星景撮影の楽しみ方 | 点や軌跡で撮る方法とフィルターの活用

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はじめに


 夜道を歩いていて、ふと見上げた星空がきれいだった。星、撮りたいな・・・でも撮り方がわからないな・・・なんて思ったことはないでしょうか。10年くらい前に購入したカメラでも、充分に星空を撮影できる性能を兼ね備えているものも多くございます。今日はそんな星空の撮影方法について、いろいろとご紹介いたします!

星景写真の種類と撮影方法


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 星空と景色が共存する風景写真のことを「星景(せいけい)写真」と呼びます。この星景写真には、おおきく分けて「点で撮る」「軌跡で撮る」の2つの撮影方法があり、それぞれの撮影方法についてご紹介していきます。

「点で撮る」撮影方法


 見たままのつぶつぶの星空を撮影したい・・・。地球は北極星(北半球での地球の回転軸の近くにある星)を中心に「反時計周り」に回転しています(日周運動)。その回転スピードは、おおよそ1時間に15度。星空の撮影は露出時間が長くなるので、露出中に地球が自転するので星空が流れて写ってしまいます。ではそうならないように「点で撮る」方法をご紹介します。

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■設定
 それこそ「天の川」が撮れるような場所で撮影するときは、だいたいこのような設定になります。感度こんなにあげたらザラザラになるのでは?と思う方もいらっしゃると思いますが、高感度ノイズよりも「露出アンダーによるシャドー部のノイズ」を防ぐことが重要になります。そのためにはセンサーにたっぷりと光を与えてやる必要があり、きっちりと適正露出で撮影する為にはこれだけ感度を上げる必要があります。

■焦点距離
 地球の自転による影響は、レンズの焦点距離によって異なり、望遠になればなるほど、影響が大きくなります。では、どのくらいの焦点距離で何秒の露出まで星空が点で撮れるのか?それを導き出す簡易的な方程式が「500rules」になります。

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 つまり、広角レンズになればなるほど、有利になります。しかしながら、これもざっくりとした計算になります。なぜならば、地球の回転軸(極軸)に近い星は動きが少ないが、遠い星は動きが大きいからです。厳密にいえば、レンズを向ける方角によって星の動きは変わります。北東を撮影したときに、「北側は星が点に写るが、東側は線で写る」ということが起こってしまうことを覚えておきましょう。

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■使用機材:富士フイルム X-E3 Samyang 8mm f2.8 UMC fisheyeⅡ
■撮影環境:ISO200、12mm(35mm換算)、f8、3300秒

 北天の日周運動がわかる写真です。地球の軸付近にある北極星を中心に、星空の軌跡が弧を描きます。これは星空が動いているのではなく、地球が自転をしているため、このように写ります。点で撮影するためには、星が「軌跡として認識できる長さ」になる前に露出を終える必要があり、その目安として「500rules」を覚えておくと良いでしょう。

■必要機材
 光のない暗い場所で撮影するため、カメラ任せのオート機能はすべて使うことができず、マニュアル設定になります。露出時間が長くなりますのでカメラを三脚の載せ、手押しでブレないようにレリーズを使って撮影しましょう。カメラに備わっているタイマー機能でブレを防止することもできますが、カウントダウンタイマーの光が明るいので周囲の撮影者に迷惑をかけてしまうこともありますので注意して使いましょう。

「軌跡で撮る」の撮影方法


星を軌跡で撮るには、比較明合成とバルブによる長秒露出の2つの方法があります。

①比較明合成
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■使用機材:富士フイルム X-A7 XF14mm f2.8 R ケンコー・トキナー スターリーナイトフィルター
■撮影環境:ISO200、21mm(35mm換算)、f2.8、5秒、WB:Auto「ライトトレイル」によるカメラ内比較明合成(総露出時間:約35分)

 まず、一般的なのは「比較明合成」で、複数の写真を比較して、明るさが変わった部分だけを合成するといった撮影方法です。この撮影方法の良いところは「明るい場所」で撮影ができるところで、家のベランダからでも撮影できます。

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 撮影時に最も大切なことは、「撮影間隔を可能な限り短くする」こと。連写モードにしてレリーズをロックしたり、カメラ内インターバル撮影機能を使うときは撮影間隔を1秒にするとよいでしょう。そうして撮影した画像をPCに取り込み、専用のフリーソフトで合成します。フリーソフトの使い方は、ブログや解説動画などがアップされているので、それらを見ながらトライしてみてください。また、この機能がカメラに備わっている機種もあり、オリンパス「ライブコンポジット」、リコーペンタックス「インターバル合成」、富士フイルム「ライトトレイル」、パナソニック「比較明合成」などがあります。
 「点で撮る撮影方法」の最初でご説明した通り、星空は1時間で15度動きます。例えば、5秒の露出を連続で350枚撮影すると、それは約30分の日周運動、つまり7度分の星空の動きが軌跡になる。次に、20秒の露出を連続で350枚撮影すると、約2時間の日周運動、つまり30度分の星空の動きが軌跡になる。よく「何枚くらい撮ればいいの?」と聞かれることがありますが、比較明合成の撮影で大切なことは、何枚撮影したか、ではなく「何分撮影したか」なのです。また、北天・南天の中心軸から離れれば、星空の軌跡も長くなりやすくなります。私のおすすめは、北極星を中心にぐるぐるとまわすなら最低でも1時間以上。そのほかの方角であれば30分以上の撮影時間を確保すれば充分な星空の軌跡が描けるでしょう。

②バルブによる長秒露出
 ふたつめはバルブモードにして、長秒露出をする方法です。
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 この二つの方法の使い分け方は、街中など明るい場所で星の軌跡を撮影する場合は「比較明合成」で、天の川が撮れるような暗い場所で軌跡を撮影する場合は「バルブ」がおすすめです。暗い場所で比較明合成をすると、星が写りすぎてしまう傾向があります。バルブにすると適度に星が減って、星の色が出やすくなります。
 ただ、長秒露出時のノイズの出る度合いはカメラによって異なるので、気になるようであればRAW現像をしてノイズ低減をかけるようにしましょう。

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比較明合成で星が写りすぎてしまった写真


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バルブで適度に星が写った写真。同じ場所で撮影したものだが、バルブで撮影したものを見ると天の川があることがわかる。暗所での比較明合成は星が写りすぎてしまい、こうしたディテールが表現できないことがある。


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■使用機材:リコー GR ワイドコンバーションレンズGW-3
■撮影環境:ISO400 f5.6 13秒 WB:白色蛍光灯 306枚を「Starstax」で比較明合成(総露出時間:66分)、Photoshop CCで画像処理


比較明合成は、こうした明るい環境下でも星空の軌跡を表現できる。
都会のド真ん中や家のベランダからでも撮影できちゃうのがこの手法の素晴らしいところ。いきなり暗い場所に行って撮影するのもよいが、まずはこうした手法で徐々に撮影に慣れていくと良い。撮影環境に応じて2つの撮影方法を使い分けよう。


おすすめアクセサリー「ソフトフィルター」「光害カットフィルター」


 フィルターワークを使えば、星空の演出がさらに良くなります。ひとつめはソフトフィルター。明るい星が滲んで、目立たない星座を目立たせることができます。
「ケンコー ソフトンA」「LEE ソフトフィルターNo.1、2、3」が星空用ソフトフィルターとして定番になっています。
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ソフトフィルターなし


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ソフトフィルターあり


 夏の時期は天の川が比較的派手めに写るのでフィルターなしでも問題ないが、冬の時期は天の川が地味で明るい星が多いため、ソフトフィルターは必須のアイテム。

 ふたつめが光害カットフィルター。日本の空は私たちが住む街の光によって明るく照らされています。そのため、空が街明かり(光害)の影響を受けてしまい、はっきりと写らなくなります。そんなときに有効なのが光害カットフィルターです。ナトリウム灯など、写真写りに影響を及ぼす特定の波長をカットしてくれ、コントラストが上がり、夜空のムラをなくす効果があります。画像処理をしない人には特におすすめしたいフィルターですし、画像処理をする場合にも夜空のムラがなくなり均一になるので処理がとても楽になります。

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 デメリットとしては、露出倍数が上がってしまい、フィルターなしでの撮影よりも露出が長くなってしまうこと。現在ケンコー「Starry night」マルミ「Starscape」の2種類が発売されており、違いは、ケンコーが光害カットの効果が強い分露出時間が少し多くなり、マルミが光害カットの効果がやや弱い分露出時間への影響が少なくなります。光害カットフィルターは夜景撮影でも街明かりが反射した雲が緑がかったりする現象を抑える効果があります。昼間の撮影では多少赤みが増す印象です。

まとめ


 星空の撮影は天気・月齢・撮影地によっても変わってきますが、今回はよくある質問「点で撮る」「軌跡で撮る」ことの撮影方法と、おすすめフィルターに絞って紹介してみました。
普段から撮影することに慣れていない夜間の撮影は、順に学んでいくと非常に膨大な情報量になってしまいます。ですが、全部を把握してなくてもポイントさえ押さえれば、すぐに楽しい星景写真を撮ることができます。特に比較明合成は家のベランダからでも撮ることができますので、身近な場所でまずは一度試してみましょう。