ZEISS Batis 2.8/135 レビュー|筆者イチオシ中望遠レンズ!

猫作例.JPG

Batisの中で光学性能的に最も好きな1本


Batis135の風景画像
■ZEISS Batis 2.8/135/Sony α7 II
■絞り優先AE(F16、1/160秒)/ISO 125/露出補正:−0.3EV
■WB:晴天/クリエイティブスタイル:ビビッド


 今回は、ZEISS Batis 2.8/135については解説していきます。ZEISS Batis 2.8/135は35mm判フルサイズに対応するソニー Eマウント向けのレンズです。発売は、2017年5月で4本目のZEISS Batisシリーズで、2019年9月時点で同シリーズの最も焦点距離の長いレンズです。また、他のBatisシリーズ同様AFで撮影が可能で、ZEISS Batis 1.8/85と同様に光学式の手ぶれ補正機構をレンズ内に搭載しています。

 ややお高めなBatisシリーズですが、私は同シリーズの中で光学性能的に最も好きなレンズです。その理由は実写のチャートの結果を元に詳細に解説しますが、135mmで開放F値2.8が「ちょっと暗くない?」と感じる方もいらっしゃるかと思います。まずはこの点から解説していきましょう。

ZEISSだからこその135mmF2.8という数値スペック


猫作例
■ZEISS Batis 2.8/135/Sony α7 II
■絞り優先AE(F2.8、1/160秒)/ISO 125/露出補正:+0.7EV
■WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド


 個人的に思うこととしては、2017年に発売する135mmで開放F2.8というスペックのレンズは、際立った特殊な機能がない限り、開発に「GO」がかかるとは想像ができません。他のメーカーと比較して考えた際、「最低でも開放F2.0、できればF1.8にしないと売れないのでは…?」と考えてしまいます。開放F値が明るいレンズほど高性能というわけではありませんが、やはり開放F値の明るいレンズは魅力的です。

 それでもZEISS Batis 2.8/135が開放F2.8としたのにはふたつの理由があると想像します。ひとつはレンズの重さ、もうひとつは135mmの被写界深度です。
 ソニー αシリーズ用のレンズと考えたときに、2019年9月時点で最もボディが重いα9で本体のみ約588gしかなく、135mmの単焦点レンズの方が重い場合があります。ZEISS Batis 2.8/135は質量が約614gとカメラボディ単体よりも重いものの、他の135mmの単焦点と比べた場合、かなり軽量な設計です。開放F値の明るさよりも、まずは軽さを重視したと考えられます。

135mmクラスでは、どこまで被写界深度に入れるかが重要


彫刻.JPG
■ZEISS Batis 2.8/135/Sony α7 II
■絞り優先AE(F2.8、1/640秒)/ISO 100/露出補正:−0.3EV
■WB:晴天/クリエイティブスタイル:ビビッド

 次に被写界深度ですが、ZEISS Batis 2.8/135の最短撮影距離は約87cm、最大撮影倍率は0.19倍と135mm単焦点レンズとしては平均的なスペックに思えます。この最短撮影距離でF2.8での被写界深度は計算方法にもよりますが、約5.9mm、もし開放がF2.0だとすると約4.2mm、F1.8だと仮定すると約3.8mmになります。

 次に135mmでのポートレートにおいてバストアップくらいの撮影距離約2.7m(長辺側が約70cmの範囲が入る)を想定すると、F2.8で被写界深度は約6.4cm、F2.0で約4.6cm、F1.8で約4.1cmです。全身を入れて撮影することを想定すると、135mmで長辺側が約1.8mとなる撮影距離を想定すると約6.8mで被写界深度はF2.8で約42cm、F2.0で約30cm、F1.8で約27cmと計算されます。WEBでの掲載サイズでは判別しづらいかもしれませんが、実は少女の銅像の作例はわずかに前ピンです。

 しかし、それ以上に絞り開放の描写をみせるためにF2.8を選択していますが、レンズ作例でないならば私はアゴやハナのラインがぼけない絞り値まで絞って撮影することを考えます。
 135mmのF2.8やF2.0、F1.8といったレンズは、大きくぼかすことよりも、どこまでぼかさないでみせるかに注力するレンズだと思われます。この点も考慮してF2.8で十分に実用的であると判断したのではないでしょうか。

絞り開放F2.8から画面周辺部まで高い解像力


草原.JPG
■ZEISS Batis 2.8/135/Sony α7 II
■絞り優先AE(F2.8、1/2,500秒)/ISO 100
■WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド


 おそらく被写界深度やぼけの計算値しては、実際の撮影に大きな影響はないと判断して、軽く、そしてF1.8と比べると約1.3段、F2.0と比べると約1段暗いZEISS Batis 2.8/135を私が非常に高く評価する理由を、Amazon Kindle電子書籍『ZEISS Batis 2.8/135 機種別レンズラボ』にも掲載した解像力やぼけディスクなどの実写チャートの結果よりお伝え致します。
 
 解像力については、ZEISS Batis 2.8/135は、比較的画面周辺部分まで解像力の高いレンズの多い中望遠レンズの中でも、私が過去にテストしたレンズで確実にベスト5、条件によってはベスト3に入る結果です。無理しない開放F値の2.8から中央部はもちろん、画面の周辺部まで確実に解像します。かなり拡大して詳細に確認しないとわかりませんが、解像力のピークはF5.6を中心に、F4.0からF8.0あたりです。
 ただし、解像力をアップするための絞りを変更する必要は感じません。どの絞りでも十分な解像力が得られるので、撮影意図を優先することをおすすめします。絞り過ぎによる回折や小絞りぼけは、程度は小さいがF16あたりから発生する場合がありますので、この点には注意してください。
 収差はほぼ見受けられませんでしたが、私のテストでは歪曲が糸巻きで若干発生しましたので、建築物などを撮影して気になるシーンでは、カメラ本体の「歪曲収差補正」などを活用しましょう。
 周辺光量落ちについてはカメラ本体の初期設定である「周辺光量補正」が「オート」になっている限り、ほぼ気になりません。

うっとりするほど美しいぼけ描写は秀逸


牛の群れ.JPG
■ZEISS Batis 2.8/135/Sony α7 II
■絞り優先AE(F5.6、1/250秒)/ISO 100/露出補正:+0.7EV
■WB:オート/クリエイティブスタイル:ビビッド

 様々なレンズ分析を行ってきた私の印象は、ズーム、手ぶれ補正、AF、非球面レンズといった機能や機構が多くなるほど、撮影に影響する現象が多く見受けられる印象です。しかし、ZEISS Batis 2.8/135はAFで手ぶれ補正を搭載しているにも関わらず、息を呑むような美しさになっています。ぼけのシワなどもほぼ存在しない理想的な結果です。ただし、開放以外では比較的絞り羽根の形がわかりやすい傾向があることと、口径食による中央部と周辺部の丸ぼけの形の差がF8.0あたりまで発生するのには注意が必要になります。

 本レンズを見て、絞り開放から高性能なので「本当はもう1段くらい明るくできるのでは?」と、ZEISS Batis 2.8/135だけでなくBatisシリーズ全体に思います。
 とはいえ、ZEISSの思うレンズ性能を軽量なレンズで実現するために開放をF2.8としたと予測されるZEISS Batis 2.8/135の性能は、様々な分析結果を惚れ惚れと眺めてしまうほどの極めて優秀なものになっています。
 約20万円という実勢価格は同焦点距離の1段以上明るいレンズが買えてしまう値段ではありますが、一度撮影してその良さに気付いてしまうと、高いと分かっていても欲しくなるレンズと言えるでしょう。ぜひ店頭などでも試してもらいたい、私もお気に入りの135mm単焦点になっています。