LUMIX G9 PROレビュー | 動画も静止画も思いのまま楽しめる高性能機種

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はじめに


 2018年発売の機種ながら、シャッター速度6.5段分の高性能な手ブレ補正、ピントを合わせたい被写体に瞬時にフォーカスするAF性能と動体への高い追従性能、撮りたい瞬間を逃さない高速連写機能や、4K/60pの動画記録が可能など、盛り沢山の機能を搭載。また、手の小さい方でも大きな方でもホールドしやすいグリップ形状、操作性を考慮しながら高いデザイン性でスタイリッシュさを感じさせてくれる外観など、とてもバランスの良いミラーレス一眼に仕上がっている機種です。

 筆者も2018年から本機を使わせてもらっていますが、人肌を自然に美しく見せてくれる描写性能と、どんな過酷な状況でも捉えて逃さないAF性能に惚れ込んで、様々なシーンで撮影を続けています。前回(「モデルの気持ちがわかるポートレート撮影術 ~オススメLUMIXカメラ&レンズ~」)は女性ポートレートと本機についてのお話をしましたので、今回はまた違う被写体、違う撮影シーンでの本機のお勧めポイントをお話したいと思います。

アップデートでさらに強化された動画機能


 本機は、4K/60pのなめらかで美しい映像を記録することができる、動画撮影が楽しい機種でもあります。2019年11月のアップデートでMOV形式の記録にも対応して、さらに動画機能が強化されました。

 また、高画質なスローモーション、クイックモーションの再生が可能なVFR(バリアブルフレームレート)記録機能、Log撮影機能「V-Log L」(別売)、4:2:2 10bitの映像をHDMI端子から出力する「HDMIモニタリングスルー」機能などを搭載して、本格的な動画撮影が可能です。

 各家庭に4Kテレビが普及してきている昨今ですので、自分で撮影した4K動画を自宅で見る楽しみ方もできますね。作例は4K/60pで撮影して、Vlog風に仕上げました。


■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.

被写体を捉えて離さない高いAF性能


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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F5 1/1600秒 ISO200 +0.3EV AWB フォトスタイル:風景
2018年11月撮影

 こちらは、2018年の入間航空祭で撮影しました。ブルーインパルスの曲技飛行、第1区分11番目の課目「チェンジ・オーバー・ループ」です。4機の機体がスモークを出しながら大きく宙返りする、雄大で見応えのある課目です。

 スモークの立体感を出すために、宙返りのトップではなく、かなり下降した時点のカットが筆者のお気に入りなのですが、連写は宙返りする直前から始めています。白いスモークに青と白の機体なので、ともするとピントが合いにくい同色の被写体ですが、最後までしっかりと追従してくれました。

 このように動きの速い被写体の撮影は、一度ピントを外してしまうと再度ピントを合わせるのに苦労して、シャッターチャンスを逃しがちですが、本機はまずピントを外す率がとても低いことと、万が一手前の塔などの違う被写体にピントが移り変わってしまっても、AFの合焦の速さに助けられて、目当ての被写体に即ピントを合わせ替えてくれる頼もしさがあります。

 本機にはワンタッチで自分好みの色味、画風に写真を仕上げてくれるフォトスタイルが搭載されています。このように、コントラストを高めたいけど、あまりにも強くしてしまうと不自然さが出てしまうようなシーンでお勧めのフォトスタイルは「風景」です。背景の青空がしっとりと深い色合いになり、白いスモークが白とびしないギリギリのコントラストが一番綺麗に見えます。

コンパクトな超望遠レンズとのコンビネーションで様々なフィールドで活躍してくれる!


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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F5 1/1600秒 ISO200 +0.3EV AWB フォトスタイル:風景
2018年11月撮影

 こちらも同じく、2018年の入間航空祭で撮影したブルーインパルスの曲技飛行で、第1区分最初の課目「ダイヤモンド・テイクオフ&ダーティーターン」です。1~4番機が離陸した後にターンし、スモークを出しながら会場の正面に向かって来ます。車輪を出したまま飛行する唯一の課目で、車輪がしっかりと見えるように撮影すると特別感が出ます。

 作例は、撮影位置に近いところを飛んで行くのがわかったので、なるべく近い位置から撮影するために、機体がスモークをオフにして、頭上を飛び去って行く瞬間を撮影しました。

 使用したレンズは「LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」です。ライカ「F2.8-4.0ズームレンズ」シリーズと呼ばれるラインアップは、3本のズームレンズで広角から超望遠域をカバーしていて、本レンズは35mm判換算で100~400mmの超望遠域をカバーするレンズです。

 超望遠のズームレンズながら約655gと軽く、長さも約132mmと非常にコンパクトなので、混雑回避のために電車や徒歩移動がメインで、長時間立ちっぱなしの航空祭のようなイベントにはとても有難いレンズです。

 筆者はブルーインパルスの撮影で入間基地以外にも、北海道、金沢、静岡などの基地を回ることがあり、ボディ2台、レンズ2本の機材を担いで1時間近く歩き続けることなども多いので、この軽量、コンパクトな超望遠ズームレンズにはとても助けられました。

キットレンズはライカ基準の高性能レンズ


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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F5.6 1/400秒 ISO400 AWB フォトスタイル:ヴィヴィッド
2018年9月ドイツにて撮影

 標準ズームライカDGレンズキットのセットレンズ「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」は、35mm判換算で24~120mmの焦点距離をカバーする使い勝手のいいレンズで、ライカ基準の高い描写能力、再現能力を備えています。自然で繊細な画を生み出してくれる、本当にこれがキットレンズでいいのかしらと思ってしまうほど、性能の高いレンズです。

 作例は、2018年にドイツで撮影しました。寒かったのですが天気はとても良くて、街中の明暗の差がドラマティックな日でした。このレンズとのセットだと、小柄な女性が持ち歩いていてもそれほど目立たないので、街中でのスナップにもお勧めです。

 このように明暗の差が大きく、それを強調したいときはフォトスタイルのヴィヴィッドを使用すると、コントラストが高くなって、明暗差がより強くなります。構図内に赤やピンク色などの派手な色合いが多いと、スナップとしては主張の強すぎる画になってしまいますが、同系色の控えめなトーンの構図となっていますので、ヴィヴィッドを使用しても派手になり過ぎず、全体に高コントラストで、道路の硬さを感じられるようなスナップに仕上げられます。

繊細な表情を描き出すヴィーナスエンジン


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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F8 1/200秒 -0.7EV ISO200 AWB フォトスタイル:風景
2018年9月ドイツにて撮影

 取材で訪れたフォトキナの会場ケルンメッセから、夕日に浮かび上がるケルン大聖堂を撮影。ちょうど工事中で足組が邪魔だと思ったのですが、ケルン大聖堂をアンダーにして切り絵のようにすることで、額縁の役目を果たしてくれました。

 構図下の夕焼けの強い赤色のグラデーションと上部の雲の繊細な表情を、色、形ともに解像度高く表現してくれています。彩度が高く、コントラストの高いシーンで、ベタっとせずにシャドウ部もハイライト部も色鮮やかに、でも不自然なほどではなく仕上げてくれるのが、本機の愛すべき点であります。

フォトスタイルで自分好みの写真に!


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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F5.6 1/640秒 +0.7EV ISO200 AWB フォトスタイル:L.モノクローム
2018年9月ドイツにて撮影

 とにかく楽しいんです、モノクロ撮影が。特にこのフォトスタイル「L.モノクローム」は、通常のモノクロよりもグレーの色の伸びが素晴らしくて、ただ白黒にしただけではない、情感豊かなモノクロ写真を描き出してくれます。日常のちょっとしたシーンも「L.モノクローム」を使うだけで、ぐっとドラマティックなシーンにしてくれるフォトスタイルです。

 本機には10種類のフォトスタイルが搭載されており、「L.モノクローム」以外には、見た目に近い色味、質感、コントラストに仕上げてくれる「スタンダード」、彩度とコントラストを上げてより鮮やかに仕上げてくれる「ヴィヴィッド」、低コントラストで優しいイメージの「ナチュラル」、単色で仕上げる「モノクローム」、明暗の差をさらに高く、より印象的な画にしてくれる「L.モノクロームD」、青や赤、緑などの色味をより鮮やかにコントラストを高めに仕上げる「風景」、人肌を自然で健康的な肌色にしてくれる「人物」、低コントラストでダイナミックレンジを優先した「シネライクD」、それとは逆にコントラストを優先したメリハリのある画を得られる「シネライクV」があります。

 さらに各フォトスタイルは、コントラスト、シャープネス、ノイズリダクション、彩度の細かい設定ができ、3種類のモノクロのフォトスタイルは、コントラスト、シャープネス、ノイズリダクション、色調、フィルター効果と、モノクロフィルムの写真の質感を表現する粒状の設定もできるので、自分らしい画づくりをより追及できます。

MFアシスト機能でどんな被写体もしっかり合焦


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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F13 5秒 ISO200 -0.3EV AWB フォトスタイル:風景 三脚使用
2018年10月撮影

 本機をポートレート撮影で使用することが多い筆者の感想として、人肌に近いオレンジ色の色味がとても綺麗に出ると感じています。そんなオレンジ色繋がりで花火も、華やかで綺麗なグラデーションに仕上げてくれました。

 こちらは三脚を使用し、花火が打ちあがる付近の建物にAFでピントを合わせてからMFにして撮影しました。本機はMF撮影時にMFアシスト機能があり、指先の簡単な操作で約3~10倍、写真の中に更に拡大した写真を表示させるPicture in Pictureでは約3~6倍、全画面では最大20倍の拡大表示が可能なので、ピントの確認もしやすいです。

自然なボケ味が魅力のマクロレンズとも相性がいい


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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LUMIX G MACRO 30mm / F2.8 ASPH. / MEGA O.I.S.
■撮影環境:F2.8 1/500秒 ISO6400 -0.3EV AWB フォトスタイル:スタンダード
2018年11月撮影

 水族館撮影では写り込みを避けるために、水槽に近寄れるマクロレンズが活躍します。「LUMIX G MACRO 30mm / F2.8 ASPH. / MEGA O.I.S.」は、35mm判換算で60mmの焦点距離のマクロレンズで、等倍マクロ撮影が可能です。コンパクトで価格のバランスも良く、自然なボケ味を実現した使いやすいマクロレンズです。

 作例は、向こう側が透けている水槽を泳ぐクラゲを撮影しました。丸ボケしているのは水族館内の照明で、全体の色味には調整などなにも加えていません。JPEGで撮影したそのままになります。

 クラゲは触手が長い種類が多いので、全体を構図内に入れようとすると肝心のクラゲが小さくなり過ぎて、柔らかさや質感がわかりにくい写真になってしまうので、ぐっと近寄ったカットも撮ると面白いです。

 暗い、動く、ピントの合いにくいアクリルの水槽の向こう側と、なかなかの条件が揃ったなかでの撮影ですが、素早いAFと手ブレ補正機能のお陰で、楽に撮影が行えました。

家族で写真を楽しむのに最適な本機


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■撮影機材:ソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F3.5 1/200秒 ISO200 AWB フォトスタイル:人物
2018年9月撮影

 本機は何度言っても足りないくらいAF性能が高くて、特に人物の顔と瞳の認識性能は格別です。普通に正面を向いているシーンはもちろんのこと、後ろ姿や顔が見えにくいシーンでも、瞬時にピントを合わせてくれる顔・瞳認識AF機能は、じっとしていられない子供の撮影には特に大助かりです。

 絶え間なく動く顔と瞳をしっかりと捉えて、カメラに近いほうの目にピントを合わせてくれるので、余計なことを考えずに子供の笑顔を引き出すことに集中できます。

 子供を撮影するときに、いい写真を撮ろうと気張ってしまって、フレーム内に収まってくれない、言うことを聞かない子供にイライラしてしまうこともあると思いますが、主役のモデルである子供が写真を嫌いにならないように、‘笑顔を作らせる’のではなく、‘笑顔になっちゃう’状況を作ることが大切です。そして、思わず笑顔になった瞬間を逃さない瞳・顔認識AFがあれば、家族で写真を楽しめます。

 キッズ撮影のときも、キットレンズの「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」が活躍します。声が届く範囲での撮影であれば広角側を、背景のボケを大きくしてポートレートっぽく仕上げたければ、望遠側にして離れて撮影すればOK。家族旅行でしたら、このセットだけでも沢山のファミリーフォトが撮影できるでしょう。

 フォトスタイルは、見た目に近い色合いに仕上げてくれるスタンダードでもいいのですが、日差しの強い日や、構図内に派手な色味が多いときは「人物」にして、全体に少しコントラストを下げて、優しい風合いにすると、子供の柔らかい肌の質感を感じられる写真になります。

アップデートで追加された動物認識AF


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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F4 1/400秒 ISO200 AWB フォトスタイル:風景
2020年6月都内にて撮影

 2019年11月のアップデートで、AFモードに動物認識が追加されました。今までの人体認識に追加して、イヌ科、ネコ科、鳥が構図内にいるときは認識して、その体にAF枠を表示してピントを合わせてくれます。さらに被写体が動くと追尾してくれるので、人物と同じように動物の撮影ができるようになりました。

 公式では動物の種類が3種類明記されているのですが、作例のリスでもカメラを向けるとAF枠が出て合焦、追尾しました。さらに、家にあったイルカ、パンダ、ヒヨコのぬいぐるみも認識しました。撮影状況にもよると思いますが、認識する動物は結構多そうですので、試してみると面白いでしょう。

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■撮影機材:パナソニック LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
■撮影環境:F4 1/400秒 ISO200 AWB フォトスタイル:風景
2020年6月都内にて撮影

 リスもですが、犬のように目と鼻の距離が離れている動物は、鼻にピントが合ってしまって、肝心の目がボケてしまうなどの事故も起こりがちですが、動物認識AFが働いてくれれば、艶々とした目にしっかりとピントを合わせてくれます。動いているシーンはもちろん、かわいらしく横たわっている姿も、しっかりとカメラに収められます。

 ポートレートはもちろん、音速のブルーインパルスも、旅スナップも、花火、子供、動物、魚と様々な被写体に対応してくれる本機は、今とても購入しやすい価格になってきています。キットレンズの性能も高いので、初めてLUMIXを手にする方にもお勧めの機種ですよ。