PLフィルターとは?|使い方をマスターして風景写真をレベルアップ!

PLフィルター使い方作例

PL(偏光)フィルターとは


 PLはPolarized Light(偏光)の略。役割としては、偏光膜を用いることで光の反射を抑えたり、逆に反射を増やしたりすることが出来るフィルターです。このフィルターをきちんと使うことで作品レベルをアップさせることが出来る!と言っても過言ではありません。(特に風景写真において)使い方は、そう難しいものではありませんが、やはり基本的な知識を学んでから撮影にのぞみたいもの。

 そこで今回は、その効果や使い方のコツについて解説を進めていきます。

風景写真には必携のアイテム


 被写体には常に何らかの光があたっています。それらには本来の色があるのですが、光の反射が邪魔をしてしまい白っぽく見えることがあります。前項の通り、PLフィルターには反射を抑える効果があります。
 それを利用して、反射を除去すれば、青空や花、水の色や新緑、紅葉など被写体本来の色が見えてくるので、その結果、鮮やかな色表現が可能になるのです。実際、私の撮影においてもPLフィルターは必要不可欠なものとなっています。

 ただ、PLフィルターを使用した鮮やかな表現が苦手な方もいらっしゃるかもしれません。後に述べますが、PLフィルターは効果の強弱を調整することが出来、好みに応じての使い方が可能です。適切に使えば表現力が上がる事は、間違いありませんので、今まで使っていなかった方にも是非手に取っていただきたいと思います。

PLフィルターをさっそく使ってみよう


 PLフィルターをみると2枚のフィルターが組み合わされている形状に気付くでしょう。その一方に偏光膜が入っています。レンズにフィルターを装着してカメラから見て前側部分(被写体側)の枠を回転させることによって効果の強弱が変わります。

 普段からキズ防止用の保護フィルターを付けている場合は、不用意なケラレ(※)を防ぐためにも面倒がらずにそれを外してからPLフィルターを付けるのがベストです。
 なお、風景撮影がメインである私の場合はすべてのレンズに常時PLをセットした状態にしておき不要な時だけ外すという風にしています。

 フィルター径が同じレンズも複数本持っていますが、レンズの本数分PLフィルターを用意しています。もちろん、1枚のPLフィルターを付け替えて使うことは可能ですが、現場でやるのは、案外時間がかかるので場合によってはシャッターチャンスを逃してしまうことも!また、思わぬ落下を招くこともあります。

※ケラレ:特に広角レンズ使用時、フィルター枠が映り込んでしまい画面の四隅が暗くなってしまうこと
   

まずは青空にカメラを向けてみよう


 初めてPLフィルターを使う場合、青空が入る方向にカメラを向けてみるとその効果を実感しやすいでしょう。ファインダーをのぞきながら回転枠を回すことで青空のブルーが濃く(暗く)なったり薄く(明るく)なったりすることが感じられます。

 それに伴い、空と雲とのコントラストの強弱やその他の色も変わります。PL未使用、もしくはきちんと調整せずに効果が弱い状態で使うと(作例1)空気中に浮かぶ水蒸気の反射によって「青空が薄く、雲とのコントラストが弱く」なってしまい浅い色の印象となります。

 PLをきちんと調整して、最も効果が強い状態で使用すれば(作例2)空気中に浮かぶ水蒸気の反射を抑えることができます。そうすると「青空が最も濃く、雲とのコントラストが強く」なり深い色表現になるという理屈です。同時に山肌の緑色が鮮やかになっています。色々な使い方があるPLフィルターですが、先ず基本として、最も効果の強い箇所を探る事に慣れるのがポイントです。
PLフィルター使い方作例1-2

いろいろな被写体で試してみよう


 青空で効果の強弱が確認できれば、次は青空以外で試してみましょう。色の濃いものにカメラを向けた方がわかりやすいです。PL未使用、もしくはきちんと調整せず効果が弱い状態では(作例3)紅葉の色がくすんで見えるのに対してPLを適切に調整、最も効果が強い状態で使用すれば(作例4)紅葉の色を鮮やかに描くことができます。
PLフィルター使い方作例3
(作例3)

PLフィルター使い方作例4
(作例4)


 被写体が白っぽいものでは(雪や梅、桜など)光の反射自体を抑えても、元の色が白いため効果がわかりにくいと言えます。
 PL未使用の(作例5)とPL使用の(作例6)では背景の濃い色は大きく変わっているのがわかりますが、花の色には大して変化がないことが確認できます。
PLフィルター使い方作例5
(作例5)

  PLフィルター使い方作例6
(作例6)

 

どれだけ回せば効くの?


 PLフィルターの回転枠を1周回せば、当然360度ですよね。この1周の中に効果の最も強い箇所が2回、最も弱い箇所が2回現れます。

 例えば・・・ 最も効果の弱い場所(効果0%)が頂点にあったとします。そこから90度回転させると最も効果が強くなります(効果100%)そこをピークにさらに回し続けると今度は効果が弱くなっていき、ピークの箇所から90度回転させると効果0%になります。さらに回していくと90度ごとに、効果の最も強い所と弱い所が繰り返し出てきます。

 効果がわかりにくい場合など、何周もクルクルと回したからと言って、だんだんと効いてくるものではなく、最低でも180度回せば、必ずそこに効き目のピークがあるということを覚えておきましょう。
 後述しますが、条件によりPLの効果が感じにくいケースがありますので、いくら回してもわからない場合は、どの場所で使っても差し支えありません。(もしくは外してしまっても構いません。)

 ここで注意ですが、PLフィルターとレンズとのネジが緩む方向に夢中で回し続けていると、突然フィルターが外れて落下してしまうことがありますので、ネジが締まる方向(フィルター前面から見て時計回り)に回す癖をつけておきましょう。万が一、落下してしまうと回転枠が歪んで回らなくなってしまったりフィルターにキズが入ったりすることがあります。少しくらいなら・・・ ということでキズが付いたまま使うと、逆光状態でゴーストやフレアーが出やすくなります。微調整で少し逆方向に戻すくらいなら問題ありません。

光の方向が変われば効果の強弱が変わる


 PLフィルターの効果は光の方向とカメラ(レンズ)を向けている方向に密接な関係があります。なので、撮影前に1回効果を調整すれば、その後は回さなくても良いというわけではありません。カメラを向ける方向が変われば、回転枠を再調整してその都度、効果を確認することが重要です。

 同じ方向にカメラを向けておいてズームレンズで画角を変えるだけなら再調整は基本的に不要ですが、カメラを向けている方向が同じでも、横から縦位置、縦から横位置に構図変更した場合は、再調整が必要なことも覚えておきましょう。
 これは自分がフィルターを触っていなくても横縦変更をすることでフィルターが勝手に90度回転してしまうためです。(前項での解説通り、90度回ると効果の強弱ピークが正反対になってしまいます)

条件別、PLフィルターの効果


 晴天時は、効きがわかりやすく感じるでしょう。サイド光など光の方向に対してカメラ(レンズ)を直行(90度)方向にカメラを向けると最も効き目が強いのですが、ある程度、角度が付いていれば効果を感じることが出来ます。(作例7)

PLフィルター使い方作例7
(作例7)


 逆にカメラの向きと光の向きが平行に近くなると効きがわかりにくくなります。つまりレンズの光軸に沿うような光線状態(太陽が直接画面に入るような逆光や太陽を背にしての順光)では効果が薄いと言えます。
 強烈な逆光状態となる朝日や夕日の撮影時は、そもそも効果が薄くなりますので、ゴースト、フレアー対策としての意味合いもあり、外してしまうことが多いです。(作例8)(作例9)
PLフィルター使い方作例8
(作例8)

PLフィルター使い方作例9
(作例9)


 雨天時で被写体が濡れている時、また水の流れや湖や海などの水面、屋根瓦などは、反射が強いので効果が確認しやすいです。
 しかし、すべての反射をとってしまうと立体感や質感が感じられない写真になってしまいます。(作例10)そのような時は、効果のピークからやや弱めて質感が感じられるような使い方が(作例11)オススメです。

PLフィルター使い方作例10
(作例10)


PLフィルター使い方作例11
(作例11)


 また水面やガラス面に対して強い反射がある場合でも(作例12)PLフィルターを使えば、それを抑えることができます。(作例13)
 ただし反射を取ることができるのは斜め方向の角度からアプローチした場合のみで真上からや正対した場合には反射を取ることができず残ったままとなります。
PLフィルター使い方作例12
(作例12)


PLフィルター使い方作例13
(作例13)


 その他、反射の少ない曇天時は効果がわかりにくく感じます。

 ここまで条件別に解説してきましたが、前述はあくまでも傾向に過ぎないのでどんな時でもフィルターを装着している時には、先ずは回転枠を回してみることが重要です。その上で、つけたままにしておくのか、外してしまうのかを判断しましょう。

PLフィルターは反射を増やすこともできる(応用編


 反射を取って色を鮮やかにするのが目的のPLフィルターですが、どんな場合でも効かせればよいというわけではありません。(作例14)は水面への雲の映り込みとスイレンの葉のギラギラ感を表現するため、むしろ最も効果を弱めることで反射を増やして撮影しています。
 PLを効かせて撮影してしまうと(作例15)のように雲の映り込みが少なくなってしまいます。
sakurei_14-15.jpg

 また、光の反射によって出来ている虹の場合でもPLを最も弱めることでフィルター無しの状態よりも虹を色濃く描くことが出来ます。ただし効果を強めてしまうと、反射を取ることになり、虹が消えてしまいますのでこの点に関しては注意が必要です。

PLフィルター装着時の露出について


 PLフィルターを正面から見ると黒っぽく見えます。これは偏光膜のせいなのですが、これによってフィルター非装着時に比べると露出が2段階、落ちてしまいます。(一部商品によって1段階落ちのものも有り)

 それは絞り優先モードでの撮影時だとシャッタースピードが遅くなることを意味します。カメラの露出計はTTL方式でレンズを通過してきた光の量を測っているので、フィルターを装着したからと言って特別な露出補正は必要ありません。
 しかし、シャッターが遅くなっていることに気付かず撮影をしているとカメラブレを起こすことがあります。PLフィルターを付けている時は、上記を意識してISO感度を高くする、もしくは三脚を使用する事を頭に入れておきましょう。

 また、実際にレンズを通過してきた光をそのまま見ている一眼レフカメラでは、フィルターを装着するとファインダーが暗く見えます。ミラーレスカメラの場合は、自動でファインダーの明るさが調整されるので暗く見えることは有りません。

購入時に気を付ける事


 大きく分けて「C-PL(円偏光)フィルター」と「PL(偏光)フィルター」の2種類があります。オートフォーカスのデジタルカメラが全盛の今においては、店頭で扱っているフィルターのほとんどは前者で、普通にPLフィルターと言えば「C-PL(円偏光)フィルター」の事を指していると考えて差し支えないでしょう。

 しかし後者も併売されています。これはマニュアルフォーカスのフィルムカメラ用と言えるもので、誤って購入してしまうと正しくオートフォーカスが作動しない、正しい露出が得られない等の不具合が起こるため、ネットショッピングなどの場合は必ず「C-PL(円偏光)」と明記があることを確認の上、購入しましょう。
 もし心配であれば、店頭で確認してから購入すれば安心です。

 また、近年ではフィルター枠自体が薄型のものが主流となっています。従来からある通常タイプでも効果は変わりありませんが、PL単体はもちろん、NDフィルター等、他のフィルターと重ね掛けすることも考え、ケラレ防止の観点から薄枠タイプを選んでおきたいところです。

 さらに高級タイプなら、フィルターの内面反射を極限まで抑える効果や、コーティングにこだわった画質優先仕様となっていること、さらに防汚撥水コートが施されているものもあります。逆光での撮影が多いなど、シビアな条件での撮影が多い場合はそちらを選んでおくと良いでしょう。

フィルターの経年劣化について


 PLフィルターは長年使っていると劣化してきます。偏光効果がゼロになるわけではないのですが、変色してきます。それに気づかずに使っていると写真のヌケが悪くなり濁ったような発色になります。
 せっかく素晴らしい画質のカメラとレンズを揃えていてもそれでは台無しですよね。使用頻度にもよりますが、3年から5年くらいで買い替えを検討すると良いでしょう。

最後に


 ここまでPL(偏光)フィルターについて解説してきましたが、いかがでしたか?
 私の経験上、フィルターを装着していても「回すことを忘れたまま撮影してしまう」や「付けているだけで効果があると思っていた」などの意見も多数耳にします。風景撮影の強力な味方となってくれるPLフィルターですが、シャッタースピードが遅くなってしまったり、調整しないで使っているとむしろ思った描写にならなかったりといったデメリットもあります。
 PLを調整する事をルーティーン化して調整忘れのないように心がけましょう。