私のメインカメラはキヤノン EOS R6。その驚異のスペックと操作性を中心にレビューします!

鶴巻育子

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はじめに

 キヤノン製品で「6」といえば2番手と思われがちですが、EOS R6は今後、キヤノンフルサイズミラーレスのスタンダードモデルに位置付けられるそうです。EOS-1D X Mark IIIのCMOSセンサーを改良して搭載され、EOS R5と同様のエンジンDIGIC Xが採用されていると聞けば、納得。同時期に発表されたEOS R5とどちらを購入するか迷ってる方も多いのではないでしょうか。コストパフォーマンス、サイズ感、操作性を含めて考えた結果、現在、私のメインカメラは、EOS R6。その驚異のスペック、操作性などを中心にレビューします。

高画質

 いつからか、デジタルカメラはまず画素数を気にする傾向になっており、約2010万画素と聞くと頼りなく感じてしまうのは確かです。しかし、EOS R6は、EOS-1D X Mark IIIをベースに開発されたCMOSセンサーとEOS R5と同様のエンジンDIGIC Xが採用されています。

 こちらの港風景の写真は、キットレンズのRF24-105mm F4-7.1 IS STMを使用して高層ビルから撮影しています。コンテナに積まれるのを待つ自動車や手前の木材の細かな部分まで描写されており、非常に高精細であることが確認できます。

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f/11 1/125秒 ISO100 露出補正-0.3 焦点距離27mm

 チェスの写真は、RF50mm F1.2 L USMを装着し開放F1.2で撮影。さすが大口径レンズ。繊細で美しいボケとピント部分のシャープさ、立体感が際立ちますが、逆光で捉えたチェスの駒の白と、背景の黒の色に注目していただくと、ダイナミックレンジの広さが確認できます。パソコン画面よりもプリント作品にしたときにこそ、階調の豊かさが実感できると思いました。

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF50mm F1.2L USM
■撮影環境:f/1.2 1/50秒 ISO100 露出補正-0.7 焦点距離50mm

 画像を広告写真など仕事として使用する場合や展示で大判プリントをすることを考えると当然大きい画素数が必要となりますが、過度なトリミングをしない限り、A4やA3サイズを出力するには2010万画素でも全く支障はなく、データ保存の容量など考慮すると、通常の使用ではむしろ最適とも言えるかもしれません。

高感度性能

 EOS R6の常用ISO感度は100~102400を実現しています。EOS R5に関しては100~51200までとなっていることから、夜間や暗所での撮影ではEOS R5よりも有利。こちらの高感度のISO1600で撮影した写真を見るとわかるように、高架下の壁や天井部分もノイズが感じられず滑らかに仕上がっています。

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f/7.1 1/13秒 ISO1600 露出補正-1 焦点距離24mm

 このカラスの写真はRF600mm F11 IS STMを装着して高感度で撮影しました。ISO2500に設定していますが、やはりノイズが発生していません。太陽光が当たったカラスの羽が、質感や色のグラデーションなどディテールが美しく表現されているのがわかります。高感度撮影とは思えない階調豊かな描写を得ることができ、夜のスナップ撮影や都市の夜景風景撮影にも、高ISO感度でも躊躇なく撮影が楽しめます。

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF600mm F11 IS STM
■撮影環境:f/11 1/100秒 ISO2500 露出補正-0.7 焦点距離600mm

手ブレ補正性能

 キヤノンはこれまで手ぶれ補正機能はレンズ側のみ採用してきましたが、遂にEOS R5とEOS R6ではボディ内手ぶれ補正が搭載されました。装着するレンズにもよりますが、5軸の補正に対応し最高でIS8段が補正される効果(レンズとボディーの協調制御による補正効果)は、他社と比較しても圧倒的です。

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f/8 1/4秒 ISO125 露出補正-0.3 焦点距離105mm

 RF24-105mm F4-7.1 IS STMを装着し、望遠端、シャッタースピード1/4秒、手持ちで撮影に挑戦してみました。100%ではありませんでしたが、かなりの確率で成功。広角側だと1秒以上に設定してもブレなく写せました。暗い場面でも、手持ちで低感度の高画質を得られるのがメリット。ほかにも、車のライトなどを利用した光の軌跡や、被写体ブレを生かした撮影をする場合、以前は三脚必須でしたが、手持ちならいつでも気軽に撮影可能ですから、スナップでも撮影の幅が広がります。

AF性能

 カメラ内のさまざまな機能に頼らず撮影するのが絶対と考えていた私は、AFはワンショット、スポット1点を貫いてきました。しかし近頃は拘りを捨て、便利な機能は使ってみようと気持ちの変化が起きています。ディアルピクセルCMOS AF IIを搭載し、広範囲に及び高速で精度の高いオートフォーカスを実現したEOS R6。私も早速、顔+追尾優先AFに設定しカモメや猫を狙ってみました。ピントは瞳に面白いほどピッタリ合致。飛んでいるカモメにフォーカスが追尾し続けます。これじゃ、撮影スキルも必要なくなっちゃう?! と戸惑いを感じますが、とにかく、いいモノが撮れたらいいんじゃない?と素直に受け入れることに。

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF24-105mm F4-7.1 IS STM
■撮影環境:f/9 1/800秒 ISO125 露出補正-0.3 焦点距離24mm

 このAF性能は、動物撮影にはもちろん、スポーツや子どもの撮影にも重宝するに間違いありません。測距エリアは、最大で縦横100%を達成しています。但し、レンズによって測距エリアの範囲が異なり、私が最近お気に入りの新レンズRF600mm F11 IS STMとRF800mm F11 IS STMの場合はAFエリアが横40%縦60%の範囲に制限されます。被写体は殆ど中央に配置する私にとっては全く問題ありません。余談ですが、この2本のレンズ、F11固定というハンデはありますが、軽量、安価で本気でおすすめです。

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF600mm F11 IS STM
■撮影環境:f/11 1/800秒 ISO1600 露出補正-0.3 焦点距離600mm

操作性

 EOS Rに搭載されていたマルチファンクションバーがなくなり、サブ電子ダイヤルが復活。私もその一人でしたが…この変更は多くのEOSユーザーの声を反映した結果?…ですよね。サブ電子ダイヤルを親指でクルクル回す感覚は、身体に染み付いているので抜群の使用感。カメラはとにかくシンプルな操作性が好みな私にとって、EOS R6はモードダイヤルというのも大きなポイントで、操作性に関しては、個人的にEOS R5よりも断然好み。

 電子ビューファインダー(EVF)の進化も魅力のひとつです。画像がカクカクせず滑らかなEVFは、光学ファインダーに慣れている人でも、違和感なく使用できると思います。今まで背面モニターとの切り替えのちょっとしたレスポンスのズレがどうにもストレスでしたが、そこも改善されており、もうストレスを感じることはありません。

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■撮影機材:キヤノン EOS R6 + RF35mm F1.8 MACRO IS STM
■撮影環境:f/2.2 1/2500秒 ISO400 露出補正-1 焦点距離35mm

信頼性

 デュアルスロットが採用となり、画像をダブルで書き込めるのは安心感が増します。静止画、動画の記録の振り分けも可能です。さらに、新規フォルダーも作成できるので、撮影後の画像整理もスムーズに進むのは想像がつくはずです。

 そして、意外と大事なのが、バッテリーです。以前までメインカメラとして使用していたEOS RPではバッテリー(LP-E17)を常に3~5本は予備として持ち歩いていました。EOS R6のバッテリーLP-E6NHは、容量が2130mAhに増量され持ちがかなり良いため、一日スナップしていても、1本で済むことがほとんど。さらにうれしいのは、EOS 5Dや6DのバッテリーLP-E6Nも使用できるため、一眼レフカメラも所有しているユーザーにとっては、とりあえずは予備バッテリーを改めて購入する必要がないのも大きなアドバンテージです。

動画性能

 EOS R6の性能を動画撮影でも検証してみました。水族館で熱帯魚やクラゲを狙ってみたところ、さすがカメラ内5軸手ブレ補正機能により手持ちでも快適に行え、AF設定を追尾優先AFにセットすれば、面白いほど動くクラゲにピントを合わせ続けてくれました。私は子どもがおりませんので試せませんでしたが、小さな子どもやペットの撮影に重宝するのは間違いないですね。

 今回はFHDでの撮影でしたが、もちろん4Kにも対応しており手軽に高画質の映像を楽しめます。既にテレビ画面では4Kが主流となっていますので、撮影した映像をテレビで観ると考えれば、4Kで撮影するのがベターでしょうか。

 私がハマったのは、タイムラプス動画。空の変化や人の動きなど、時間の流れを感じる場面を選ぶと効果を感じられます。普段見慣れた風景も、不思議な世界に変化します。最近は、Youtubeなどで料理の手順説明に活用している方も多いですね。

まとめ

 冒頭にも述べましたが、キヤノンの「6」と言えば、「5」の廉価版というイメージでしたが、これからは、これぞ「New Standard」と言えるカメラ。歴代のキヤノンミラーレスシリーズを使い続けてきて、その都度、もうひとつ物足りなさを感じていたのは事実でしたが、EOS R6は、驚異的なスペックはもちろんですが、キヤノンらしい操作性が戻ったことに加え、ファインダーの見易さが、そのモヤモヤ感を感じず、ストレスフリーで気持ちよく撮影できる理由なのでしょう。

■写真家:鶴巻育子
1972年、東京生まれ。広告写真、カメラ雑誌の執筆のほか、ワークショップやセミナー開催など幅広く活動。写真家として活動する傍ら、東京・目黒、写真専門ギャラリーJam Photo Gallery 主宰を務める。ライフワークでは、これまでに世界20カ国、40以上の都市を訪れ、街スナップや人物を撮影。主な写真展 Brighton-a little different(2012年、オリンパスギャラリー)、東京・オオカミの山(2013年、エプソンイメージングギャラリーエプサイト)、3[サン] (2015年、表参道スパイラルガーデン)、THE BUS(2018 年、ピクトリコギャラリー・PLACE M)、PERFECT DAY(2020年、キヤノンギャラリー銀座)など。THE BUS(2018年、自費出版)、PERFECT DAY(2020年、冬青社)がある 。

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