シグマ fp L レビュー|三井公一

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はじめに


 シグマから6100万画素センサーを搭載した小型軽量のフルサイズミラーレス一眼カメラが登場しました。その名前は「SIGMA fp L」です。大人気の世界最小最軽量フルサイズミラーレス一眼カメラ「SIGMA fp」の兄弟機となるモデルになっています。掌に収まるとても小さなボディから生み出される超高画素の写真は、一体どんなものになるのか興味しんしんですね。また同時に発表された電子式ビューファインダー「EVF-11」も要注目となっています。

SIGMA fp L の主要スペックと新機能


 「Pocketable Full-frame(ポケッタブル・フルフレーム)」、「Scalable(変幻自在の拡張性)」、「Seamless(本格的で自在な撮影機能)」を標榜する「SIGMA fp」ですが、今回登場したこの小さなモンスターカメラ「SIGMA fp L」の性能はどのようなものでしょうか。まずは主要スペックを見てみましょう。

 大きさは「SIGMA fp」と変わりません。幅112.6mm、高さ69.9mm、厚さ45.3mmとなっています。とても小さいですね。重量は「SIGMA fp L」がわずかに5g重く、本体375g、総重量(SDカード, バッテリー込)427gという感じです。これでもフルサイズフォーマット機として驚きの軽さと言えるでしょう。

 センサーは35mmフルサイズ(36.0mm×24.0mm)裏面照射型CMOSセンサーとなっています。SIGMA fpと同じくベイヤー方式です。また光学ローパスフィルターを採用しています。カメラ有効画素数は約6100万画素で、9520 × 6328ピクセルというとんでもない解像度となっています。シグマ史上最高解像度で、ライカLマウント機としてもこれ以上のものは存在しません。ISO感度はベース感度がISO 100と400という仕様です。設定可能感度はISO 100~25600で、拡張すればISO 6~102400まで使うことができます。

 大きなトピックとしてはハイブリッドAFの採用でしょう。従来のコントラスト検出方式に加えて像面位相差オートフォーカスを搭載したことです。測距点は49点でより高速で正確なピント合わせが可能になったところでしょう。もちろん顔および瞳優先AFも採用されています。スチルだけでなくシネ撮影時でも安心ですね。

 面白いのは高解像度を活かした新機能「クロップズーム」でしょうか。6100万画素というぜいたくなピクセルを、最大5倍まで画面中央部をクロップして撮影できるのです。純粋なデジタルズームなのですが、単焦点レンズ装着時など「もっと大きく被写体を撮りたい!」というケースに大いに役立つ機能となっています。タッチパネル式LCDモニターをピンチイン・ピンチアウトすることによって直感的にクロップすることが可能です。他には「USB給電」に対応したこともニュースでしょう。詳細はシグマの特設サイトをチェックしてみてください。

EVF-11


 「SIGMA fp L」と同時に発表された電子式ビューファインダー「EVF-11」はカメラボディサイドに後付けするタイプのファインダーです。「LVF-11」という光学式の外付けファインダーも用意されていますが、それと比較すると大幅にコンパクトなものになっています。0.5型、約368万ドットの有機ELパネルを採用し大変見やすいものに仕上がっています。接眼部が稼働するのでウェストレベルでの撮影も楽に行うことができます。接眼部とカメラとレンズに添える両手との三点支持で手ブレを低減させる効果もあるので、「SIGMA fp L」には必須の撮影アイテムと言えるでしょう。なお将来のファームウェアアップデートによって「SIGMA fp」でも使用できるようになる予定です。

使用感


 さて「SIGMA fp L」の撮影フィーリングはどのようなものでしょうか。結論から言うと「SIGMA fp」と大きく変わるところはありません。操作体系が変わったわけではないのでそれは当然ですよね。シンプルでわかりやすいメニュー体系や、使いやすいボタンおよびダイヤル配置などであっという間に手に馴染むのは「SIGMA fp」と同様でした。ただ6100万画素という高解像度センサーを採用したので「手ブレ」に注意が必要です。ボディ内手ブレ補正機能も非搭載ですし、シグマのミラーレス一眼カメラ専用設計の「DG DN」「DC DN」レンズ群も手ブレ補正機能を持ったものは1本しか存在しません。なのでスローシャッター撮影時にやや慎重さを求められるくらいでしょうか。

 そこで役立つのが先ほど触れた「EVF-11」です。これを装着することによって、接眼部と左右の手による三点支持が効いてきます。必須のアクセサリーと言えるでしょう。これをつけて撮影すれば、6100万画素の圧倒的高解像度のディテールあふれる写真を楽しめること間違いなしです。

作例


 では「SIGMA fp L」の実写作例をご覧に入れましょう。6100万画素のパワーは絶大で、4Kモニターで見ると圧倒されるほどの精細感です。風景や静物、建築やスナップ撮影ではもの凄い威力を発揮できるカメラに仕上がっていますよ。

 「SIGMA fp L」に「SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary」を装着して、熱海のハーバーを撮影しました。精細感とヌケ感ある爽やかなカットになりました。ボートのディテールと立体感が高解像度によってよりリアルに感じますね。
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■撮影機材:SIGMA fp L + SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary
■撮影情報:f/11 1/200秒 ISO100 露出補正-0.7 焦点距離24mm

 斜光を浴びる街角の古びた建物を撮りました。レンズは「I シリーズ」の「SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary」です。ハイライト部からシャドウ部まで情報量豊かな描写を「SIGMA fp L」は見せてくれました。壁面の表現はさすが6100万画素ですね。
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■撮影機材:SIGMA fp L + SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影情報:f/8 1/250秒 ISO100 露出補正-1.3 焦点距離65mm

 「SIGMA fp L」の描写力は素晴らしいですね。その威力を発揮するのに電子式ビューファインダー「EVF-11」は必須と言えるでしょう。しっかりと額と両手でホールドできるので微ブレを防げるからです。干されている布団とアパートの壁を緻密にキャプチャーできました。
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■撮影機材:SIGMA fp L + SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
■撮影情報:f/2 1/2500秒 ISO100 露出補正-1.3 焦点距離65mm

 「SIGMA fp L」に超ワイドズームレンズ「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」を装着して産業遺構に迫りました。鈍い光りを放つパイプを情感豊かに撮影できました。その表面のザラザラとした感じや、ボルトとナットの経年変化の様子など肉眼以上に克明に記録できたと感じます。「SIGMA fp L」の威力はスゴいですね。
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■撮影機材:SIGMA fp L + SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art
■撮影情報:f/2.8 1/50秒 ISO100 露出補正-2 焦点距離14mm

 ハイブリッドオートフォーカスを採用した「SIGMA fp L」はスナップにも好適です。富士山を背景に歩く人物を「SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN | Contemporary」を使ってシューティング。ピントも高速かつ正確ですし、レンズ内手ブレ補正機能がよく効き、テレ端の400mmですがシャープにイメージどおりのカットを撮ることができました。
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■撮影機材:SIGMA fp L + SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN | Contemporary
■撮影情報:f/8 1/1600秒 ISO100 露出補正-0.7 焦点距離400mm

 近所に放置されている往年の外国車を「SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art」を「SIGMA fp L」に装着してシャッターを切りました。永年積もったホコリの様子、引かれることがなかったドアノブの素材感まで余すところなく6100万画素の高解像度センサーは捉えてくれました。コントラストや発色もリアルだと感じました。
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■撮影機材:SIGMA fp L + SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art
■撮影情報:f/1.4 1/3200秒 ISO100 露出補正-1.3 焦点距離85mm

 寺社にそびえる石塔。さまざまな文字が刻まれていますが、「SIGMA fp L」は恐ろしいほどにそれらを記録してくれます。レンズは「SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art」を使いましたがリアル感タップリです。「SIGMA fp L」で撮ると4Kモニターで撮影結果を確認するのが本当に楽しいひとときとなります。シグマ独自の「Foveon」センサーで撮影したかのような感動ですね。
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■撮影機材:SIGMA fp L + SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
■撮影情報:f/8 1/400秒 ISO100 露出補正-1 焦点距離70mm

さいごに


 「SIGMA fp L」が搭載する6100万画素高解像度センサーの魅力はその圧倒的な描写力にあります。風景や静物、ポートレートやスナップなど、キッチリと撮影できたカットを大画面モニターで見る時間はまさに至福の時と言えるのではないでしょうか。しかも掌にカンタンに載ってしまう世界最小最軽量のフルサイズボディで撮れるのです。本当にスゴいですよね。魅力的なシグマレンズ群と組み合わせて撮影するのが楽しくなるカメラです。兄弟機「SIGMA fp」との2台持ちで撮影するのもオススメです!

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。

「fp L」はこちらの記事でも紹介されています


■シグマ fp L レビュー|映像表現の可能性について
https://shasha.kitamura.jp/article/481458600.html

■シグマ fp Lのパウダーブルーで楽しむポートレート|水咲奈々
https://shasha.kitamura.jp/article/481497085.html


■更新
・2021年5月17日:「シグマ fp L レビュー|映像表現の可能性について」、「シグマ fp Lのパウダーブルーで楽しむポートレート|水咲奈々」への記事リンクを追加



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