【撮影テクニック】コンポジット合成で、初めての星景撮影に挑戦!|虫上智

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星空を合成(コンポジット)とは?


 星景撮影をするにあたり、大きく分けて2パターンの表現の仕方があります。一つは天の川などのちりばめられた星々を背景にして表現すること、もう一つは星を流す光跡の表現方法です。

 前者の撮影方法は簡単に言うと、短い露光時間で星を点像として表現します。後者の星を流す方法ですが、地球は24時間で360度、1時間で15度動くわけですから、シャッターを1時間開けっ放しにすると15度の星の軌跡が撮れます。

 ところが、デジカメの場合、シャッターを1時間も開けっ放しにするのは露出オーバーや画像が悪くなる問題があるので、一般的には前者の短い露光時間で撮影した画像を連続(連写モード)で複数枚撮影して最後にレタッチソフト(フォトショップなどがあればいいのですがフリーソフトもあります!SiriusCompで合成(コンポジット)すると、流れた星の表現できあがります。

機材のポイント・撮影の流れ


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■使用機材:E-M1MarkII/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO 
■撮影環境:シャッタースピード1/50秒/絞りF4/ISO200/WB晴天

【機材・あると良いもの】



▼カメラ
 星を流すような表現をする場合、撮影後にデータをパソコンに取り込んで、編集ソフトで比較明合成するのであれば、多くの一眼カメラで撮影することが可能です。オリンパスのOM-Dシリーズではカメラ内で比較明合成できますので編集ソフトいらずで、しかも液晶を見ながら星の流れを確認できる非常に便利なライブコンポジット機能があります。

▼レンズ
 キットでついている標準ズームレンズでもOK。広角側のF値が4以下なら特に問題ないです。これより明るい(小さい値)レンズなら、なおさら良いです。今回の撮影の場合、星団や土星などではなく、広い星空を撮影しますので広角レンズがおすすめです。天の川を撮影するとなると長く伸びた部分を入れるため、より広角のレンズがおすすめです。

▼フィルター
 フィルターは無くても撮影できますが星が思ったより小さいな、と感じることがあります。そんな時はケンコープロソフトン(A)をお勧めします。その名の通り、若干ソフトがかかったような効果になりますが星が大きくなり、星がより幻想的に表現できますのでお勧めのフィルターです。

▼三脚
 手振れ防止が強い最近のカメラでもまだまだ数十秒はブレますので必須です。カメラの重量に合わせた三脚を用意しましょう。
 レリーズ:スマホのWi-Fi機能を使用して遠隔操作でシャッターを切ることもできますが有線のレリーズのほうが確実だと思います。

▼ライト
 LEDヘッドライトがおすすめです。帰り道などは暗くなっているため、首にかけて常に持ち歩きましょう。

▼虫よけ
 9月上旬はまだ草むらには蚊がいるので防虫服がお勧めです。

▼椅子
 長時間撮影が多いためとゆっくり空を眺められるアウトドアブランドの椅子などをお勧めします。


【撮影の流れ】



▼撮影開始まで
 現場には日の入り一時間以上、早く到着しましょう。星だけを撮影するには良いのですが星景写真は脇役(もしくは主役となる)を入れる方がストーリー的な表現にできるからです。よってまだ明るいうちにメイン、またはサブの被写体を探し出すことがおすすめです。
 また、夕暮れ時は感動的な夕焼け空にも遭遇できるチャンスでもあります。

▼撮影開始
 夕暮れの撮影が終わると、いよいよ星景撮影です。
 三脚を据えたらカメラの手振れ補正をOFFに※。次に暗くなるとAF(オートフォーカス)も効かなくなりますのでMF(マニュアルフォーカスに)に切り替え、カメラ本体の設定をM(マニュアル)に切り替えてライブバルブにしましょう。

※三脚対応のブレ補正がついている場合は、そのモードに設定。


 液晶が可動する機種は見やすい位置に動かすのもお勧めです。レリーズがあれば装着し、なければライブタイムにセットします。ISO感度設定はレンズや天候によって違いますが明るいレンズほどノイズが少ない低ISOで撮影できます。F値は開放(数値を一番低く)し、ピント位置は星か、景色か迷いますがどちらが主役なのかによってピンを合わせると良いです。

▼露光時間のコツ
 肝心の露光時間ですが点像星撮影に便利な500のルールというのがあります。これは500をレンズの焦点距離で割ると簡単に出ます。
例:500÷焦点距離50mmレンズ=露光時間10秒までなら星が点像のように写るということです。

<Point!>ピント合わせ
 星にピントを合わせるポイントですがピントリングを回していき、一番小さく星が見えるところにピンをあわせます。

撮影場所、撮影に適した日、撮影のポイント


【撮影場所の選定方法は】


 撮影場所は出来るだけ暗いところに行き、また月があれば逆光ではなく、順光の暗い部分にカメラを向けましょう。市街地より郊外、郊外より山奥がおすすめです。雨の後などは空気が澄んでいるのでこの限りではありません。

【撮影に適した日は?】



 撮影に適した日は、新月か、その前後の月が出来るだけ欠けている日にちを狙いましょう。また、月があまり欠けていなくても、月が地平線の下にあるなら大丈夫です。月の出、月の入りの時間を確認して条件の良い日に撮影します。
 私が良く利用する暦のページが便利ですから確認していきましょう

【撮影のポイントは?】


▼アプリを活用する!
 今回例に挙げている天の川の撮影の場合、どこに天の川があるのか最初はわからないものです。そんな時に重宝するのがスマホのアプリの「STAR WALK2」です。(アプリ内課金ありのものや、ダウンロード時に有料版もあり)
 このアプリを見ながら構図を決めていくと便利です。ちなみに日本の9月の場合、天の川の明るい部分が良く見えるのは0時くらいまでです。また、コンパクトな赤道儀を使用して撮影すると星が動かず、より星が奇麗に撮影できますが逆に星空以外が動きますので、そのような被写体は細かい木々のようなものよりもはっきりしたものを選ぶと良いかと思います。

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・App storeはこちら


▼赤道儀を使用する!
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■使用機材:E-M5MarkII/M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8+ケンコープロソフトン(A) 
■撮影環境:シャッタースピード17秒/絞りF1.8/ISO1000/WB晴天

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■使用機材:E-M5MarkII/M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8+ケンコープロソフトン(A)+ビクセン・ポラリエ
■撮影環境:シャッタースピード65秒/絞りF1.8/ISO640/WB:晴天

 この作例は上記の機材+ コンパクト赤道儀「ポラリエ」(星を追いかける機材)を使うことで星は動かず、長時間露光で天の川がより幻想的になりました。逆に赤道儀を使用したため、下部の銅像が少し動きましたが逆に銅像の輪郭が滲んで童話のような世界を表現できました。

<Point!>上の2枚の拡大画像を見比べてみる
ポラリエ比較画像.jpg
 左のコンパクト赤道儀なし17mm(35mm換算34mm相当)の 17秒だと少し星が流れています。より明るいレンズだともう少し秒数を短くできるので点像として表現できますね。
 右のコンパクト赤道儀ありだとご覧の通り、星は全く流れないですが、逆に像の輪郭が柔らかくなります。


▼コンポジット合成のコツは?
 次はコンポジット合成の星景撮影のポイントです。まずは北極星を探し出すことから始めます。
前述したSTAR WALK2で、こぐま座の近くのポラリス(北極星)を探します。ポラリスを中心として星が円を描きますので撮影位置を決めていきます。

 下の作例はオリンパスの8mm魚眼を超広角補正モード※1、ライブバルブモードで撮影しました。2枚目はライブコンポジットモードに変更後、4秒ずつにセットして約30分露光した結果です。

 1枚目は重厚な断層と星の幻想的な風景、2枚目は奥へと吸い込まれていきそうな面白い表現と全く違う表現方法となりましたね。(ちなみに2枚目の左下の光のラインは漁火漁船が通過したラインです)ここでは断層の模様を出したかったので露光中にストロボ(オープンフラッシュ)を焚いています。
 また、オリンパスの8mm魚眼レンズは8mm魚眼以外にも35mm換算で、11mm、14mm、18mmの画角に対応していますので小型軽量で明るくて対角魚眼、超広角レンズとしても使えるなんて凄いですよね。

※1:2019/09/13 現在 フィッシュアイ補正はE-M1 mark2、X限定の機能です。
※2:魚眼補正機能は動画撮影ができず、RAW撮影の場合、フィッシュアイ補正の画像が反映されないのと液晶を見ながらのライブ機能が使えません。


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■使用機材:E-M1MarkII/M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO+魚眼補正(超ワイド11mm)
■撮影環境:シャッタースピード15秒/絞りF1.8+ストロボ(オープンフラッシュ)/ISO800/WB晴天 
コンポジット合成なし:ライブバルブモード


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■使用機材:E-M1MarkII/M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
■撮影環境:シャッタースピード4秒/絞りF1.8+ストロボ(オープンフラッシュ)/ISO800/WB晴天
コンポジット合成あり/4秒X約750枚=約50分(ライブコンポジットモード)

 オリンパスの8mm魚眼補正効果中はライブ機能(液晶を見ながらの撮影)が使えないのであえて魚眼効果のみで撮影しました。逆に魚眼レンズ独特の歪みがなかなか面白い効果を生みました。
 雲があったので中心部より下の部分の星の光跡があまり出なかったのが残念。


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■使用機材:E-M1MarkII/M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
■撮影環境:シャッタースピード4秒/絞りF1.8/ISO640/WB晴天
コンポジット合成あり/4秒X約750枚=約50分(ライブコンポジットモード)

 天文台がある場所は手軽に奇麗な星景写真を撮影できるところが多いです。背後に月が出て逆にプラネタリウムを照らしてくれたので奇麗に表現出来ました。しかし50分間の間にライトを持った人や飛行機が通りました。飛行機の通る時間帯は注意が必要です。
 また、魚眼レンズよりも標準レンズで撮影すると同じ露光時間でも長い星の光跡が表現できます。


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■使用機材:E-M1MarkII/M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
■撮影環境:シャッタースピード4秒/絞りF1.8/ISO400/WB晴天
コンポジット合成4秒X約900枚=約1時間(ライブコンポジットモード)

 最後に空気の奇麗なアイスランドでの星景撮影。雪だらけの街の中、街灯の反射で肉眼では暗い雪面が明るく表現できています。低いISO感度でも奇麗な星の光跡が表現出来ました。ちなみに奥の緑色の部分はオーロラです!!

まとめ


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 星景撮影はいろいろな表現があることがお判りいただけましたでしょうか。最後に私が星景撮影のイチオシアイテムとして夜に長時間、空を見ながらの撮影に首や腰が痛くなったりするのを軽減できる、首あての付いたアウトドアチェアの写真を載せておきます。是非挑戦してみてくださいね。