SAMYANG AF 75mm F1.8 FE レビュー|コスパ最高のスナップポートレートレンズ

葛原よしひろ

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はじめに|SAMYANG AF75mmF1.8FE

前から気になってはいたのだが、実際にSAMYANGのレンズを触ったのは初めてだった。
今回レビューさせて頂くSAMYANG AF75mmF1.8FEを早速手持ちのα9に装着してみたのだが想像以上に小さく軽い。フルサイズのSONYαシリーズのボディにバランスよく収まるので気持ちよく撮影出来そうである。

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SAMYANG AF75mmF1.8FE実写レビュー

 レンズ構成等の紹介は後述させて戴くことにして、まずはレビュー撮影。
 今回は性別も撮影場所やカメラボディ等、色々条件を変えながら3人のモデルさんを撮影してみたので参考にして下さい。

ポートレート:日中・暗所撮影

 一人目のモデルはAYAMEさん。AYAMEさんとSAMYANG日本代理店KenkoTokina社のおひざ元である中野で待ち合わせして、中野をブラリしながらスナップ撮影開始。

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■使用機材:SONY α9 + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO100/シャッタースピード1/125/F1.8

 まさに軽快というのはこういうことを言うのだと思う。AYAMEさんはSONYαアカデミーや私のゼミ教室等でもお願いしている気心のしれたモデルさんなので、撮影自体の呼吸も合うのですが、機材の機動力が良いと必然的にリズムが合いやすく、更に撮影のテンポも気持ちも上がっていきますのでαのフルサイズボディと、このSAMYANG AF75mmF1.8FEの組み合わせは、いきなり気に入りました。

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■使用機材:SONY α9 + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO100/シャッタースピード1/125/F1.8

 前ボケを試したくて、壁にもたれた構図で撮影してみました。柔らかく素直で変な癖の無い私好みのボケなのでファインダーを覗いていて楽しい。撮影時に設定したコンティニュアンス瞳AFが瞳を素早く正確に捉えてくれるのでAFのスピードは速いという印象を受け安心して撮影できました。

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■使用機材:SONY α9 + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO100/シャッタースピード1/125/F1.8

 更に、AF性能を試すために薄暗い階段で撮影してみたのだが、暗さで少しAFの動きが悪くなると思っていた予想に反して、明るい所での撮影と遜色無くAFは速く正確に瞳に合焦してくれたので、ますます好印象になった。実際の撮影時間はブラリ歩きの時間も含めて待ち合わせから30分間くらいでしたが、気軽にスナップポートレートするには良いレンズだと実感しました。

ポートレート:高架下撮影

 二人目はこの日が初見のユージンさんを神田で撮影。
 待ち合わせのカフェで軽く話して少し緊張気味のユージンさんをそのまま撮影。

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■使用機材:SONY α9 + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO 200/シャッタースピード1/60/F1.8

 1枚目は昭和歌謡のお店の前で撮影。男性モデルなのでホワイトバランスを雰囲気重視で合わせてみたのだが、少し焼けた彼の肌と昭和感が良く似合う。レンズの解像感が有るのでそういう細かな部分までファインダーで充分確認しながら撮影出来る安心感が嬉しい。

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■使用機材:SONY α9 + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO 200/シャッタースピード1/60/F1.8

 最初に長髪とベルボトムの彼を見た時に撮ろうと思った、駅前の高架下に移動しての撮影。
 水銀灯の色が高架下の雰囲気を効果的に演出してくれる場所にモデルさんを配置したのだが、神田駅前のこの場所に行ったことが有る方なら解ると思いますが、実際は作例よりかなり暗い場所なので少し心配でした。ただ実際はそんな心配は必要なく、AFは迷うことなく合焦してくれたので素早く撮影することが出来た。

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■使用機材:SONY α9 + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO 640/シャッタースピード1/60/F1.8

 少し遊び心をいれた構図での撮影。高架の鉄筋の隙間から覗いてもらって撮影。
 私の「眼力ちょうだい」という謎のリクエストに答えてくれたユージンさんに感謝の一枚になりました。二人目のユージンさんの撮影も撮り直しが少なく30分以内に終了しましたので、小型軽量SAMYANGレンズとソニーαの組み合わせの取り回しの良さに脱帽です。

ポートレート:電車撮影

 3人目のモデルぺしさんの撮影は京都なのですが、いわゆる有名観光地的な場所ではない宝ヶ池エリアで撮影しました。ぺしさんを撮影するのは今回が2度目になりますが、以前の撮影時に撮影しやすい印象だったので、今回の撮影もお願いしました。前述の二人はSONYα9に装着しての撮影でしたが今回はボディをSONYα7R4に変更して撮影しました。

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■使用機材:SONY α7RIV + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO 100/シャッタースピード1/250/F1.8

 宝ヶ池駅のホームで撮影。宝ヶ池駅は叡山電鉄という京都市を走るローカル線の駅で無人駅なのですが、この駅のホームの佇まいが好きで以前からポートレート撮影しようと思っていた場所です。駅のネームプレートが有る柱を中心にしたシンメトリー構図の中で木製の長椅子に座ってもらい撮影しました。レンズの収差が少ないので縦向きの柱と横向きの壁の赤い線や木製長椅子を含めシンメトリー構図のセンター出しが楽に出来るのは助かります。収差が大きなレンズだと構図の位置を決めるだけで一苦労ですから。

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■使用機材:SONY α7RIV + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO 100/シャッタースピード1/640/F2.2

 叡山電車の線路沿いに流れる小川に掛かる木製の小さな橋の上で撮影。撮影スタンバイして後ろを叡山電車が通るのを待ってシャッターを切る。レスポンスが良いので連写しなくても一枚撮りで撮れてしまう。電車が通る直前までモデルさんと談笑しながら待っていたのだが私が、「電車が来た」と言った瞬間に顔を作れるのは、ぺしさん流石でした。

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■使用機材:SONY α7RIV + SAMYANG AF75mmF1.8FE
■撮影環境:ISO 100/シャッタースピード1/640/F2.2

 先程の木製橋の横に有る公園で撮影。私が「ブランコ乗れる?」と尋ねると「ブランコくらい乗れます」と少し怒り気味の返答が可愛いと思ったのは内緒ですが、私のイメージは勢いよく高くまで上げて欲しかったので限界まで漕いでもらって撮影。「一番高い所で、カメラ目線で微笑んで!!」という私の無茶ぶりに答えてくれたお陰でイメージ通りの写真が撮れました。

 この時はモデルさんがまっすぐ向いてブランコを漕いでから、一瞬のカメラ目線での撮影になるので、AFを「トラッキングAF」(動体撮影時に指定したエリアを合焦し続けてくれるAFモード)に設定して撮影したのですが、勢いよくブランコを漕いでいるモデルさんの頭部に常に合焦し続けてくれたので、後はモデルさんがこちらを向く瞬間を逃さないようにするだけでバッチリ撮れました。レンズがカメラ側の全てのAFモードとエリアに対応しているので、あらゆるシーンでAFが頼りになるのは頼もしい限りですね。
 撮りやすい機材と撮りやすいモデルさんなので、今回も撮影時間30分以内に撮影完了することが出来た。

SAMYANG AF75mmF1.8FEの性能について

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 今回レビューさせて戴いたSAMYANG AF75mmF1.8FEはSONY αフルサイズEマウント対応レンズです。AFの駆動にはSTM(ステッピングモーター)を使用しており速くて静かなピント合わせが可能で静止画だけでなく動画撮影にも適しています。SONY αシリーズボディの全てのAFモードとAFエリア設定に適応しているので瞳AFやトラッキングAFも使用可能でありMF撮影時の拡大表示も可能なので、あらゆる被写体へのピント合わせを素早く対応することが出来ます。

 このレンズにはCUSTOMスイッチが装備されており、モードを切り替えることによってMFフォーカスリングをシームレスな絞りリングに変更することが出来る、ユニークかつ便利な機能を備えていますので、静止画だけでなく動画撮影にも向いているレンズだと思います。9群10枚のレンズ構成にアクロマートを採用した3枚のEDレンズが使用されているので色収差についても良好です。

さいごに|SAMYANG AF75mmF1.8FEの気に入った所

 私が使用して一番気に入った点は、フルサイズ一眼用の明るい高性能中望遠レンズとしては極めて軽く小さく(長さ69mmX幅65mm/フィルター径58mm/重さ230g)ボディ装着時のバランスが良いので実際に今回3人のモデルさんを3か所で撮影して、全て30分以内に撮影終了出来るほど機動性が良かった事です。

 レンズ自体の造りもしっかりしており質感も良いので正直金額的にもう少し高いと思っていたのですが、当コラム執筆時価格で4万円台と、お財布に優しい点も嬉しいですね。75mmという焦点距離のレンズは珍しい部類ですが、APS-Cのカメラに50mmのレンズを装着した時とほぼ同じ画角のため、現在APS-Cのカメラを使用している方がフルサイズカメラ使用時に違和感なく撮影出来ると思います。これからフルサイズに移行される方にもオススメです。

 また、現在フルサイズを使用されている方もポートレート撮影時において85mmレンズ使用時と同じ構図で撮影する場合、にモデルさんとの距離が近くなると同時に少し被写界深度も深くなるので、気軽に撮影しやすくなるというメリットが有るので、これからポートレート撮影を始める方や85mmが苦手な方にも是非試していただきたいと思うレンズです。
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