ニコンNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sレビュー|ポートレート撮影でわかる美しいボケ味!

nikkor_z_50mmf1.8sで撮影したポートレート.jpg

はじめに



 ニコンのZマウントレンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」は、ポートレートを撮るのであればぜひ使ってもらいたい、筆者一押しのレンズです。とにかく惚れ抜いているレンズ故、その理由を作例と共にじっくりと語らせていただきます。

自然で優しいとろけるような前ボケと後ろボケ


01_ポートレート
■使用機材:ニコン Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:F2.8 1/80秒 +1.0EV ISO100 WB5000K
■モデル:大城優紀

 筆者がこのレンズをポートレート撮影で一押しのレンズとしている一番大きな理由は、ボケ味の美しさです。

 作例では、手すりと緑色の葉を前ボケに使っています。とろけるような自然なボケ味は絞り開放からF2.8の間に出やすく、この作例では髪の質感を多めに描きたかったので、開放ではなく少し絞ったF2.8で撮影しました。前ボケと、後ろの柵が消えるように無くなる繊細なグラデーションのボケ味は美しく、何気ない一瞬を作品に仕上げてくれるレンズだと再認識しました。

横顔でもしっかり機能する静かで素早い瞳AF


02_ポートレート
■使用機材ニコン Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:F1.8 1/160秒 ISO100 WBオート0 
■モデル:當間春菜


 2019年5月のアップデートで適応された瞳AF機能は、横顔でも瞬時に瞳にピントを合わせてくれます。標準画角の本レンズとZシリーズの瞳AF機能はとても相性が良く、この撮影時にはピントを外すことはありませんでした。

 撮影日はかなり日差しが強く、木陰での撮影をメインにしていたのですが、低くなってきた太陽が干潟の水溜りを照らしてきらきらと輝いていたので、モデルにしゃがんでもらって撮影しました。標準画角のレンズは、モデルとの距離が遠くなり過ぎないで撮影ができるので、コミュニケーションが取りやすいことが、メリットのひとつでもあります。

 暑さとの戦いの撮影でしたが、モデルの柔らかい髪が風にそよぐ瞬間と、背景の海と干潟の水溜りに光が当たって丸ボケができる爽やかな瞬間を捉えることができました。

マツゲから肌の質感、髪の毛の一本一本まで丁寧に描きだす高い解像度


03_ポートレート
■使用機材:ニコン Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:F1.8 1/250秒 ISO400 WBオート0
■モデル:松田ゆうな


 ポートレートで重要なのが、モデルの肌や髪の質感はもちろん、マツゲを一本一本数えられるくらいしっかり描き出す高い解像度です。これがないと、アプリで美肌加工したみたいに、べたっとした画になってしまいます。

 また、背景の薄い緑色から濃い緑色のグラデーションが美しいことから、描写性能の高さを感じられます。画面の中心部だけではなく、隅々まで高い解像度を誇っているレンズだからこそ、撮る喜びも感じられます。

ドキッとするほど近寄れる約40cmの最短撮影距離


04_ポートレート
■使用機材:ニコン Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:F1.8 1/250秒 ISO400 WBオート0
■モデル:松田ゆうな


 筆者がポートレートのワークショップで教えるようにしているのが、寄りと引きの両方の写真を撮ることです。引きは、全身のポージングで撮るということではなく、背景も入れ込んだ構図で撮ること。寄りは、頭や体を構図の外に出してぐぐっと寄ることで、写真の引き算の勉強ができるのと、モデルとの距離を縮めることで、撮る側と撮られる側の心の距離を近付けることができます。

 本レンズは、最短撮影距離約40cmまで被写体に近付くことができます。40cmというと、大人の腕の肘から手くらいに長さになります。そこまでモデルに近付くと思うと、意外と近くて照れが出てきてしまう方もいると思いますが、このレンズのピントが合っているところのシャープさと、それ以外のとろけるようなボケ味は、撮影最短距離の絞り開放時に嬉しくなるほど発揮されますので、最短撮影距離での撮影はお勧めしたい撮影方法のひとつです。撮影時、モデルの1m以内に近付くときは、その旨声を掛けてから近付きましょうね。

ゴーストとフレアの出にくい逆光に強いレンズ


05_ポートレート
■ニコン Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
■撮影環境:F1.8 1/500秒 ISO200 WB晴天 ストロボ・NDフィルター使用
■モデル:大城優紀


 ポートレート撮影で多いのが逆光、もしくは半逆光での撮影状況です。そんなときに起こって欲しくない現象が、ゴーストとフレアです。あえてきらきら感を出すためにオールドレンズを使うことや、レンズフードを外してゴーストを発生させるのも演出のひとつですが、筆者の撮影スタイルでは、出て欲しくないときのほうが多いです。

 そうなると、強い逆光耐性のレンズコーティング技術である「ナノクリスタルコート」を採用している本レンズは、このように夕日を背負うような撮影時に、頼もしい味方になってくれます。

ポートレート撮影のパートナーになってくれること間違いなし!


 なめらかなボケ味、高い解像度、短い最短撮影距離、逆光に強いレンズコーディング、静かで素早いAF…これだけ揃っているのにお手ごろな価格なのも嬉しい点のひとつです。レンズはスペックだけを見ても良さは分かりにくいです。実際に手にして使い続けてこそ、その魅力に気が付き、惚れ、撮影のパートナーとなります。もっとポートレートを楽しみたい方は、この機会に本レンズに興味を向けてみてくださいね。