画角でブルーインパルスを追いながら、撮影するタイミングで望遠側へズームして撮影すると被写体を捉えやすくなります。慣れるまでは無理にあまりアップを狙いすぎない方が得策かもしれません。

作例4

■SONY α9 + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
■シャッター速度1/3200秒 絞りF13 ISO800 焦点距離414mm

 また快晴の青空であれば、少し引いてブルーインパルスのスモークの軌跡を画面いっぱいに入れて表現するの良いのではないでしょうか。
 撮影時の環境にもよりますが、急旋回時や急上昇時などに発生しやしやすいベイパーを捉えると写真が一層引き立ちます。ぜひ狙ってみましょう。

※機体の一部からこぼれた空気が急減圧されることにより、空気中に含まれる水分が凝結作用により発生する翼の両横で発生する飛行機雲

作例5

■SONY α9 + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
■シャッター速度1/3200 絞りF8 ISO800 焦点距離500mm

 航空祭はブルーインパルスだけではなく、普段見る事がない様々な機体をみることができます。アフターバーナーを使ってベイパーを引いて急旋回中のF-2。SONY α9にFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSのレンズに2倍のテレコンバーターSEL20TCを組み合わせて焦点距離1200mで撮影。
SONY α9は絞り値F16まではフォーカスが追随するので、1200mの状態でもオートフォーカスでしっかりと被写体を捉える事ができ、迫力あるシーンを撮影することができました。

作例6

■SONY α9 + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS x2倍テレコンバーターSEL20TC
■シャッター速度1/2000秒 絞りF13 ISO800 焦点距離1200mm

*救護活動のデモンストレーションをするUH-60J
作例7

■SONY α7RⅢ + FE400mm F2.8 GM
■シャッター速度1/40秒 絞りF22 ISO80 焦点距離 400mm

 ヘリコプターを撮影する時のポイントは羽根の表現です。高速シャッターで撮影してしまうと羽根が止まって写ってしまい、動きが感じられない飛んでいないイメージになってしまいます。
ホバーリングしているタイミングで、スローシャッターで撮影してみるのがポイントです。

*ベイパーを引きながら急旋回中のF-16
作例8

■SONY α9 + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
■シャッター速度1/4000秒 絞りF8 ISO640 焦点距離289mm

まとめ

 普段なかなか見る事のない航空機のデモンストレーション飛行が見れる航空祭は、とても魅力的なイベントです。特に青空に軌跡を描くブルーインパルスのアクロバット飛行は見とれてしまいます。
 
 撮影の最初は速い動きについていくのが難しいかもしれませんが、回数を重ねる毎に慣れれてきて撮影も上達します。
 上を見てずーっと撮影していると、ちょっと首が疲れますが(笑)、望遠レンズ持って航空祭へ撮影に行ってみませんか?

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