シグマ 35mm F1.2 DG DN Art レビュー|シグマ初の開放F1.2単焦点レンズ!

ShaSha編集部

SIGMA35mmF1.2最短撮影距離で撮影した画像.JPG

はじめに

 先日公開した「45mm F2.8 DG DN Contemporary」に続き、今回は同時に発表された
35mm F1.2 DG DN Artのご紹介です。
 
 本レンズはSIGMAのArtラインに属しているレンズで、SIGMAでは初となる開放F1.2の単焦点レンズです。
 Artラインは、“とにかく高い描写性能”のために、最高の光学性能を持たせるコンセプトで設計されており、SIGMAを代表するレンズが多く揃っているラインです。
 そんな銘玉ぞろいのArtシリーズですが、実は初めて発売された単焦点レンズは「35mm F1.4 DG HSM Art」で、本レンズはArtシリーズ2本目の35mm単焦点レンズとなります。

 焦点距離35mm(35mm判換算。以下略)といえば、使い勝手の良さから単焦点レンズの中でも人気な焦点距離の一つですよね。
 その便利さゆえに「最初の1本目は50mmにしようか、35mmにしようか考えている」や、「35mmの単焦点レンズが欲しいけど、どれにしようか迷っている」と悩んでらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 今回は本レンズが、他の35mmレンズとどう違うのか?という点や、F1.2という開放F値がどのような描写なのかなどを含めてレビューしました。ぜひご覧ください

比較的扱いやすい焦点距離

手前ボケの画像

■使用ボディ:α7III
■撮影環境:1/50秒 F8 ISO800

 単焦点レンズはズームレンズと異なり、画角が固定されています。そのため被写体や撮り方によっては撮影が困難になることもあります。
 例えば14mm F1.4というレンズであれば、広角のパースを活かした撮影や広く撮りたい風景や星空では大活躍ですが、反対にスポーツや野鳥などの望遠域での撮影は非常に困難でしょう。当然、逆も然りです。
 それでも単焦点レンズが選ばれる理由は描写性能が高いことや、F値が明るく背景をぼかしやすいというメリットがあるからでしょう。
 
 35mmは標準的な50mmと比較すると、やや広角気味のレンズですからスポーツや野鳥などの望遠域での撮影は難しいことや、「とりあえず撮ったら主題が分かりづらく、どこかつまらない写真になってしまった」という声を聞いたこともあります。

 それでも35mmが人気な理由ですが、使ってみて感じたことは「日常のあらゆるシーンが撮れる汎用性がある」ことではないでしょうか。
 例えば、風景や星空撮影、スナップやテーブルフォトなど広く撮影したいシーンや、ポートレート撮影では背景ボケを入れることもできれば、背景の情報を多く入れた撮影もしやすいです。あまり距離が取れない室内での撮影では、かなり重宝されますよね。

 本レンズを使用してスナップやポートレートを撮影しましたが、多くの撮影シーンで画角の制限を感じず、気軽に撮影ができました。また、絞った時のシャープさは解像性能の高いシグマレンズならではで、“さすが”の一言です。

開放F1.2の良さ

ピント面をシャープ解像した画像

■使用ボディ:α7III
■撮影環境:1/400秒 F1.2 ISO250

 開放F1.2と聞くと、どんなボケ味なんだろうと期待しませんか?
上の写真はF値を1.2、最短撮影距離で撮影したものですが、非常に大きなボケ量ですよね。手前もぼかせられるため立体感(奥行)を感じ、撮影の幅も広がります。また、F値開放の1.2であるもののピント面が凄くシャープなことが分かります。
 
 暗いシーンではAFが迷ってしまうこともありましたが、そもそもF1.2のレンズでAFが使えることは非常に助かります。

 焦点距離が35mmとはいえ、F1.2だと被写界深度も浅いためピント合わせがシビアです。サイズや価格面を考慮してMFレンズを開発していてもおかしくありません。
 もちろんMFで追い込むのも良いのですが、「外したら嫌だから」とF2にして撮影したことや、ポートレートでピント合わせに時間がかかりテンポが悪くなってしまったという経験ありませんか?
 本レンズはAFも優秀なので開放からでも安心して撮影できました。むしろ、どんどんF1.2で撮影したいと思った程です。

暗所(肉眼で見た暗さ).JPG
 開放F値1.2はボケ量だけでなく、暗所での撮影でも恩恵を与えてくれます。上の写真は実際の肉眼で見ているときと同じように撮影しましたが、かなり暗いシーンです。

 暗所も明るく撮れる.JPG

■使用ボディ:α7III
■撮影環境:1/30秒 F1.2 ISO6400

 最近のミラーレスカメラは暗所性能が強いといえども、ノイズをできる限り出さないためにISO感度は上げたくないですよね。本レンズの開放であれば、暗所でもISO感度をできるだけ抑えた撮影ができました。

意外に寄れる印象

SIGMA35mmF1.2最短撮影距離で撮影した画像

■使用ボディ:α7III
■撮影環境:1/400秒 F1.2 ISO160

 本レンズの最短撮影距離は約30cmです。
 これは感覚的なものになるのですが、本レンズの長さは約136.2mmと少々長めです。そのためか、被写体に寄れているように感じました。

 実数値で見ると最短撮影距離の30cmは、35mmレンズでは一般的といえます。本レンズはこの最短撮影距離に加えて非常に大口径ですから、大きなボケを得られることから写真の印象を大きく変えることができました。

撮影後記

風景撮影.JPG
2解像感高い.JPG
2白い彼岸花を撮影.JPG

 初めて単焦点レンズを手にした時、キットズームレンズでは得られなかった大きなボケ味に感動した覚えがあります。
 その当時購入した単焦点レンズは、手に届きやすい価格であることから他社製の50mmF1.8のレンズですが、そのボケ量の多さに感動して以来、背景をぼかした撮影をすることにハマり開放F1.4のレンズを購入した経緯があります。
 本レンズを使用した時に感じたボケ量の多さは、その時と同じくらいのボケ量といえるかもしれません。

 光学性能を追求した結果?かもしれませんが、重量は約1,090gと気軽に持ち運びができるかとなると少し重いように感じます。
 サイズも少々大きいですが、F1.2のF値を誇るレンズであれば仕方ないように感じます。撮影した写真を見ると、大きさと重さなんてどうでもよくなる程の素晴らしい描写です。

 45mm F2.8 DG DN Contemporaryと同じくソニーEマウント用とLマウント用(シグマ・ライカ・パナソニック共同マウント)のみの発売ですが、35mm単焦点レンズで迷っている方は、ぜひ使ってF1.2の凄さを体感してみてください!

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