ニコン Z 5は日常をドラマティックにしてくれる高画質フルサイズミラーレスカメラ

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はじめに


 2020年8月28日に発売されたニコンのミラーレスカメラ「ニコンZ 5」は、2018年発売のZ 7、Z 6に次ぐ、Zシリーズのフルサイズ機です。今回は、本機を日常使いしたレビューをお送りします。

画質も携行性もGOODなキットレンズ


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■使用機材:ニコン Z 5 + NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3
■撮影環境:シャッター速度1/80秒 絞りF6.3 ISO200 WB:5000K 焦点距離24mmクリエイティブピクチャーコントロール:トイ

 有効画素数は2432万画素で、画素数の近いZ 6シリーズ(有効画素数2450万画素)と比較されることの多いZ 5。サイズもZ6シリーズとほぼ同じで、並べて置いておくと、どちらがZ 5だかわからないほどです。外見だけじゃなく性能も酷似していることから、Z 6シリーズとどちらを購入しようか迷われる方も多いと思いますが、これからニコンのミラーレスカメラデビューをしようとする方には、Z 5をお勧めしたいです。

 その理由のひとつがキットレンズです。同日発売のミラーレスカメラ用フルサイズフォーマットのズームレンズ「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」は沈胴式の形状で、約51mmと薄く、約195gと超軽量サイズなので、フルサイズ機を持ち歩くときの機材の負担をぐっと軽くしてくれます。

 レンズキットのコストパフォーマンスの良さは、皆さん良くご存知だと思います。本機をレンズキットで購入する場合の価格と、本機と「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」をそれぞれ単体で購入する場合の価格を比較すると、単純に引き算をするだけで「あれ? レンズの値段安すぎない?」なんて気持ちになっちゃいますよね。その恩恵に預かれるのがレンズキットです。

 Z 50のときにも感じたのですが、この沈胴式のレンズは収納時の携行性はもちろん、日常のスナップや旅行との相性が抜群なのです。

 レンズの繰り出しはボタンなどがなく、回すだけで撮影可能になります。それも程よいズームのトルクなので、重すぎて撮影まで時間がかかったり、軽すぎて望遠側に行き過ぎたりということはありませんでした。

 描写は、隅々までしっかりとした線で描いてくれる、何を撮っても撮りやすいレンズに仕上がっています。広角側が24mmなのは、スナップはもとより、風景や動画撮影にも使いやすい画角でした。

 公式ページの「Z マウントの高画質を軽快なフルサイズで手に入れる。」というキャッチコピーは、このキットレンズを使用すると体感できます。

ダブルスロット搭載


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■使用機材:ニコン Z 5 + NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF5.3 ISOオート(360) WB:5000K 焦点距離39mm クリエイティブピクチャーコントロール:ピュア

 本機はダブルスロットを搭載しています。UHS-II規格対応のSDカードを2枚使用でき、1枚目のメモリーカードがいっぱいになったら2枚目のカードに記録していく「順次記録」、2枚のメモリーカードに同時に同じ画像を記録していく「バックアップ記録」、2枚のメモリーカードをRAW画像とJPEG画像で分けて記録する「RAW+JPEGの分割記録」と、使い分けることができます。また、動画撮影時に空き容量の多いカードを記録先として指定できるのは、親切な設計だと思いました。

 ダブルスロットは、仕事でミスができない撮影をしているプロもそうですが、長期間の旅行や、動画と静止画の両方を撮りたい方にもありがたい機構です。

 たとえば、ワーケーションを利用してあちこちで仕事をされている方や長期間の旅行をされている方は、「順次記録」でメモリーカード2枚分の大容量のメモリーカード気分で使用すれば、いざというときに容量がなくて写真が撮れない! なんて事態から解放されます。

 使用メディアがSDカードなのも、Z 50や一眼レフカメラのエントリー機から乗り換える方は、使用しているメディアをそのまま使える可能性が高いので、フルサイズ機への敷居がさらに下がるでしょう。

使い込むほど楽しいピクチャーコントロール


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■使用機材:ニコン Z 5 + NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3
■撮影環境:シャッター速度1/200秒 絞りF6.3 ISO200 WB:5000K 焦点距離24mm クリエイティブピクチャーコントロール:レッド

 ニコンZシリーズのカメラで楽しいのが「クリエイティブピクチャーコントロール」です。

 一眼レフ機に搭載されていた8種類のピクチャーコントロール(オート、スタンダード、ニュートラル、ビビッド、モノクローム、ポートレート、風景、フラット)にプラスしてZシリーズから搭載された、より様々なイメージを描き出せるクリエイティブピクチャーコントロールは、静止画、動画ともに鮮やかさ、コントラスト、輪郭の強さ、色味などをワンタッチで変えてくれます。

 適用度も0から100まで10ステップ刻みで調整できるので、見た目をガラッと変えたドラマティックな画にしたり、ほんの少しの色付けとして使用したりと、自分の個性を反映できる、使えば使うほど楽しくなる機能です。

 この作例のクリエイティブピクチャーコントロールは「レッド」を使用しています。その名の通り全体に赤味が乗るのですが、プラスチッキーな赤ではなく、プリントが退色したような懐かしい色味になるため、筆者がスナップで好んで使っているクリエイティブピクチャーコントロールです。

見やすくて目に優しいファインダー


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■使用機材:ニコン Z 5 + NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3
■撮影環境:シャッター速度1/160秒 絞りF6.3 ISOオート(5600) WB:5000K 焦点距離50mm クリエイティブピクチャーコントロール:ポップ

 搭載されているセンサーは、有効画素数2432万画素のニコンFXフォーマットCMOSセンサーです。画像処理エンジン「EXPEED 6」との連携によって、高い解像感とノイズを排除したクリアな画を作り出してくれます。明暗の差の大きなところでのシャドウ部の粘りや、逆光時の細部の描写性能なども綺麗に彩ってくれました。

 また、ニコンのカメラ全般に言える良いところが、ファインダーの見え方です。最近は背面液晶を見ながらの撮影も増えてきましたが、直射日光が反射してしまう状況や、撮影に集中したいときなど、ファインダーを使用して撮影したいシーンはたくさんあります。本機も、背面液晶と電子ビューファインダーの両方を使用して撮影をしましたが、どちらも見やすく、目に優しいファインダーは撮影をさらに楽しくしてくれると実感しました。

常用ISO感度100-51200の威力


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■使用機材:ニコン Z 5 + NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3
■撮影環境:シャッター速度1/250秒 絞りF5.6 ISOオート(12800) WB:5000K 焦点距離24mm クリエイティブピクチャーコントロール:ブリーチ

 普段はほとんど使用しないのですが、フルサイズ機移行やカメラデビューに本機を選ばれる方も多いかと思い、今回は「ISOオート」での撮影を多く試してみました。薄暗いシチュエーションや望遠での撮影時にはISO感度がかなり上がりましたが、できあがった画にノイズなどの荒れは見られず、中央から画面端まで解像度の高い画を作り出してくれました。

 仕上がりの画によってはISO感度も自分で設定したいところですが、そのせいでシャッターチャンスを逃すくらいなら、慣れていない方はISOオートで撮影しても十分に綺麗な画になりますので、本機を購入された方は気張らずに写真を楽しんでほしいですね。

撮影がぐっと楽になる手ブレ補正機構を搭載


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■使用機材:ニコン Z 5 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
■撮影環境:シャッター速度1/4000秒 絞りF6.3 ISOオート(12800) WB:5000K 焦点距離160mm クリエイティブピクチャーコントロール:ソンバー

 こちらは7月に発売された「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」を使用して撮影しました。旅行に便利な小型・軽量の8.3倍高倍率ズームレンズです。

 望遠レンズ使用時に気になるのが手ブレですが、本機は5.0段の「ボディー内センサーシフト方式VR」を搭載しています。上下、左右、Yaw、Pitch、Rollの5軸のブレを補正してくれるので、今まで三脚が必要だったシーンまで気軽に手持ちで撮影ができるようになります。

シャッターチャンスを逃さない高いAF性能


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■使用機材:ニコン Z 5 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
■撮影環境:シャッター速度1/5000秒 絞りF6.3 ISOオート(12800) WB:5000K 焦点距離200mm クリエイティブピクチャーコントロール:風景

 本機のAFエリアモードは「シングルポイントAF」、「ピンポイントAF」、「ワイドエリアAF(L)」、「ワイドエリアAF(S)」、「ダイナミックAF」、「オートエリアAF」の6種類が搭載されています。

 静止画のオートエリアAF使用時には「瞳AF」と「動物AF」が使用できます。人物の瞳、もしくは犬か猫の瞳を検出して、瞳にピントを合わせてくれます。特に人物は、構図から一度外れても、戻ってきた瞬間にサッとピントを合わせてくれるので、ポートレート撮影や小さな子供を撮影するときに重宝します。

 動物AFは、公式では犬と猫に対応しているとのことですが、それ以外の動物でもライオンやヒョウなどのネコ科の動物は瞳を検出してくれました。

 検出してくれない動物も、タッチAFを使用して背面液晶の画面で瞳をタッチすればピントを素早く合わせてくれるので、気まぐれな動物もシャッターチャンスを逃すことなく撮影できます。

 性能、コストパフォーマンス、使いやすさともに、フルサイズ機デビューがまだの方はこの機会にぜひ! と言いたくなる機種がニコン Z 5でした。


■写真家:水咲奈々

東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。 (社)日本写真家協会(JPS)会員。

他カメラとの価格やスペック比較


 「Z 5」と「Z 6」、「キヤノン EOS RP」、「ソニー α7 III」の価格や主要なスペックの比較表をこちらのページで紹介していますので是非ご覧ください。

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