シグマ 35mm F2 DG DN Contemporary レビュー|街なかに溶け込めるスナップレンズ

00_シグマ 35mm F2 DG DN Contemporary製品画像.jpg

はじめに


 2020年12月18日に発売された、シグマのミラーレスカメラ用レンズ「35mm F2 DG DN | Contemporary」は、フルサイズ対応の新レンズシリーズ「Iシリーズ」として発表されたレンズの一本で、この「Iシリーズ」は、本レンズと同日発売の「65mm F2 DG DN | Contemporary」、2021年1月22日発売予定の「24mm F3.5 DG DN | Contemporary」、すでに発売済みでSIGMS fpのキットレンズとしてもお馴染みの「45mm F2.8 DG DN | Contemporary」の4本がラインアップされています。

 今回は、SIGMA fpと「45mm F2.8 DG DN | Contemporary」を愛用する筆者が、スナップに最適な「35mm F2 DG DN | Contemporary」を持って、街を撮り歩いてみました。

街なかに溶け込めるコンパクトサイズ


01_シグマ 35mm F2 DG DN Contemporaryで撮影した作例.jpg
■撮影機材:SIGMA fp + 35mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f/2 1/640秒 ISO100 AWB カラーモード FOVクラシックブルー

 スナップ撮影で重視したいのは、機材がコンパクトなこと。本レンズはSIGMA fpに装着すると、手のひらにすっぽり収まるサイズになります。スナップ撮影はとにかくたくさん歩きます。そんな撮影時に持ち歩きが苦にならないとともに、街なかに溶け込めるサイズなのは、筆者としてはまず嬉しいポイントのひとつです。

 この「Iシリーズ」のレンズでスペックを語ることは、野暮なことのようにも思いますが、レビューなので少しだけ触れさせてください。開放F値はF2、絞り羽根枚数は9枚の円形絞り、レンズ構成枚数は9群10枚(SLD1枚、非球面レンズ3枚)、最短撮影距離は27cm、今回試用したLマウントの大きさと重さは70mm×65.4mm、325gです。

 気になる描写性能ですが、ピントが合っている面のクリアーさは素晴らしく、ショーウインドウのガラスすら感じさせないほどです。かと言って角が硬い描き方ではないのは、とても筆者好みの描写でした。不自然なゆがみや、色収差もよく抑えられていて、斜めからの日差しの強い冬の日中のスナップも快適に行えました。

持つ喜びを感じさせてくれるデザイン


02_作例.jpg
■撮影機材:SIGMA fp + 35mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f/2 1/400秒 ISO100 AWB カラーモード モノクローム

 撮る喜びだけではなく、所有する喜びに価値基準を置いた本レンズは、実際に触ってもらいたいと思いました。手にするとひんやりと冷たく、金属素材を主に使用したしっとりとした黒色のレンズボディは、贅沢さを感じさせてくれます。

 また、フォーカスリングと絞りリング、レンズフードには、ローレットという細かい溝がついているのですが、滑り止めという利便性以上にデザインとして、いいアクセントになっています。

 レンズに色々なロゴやマーク、加工などがされているものは好きではないのですが、あまりにも素っ気ないのも、いかにも「撮るだけ!」という機械感が出てしまって味気ない……本レンズは、その辺りの足し算と引き算を上手に使ったデザインに仕上がっています。

重めのトルクと使いやすい切り替えスイッチ


03_作例.jpg
■撮影機材:SIGMA fp + 35mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f/2 1/320秒 ISO100 AWB カラーモード サンセットレッド

 絞りリングのトルクは重めのクリック感があるので、レンズを見ずに絞りを変えても、指の感触で狙った絞り値にしやすかったです。フォーカスリングは程よい粘り感があります。動きはスムーズなので、これくらい粘りがあったほうが、細かいフォーカスの調整がしやすいと感じました。

 本レンズと「65mm F2 DG DN | Contemporay」のフォーカスモード切り替えスイッチは、新規専用開発のロングストロークスイッチが採用されています。今まではレンズに垂直に付いていて、カメラを構えたときに前後に動かして切り替えていたスイッチが、本レンズではレンズに平行に付いていて、カメラを構えた状態ではスイッチを上下に動かして切り替える形状になっています。

 その形状の変化によって、切替時のしっかりとしたクリック感をより味わえるようになっているとのことですが、操作上も、ストロークが長い分しっかりと指が動くので、切り替えの誤操作が格段に少なくなりました。

便利なマグネット式メタルキャップ


04_作例.jpg
■撮影機材:SIGMA fp + 35mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f/2 1/640秒 ISO100 AWB カラーモード シネマ

 本レンズは、オールドレンズを持ち歩くのに似た感覚を覚えました。小さいけれどずっしりと重く、金属的で重厚感があり、直線的なデザインと重めのトルク。そんな本レンズにはひとつ、革新的な外観要素があります。それが、マグネット式メタルキャップです。

 本レンズには、通常のプラスチック製キャップに加えて、専用のマグネット式メタルキャップが付いてきます。その名の通り、磁力でレンズの前面を保護してくれるレンズキャップです。これに、別売りのカラビナ付きのマグネット式メタルキャップホルダーを使用すれば、山道を走ってもレンズキャップの紛失を防ぐことができます。

 レンズキャップって、毎回迷子になっちゃうんですよね。コートのポケットだったり、ジーンズのポケットだったり、カメラバッグの中だったり、外す度に毎回違う所にとりあえず入れてしまうので、どこに入れたかわからなくなっちゃって。これは、本気で便利です!

価格も含めてバランスの良いレンズ


05_作例.jpg
■撮影機材:SIGMA fp + 35mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f/2 1/500秒 ISO100 AWB カラーモード ティールアンドオレンジ

 絞り開放時の奥行き感と、ピント面からボケへの自然なグラデーションが美しく、今回は筆者にしては珍しく、アンダー目のカットを多く撮影していました。

 カメラを愛する人の機材欲や、写真欲は人それぞれですが、できることなら高画素のカメラボディと、できるだけ明るい大口径のレンズが欲しいという方も多いことでしょう。F2でこれだけ綺麗にボケるなら、F1.8だったら、F1.2だったらと夢や欲が膨らむかもしれませんが、F値が小さくなることで大きさやデザイン、価格が変わってしまうようなら、筆者はこのままがいいと思いました。それくらい、すべてのバランスがいいレンズだと思います。

絞り開放でも掴みやすいピントの山でMFも快適!


06_作例.jpg
■撮影機材:SIGMA fp + 35mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f/2 1/400秒 ISO100 AWB カラーモード ティールアンドオレンジ

 スナップのときは絞り値をF5.6くらいにして撮ることが多いのですが、本レンズは絞り開放の描写が楽しくて、F2でばかり撮影していました。被写界深度が浅くてもピントの山は掴みやすく、SIGMA fpの背面液晶を見ながらの、マニュアルフォーカスでのピント合わせもしやすかったです。

 作例は、葉の隙間から見えるほおずきに、マニュアルフォーカスでピントを合わせています。SIGMA fpではマニュアルフォーカスを使用することも多いので、前述のフォーカスモード切り替えスイッチの感触はたっぷり味わえました。

ポートレートや動画撮影にも使ってみたいレンズ


07_作例.jpg
■撮影機材:SIGMA fp + 35mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f/2 1/100秒 ISO100 AWB カラーモード ティールアンドオレンジ

 最短撮影距離が27cmなのですが、実際に撮影してみると、思っているよりも寄れると感じました。円形絞り採用なので、光の丸ボケも綺麗に出ます。今回はスナップでしたが、今度は屋外でのポートレートを撮ってみたいと思いました。このコンパクトさなら、ジンバルに乗せてもそれほど重量を感じないので、動画撮影も楽しそうです。

王道スナップレンズ


08_作例.jpg
■撮影機材:SIGMA fp + 35mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f/2 1/320秒 ISO100 AWB カラーモード 風景

 現在4本のレンズがラインアップされている「Iシリーズ」、どれを手に入れようか迷われている方も多いと思います。35mm画角の本レンズは、街なかスナップを撮る方には標準画角の王道スナップレンズとして、自信を持ってお勧めしたいと思います。