写真家のカメラバッグの中身が知りたい!|斎藤勝則

斎藤勝則

写真家 斎藤勝則さんのバッグの中身.JPG

はじめに

 これまで、どれだけ多くのカメラバッグを購入してきたか分からないほど、国内・国外メーカーのバッグを使ってきました。「これは良さそう」と思って購入しても、気に入らないところがあればすぐに自分で改造することもあります。

 過去には購入して1~2回使っただけでロッカーに入れたまま使わないことや、知人にあげてしまうことも多々ありました。今後、自分が100%満足できるカメラバッグは多分出てくることが無いと思っていた時、出会ったのが、thinkTANKのカメラバッグでした。

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機材をしっかり守る安心感

 私が最初に出会ったのが、thinkTANKのアーバンディスガイス 60という、ショルダータイプのカメラバッグで現在も所有しています。ビジネスバッグ風のデザインですが、カメラとレンズだけでなく15インチのノートパソコンまで収納することができます。撮影機材がデジタルカメラに切り替わった時代だったので、まさに心から望んでいたカメラバッグでした。生地は黒のバリスティックナイロンでとても丈夫です。必要以上に頑丈なバッグだと揶揄されることもありましたが、大切な機材を守るバッグとして、海外の撮影に持って行くことが多くなりました。それは、機材をしっかり守るということだけでなく、目立たないということもあって盗難のリスクも減り、安心して海外に行きました。
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 所有しているthinkTANKのショルダータイプカメラバッグ。右端にあるのが、初期のアーバンディスガイス 60で、当初国内ではプロショップでのみ売っていたのを知ってすぐに購入。
撮影以外のセミナーや講演で出張するときは、衣類を入れてビジネスバッグとして使うこともありました。
残念ながらこのシリーズは現在生産していないため購入することはできません。初期モデル以降改良が加えられ、3世代まで作られたことで使い勝手はとても良くなりました。
①アーバンディスガイズ 60(生産終了)
②アーバンディスガイズ 40V2.0(生産終了)
③アーバンディスガイズ 50V2.0(生産終了):リュックタイプと併用することもある。

撮影に合わせてセレクト

 私の場合、撮影ジャンルが無いため何でも撮影します。撮影内容によっては、持って行く機材が超広角レンズから超望遠レンズまであり、機材の組み合わせが大きく異なるので1つのバッグで対応することができません。そのため、撮影内容と機材に合わせてカメラバッグをいくつか所有しています。

 また、撮影機材の他にノートパソコン、ハードディスクなどを持ち歩くには、ショルダータイプのカメラバッグでは体への負担が大きく3年前からリュックタイプに変更しました。

 今では、thinkTANKのラインナップも増えてショルダータイプやリュックタイプだけでなく、ウエストバッグからポーチに至るまで用意されているので、自分の撮影スタイルに合わせてカメラバッグを選ぶことができます。
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 現在、メインで使用しているリュックタイプのカメラバッグ。特に、エアポートシリーズは収納力と機能性に優れていて、大切な機材をしっかり守ってくれます。
最近では、キャスターが付いたタイプも販売されています。超望遠レンズを使用する撮影では、カメラにレンズを取り付けた状態で収納できるストリートウォーカーとグラスリモを使用しています。
①エアポートコミューター:D5をメインにしたときに使用。
②エアポートエッセンシャルズ
③ストリートウォーカー V2.0
④グラスリモ:AF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VRにD5を装着した状態で収納ができる。

機内に持ち込める

 撮影旅行で飛行機を使う場合、問題になってくるのが機内に持ち込めるサイズであるかということです。当然、大切な機材は機内に持ち込みたいはず。
しかし、機内に持ち込むためには、規定のサイズと重量をクリアしていることが大切です。その点thinkTANKの製品には、機内持ち込みサイズの条件をクリアしている物があるので安心です。航空会社によっては、機内持ち込みの条件が異なる場合もあるので、撮影旅行に行く前に必ず確認することをお勧めします。

 現在、国内・国外で飛行機を利用するときによく使うのがthinkTANKのエアポートシリーズです。収納力がとても高く、仕切りは撮影機材に合わせて自由に変えることができます。さらに、盗難防止用として鍵付きのワイヤーも備えています。撮影旅行で、ノートパソコンとデータのバックアップに必要なハードディスクの他、バッテリーチャージャーや各種ACアダプターなど貴重品を持って行っても安心です。
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 最近の機材セットがこれです。タヒチなど南の島へ撮影に行く場合、飛行機を利用するためエアポートシリーズのエッセンシャルズを使用しています。ミラーレスカメラを導入してから、機材が小型軽量化されてきているため、余裕を持って機材を詰め込むことができます。
①Nikon D850
②Nikon Z7(バッテリーパックMB-N10付)
③AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED
④AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
⑤AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR
⑥NIKKOR Z 50mm f/1.8S
⑦NIKKOR Z 24-70mm f/2.8S
⑧マウントアダプターFTZ
⑨バッテリー
⑩MacBook Pro(15in)
⑪バッテリー充電器
⑫データバックアップ用SSD(2TB×2)
⑬XQDカードリーダー
⑭XQDカード(64GB×4, 256GB×2)
⑮ACアダプター他ケーブル類
この他、パスポート、財布、ガイドブック、眼鏡などを収納することができます。

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 エアポートシリーズには、このような鍵の付いたワイヤーがバッグ取り付けられています。海外では置き引きなどの犯罪が多いため、頑丈な手すりや柱にくくり付けておくことができます。

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 thinkTANKのバッグ(一部除く)には、ファスナーのスライダーにこのようなシリンダー錠を取付けることができる穴があります。最近、機内において寝ているスキにバッグの中の物を抜き取る犯罪が発生しているようです。このように鍵を掛けることで大切な機材やパスポート、財布などを守ることができます。

私が必ずやること

 カメラバッグの防水機能は完璧ではないものもあります。thinkTANKには、全てのカメラバッグにレインカバーが付属されています。多少の雨なら問題ありませんが、大雨になるとバッグ内に雨水が入り込んでトラブルになる可能性があります。最近のカメラやレンズには防塵・防滴機能を備えた機種もあるため、多少濡れても問題ありませんが、それでもバッグ内が濡れてしまうと気になるところです。

 過去に他のメーカーのカメラバッグを使っていて、大雨の中で撮影をしているとバッグ内がびしょ濡れになり、カメラとレンズのメンテナンスが大変でした。それ以来、雨が降らなくてもカメラやレンズ、パソコンに至るまで必ずビニール袋に入れてからバッグに入れるようにしています。特に、海で撮影することが多いため、海水やパウダー状の砂は機材にとって大敵です。撮影の仕事では、どのような天候でも必ず撮影しなければなりません。そのために、大切な機材をしっかり守るようにしています。

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 バッグに収納する時、このように機材をビニール袋に入れておきます。ビニール袋はキッチン用品売り場で売っているもので十分です。カメラやレンズは多少濡れても大丈夫な機種もありますが、バッテリーやパソコンは濡らさないようにしなければなりません。さらに、南の島へ行くときは機内の冷房が強く、現地に着いたとき気温が高いため、いきなりバッグを開けると気温差で機材が結露することがあります。ビニール袋に機材を入れておくことで、直接外気に触れないよう結露対策にもなります。

まとめ

 カメラバッグについては、人それぞれの考え方や使い方があります。そして、現在販売されているカメラバッグは誰もが100%満足できるものは無いかも知れません。大きければ機材はたくさん入りますが、その分重くなり機動力のある撮影はできないし、小さいと身軽に動くことはできますが入れる機材に制限が出てくるため、カメラバッグ選びはとても難しいです。

 いきなりお店に行ってあれこれ悩む前に、自分が必要最低限持って行く機材を検討してみましょう。カメラは何台、レンズは何本、さらに何を持って行くかリストを作り、それからお店でリストの機材が入るカメラバッグを選んだ方が間違いはないです。このとき、サイズがギリギリのものではなく、多少余裕があった方がよいです。今ではネットでも購入することはできますが、カメラバッグは必ずお店で実物を見て購入することをお勧めします。

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