GoPro HERO9 Black レビュー|小さく軽く頑丈で、シャッターを押すだけで迫力の映像が撮れる!

三井公一

GoPro HERO9 Black製品画像.jpg

はじめに

 アクションカメラの代名詞「GoPro」。その最新バージョン「HERO9 Black」が登場した。近ごろ流行の「Vlog」(ブイログ)で役立つ前面カラー液晶を搭載して、5Kという高解像度での収録もでき、驚異的だった手ブレ補正機能も更に磨きをかけており話題沸騰となっている。この「HERO9 Black」は手のひらに収まる軽量コンパクトさなので、普通のデジタルカメラでの撮影のお供として連れて行くのが楽しい。ビデオ撮影機能を搭載したミラーレス一眼カメラも多いが、こちらの方が気軽に面白い映像が撮れるからだ。

手ブレとはおさらば。強化された手ブレ補正機能

 「GoPro」といえばアクションカメラの筆頭格だ。サーフィンやスノーボード、モトクロスやスカイダイビングなど、エクストリームスポーツをやる人が身体に装着して、ド派手なアクションを撮影するというイメージを持つ人が多いだろう。超広角レンズで自身と背景と写し込み、猛烈な動きでも安定した画面を撮影できるのがスゴいところだ。この最新型「GoPro HERO9 Black」は定評のある手ブレ補正機能をアップデート。「HyperSmooth 3.0」 (ハイパースムーズ 3.0) と銘打ち、他のカメラを寄せ付けない補正効果と安定性を手に入れた。実際に手に持って歩いてみるとその効果に驚くだろう。まるで電動ジンバルに載せて撮影しているかのようなスムーズ感を味わえるからだ。以前のモデルよりグッと安定感が増した印象である。さらに自動的に水平を保った映像を撮れる「カメラ内ホライゾンレベリング」も搭載。「リニア」の画角ならラフに撮影したムービーでもキチンと常に水平を維持したショットを手に入れられる。これは気に入った。

圧倒的な解像度

 ビデオ、スチルとも解像度がアップ。 23.6メガピクセルの新開発イメージセンサーを搭載し、ビデオではなんと5Kの超高精細な映像を記録可能だ。もちろん家庭にもグンと普及してきた4K解像度を最大60fpsで記録。スムーズなスロー映像をクリエイトして楽しむことも可能だ。

 スチルの解像度もついに20メガピクセルに到達した。一般的なデジタルスチルカメラとして使用しても解像度的に遜色ないカットを楽しめるようになったのがうれしい。「SuperPhoto」 (スーパーフォト) モードならばHDR的な効果を持つクリアで鮮明なスチルが撮れる。最新型スマートフォンにも負けない失敗の少ない美しいカットをこの小さいカメラで撮れるのだ。
00_製品画像.jpg

フルモデルチェンジしたタフネスボディー

 少し前から「YouTube」などのビデオシェアサービスを使って、「Vlog」(ブイログ)を楽しむ人が激増している。自分が画面に登場して、日常生活をブログ的にビデオでシェアするものだ。ガジェットの紹介であったり、ペットとの生活を映像で綴るものなどジャンルは多岐に渡るが、ほとんどの場合「セルフィー」(自撮り)が主流だ。最新モデルの「HERO9 Black」にはその「Vlog」(ブイログ)にうれしい、前面カラー液晶が搭載された。スクエアタイプの1.4インチながら、これにより自分を写しながらの構図確認ができるようになったのだ。これはブイロガーに歓迎される大きなアップデートだろう。もちろん前のモデルのように撮影モードなどの情報表示や画面オフに切り替えることもできる。

 「HERO9 Black」はボディサイズが一回り大きくなっている。背面のタッチパネル液晶は2.27インチに大型化され、同時に1720mAhのバッテリーも採用されている。これにより駆動時間が最大30%アップした。アクションシーンでのバッテリー交換が減らせるのはうれしい。単純に撮影時間も延びるのでいいショットが撮れるチャンスも拡がるはずだ。また取り外し式のレンズ「Max レンズモジュラー」にも対応。それでいてボディ単体での水深10mまでの防水性能も達成している。

充実の機能

 「HERO9 Black」は他にも多数の機能がバージョンアップしている。まずはエクストリームスポーツに欠かすことができないスローモーションだ。最大 240 フレーム/秒の撮影が可能になったのでクリアな映像でのスーパースローが楽しめる。
またタイムラプスの「TimeWarp 3.0」(タイムワープ 3.0) は、撮影中にジックリ見せたい部分をゆっくりと減速して撮影することができるようになった。コマ撮り中にジックリと見せたいシーンがある場合に、タップ一つで自動的に実時間での映像記録ができる。

 「HindSight」(ハインドサイト)はシャッターボタンを押すタイミングが遅れた場合でも、最長30秒録画開始前の映像を撮影できる機能だ。ついウッカリしてもこの機能をアクティブにしておけば安心である。「LiveBurst」(ライブバースト)はスマートフォンでおなじみのショートムービー機能だ。シャッターを押した前後の1.5秒ずつを記録し、身近なビデオにしてくれるものだ。もちろんスチルとしてのシェアもできる。

 他にはスケジュールキャプチャーがいい。これは例えば日の出のタイムラプスを撮影したい場合、早朝に早起きしなければならない。この機能でタイマーをセットすれば自動的に設定した時間に撮影してくれるのだ。これは楽チンである(笑)アイディア次第で様々なシーンで活用できそうだ。またデュレーションキャプチャーも役に立つ。撮影毎の録画時間を設定できるので、「Vlog」(ブイログ)用にこまめに撮影が必要な場合に重宝する。多くのショットを決められた長さで収録し、素材として活用しやすいからである。他にも専用アプリを使ってのFacebookでライブストリーミングが可能だし、ビデオ会議や「Zoom呑み」にも使えるので、1台持っていると何かと楽しめる小さな高性能ビデオカメラになっている。

実写

 「HERO9 Black」の「SuperPhoto」 (スーパーフォト)は手軽に印象的なスチルが撮れる。夕暮れ時の河川敷を撮ったものだが、クリアな空の感じや、地面に生える芝生の微妙なグラデーションまでしっかりと写し取れた。この小ささでスゴい!
01_作例.JPG
 こちらは小田原の海岸での夕景だ。雲の立体感が素晴らしい。手前に拡がる砂利の高精細な写りにも驚きである。日没時の色再現もなかなかのものである。
02_作例.JPG

 浅草・浅草寺の仲見世を「TimeWarp 3.0」(タイムワープ 3.0) で。最後の門のところでは「スピードランプ」を使って速度を実時間にしてみた。このように緩急をつけたタイムラプスビデオを簡単な設定と操作で撮影できるのがスゴいところだ。

 「HyperSmooth 3.0」 (ハイパースムーズ 3.0) は本当にスゴい。イージーに「HERO9 Black」を持って近所の竹林を歩き回ったがご覧のような安定したビデオがサクッと撮れるのだ。超広角レンズの効果もあって、迫力のあるウォークスルー映像に仕上がった。

 GoProはとても小さくて軽量だ。ポケットにポンと入るし、いつでも気軽にスマホのように持ち歩ける。クリスマスイルミネーションを歩きながら撮影したが安定したビデオ映像になった。水深10mまで潜れるタフネスさもあり、どんなシーンでも連れて行けて、驚きの映像を収めることができるだろう。ただシャッターを押すだけなので楽チンだ。

 世の中は「Vlog」(ブイログ)が大流行しているが、このように自分の写真撮影シーンを撮ってみるのも面白いだろう。これは「Nikon Z 7Ⅱ」インプレッション記事の撮影をしているシーンだ。スクエアタイプの1.4インチ前面カラー液晶や見やすい2.27インチ背面タッチパネル液晶は構図を決めやすい。

 「HERO9 Black」のビデオ映像の安定性は驚異的だ。イージーにパンニングしてもキレイなショットを得られた。それでいて高精細な絵とクリアな音声が録れるのだから。アクションカメラのイメージが強いが、このように日常的に使うのもオススメだ。スマホでは撮れない迫力のあるビデオが味わえる。

 「HERO9 Black」で撮影したショットを編集ソフトで繋いでみた。誰でもカンタンにシャッターを押すだけでステキな映像を撮れるので、ただ並べていくだけで印象的なムービーが出来上がる。アクセサリーも豊富なので、自分の撮影スタイルに合ったものを選んで、素晴らしいビデオライフをエンジョイして欲しい

まとめ

 小さくて軽く、頑丈でどこにでも持って行ける「HERO9 Black」。シャッターを押すだけで迫力のあるビデオが誰にでも撮影できるのがスゴい。ストリーミング配信やビデオ会議にも使えるので、1台持っていると役に立つカメラだ。スチル、ビデオともにちょっとしたアイディアで驚きの映像がモノにできるのでいろいろとトライしてみてはいかがだろうか。

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。

・GoPro HERO7 Blackのレビューはこちらからご覧頂けます。
・GoPro HERO8 Blackのレビューはこちらからご覧頂けます。

関連記事

人気記事