ニコン NIKKOR Z 24mm f/1.8 S|撮影欲を沸かせるZマウント初の大口径広角レンズ!

ShaSha編集部

ニコン_Z24mm 大きな前ボケ.JPG

Zマウント初の広角単焦点レンズ

氷川丸の画像.JPG

 2019年10月18日にニコンからNIKKOR Z 24mm f/1.8 Sが発売されました。
 本レンズはニコンのフルサイズミラーレスカメラ“Zマウント”に対応した、同社初の大口径広角単焦点レンズで、もちろんSラインに属しています。( Sラインについてはこちらの記事でも記載しています)

 35mmフルサイズ対応の24mmはZマウント用レンズでも、NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sや 24-70mm f/4 S、24-70mm f/2.8 Sなど、ズームレンズでカバーされることが多い焦点距離なので、「ズームレンズでカバーすればよいかな?」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 しかし、本レンズはズームレンズで表現が難しい描写を実現してくれるレンズです。
 今回は描写性能を最大限引き出し確認するため、ボディはZ 7を使用し、風景やスナップを撮影してきました。作例を交えながらご紹介いたしますので、ぜひご覧ください!

周辺部の解像度が高い

交差点での建物画像.JPG

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/5000秒 F1.8 ISO640

 冒頭でもお伝えした通り、本レンズはニコンフルサイズミラーレスカメラで採用されている“Zマウント”用の広角単焦点レンズです。
 ミラーレスカメラの大きな特徴はもちろん“ミラーがないこと”ですが、これはカメラボディを小さくできるだけではなく、広角レンズの設計でも嬉しいことがあります。

 というのも一眼レフ用の広角レンズでは、レンズ郡をセンサー面に近づけたいものの、ミラーがあるが故に、センサー面に近づけられませんでした。
 そこで凹レンズをレンズ後玉側に組み込む、レトロフォーカス(逆望遠)という手法を用いて、広角側の焦点距離を作り出すことに成功した経緯があります。

 一方、ミラーレスカメラであればそもそもミラーが無いので、レンズ後玉とミラーが衝突することもありません。そのためレンズ後玉をセンサー面に近づけることができ、ミラーレスカメラ用のレンズは広角レンズを筆頭に小型化やF値を明るくすることが比較的容易になりました。

 別の記事でもご紹介したのですが、広角レンズを選ぶ際のポイントとして確認することが個人的にいくつかあるので、本レンズも同じく確認していきましょう。

1.周辺部の描写性能が高い

中華街入り口の画像.JPG

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/5000秒 F1.8 ISO640

 まず1点目は周辺部の流れ具合です。
 風景写真で雲を入れた写真では、程よいパースが雲の流れを表現できるので良いのですが、建物の撮影ではそうでない場合があります。
というのも周辺部の歪みが大きいと、建物そのものの形が歪んだように映ってしまいます。作例ではより歪みの具合を分かりやすくするために、下から見上げるような撮り方をしました。
 
 特に写真内右上の屋根の部分を見ると特に分かりやすいのですが、歪みが非常に少ないことが分かります。さらに右下の柱の部分も変に伸びていることがないので、自然な立体感のある描写になっていると思います。
 恐るべし・・

2.周辺部の解像度

周辺の解像度の作例.JPG

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/40秒 F8 ISO1600

 周辺部分の流れ具合で歪みが少ないことに加えて、四隅の解像度も気になるポイントです。風景写真では中心に被写体を置くこともありますが、構図によっては四隅に置いた撮影をする場合もあるかと思います。
 また、星を撮影される方でいえば、画面全体に星を入れることもあります。そこで中心と周辺で大きな差が出てしまうと写りに大きな影響を与えてしまいますよね。
 
 そこで大切なのが四隅の解像度になるかと思います。作例では絞り値をF8にして撮影しましたが、右下の葉や左下にある茎のトゲなどの描写を見ると、本レンズは四隅の解像感が高い印象です。

マルチフォーカス方式採用

 本レンズはNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sでも採用されている“マルチフォーカス方式”を採用しており、発生しやすいと言われている至近距離にある被写体でも収差が少ないとのことです。
 至近距離ではないですが、写真中央上の部分を見てみると、ハイライトと暗部の差がありながらもフリンジが少なく仕上がっています。

 風景では太陽を入れた時の撮影や、今回のような葉や枝とハイライト部分など明暗差のある場合や、ポートレートで多用される逆光での撮影や、白目と黒目の境目でも収差の少ない美しい写真が撮れると思いました。

F1.8ならではの大きなボケ

バラの画像.JPG

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/1250秒 F1.8 ISO1250

 本レンズは開放F値が1.8のため、広角でありながらも大きなボケを作りやすいです。
 冒頭でお伝えした「ズームレンズで表現が難しい描写」とはまさにこのことで、ピント面は開放から非常にシャープに写っていながらも、奥に行くにつれてなだらかにボケています。
 ピント面からなだらかにボケていくのは、NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sでもそうでしたが、Sラインの単焦点レンズはボケが非常に上品ですよね。

ざわつきの少ない前ボケ

大きな前ボケの画像.JPG

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/1250秒 F1.8 ISO1250

 前ボケを大きく取り入れた作例です。ざわつきがなく、大きくボケていることも相まって、ピント面のシャープさがより引き立っているように感じます。

 本レンズを使用していて良かったのは、自分が思っていた場所にピントが合わなかった場合でも、ピントリングの幅が広いため扱いやすく、MFでもスムーズにピントを合わせられました。

開放でも美しい玉ボケ

玉ボケの画像.JPG

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/15秒 F1.8 ISO320

 玉ボケも開放から綺麗な円形でボケます。また、周辺につれてレモンのように潰れる口径食もあまり目立っていないように感じました。
 また、玉ボケのフチの部分を見てみても色にじみが非常に少ないことが分かります。

 玉ボケ内側の年輪ボケはわずかにあるように見受けられますが、かなり拡大して注意深く見てやっと分かるほどなので、良好なボケだと思います。

 中心のライトは比較的強い光源だったのですが、ゴーストも出ておらず、ナノクリスタルコートが施されている恩恵を受けています。風景撮影では太陽を入れた構図も積極的に取り入れてみるのも良いでしょう。

防塵防滴に配慮した設計で安心

防塵防滴性能を説明する画像.JPG

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/800秒 F4 ISO1000

 撮影した当日はあいにくの曇り空、そして撮影後半では雨が降りはじめ、作例撮りには良いと言えないコンディションでした。

 しかし、本レンズはSラインレンズですから、防塵防滴に配慮した設計でシーリングがレンズ鏡筒の随所に施されています。

横から撮影した氷川丸の画像.JPG

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/6400秒 F1.8 ISO400

 潮風が吹いており、レンズ表面や鏡筒に潮がつくシーンや、雨の中で撮影し僅かに濡れる場面もありましたが、安心して撮影に臨めました。

スナップでも使いやすい画角

車を正面から撮影した画像.jpg

■使用ボディ:Z 7
■撮影環境:1/400秒 F1.8 ISO1600

 24mmの焦点距離は、写る範囲の広さを活かして風景や星空で使用するもの。とイメージされている方もいらっしゃるかと思います。

 しかし、24mmはスナップ撮影でも非常に使いやすい画角だと思います。というのもスナップでは35mmが使いやすいという場合が多いのですが、場所によっては35mmでも入りきらない場合もあります。
 例えば先ほどお見せした中華街の門の作例ですが、すぐ後ろは車道のため下がることが困難で、下がるにしてもタイミングを計り周囲への注意をかなり持った状態で撮影に臨むため集中ができません。

 24mmであれば、50mmや35mmでも後ろに下がらなければ撮れない場面でも撮りやすいので、場所によっては道が狭い場所や後ろに下がれない場所もあるためスナップに使用するのは良いと思いました。

撮影後記

夜の横浜の画像.JPG
緑が多い横浜の画像
モノクロで車を撮影した画像.jpg

 本レンズが登場したことでSラインの単焦点レンズは24mm、35mm、50mm、58mm、85mmとなり、広角から中望遠までが出そろいました
 特に最も広角側の焦点距離が35mmから24mmになったことで撮影の幅がかなり広がり、Zマウントユーザーの方は14-30mm f/4にするか本レンズにするか悩んでしまうのではないかと思うほど良い作りです。

 今回は風景やスナップを中心に作例撮影をしましたが、ピント面の描写力の高さと立体感のある上品なボケ、特に歪みの少なさを活かしてポートレートでも使用してみたくなりました。

 前面にはフィルターを使用できるのも、風景や星を撮影される方にとってはすごく嬉しいですよね。Z 7/Z 6をお持ちの方はぜひ触ってみてくださいきっと風景・星を撮ってみたくなりますよ

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