オリンパス E-M1 MarkIIレビュー|OM-Dシリーズあなたならどちらを選ぶ?後編

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OM-DにおけるE-M1シリーズの位置付け


 今回も前編に続き、オリンパスのミラーレス一眼カメラOM-Dシリーズについてのお話である。前回はミドルクラスの代表機種E-M5シリーズから「E-M5 MarkII」をピックアップして解説を行った。

 本稿を執筆したのは9月後半のことだったが、その後10月17日にE-M5 MarkIIの後継機となるE-M5 MarkIIIがオリンパス より発表された。E-M5 MarkIIIはこれまでのE-M5のコンセプトを継承しつつ、上位機であるE-M1 MarkIIおよびE-M1Xに搭載されている最新機能を盛り込んだカメラとなった。しかしE-M5 MarkIIもまだしばらくの間は併売されることが予想される。いわゆる「型落ち」製品とはなってしまったが、基本性能の高さからまだまだ現役でがんばってくれるカメラであることに違いはない。実売価格の引き下げも期待できるので、まだまだ十分に検討するに値するカメラだと言えるだろう。なお、新製品のE-M5 MarkIIIに関しては、追って詳細なレポートを公開予定だ。こちらも楽しみにしていてほしい。
 そこで今回はさらにワンランク上の機種E-M1シリーズより「E-M1 MarkII」をピックアップしよう。

 そもそもE-M1 MarkIIの発売当初は、OM-Dシリーズのなかではハイエンド機として扱われていた。しかしプロ向けモデルの「E-M1X」が登場したことで、実質的にはミドルクラスの上級機として扱われるようになった経緯がある。
 とはいえ、そのカメラとしての性能はE-M1Xと共通するところもあり、その位置付けは少し複雑になっている。そこでまずは、OM-DにおけるE-M1シリーズの存在理由についてお話をしよう。

OM-DシリーズとEシステムの融合を目指したE-M1シリーズ


 オリンパスのミラーレス一眼カメラのなかで、もっとも上位に位置する機体としてOM-D E-M1が開発・発売されたのは2013年10月のことだ。
 前年2012年3月に発売されたOM-D E-M5により、EVF(電子ビューファインダー)内蔵のミラーレス一眼カメラの魅力に、多くのカメラファンが気付いてしまったことで、更なる上位クラスのモデルを要望する声があがるようになった。それを受ける形でオリンパスがフラグシップ機として生み出したのがOM-D E-M1である。


オリンパスカメラの変遷


 それまでオリンパスのカメララインナップには、フォーサズ規格を採用するデジタル一眼レフカメラのEシステムが存在していたが、E-M5を含むマイクロフォーサーズの人気の高さから、Eシステムの開発を完了しマイクロフォーザーズとの統合を行うこととなった。
 そこで両者の規格をシームレスに繋ぐためにも、フォーサーズレンズの能力をフルに活かせるカメラとしてE-M1が開発されたという経緯がある。

 もちろんPENやE-M5でもアダプタを使うことによってフォーサーズレンズを使用することは可能だったが、コントラストAF方式を採用するこれらのカメラでは、フォーサーズレンズのAF駆動スピードに限界があったのだ。
 そのためこの問題を解決するべく、イメージセンサーそのものに位相差AFの為の画素を組み込んだ「像面位相差AF方式」をコントラストAF方式と併用することで、E-M1ではこの問題を解決することに成功したのだ。これによりE-M1は実質的にオリンパスのデジタル一眼カメラの頂点に立つフラグシップ機となったのだ。

プロ&ハイアマチュアのハードな要求に応えるために創られたE-M1 MarkII


 E-M1発売から約3年後の2016年12月に発売されたOM-D E-M1 MarkIIは、E-M1の基本理念はそのままに全面的かつ徹底的にブラシュアップされた後継機だ。

 E-M1では約1628万画素だったイメージセンサーの画素数が、E-M1 MarkIIでは約2037万画素にアップされた。また像面位相差AFのAFポイントはE-M1では37点だったが、E-M1 MarkIIではクロスタイプの121点へと大幅に拡張された。
 この結果、AF速度、精度ともに大きな向上がなされたのだ。

OM-D E-M1 MarkII 主なスペック
・マイクロフォーサーズ規格マウント
・有効画素数2037万画素4/3型Live MOS センサー
・常用ISO感度200-6400 拡張ISO感度 L64(ISO64相当)・L100(ISO100相当)・8000-25600
・連写H 最高15コマ/秒・連写L 最高10コマ/秒
・電子シャッター1/32000~60秒
・ハイスピードイメージャAF 撮像センサーシフト式ボディ内5軸5.5段分(対応レンズ使用で6.5段分)手ぶれ補正
・視野率約100%/約1.30倍~約1.48倍 約236万ドット液晶ビューファインダー
・3.0型2軸可動式背面液晶モニター
・UHS-I/II SDXC/SDHC/SDダブルメモリーカードスロット
・動画記録方式 MOV(MPEG-4AVC/H.264) , AVI(Motion JPEG) ,4Kタイムラプス動画対応
・ハイレゾショット(50M画素相当、25M画素相当)



製品の外観比較やオススメの組み合わせ


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 E-M1 MarkIIのデザインは、全体的に厚みのあるボディで、しっかりとした形状のグリップが備えられている。大きなグリップのおかげで望遠レンズなど、大きめのレンズを装着した場合でも非常に安定した撮影が可能だ。


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 マグネシウム合金の外装を纏う堅牢なボディのE-M1 MarkII。防塵防滴処理および耐低温対応など、過酷な撮影シーンでもトラブルなく撮影に集中できるタフさが売りだ。
 スマートなデザインのE-M5 MarkIIと比較するとデザインコンセプトの違いがよくわかる。


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 筆者のE-M1 MarkIIおすすめセットアップ。
 パワーバッテリーホルダー HLD-9を装着することで、望遠レンズ使用時の安定性をアップさせると同時に縦位置撮影時の安定を確保。
 レンズは高倍率ズームでありながら高い画質を得ることができる“M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO”と組み合わせることで、ハイパフォーマンスなオールランダーとなる。


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 M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROと2倍テレコンMC-20と組み合わせで、35mm判換算1200mm相当の超望遠撮影ができる。手ぶれ補正も効くので手持ちでの撮影も可能だ。

プロモデルE-M1XとE-M1 MarkIIの違い


 OM-Dには今年2019年に発売された、もうひとつのハイエンド機E-M1Xが存在する。オリンパスはこのE-M1XとE-M1 MarkIIのどちらもハイエンド機としているが、E-M1Xは事実上プロカメラマンを対象としたスペシャルモデルと言って良いだろう。
 イメージセンサーの画素数はE-M1XとE-M1 MarkIIのどちらも約2037万画素、AFに関する基本性能や連写性能も同じだが、手ぶれ補正機構の効果がシャッタースピードにして最大7段分(対応レンズ使用で7.5段分)と大きく引き上げられていることや、手持ちハイレゾショットが可能となっているなど、よりパワフルなカメラとなっている。

 E-M1Xはバッテリーホルダーを一体型とした構造なので、E-M1 MarkIIのようにこれを分離して使用することはできない。用途にあわせてボディのみでも使用できるE-M1 MarkIIのような使い方はできない。
 また双方の実売価格差はパワーバッテリーホルダー HLD-9を購入する前提でも10万円近くの差となり、この価格差分のメリットを受けられるという方以外は、E-M1 MarkIIを選択するのが現実的だといえるだろう。

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 E-M1 MarkIIとE-M1Xを並べると大きさ以外にも細かい違いがあることが判る。実際に手にして撮影を行うと、全体の剛性感などに微妙な違いがあるのも事実だが、一般のユーザーであれば、やはりE-M1 MarkIIを選択する方が現実的と言える。

 なおE-M1 MarkIIもE-M5 MarkII同様にファームウェアを更新することで、新たな機能追加などが行われている。
 2019年9月現在はVer3.1となっており、フリッカーレス撮影機能やOlympus Workspaceとの連携によるUSB RAW編集機能への対応など、大きな機能の追加と向上がすでに行われている。これによりE-M1Xと共通する多くの機能が存在している状態となっている。


E-M1 MarkII作例


EM1MarkII広角.jpg
■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO ISO200
■撮影環境:F8.0 1/800 絞り優先モード +0.3EV



EM1MarkIIスナップ.JPG
■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO ISO400
■撮影環境:F8.0 1/160 絞り優先モード +0.3EV



EM1MarkII夕焼け.jpg
■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO ISO200
■撮影環境:F8.0 1/500 絞り優先モード +0.7EV


EM1MarkII夜景.jpg
■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO ISO200
■撮影環境:F8.0 4s マニュアルモード



EM1MarkII工場夜景.jpg
■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
■撮影環境:F2.8 1/15 マニュアルモードISO3200



EM1MarkIIライブコンポジット.jpg

■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
■撮影環境:F2.0 4s マニュアルモード ライブコンポジットISO1600



EM1MarkIIモデル撮影.jpg
■使用機材:E-M1 MarkII,シグマ16mm F1.4 DC DN Contemporary
■撮影環境:F4.0 1/320 絞り優先モード +1.0EV ISO200
■モデル:夏弥


EM1MarkII花マクロ.JPG

■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
■撮影環境:F4.0 1/320 絞り優先モード +1.0EV ISO400



EM1MarkIIポートレート.jpg
■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
■撮影環境:F5.0 1/800 絞り優先モード +0.3EV ISO400


EM1MarkII魚眼補正.jpg
■使用機材:E-M1 MarkII,M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
■撮影環境:F4.5 1/1250 絞り優先モード +0.3EV ボディ内Fisheye補正 ISO400

さあ、あなたならどちらを選ぶ?


 今回は前後編にわたり、オリンパスOM-Dのミドルクラスとなる「E-M1 MarkII」「E-M5 MarkII」のそれぞれの特徴と存在理由についてまとめてみた。
 いずれもミドルクラスとは思えない高いパフォーマンスを持ったミラーレス一眼カメラだということがわかってもらえたと思う。

 ここからはこの二機種を実際に使用している、一リアルユーザーとしての意見となるが「初めて(もしくは初級機からの買い替え)のミドルクラス一眼カメラ」を望む方には、いま比較的購入しやすくなっているE-M5 MarkIIをまずはおすすめする。
 一方、「これまで中級の一眼レフカメラを使っていた」経験のある方、もしくは「1ランク上のクラスのカメラを手に入れておき、長くじっくりと使用する」方などは「E-M1 MarkII」を手に入れると、きっと満足度が高いのではないかと考える。

 いずれにしてもカメラというものは、撮り手との相性もあるものなので、できるだけ購入前に店頭で実際に手にしてみることをお勧めする。カメラのキタムラでは、店頭で実際にカメラを手にすることができる店舗も各地にあるので、これを機にぜひいちど立ち寄ってみて下さい。