SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art レビュー | マクロレンズで身近な被写体を色々なムードに撮ってみよう

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はじめに


 今回は、「SIGMA fp」と「SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art」の組み合わせで、家の中にある身近な被写体を、色々なムードに撮る方法をレクチャーします。

 「SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art」はその名前にもある通り、最短撮影距離25.8cm、最大撮影倍率1:1で撮影できるマクロレンズです。Artラインのレンズらしく高いクオリティを保っており、解像感とヌケの良さは、使えば誰もが実感できるほどです。

 カミソリマクロの異名もあるレンズで、ピントの合ったところのカミソリのようなシャープさと、グラデーションの豊かな色彩が素晴らしいレンズですので、ちょっと工夫をすれば、その辺に置いてあるような身近な日用品も、素敵なムードの作品に仕上げることができます。

正しく撮ろうとしなくていい


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■撮影機材:SIGMA fp + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art
■撮影環境:F2.8 1/40秒 ISO100 WB:5000K カラーモード:シネマ 三脚使用


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■被写体&撮影状況

 被写体がどんな物なのか、どのような色や形をしているかを気にしないで撮ると、マクロレンズでの撮影はより楽しくなります。商品説明や、オークションに出品する場合は、物の形や状態がわかるようにしっかりと撮らなければなりませんが、今回のテーマは色々なムードに撮ることです。「え、コレがそんな風に撮れちゃうの?」と、見る人を驚かせる気持ちで撮影してみましょう。

 こちらは被写体自身の金属部分で丸ボケができたので、そこを斜め後ろに配置して、少しアンダー目の露出でシックに仕上げました。撮影場所は自然光の入る窓辺で、レースのカーテンを引いて光を和らげました。さらに、ピントを合わせた左の突起の先端が光るように、白いレフ板で光を反射させています。

 室内で撮影する場合は、基本的に部屋の電気はすべて消しましょう。差し込む自然光か、ストロボやLEDライトなどを使って、自分で光をコントロールするようにします。今回はすべて自然光で撮影しています。

 これは何を撮影したかというと、トラベルアダプターです。海外旅行などで、電源を変換するアダプターですね。コンセント部分を少し出して、斜めに配置して撮影しました。状況カットでは、どんなものかわかりやすいように、絞りを絞って撮影していますが、作例撮影時は絞り開放で、主役の部分以外が大きくボケるように撮影しています。さらに、カラーモードをシネマにして、ノスタルジックなムードを乗せました。

フォトジェニックじゃないものほど楽しい


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■撮影機材:SIGMA fp + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art
■撮影環境:F2.8 1/30秒 ISO100 WB:5000K カラーモード:風景 三脚使用


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■被写体&撮影状況

 そこにあるだけで綺麗な物を撮っても、綺麗に撮れるのは当たり前なので、わざわざ撮影しないような物を撮ってみましょう。先入観がない分、自分好みのムードにアレンジできるので、実はかなり楽しいです。

 お勧めの被写体は平らな物よりも、立体感がある物です。丸よりも、でこぼこがある物、光と影が構図の中に作れる物は画になりやすいです。

 こちらは食器洗い用のスポンジを撮影しました。角の部分にピントを合わせて、アイスを食べる直前のようなイメージで、斜めに配置しています。状況撮影をご覧いただけばわかるように、スポンジを洗濯バサミで挟んで斜めに設置しました。被写体の角度を調節する小道具も、身近にある物で工夫してみましょう。

 このような同系色が構図いっぱいにあるようなシチュエーションは、レンズの性能が確認できるシチュエーションでもあります。被写体にぐっと近寄って撮影することが楽しいマクロレンズは、この同系色のグラデーションが綺麗に描かれないと、遠近感や奥行き感のないべたっとした画になってしまいます。カラーモードをスタンダードよりも色鮮やかな風景に設定しましたが、色飽和せず、青いグラデーションとその明暗を綺麗に描写してくれました。

迷ったら、白!


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■撮影機材:SIGMA fp + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art
■撮影環境:F2.8 1/60秒 ISO100 WB:5000K カラーモード:FOVクラシックブルー 三脚使用


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■被写体&撮影状況

 マクロレンズは、白い物を、明るく白く撮るだけでも画になります。例えばティッシュを軽く丸めて白いお皿の上に置いて、波打つ綺麗なポイントを見つけてピントを合わせるだけで、優し気なムードの写真にできます。

 白いお皿の上に置くのは、下からのレフ板効果の為です。マクロレンズで小さい部分しか写さないので、テーブル全体に白いクロスを掛ける必要はありません。見切れないような、小さなお皿があればOKです。さらに、白い画用紙や小さなレフ板を片手に持って、暗くなっている部分が明るくなるように光を起こしてあげれば、明暗の少ない、優しさが増した写真になります。

 また、三脚を使用した方が撮影は楽になります。被写体の綺麗なポイントは、カメラ位置と光の状況を決めてから、被写体自体をぐるぐる回したり、近付けたり遠ざけたりしたほうが見つけやすいですよ。

勇気を持ってピントを外してみよう


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■撮影機材:SIGMA fp + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art
■撮影環境:F2.8 1/25秒 ISO100 WB:5000K カラーモード:サンセットレッド 三脚使用


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■被写体&撮影状況

 本レンズは、オートフォーカスの性能も高いのですが、フォーカスリングの形状と、トルクの重さがとても操作しやすく仕上がっているので、マニュアルフォーカスでの撮影もお勧めです。

 しっかりとピントを合わせたいときは、AFで任意の個所に合わせてから、MFでさらに細かく追い込むのがお勧めですが、今回のようにムード重視のときは、構図を見ながらピント位置や、ピントの有無にこだわらない撮影も、ぜひ試してみて頂きたいです。

 こちらは底が虹色になっている器を、傾けて撮影しました。どこかにピントを合わせると、プラスチックの質感や細かい傷まで写ってしまうので、あえてボカして、光の反射が大きく綺麗になるようにしました。

 また、きらきら感を増すために、器の下にくしゃくしゃにしたアルミホイルを敷いて、下から銀レフを当てるような光の状況を作りました。

金属的な物や木目調はシックな雰囲気が似合う


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■撮影機材:SIGMA fp + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art
■撮影環境:F2.8 1/100秒 ISO400 WB:5000K カラーモード:ティールアンドオレンジ 三脚使用


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■被写体&撮影状況

 白い物、明るい物、触って柔らかいような物は明るめの露出が似合うことが多いのですが、金属や木、触って硬いような物は、影の部分がしっかり暗くなるように暗さを基準に撮ると、物の質感とムードが出やすいです。

 こちらは沖縄に旅行に行ったときに、音に一目惚れして買ったカリンバです。カラーモードは、筆者が一番好きなティールアンドオレンジで撮影しました。これを使用することで、木目をより温かいムードに仕上げてくれます。

 このようなお土産品も、スマホでパシャっと撮ることは多くても、じっくり撮ることは少ないかも知れませんね。眠っているお土産があったら、この機会にじっくり撮ってみてはいかがでしょう?

構図のなかに遠近感を作り出そう


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■撮影機材:SIGMA fp + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO|Art
■撮影環境:F2.8 1/30秒 ISO100 WB:5000K カラーモード:モノクローム 三脚使用


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■被写体&撮影状況

 先にネタバラシをしてしまうと、この被写体は入れ物に入ったままの綿棒です。ザ・身近な被写体ですね。先端部分を撮ると、同じ形状のものが沢山あってちょっと怖かったので横から撮ったところ、棒から向こう側の棒が透けて見えて、なんだか繊細なイメージになったので、綿棒がばらけないように入れ物に入れたまま撮りました。

 少し傾けることで棒に隙間ができたので、消しゴムを容器の下に置いて角度をつけました。ケースを外した消しゴムは物の間に挟んでも滑りにくいので、このように被写体を傾けるときに便利な小道具です。写り込んでしまう大きさなら、カッターで簡単に小さくすることもできます。使用箇所によっては色味が写り込んでしまうこともありますので、白い消しゴムがお勧めです。

 光の状況は斜め後ろと、構図の左側から自然光が当たっている状態です。このままでも良かったのですが、構図の右側に黒レフをかざして影を作ったところ、棒の明暗が強くなって、さらにムーディーになりました。黒レフがない状態だと平面的になってしまうモノクロームですが、黒レフで立体感が増したおかげで、モノクロームがしっかりとハマってくれました。明暗の差を大きくすることで、構図のなかに遠近感を作り出すことができます。

 黒いレフ板がなければ、段ボールに黒い折り紙を貼って作ってもいいし、黒いハンカチや服などを使ってもいいでしょう。被写体も、レフ板も、撮影小道具も身近なものを工夫すれば、お家でも楽しく撮影ができます。筆者のお勧めはただひとつ、使っていて楽しいマクロレンズです!