SNS映えする写真を撮る方法|インスタ100選の街 びわ湖高島市

葛原よしひろ

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はじめに~滋賀県高島市について~

 私が公認フォトアドバイザーをさせて戴いている滋賀県高島市は、インスタ映え100選の街でも有る。とはいえ、びわ湖畔に広がる広大な土地に人口五万人弱の長閑な田舎街を、名前を聞いただけで分かる人は極小数でしょう。

 私は仕事柄、一年の半分以上を全国旅しながら生活しているので、行く先々で高島市を知っているか尋ねるようにしているのだが、知っていると答える人は殆どいないのが現状である。

 しかし、私が撮影した高島市の写真をお見せすると「ここは知っている、見たことが有る」という人はかなり多い。少なくとも風景撮影を趣味としている人たちの間では高島市という名称は知らなくても見覚えの有る街になっている事は間違いなさそうである。

 そう考えるとInstagramやFacebookといったSNSというものは、視覚的にものを訴えかけるには有効な手段であることを再確認させられるわけで、映える写真なる言葉が市民権を得ているのも頷ける。

 現在、写真愛好家であればSNSを利用されている方は非常に多いと思う。そして少なからず、他者からのいいね等のリアクションが欲しいと考えるのが人情というものでしょう。その鍵を握る大きな要素が「映え」で有ることは誰が考えても解ることだと思います。

 ではどうしたら良いのか?ここからは映える写真に関して、私なりの考えや設定を交えながらお話させていただきます。

 今回の舞台である高島市は、先の町村合併により高島町、安曇川町、新旭、今津町、マキノ町、朽木村の6つの地域が合併した街です。その6つのエリアはそのままの町村名で残されており、それ故にそれぞれの特色も色濃く残っていて、各土地の個性を楽しめる事も高島市の特徴となっています。今回は写真それぞれにエリア名も記載させて頂きますので来訪時に参考にしてください。

 それではここから写真を観ながら映える写真ポイントを解説させて戴きます。

映える写真のポイントその1:季節にタイムリーな写真撮影

 SNSを見る側の意識として、その時期に合った写真に目が行きがちになることは当たり前の事ですよね。春に紅葉の写真を見ても、どんなに美しい写真でも何で今?みたいな雰囲気になります。やはり春といえばまず思いつくのが桜や新緑の写真です。その時期に合った写真を撮影して投稿することが共感を得る第一歩となります。

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 この写真はマキノ町の海津大崎で撮影した写真です。海津大崎は日本の桜の名所として有名な場所なので、桜の時期が始まると関西地方のTVのニュースではここからの中継が増える場所です。桜を窓枠構図にして、背景のびわ湖に浮かぶ観光船と竹生島が並ぶタイミングでシャッターを切っています。この時、少し映えるようにカメラの設定を変更している所もポイントになります。

 使用機材はSONY α7ⅢとSEL1224Gです。この組み合わせは元々の発色も綺麗なのですが、撮影時にホワイトバランスを太陽光に設定してαの設定項目にあるクリエイティブスタイルを風景にセットしています。ここまでの設定だと普通だと思われるでしょうが更にここから設定を掘り下げております。

 クリエイティブスタイル設定時にダイヤルボタンの右をクリックすると、コントラストと彩度とシャープネスをプラスマイナスで設定することが出来ます。この時はコントラスト+1彩度+2シャープネス±0に設定して撮影しております。この設定に変更することによって桜の花自体の色も増すのですが、晴れた空とびわ湖の青色にも深みが増して、より印象的なコントラストを表現することが可能となります。

映える写真のポイントその2:解像感のある写真で魅せる

 折角の一眼カメラを使用しているのであれば、スマートフォンに対して優位な部分を最大限に生かすことが映える写真に繋がります。
解像感のないモヤっとした写真より、細かな部分までスッキリ描写している写真は、やはり見る人を惹きつけてくれます。

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 この写真は朽木村エリアで撮影したものです。朽木村は、高島市で唯一びわ湖に面していない原生林が広がる山側のエリアです。私は、朽木村エリアでは山中で植物の写真を撮影することが多いのですが、この写真もその中の一枚になります。登山道に入り大きな木のそばで見上げると雄大な自然を感じる事が出来ます。春から初夏にかけて新緑が美しく輝くエリアでもあり癒しを感じさせてくれます。

 この場所の空気感を、見る人に少しでも多く伝える事が映える写真に繋がるのですが、力強く輝く新緑の葉の一枚一枚を描写してあげる解像感が必要になります。その為には一眼カメラと良いレンズが必須になりますし、カメラ自体も高画素機が欲しい所です。

 撮影機材はSONYα7RⅣとSEL1635GMを使用して撮影したのですが、約6100万画素とGMレンズの組み合わせは流石としか言いようがなく、等倍で確認すると無数に有る新緑の葉の一枚一枚の葉脈まで写っており、納得の解像感に満足しました。

映える写真のポイントその3:ボケを活かして雰囲気で魅せる

 一眼カメラを使用する事でボケの描写を演出することが出来ます。ピントが合っている部分から、なだらかで美しいボケを表現することにより、見る人の感性を刺激することで映える写真に繋がります。

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 この写真は今津町で撮影しました。今津町は知る人ぞ知る彼岸花の群生地で、琵琶湖畔に咲く無数の彼岸花の撮影に年々撮影に訪れる人が増加している、人気上昇中の撮影スポットです。写真を見てお気付きの方も居られると思いますが、赤では無く黄色い彼岸花なのです。勿論この場所でも大半の彼岸花は赤色なのですが、毎年探すと数本だけ黄色い彼岸花を見つける事が出来るので、私のささやかな楽しみにもなっています。

 珍しい色の花という点でも映える写真になると思いますが、更にボケの表現をミックスさせることにより、より一層の映えを演出することが出来ます。

 撮影機材はSONYα7RⅣとSEL90M28Gを使用して撮影しています。マクロレンズの特性を生かして、雨の降る中で彼岸花の水滴に写る雌蕊にピントを合わせて、開放F2.8で思い切りボケを演出した写真を狙ってみました。

映える写真のポイントその4:暮れと逆光でドラマチックに魅せる

 基本的に写真は順光の方が撮影しやすく、構図に有る被写体全てを描写しやすいのですが、平凡で説明的になりがちという側面があります。一方で逆光での撮影は難しく、暗部か明部どちらかを主体にする必要が有りますが、ドラマチックな表現が出来るので映える写真に繋がります。

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 この写真は安曇川町で撮影しました。安曇川町は春から秋にかけて、もの凄い数の鷺が集まります。そして冬には、コハクチョウの群れが越冬にやってくる野鳥のサンクチュアリと呼べるエリアです。夕暮れに空が赤く染まる時間帯に、鷺が木の上で羽を広げる瞬間を逆光の中で狙いました。空のオレンジから濃い赤色までのグラデーションの中で、一番逆光が強い部分にあえて鷺を配置する構図にして、羽を広げた瞬間がドラマチックで印象的な雰囲気になるよう演出して撮影しています。

 撮影機材はSONYα7RⅣとSEL200600Gを使用して撮影しています。SEL200600Gの望遠端600mmでの撮影なのですが、比較的強い逆光でも鷺の広げた羽の先までディテールが失われずに描写されています。こういったシュチュエーションにおいてコントラストの弱いレンズを使用すると、羽の先が逆光に飲み込まれて描写されず使えない写真になってしまうことが有るのですが、SEL200600Gに関してはその様な心配は皆無なので、安心して逆光で使用出来ます。

映える写真のポイントその5:CPLフィルターを使用して偏光で魅せる

 特に風景写真では、CPLフィルターを使用する事によって色を濃くする事がフィルム時代からよく用いられてきましたが、CPLフィルターにはもう一つよく使用される理由が有ります。

 それはレンズに入る光を偏光させることで、湖や川や海などの水面を反射させて水中を見えなくしたり水中を見えるようにしたりする使用方法です。水面を反射させることや水底まで描写することによって、表現の幅を広げ他の人と少し違う描写をすることで映える写真が狙えます。

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 この写真は高島町にある白髭神社の湖上鳥居です。まさにInstagram等のSNSでは無数にみられる撮影スポットになっています。びわ湖が日本一の広さの湖で有ることは殆どの日本人が知っていると思いますが、水質が北側と南側では雲泥の差が有ることは全国的にはあまり知られていません。高島市はびわ湖の北西側に位置しており、びわ湖の水質は素晴らしく透明度も高いので、浅瀬では湖の底が透き通って見えます。そこで、CPLを使用して鳥居前の水中に無数に沈む湖底の岩を表現して、他の方とは少し違う感じで映える写真を狙った撮影にしてみました。

 撮影機材はSONYα7RⅣとSEL1635GMに、CPLフィルターとLeofoto LM-365C三脚とG4ギア雲台を使用して撮影しています。Leofotoの三脚は最近各所で話題になっていますが、凄く頑丈なのに軽量なので最近の私のお気に入り機材として無くてはならない存在になっております。風景写真の撮影において、自由雲台ではせっかく決めた構図が最後の締め付けでズレてしまいがちですが、G4ギア雲台を使用する事でミリ単位の構図合わせが簡単にしっかり素早く出来ます。それでいて軽い事もG4ギア雲台の凄い所です。

映える写真のポイントその6:NDフィルターを使用して流れる雲を描写する

 青い空に白い雲は映える写真の定石ですが、更に一歩進んだ表現としてNDフィルターを使用して長秒露光することで、雲の流れを表現することができ、更なる映える写真撮影が可能になります。

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 この写真は新旭エリアびわ湖畔湿地帯で撮影しました。
 このエリアは、冬は無数の葦に覆われていて様相が全く違うのですが、冬の終わりに刈り取りをするので春先には広大な湿地帯が広がります。この時期に撮影すると日本では無いような写真が撮れますので、映える写真の撮影にはオススメです。

 この日は殆ど風が無かったので、ND10000のフィルターを使用して光量を落とすことで、露光時間5分の長秒露光にして雲の流れを表現してみました。

 撮影機材はSONYα7RⅣとSIGMA14-24mmF2.8DGDNartを、Leofoto LM-365C三脚とG4ギア雲台にセットして、KANIフィルターのND10000を使用して撮影しました。

 SIGMAの新しくミラーレス用に開発されたDGDNシリーズは、解像感も発色も素晴らしのですが、14-24mmF2.8の場合、前玉がいわゆる出目金レンズの為フィルターがレンズ前に装着できません。ですが、KANIフィルターの専用ホルダーと150mmの角型フィルターを使用する事で、ケラレなくフィルターを使用出来ます。今回使用したND10000になると日中でも露光時間五分が必要となり、ここでもLeofoto LM-365C三脚の頑丈さに助けられて撮影することが出来ました。ND10000を使用しても色味が損なわれないKANIフィルターも本当に素晴らしいです。

最後に

 インスタ100選の街びわ湖高島市には、まだまだ紹介したい撮影スポットがたくさんあります。高島市はJR京都駅からJR湖西線を使用して約一時間で来ることができますので京都に観光旅行に来られる際に一日遠征で来て頂くのにもオススメです。
それでは皆さんの映える写真写真をSNSで見るのを楽しみにしています。

※本記事の作例は全て緊急事態宣言発令期間前に撮影されたものとなります

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