シグマ 105mm F2.8 DG DN MACRO Art|描写性能も演出力も想像以上

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はじめに


 「日常さえも想像以上」をキャッチコピーとして昨年発売された「105mm F2.8 DG DN MACRO | Art」は、シグマのミラーレス専用Artライン初のマクロレンズです。Artラインらしく光学性能最優先で設計された本レンズは、描写性能と表現力を重要視して開発されているので、とにかく作り出される画が綺麗なのが特徴です。今回は、本レンズのレビューを、静止画と動画のポートレートでお送りします。

どこまでも寄れるポートレートレンズ


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■撮影機材:SIGMA fp + 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
■撮影環境:f/2.8 1/160秒 ISO2000 WB5300K カラーモード「ポートレート」
■モデル:成沢紫音

 マクロレンズというと、接写をしなくてはいけないような気になってしまうかも知れませんが、画面中央から周辺部までしっかりと描き出す高い解像力と、軸上色収差を抑えた雑味のない素直な描写の本レンズは、ポートレート撮影でも十分に活躍してくれるスペックです。寄りたくなったときにどこまでも寄れる中望遠レンズとして使用すると、撮影者の撮りたい気持ちに寄り添ってくれる、頼れるパートナーとなります。

 ピントを合わせたところのシャープさはさすがで、シャキッとまつ毛と二重のラインをシャープに描き出してくれています。そこからなだらかに、そして自然にボケていくのが、本レンズがポートレートに最適なレンズだと筆者が感じる由縁でもあります。

ポートレート風ショートムービー


■撮影環境:カラーモード「ポートレート」 三脚使用
■モデル:成沢紫音

 マクロレンズの「どこまでも寄れる」が、このムービーの撮影にはさらに便利でした。最短撮影距離が29.5cmなので、手元や目のアップなど、自由度の高い撮影が行えます。今回は大きなボケ味を楽しみたかったので、全編絞り開放で撮影しています。

空気感を自然に描き出す演出力


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■撮影機材:SIGMA fp + 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
■撮影環境:f/2.8 1/30秒 ISO200 WB5300K カラーモード「ポートレート」 三脚使用
■モデル:成沢紫音

 筆者は本レンズのSample photo galleryの作例を担当したので、本レンズとのお付き合いはかなり長いです。使い始めからシグマらしいなと感じていたのが、空気感まで描き出す演出力でした。

 もともとがマクロレンズ好きな筆者は、物でも人でも最短撮影距離の撮影はよく行うのですが、そのときに重要になるのが、背景の描写をいかに丁寧に仕上げてくれるかだったりします。ピントが合っている面がしっかりとシャープに描かれているのは当然として、その背景のボケが不自然だったり雑味があると、全体のムードが台無しになってしまいます。そこを空気感として、構図内に存在させることが自然にできるのが本レンズです。

 ピントが合っている面はもちろんですが、合っていない隅々までを、ぜひしっかりご覧になっていただきたいのとともに、本レンズのオーナーになると、何をどのようにボカそうかを今までよりも考えるようになるので、絞り開放の撮影がさらに楽しくなります。

便利なフォーカスリミッタースイッチ


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■撮影機材:SIGMA fp + 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
■撮影環境:f/3.2 1/160秒 ISO800 WB5300K カラーモード「ポートレート」
■モデル:成沢紫音

 レンズボディにはフォーカスリミッタースイッチがあり、0.295m-0.5m、0.5m-無限遠、FULLの3つの切り替えができます。被写体との撮影距離によってスイッチを切り替えることによって、思わぬところにピントが合ってしまうことを減らしたり、AFが迷子になる確率を下げることができます。

 特に抜けのある構図で、ピントを合わせたい被写体に明暗の差が少ないこの作例のような撮影では、フォーカスリミッタースイッチを使用すると、ストレスなくピント合わせが行えるのでお勧めです。

 AFは静かで速さもあるので、通常の撮影では困ることはありませんが、小さな被写体や、強すぎる逆光時には多少迷子になることもあります。三脚が使用できるのでしたら、カメラの背面液晶画面で拡大表示をしながら、MFでピント合わせをするほうが早い場合もありますので、被写体や撮影状況によってAFとMFを使い分けるといいでしょう。

画面の隅々まで綺麗に描き出す描写性能


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■撮影機材:SIGMA fp + 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
■撮影環境:f/2.8 1/60秒 ISO400 WB5300K カラーモード「ポートレート」 三脚使用
■モデル:成沢紫音

 通常は、フットワークを重視してポートレートの静止画撮影時に三脚は使用しないのですが、今回は同時に動画を撮るために三脚を使用していたので、いつもは撮らないようなカットも多く撮っていたなと、あとになってから気が付きました。

 少し下を覗き込むようなこのカットは、背伸びをした猫目線。プロフィール写真的にいうと、もっと顔色を明るく仕上げたいところですが、丸くすぼめた手の向こう側に丸ボケが見えているのが綺麗だったり、右足の膝に当たる光が輪郭を綺麗に縁取っているところを見ると、ムードを重視したくなりました。

 アップの構図にすることによって、画面周辺部の髪の毛一本一本も、繊細にしっかりと描かれているのが見て取れると思います。

素直なボケ味は印象的なシーンを作り上げてくれる


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■撮影機材:SIGMA fp + 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
■撮影環境:f/2.8 1/160秒 ISO2000 WB5300K カラーモード「ポートレート」
■モデル:成沢紫音

 素直なボケ味が活きるのが、ポートレートではモデルの体を使って奥行き感を出したいこんなシーンです。

 ピントはモデルの目に、そこから前にある手、さらに前に伸びる足へとボケが大きくなっていく。人間の体なので、ここが雑なボケ方をしていると途端に美しくない画となってしまいます。肌色の微妙な色味のグラデーションと、自然な優しいボケが合わさることで、人物を印象的な立体感で描くことができます。

取り回しのいいコンパクトサイズ


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■撮影機材:SIGMA fp + 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
■撮影環境:f/2.8 1/160秒 ISO2000 WB5300K カラーモード「ポートレート」
■モデル:成沢紫音

 レンズの外観はスッキリとした筒型で、ピントリングの溝が大きいのが気に入っています。ピント調節のためというよりも、手持ちでの撮影のときにしっかりとホールドしやすいからです。ボディサイズも、これで105mmなら十分でしょうという小ささで、SIGMA fpのコンパクトボディに装着しても、片手で取り回せる軽さです。レンズフードは丸型でしっかりと深みがあります。

 また、レンズボディに付いている絞りリングロックスイッチは、A以外の位置でONにするとAの位置に入らなくなるので、手が滑って絞りがオートになってしまうような事故が防げますので、撮影時は使用をお勧めします。

「もっと寄りたい」を叶えてくれるレンズ


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■撮影機材:SIGMA fp + 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
■撮影環境:f/2.8 1/160秒 ISO2000 WB5300K カラーモード「ポートレート」
■モデル:成沢紫音

 主に水族館での撮影に使用していた本レンズですが、中望遠のハイスペックレンズとして、ポートレート撮影に使うと、さらに撮影が楽しくなるレンズだとあらためて実感しました。サイズもコンパクトなので、外での撮影でもモデルと周囲に威圧感を感じさせません。

 テーブルフォトや花だけではなく、心惹かれる被写体に「もっと寄りたい」を叶えてくれる描写性能、演出能力の高いレンズとして、これからも出番が増えることでしょう。


■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。 (社)日本写真家協会(JPS)会員。


「105mm F2.8 DG DN MACRO | Art」はこちらの記事でも紹介されています


■シグマ 105mm F2.8 DG DN MACRO Art レビュー | 待望のミラーレス専用Artライン マクロレンズ
https://shasha.kitamura.jp/article/478155335.html


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