iPhone 12 Pro Max レビュー|三井公一

三井公一

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はじめに

 今年もアップルのiPhoneシリーズがお目見えした。新型コロナウィルスの影響で発表と発売が遅れたが、「iPhone 12」、「iPhone 12 mini」、「iPhone 12 Pro」、「iPhone 12 Pro Max」の4機種が販売されている。サイズとカラーは機種毎に異なっているので、実機をキタムラのiPhone取扱い店舗で手にして感触を確かめて欲しい。今回はカメラ機能に力を入れた最上位機種の「iPhone 12 Pro Max」をインプレッションしてみたい。

iPhone 12 シリーズの違い

 まずは4機種のスチルカメラ機能に関連する部分をザッと見てみよう。

iPhone 12 mini

・ディスプレイ 5.4型
・デュアルカメラ(超広角 フルサイズ換算約14mm、広角 フルサイズ換算約26mm)
・重量 133g

iPhone 12

・ディスプレイ 6.1型
・デュアルカメラ(超広角 フルサイズ換算約14mm、広角 フルサイズ換算約26mm)
・重量 162g

iPhone 12 Pro

・ディスプレイ 6.1型
・トリプルカメラ(超広角 フルサイズ換算約14mm、広角 フルサイズ換算約26mm、望遠 フルサイズ換算約52mm)
・Apple ProRAW対応
・LiDAR スキャナ
・重量 187g

iPhone 12 Pro Max

・ディスプレイ 6.7型
・トリプルカメラ(超広角フルサイズ換算約14mm、広角 フルサイズ換算約26mm、望遠 フルサイズ換算約65mm)
・Apple ProRAW対応
・LiDAR スキャナ
・広角カメラ センサーシフト式光学手ブレ補正機能
・重量 226g

 どの機種も5G対応で、A14 Bionicチップ、Super Retina XDRディスプレイ(有機EL)、防塵防滴仕様、Lightningコネクター装備となっている。スペックを見ると写真・カメラファンは「iPhone 12 Pro Max」を選びたくなってくるだろう。

3つのカメラ

 超広角、広角、望遠の3つのカメラを搭載している「iPhone 12 Pro Max」。注目はセンサーシフト式光学手ブレ補正機能を搭載した広角カメラと、焦点距離が長くなった望遠カメラだ。広角カメラはセンサーも大型化されているので、高い描写性能も手に入れているのが特徴だ。また長くなった望遠カメラはブツ撮りや風景撮影などにも威力を発揮するだろう。雄大な画角を有する超広角カメラも変わらず、これ1台あればワイドからテレまで写真撮影を存分に楽しむことが可能だ。

進化したナイトモード

 一昔前までAndroidに暗所性能が負けていたiPhoneだが、ナイトモードを搭載してから画質的に健闘するようになってきた。今モデルから超広角カメラでナイトモードが使えない、という弱点もなくなり、描写も肩を並べるようになってきた。これは朗報だ。実際に夜の街を撮り歩いたが暗所撮影が楽しく感じた。

改善したポートレートモード

 「Computational Photography」のパワーで背景を擬似的にぼかすことが可能なポートレートモード。iPhone 7 Plus時代のベータ版から着々と進化を重ね、このiPhone 12 Proシリーズでようやく使い物になる完成度になったと言えるだろう。というのもiPhoneは被写体の境界判定がGoogle Pixelシリーズと比較して甘く、意図しない切り抜きやボケない、などの問題をずっと抱えていた。それがLiDARスキャナを採用することによって改善されたのだ。小さくて細い被写体でもまずまずの精度で撮れることが多くなった印象だ。

実写

 静岡名物の美味しいハンバーグを広角カメラで。色味が前の機種よりかなり鮮やかに撮れた。シズル感もよく出ており、室内のカットでも見た目よりゴージャスに撮影できる傾向がある。センサーシフト式光学手ブレ補正機能と大型化の恩恵だろう。
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 超広角カメラでもナイトモードが使えるようになったのがうれしい。夜の散歩でもクッキリとシャープな写真が撮れる。ただかなり暗い場所でないとこのモードが発動しない。暗所性能が高くなったためだが自分で選択できないのがもどかしいところ。オンになったらスライダーで「iPhone 12 Pro Max」がリコメンドするシャッター速度の範囲内で選んでシャッターを切ろう。
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 「iPhone 12 Pro Max」は一般的なデジタルカメラよりイルミネーション撮影がラクだ。A14 Bionicが的確な露出とHDR的な処理を高速に行ってくれるからである。これぞ「Computational Photography」。白飛びも黒つぶれも気にせずに端末任せで構図に専念できるので、誰にでもカンタンに美しいライトアップの撮影ができる。
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 iPhoneの擬似的に背景ボケを作り出す「ポートレートモード」は境界の判定に難があり、複雑な形の被写体(髪の毛、草葉、ストローなど)は曖昧な写真になってしまっていたが、LiDARスキャナを搭載した上位機種ならそれが改善した。まずまずの精度でキレイに被写体を判別してぼかすことができるようになったのは評価できる。プレビューしながらボケをコントロールできるのは以前と同様だ。
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 超広角カメラはフルサイズ換算約14mmと迫力がある。被写体を大きくフレーム内に配置してシャッターを切るのがコツだ。ナイトモードでもこの画角が使えるようになったので表現の幅が拡がった。室内を広く写したり風景をより雄大に写すのに使ってみよう
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 望遠カメラが「iPhone 12 Pro Max」はフルサイズ換算約65mmと長焦点距離化された。これによってより遠くのものを大きく、パースを圧縮しての撮影が可能になった。レンズはやや暗くなったが、静物やフード、スナップ撮影に役立つ長さとなり使い勝手が向上した。タイルの高精細な描写に驚かされた。
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 「iPhone 12 Pro Max」は低照度下の撮影に強くなったが、強烈な点光源には注意が必要だ。街灯やスポットライト、クルマやバイクのヘッドライトなどを正面付近から撮ると盛大にゴーストとフレアが発生する。このカットは高速道路を走るクルマを撮ったものだが、空の部分にUFOらしきものが多数写っている。正面付近からポジションを変えて、反射の少ない構図を取ることが大切である。
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 「iPhone 12 Pro Max」は超広角から望遠まで幅広く被写体を撮れるスマートフォンだ。東京国際フォーラムを撮ったカットだが、ハイライト部からシャドウ部まで安定したシャープな写りをしてくれた。誰でも失敗のない写真が撮れる現代の超簡単なデジタルカメラだと言えよう。
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カメラ機能で選ぶなら iPhone 12 Pro Max

 「iPhone 12 Pro Max」はカメラ機能を考えるとシリーズナンバーワンの機種になっている。特に大きなセンサーの広角カメラは手ブレにも強く描写もいいし、望遠カメラは一段と長くなり、撮影領域がグンと広がったと言える。また「Apple ProRAW」モードで撮ることによって、アプリによる現像処理も楽しめるようになった。ただ「iPhone 12 Pro Max」は大きくて重い。「iPhone 12 mini」の約2倍近い重量なのだ。なので実際にiPhone取扱い店舗で手にしてみることをオススメする。もし気にならないのであればチョイスする価値があるスマートフォンだ。

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