写真家のカメラバックの中身が知りたい!|宇佐見健

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はじめに


 仕事での撮影は、内容により機材構成が大きく異なるためカメラバッグもその都度用途に合わせて選んでいます。現在ではショルダー、ザック、ハードケースなど撮影機材用として販売されているカメラバッグからアウトドアや釣り用のウォータープルーフバッグ、クーラーボックス、大型トートバッグまで使い分けています。

 以前はフラッグシップ機2台と、いわゆる大三元レンズに加えてマクロレンズ、魚眼レンズ、クリップオンストロボ複数台、他アクセサリー類といった装備で撮影に出向くことが多く、場合によっては水中撮影機材やダイビング器材が加わることもありました。 
今はそこまで大量の機材を持ち出す機会は減りましたが、カメラ雑誌の新製品レビューや機種比較記事などでは、複数メーカーのカメラとそれぞれに使用するレンズセットを持って出かけることもあります。

 その反動というわけではないのですがプライベートの時にはなるべくシンプルな機材構成で済ませられるようにしています。今回は仕事の空いた日などに超望遠レンズ搭載のカメラ1台でぶらりと野鳥を撮影に行く際のバッグの中身を紹介します。

 野鳥撮影と言っても、森の奥深くに入るようなものではなく都市部に近い野鳥公園など身近な環境での撮影がメインで、そこまでの移動は自転車で行ける近所の公園を除くと、自分で車を運転して行きます。

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小ぶりでも丈夫な造りで長く愛用のカメラザック


 山岳写真家に人気の老舗ザックメーカーのラムダが販売する、ウォーキングザックの初期型。「気軽のワンデイ・ハイキング!」がコンセプトの小型軽量ザックで容量約12リットル。(現行商品はⅡ型)

 私の所有するザックタイプの中でも最小のサイズです。かれこれ20年近く所有しています。表面はだいぶ薄汚れてきていますが、機能的には全く問題なく機材をしっかり保護してくれています。

 移動時に三脚は側面につけることもできるのですが、私はフロントポケットを利用しおり、理由は後ほど紹介します。

容量12リットルでも思いのほか頼れる収納力



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 ザックの外寸は約30(幅)×40(高さ)×15(奥行き)センチで容量約12リットル。この中に収納しているカメラと撮影アクセサリーを並べてみました。これらを収納しても隙間にはコンビニのおにぎり2個程度は入ります。

①カメラ ニコン COOLPIX P950
②双眼鏡 
③メディアケース
④スマートホン
⑤モバイルバッテリー
⑥THETA Z
⑦ドットサイト他、アクセサリー小物入れ
⑧ストラップ
⑨ブロアー/クリーニングクロス
⑩メモ帳/ボールペン
⑪レーザー距離計
⑫クローズアップレンズ
⑬クッションパッド

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MindShiftポーチ(アクセサリー小物入れ)

①カメラスペア電池
②ドットサイト
③ドットサイト固定用クランプ
④粘着テープ
⑤スペアボタン電池(ドットサイト用)
⑥充電用USBケーブル類
⑦クイックプレートスペア
⑧クランプ用工具

目指すのはフットワークを活かした野鳥撮影


 使用するカメラは1/2.3型センサーと光学高倍率ズームの組み合わせで35ミリ判換算2000ミリ相当の超望遠撮影が可能なニコンCOOLPIX P950。分類ではコンパクトカメラに属する機種ですが一眼レフの普及機なみのサイズのあるカメラです。もう少し長い焦点距離が欲しい場合には兄弟機で3000ミリ相当の撮影が可能なCOOLPIX P1000に変更することもあり、その場合でもほぼ同じ内容の携行物でこのザックに収まります。撮影スポットまでは車移動していますので、撮影場所や狙う内容によっては駐車場で不要な物を車に残して歩きはじめます。

 このカメラを使用する理由はレンズ交換無しに超望遠を稼げることの魅力と、一眼レフやミラーレス機の大口径超望遠レンズに比べて圧倒的なフットワークの軽さです。もちろんAF性能も画質面でも大型センサー機には敵いませんが、この小センサー×高倍率ズームで撮れる最良の画を求めることに面白味を感じています。仕事では大型の機材を振り回す撮影もしているので「身近な野鳥は手軽なカメラで撮ろう!」と割り切ってみたら思いのほか面白かったということです。

 撮影地までの移動手段は自分で車を運転していることもあり、1日で撮影スポットを何カ所も巡ることもありますし、ちょっと時間が出来たので午後の数時間とか急に思い立って出かけることも多いです。そうした撮影の際にもコンパクトな機材で撮影→撤収→移動のフットワークを軽くできることが大切と考えています。
そんなライト感覚の野鳥撮影ですが、皆さんの撮影でも少しは役に立つかもしれないアイテムや使い方をご紹介します。

ドットサイト


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 超望遠撮影時に被写体の捕捉を容易にするドットサイト。ニコンには純正アクセサリーとしてDF-M1が用意されています。COOLPIX P950/P1000では必携のアイテムと言えますが、メーカーや機種に関係なく使用できるので超望遠撮影にあると便利です。ドットサイト基本的にはカメラのアクセサリーシューに装着して使用します。

 ポップアップ式のカバーに粘着テープで貼ってあるのは、ホットシュー装着時のガタツキ(遊び)をなくすために挿入するクリップです。見た目は良くないですが、毎回必ず使うのでドットサイトに貼っているのです。ドットサイトは装着毎に左右のダイヤルを回しレティクル(照準)の位置調整を行う必要があります。調整後、不用意にダイヤルに触れても狂いが生じないように、クリップを止めていたテープを貼り固定しています。ご利用は自己責任でお願いします。

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 被写体をEVFで追従するスタイルが多くなりそうな撮影ではクランプを利用して右目でEVFを、左目でドットサイトを確認しながら撮影できるようにしています。慣れが必要ですが、手持ち撮影では被写体捕捉がさらに楽に行えるようになり撮影効率が向上します。

カメラクッション


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 中にビーズ状の樹脂が詰まっている、三脚を使えない状況で利用するサポートグッズです。橋の欄干、野鳥公園の観察小屋の窓枠など接するものの形にクッション部分が馴染んでカメラを安定させます。

 このクッションは三脚ネジがあるので小型のクイッククランプを装着してカメラの着脱を容易にしています。底部がビニール素材で汚れにも強いので、地面レベルのローポジションで撮影したい場面でも便利です。

NISHI CLOSE-UPレンズ


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 フィルタ―のようにレンズ前に装着すクローズアップレンズです。野鳥を撮影するフィールドは自然が多く、昆虫なども被写体となってくれます。このクローズアップレンズは2枚の光学構成で色滲みなどを軽減しているタイプです。本来はCOOLPIX P1000と同じ77ミリ径ですが、77→67ミリ変換リングも付属するため、P1000とP950で共用しています。なおP950で使用する場合は、電源オン後の装着と電源オフ前の取り外しが必須です。

レーザー距離計


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 COOLPIX P950やP1000では、通常の撮影機材では諦めるような遠い場所にいる被写体も大きく写すことが可能です。毎回ではなく撮影距離を記録しておきたいと思う時に利用しています。これはゴルフで使うこともでき数千円で買え、600メートルまで測距できるタイプです。

大容量モバイルバッテリー


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RAVPOWER RP-PB054

 20100mAh の大容量タイプ。USBケーブル充電だけでなくAC出力も可能なため充電器でスペアバッテリへの充電も可能です。他の撮影機材やノートパソコンの電源としても使用するため、2個所有してローテーションしています。COOLPIX P950にはUSBケーブルを使用して充電が可能です。

手持ち撮影をサポートする軽量三脚の使い方


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 COOLPIX P950には2000ミリの超望遠で手持ち撮影も可能な手ブレ補正機構が搭載されています。それでも私が三脚を利用する理由はいくつかあります。
一つは、超望遠撮影に不可欠なドットサイトで毎回装着時に行うレティクルのセンターをカメラ手持ちで行うのが困難なためです。三脚を利用すればあっという間に完了します。
もう一つの理由は鳥が来るのを待ち伏せすることや、逆に止まっている鳥が動く瞬間を待つなど、ある程度のスタンバイ時間が必要な時のサポート用です。ザックを背負うのでなく、前側にして脚をポケットに込んだbefree三脚を利用します。EVFで追従しつづける場合にも腕の負担が軽減できますし、流し撮りでも安定してカメラを振ることがきます。野鳥だけでなく花に止まりに来る昆虫をマクロ域の焦点距離で待ち伏せる場合にも便利です。

 また、背面液晶とドットサイトでの撮影でカメラを前方に保持する際に雲台に肘をのせて腕を支えることも。あえて雲台に装着しないのは、予測のつかない鳥の動きに素早くカメラを向けて超望遠で被写体の捕捉がしやすいのと、素早く移動を繰り返せるからです。もちろん雲台に装着したほうが良いと判断した場合には従来通りの三脚としても使用します。

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最後に


 ついあれこれと機材を持って行きたくなるのは当然のことで、それも写真撮影の楽しみの一つです。たまには軽量機材での撮影もトライしてみてください。きっと被写体だけでなくあらたな発見もあるはずです。

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作例 カワセミ
■撮影機材:NIKON COOLPIX P950
■撮影環境:1800ミリ相当 1/200 f/6.3 ISO400 手持ち撮影
※2020年1月に撮影


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作例 ミツバチ
■撮影機材:NIKON COOLPIX P950
■撮影環境:250ミリ相当 1/1600 f/5 ISO100 NISIクローズアップレンズ 手持ち撮影
※2020年2月に撮影