【写真展情報】アンディ・チャオ写真展「POKE’ CHOW ~Leave Only Footprints~」

ShaSha編集部

アンディ・チャオ写真展 featuring 綾瀬はるか「POKE’ CHOW ~Leave Only Footprints~」

写真展概要

■期間:2020年2月14日(金)~ 3月18日(水)
■会場:LUMIX GINZA TOKYO
■住所:東京都中央区銀座5-1-8 銀座MSビル1F/2F
■会場時間:11:00~19:00(月曜定休)
■入場料:無料

ステイトメント

 哲学者のアラン・ド・ボトンは、著作『旅する哲学-大人のための旅行術』(原題:The Art of Travel)の中で、極上の旅をすることの価値を語っている。旅行は、日常生活の制約から離れて行ったことのない場所を訪れる機会であるだけでなく、自分の幸福をもたらす休息の場への逃避でもある。

 そして、旅は楽しくて魅力的なことばかりではないが、それこそが旅のあるべきかたちなのかもしれない。ハワイ語に「ナナ イケ クム」(Nānā i ke kumu)という言葉がある。これは「原点を見つめる」という意味だ。その意味を考えると、旅がどうなるかは、どのような考えを持って旅に出たのかに大きく依存すると言えるだろう。

 私が一番驚いたのは、共に旅をする中で、綾瀬さんがこういった「原点」の感覚をしっかりと持っていたことだった。旧い友人のように、私たちは笑い、語り、食事を共にした。時には、話しをする必要もなかった。共に料理をし、散歩し、撮影をした時もあった。まるで、仕事ということすらとっくに忘れたようだった。とても親密で無防備、新鮮で情熱に溢れた旅を通じて、私は綾瀬さんと静かなつながりを感じた。

 ハワイでの時間も終わりに近づいた頃、ビーチを歩いていた時に、後世のために ”Take only photographs, leave only footprints.”「撮って良いのは写真だけ。残して良いのは足跡だけ。」(欧米では、この言葉が書かれている看板が山、ビーチ、ハイキングスポットなどによく掲げられている。)という言葉を思い出した。

 フィルムカメラの時代、写真は比較的高価で撮るのが難しかったから、思い出を残す手段としてとても貴重なものだった。しかし、現代では、旅は「インスタ映え」する瞬間を捉えるだけのものになってしまったようだ。無限に複製可能な使い捨ての写真たち−−その場にいない人が賞賛し羨むだけの、まるで無意味なカタログのようだ。しかし、綾瀬さんのおかげで、私は残していいのは足跡だけだということを思い出すことができた。

作家プロフィール

アンディ・チャオ / ND CHOW
シンガポール生まれ、’98年から世界中をまわり、ドキュメンタリー作品を撮影。
2000年から東京に拠点を移し’03年独立。広告、エディトリアル、写真集等で活躍中。
2014年、生まれ故郷のシンガポール、東京にて写真展 ”ROOTS” を開催。
対峙する被写体の内に秘めた美、個性などの真の姿を表出させる優しさと破壊の矛盾した力は、人間に対する興味、遊び心と鋭い洞察力として、アンディの世界を彩る。

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