魅惑の「リフレクション」写真の撮り方|坂井田富三

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はじめに


 今回のテーマは、反射(リフレクション)を利用した撮影です。リフレクション撮影は、水面やガラスなどの反射を利用してシンメトリーな世界を演出したりする事ができ、とても魅力的な写真を撮ることができます。主に水面の反射を利用する撮影が多いのですが、暗い時間帯に撮影すると比較的簡単に反射効果を反映させた写真を撮影することができます。もちろん明るい時間帯でも光の角度などによってはとてもキレイなリフレクション写真を撮ることもできます。実際に撮影した写真を使って、どんな設定や機材を使ってより効果的なリフレクションを表現しているか紹介します。

リフレクション撮影に便利なアイテム


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■撮影機材:SONY α1 + TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD
■撮影環境:シャッター速度1/80秒 絞りF10 ISO200 焦点距離 79mm 
※MARUMI EXUS サーキュラーP.L MarkIIフィルター使用
※川を流れる花筏(はないかだ)に、写り込んだ桜の木と青空をPLフィルターを使用(反射を強めて)して撮影

 必須アイテムという訳ではありませんが、効果的なリフレクションを得るためにPLフィルターを使用する事をおすすめします。PLフィルターは偏光膜を用いることで光の反射を抑えたり、逆に反射を増やしたりすることが出来るフィルターですが、リフレクション効果を最大限にする為に、一番反射がでるポジションになるようにフィルターを回転させて使用します。もちろんPLフィルターを使用しなくて十分に反射効果を得られる場合もありますが、使用した方がより反射効果を実感できる写真を撮ることができます。

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PLフィルター「EXUS サーキュラーP.L MarkII」はこちらからご覧頂けます。

 少し注意が必要な点は、PLフィルターはフィルターを見てもらえば分かるのですが、偏光膜が入っているので少し黒っぽく暗くなっています。PLフィルターを装着する事で、露出が1段~2段落ちてしまうので、シャッター速度の設定には十分気をつけましょう。合わせてPLフィルターは回転させて効果を調整するため、撮影にあたっては三脚を利用した方が調整はしやすいと思います。

 PLフィルターは、風景写真を撮る上でとても有効的なフィルターなので、ぜひ持っておきたいアイテムの一つです。下の写真はPLフィルター効果の比較です。

03_PLフィルター比較作例.jpg
左:フィルター無し、中央:PLフィルター使用(反射を弱める)、右:PLフィルター使用(反射を強める)

 シンメトリーな反射風景を撮る場合には、実像と反射部分の濃度の調整をする為にグラデーションNDフィルターを合わせて使用する場合もあります。リフレクション撮影で有名な撮影スポットの千葉県市原市にある小湊鉄道の飯給駅(いたぶえき)で撮影した写真でフィルター効果の違いを紹介します。空を入れたシンメトリーな構図で撮影する場合、どうしても反射部分(水面)の方が暗く写ります。下の写真はフィルターを使用しないで撮影しています。

04_作例.JPG
■撮影機材:SONY α1 + TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD
■撮影環境:シャッター速度1/125秒 絞りF8 ISO800 焦点距離 40mm

 この露出の差を調整するためソフトグラデーションNDフィルターを使用して、空の露出を落とし、実像部分と反射部分の露出の差を調整します。

05_作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R IV + FE16-35mm F4 ZA OSS
■撮影環境:シャッター速度1/320秒 絞りF8 ISO800 焦点距離 28mm
※マルミM100 100 × 150 Soft GND8 フィルター使用 

 グラデーションNDフィルターを使うことによって空の露出が適正になり、表情豊かになりました。こういったシーンなどにはとても有効的にフィルターになります。

06_グラデーションNDフィルター製品画像.png

実像部分と反射部分の露出差を調整できるグラデーションNDフィルターには境界面なだらかなソフトタイプや、くっきりと分かれるハードタイプなどの種類があり、それぞれの濃度の違うタイプがラインナップされています。撮影シーンにあったモノをセレクトし魅力ある作品を作る事が可能です。

 下の写真は、上の写真と同じ位置から撮影した夜バージョンです。PLフィルターとソフトグラデーションNDフィルターを合わせて使用し、水面反射を強めつつ実像面と反射面の露出を整えた写真になります。

07_作例.jpg
■撮影機材:SONY α1 + FE24mm F1.4 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/15秒 絞りF1.4 ISO1600 焦点距離 24mm 
※マルミM100 100 × 150 Soft GND4 + M100 PLフィルター使用

 PLフィルターやグラデーションNDフィルターは必須ではありませんが、使用する事によってよりリフレクションを強調することができたり、実像と反射の濃淡をより合わせる事ができたりと魅力的なアイテムなので、可能であればPLフィルターは準備しておきたいところです。

魅力的なリフレクション撮影事例


 水のあるところで、すべて効果的に実像が写り込むリフレクション撮影ができる訳ではありません。きれいなリフレクションを撮るには、水面が穏やかでなければ反射面がぼやけてしまいます。よって流れのある川や海などより、池や水の張った田植え前の田んぼ、人工的な水のあるオブジェ、雨上がりの水たまりなどが有効な撮影ポイントになります。

08_作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R IV + FE24-105mm F4G OSS
■撮影環境:シャッター速度13秒 絞りF16 ISO400 焦点距離 24mm 
■三脚使用:レオフォトLS-324C+ギア雲台G4

 この写真は雨上がりの夜に水たまりを使ったリフレクション撮影したものです。 水たまり反射した世界と実像の世界の全域にピントを合わす目的と、街灯の光芒をしっかりと表現するために三脚を使用して絞りをしっかりと絞りスローシャッターで撮影しました。水たまりを使ったリフレクション撮影する際には、水面に近いローアングルで撮影するので、三脚はローアングル撮影ができるものを用意しましょう。

09_作例.JPG
■撮影機材:SONY α1 + FE16-35mm F4 ZA OSS
■撮影環境:シャッター速度1/4秒 絞りF22 ISO100 焦点距離 18mm 
※マルミM100 100 × 150 Soft GND8 +ND500 フィルター使用

 この写真は棚田100選に選ばれている撮影スポット千葉県鴨川市「大山千枚田」で撮影したものです。水の張られた棚田は、空の色を綺麗に反射してくれます。少しアクセントを加えるために難しい撮影条件にはなりますが、朝の太陽を棚田に反射させて画面内に2つの太陽を写し込みました。直接太陽に向けて撮影するために高濃度NDフィルターを合わせて使用しています。

10_木戸池でのリフレクションの作例.jpg
■撮影機材:SONY α7R IV + FE20mm F1.8G OSS
■撮影環境:シャッター速度1/125秒 絞りF10 ISO400 焦点距離 20mm 
※MARUMI EXUS サーキュラーP.L MarkIIフィルター使用

 高原にある池などは、周りの自然風景を写し込む絶景のリフレクション撮影スポットです。広角レンズを使用し、水面に青空が反射しやすい構図とタイミングで撮影すると鮮やかなリフレクション撮影ができます。上の写真は長野県の志賀高原にある木戸池でのリフレクション写真です。PLフィルターを使用する事によって、水面反射を強め青空を強調させて撮影しています。

11_長野県御射鹿池での作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R IV + FE24-105mm F4G OSS
■撮影環境:シャッター速度13秒 絞りF16 ISO400 焦点距離 24mm 
※マルミM100 100 × 150 Soft GND4 + M100 PLフィルター使用

 人工的な池での有名な撮影スポットでは、長野県の御射鹿池(みしゃかいけ)がおすすめの撮影スポットです。この御射鹿池は農業用のため池の為、水面が穏やかで風が無ければ奇麗なリフレクションを撮ることができます。上の御射鹿池の写真は10月末に撮影した秋の写真ですが、テレビCMなどにも使用された初夏の緑のリフレクションなどが有名ですね。

 人工的な水があるオブジェなども、人気のリフレクション撮影のポイントです。東京都中央区の晴海ふ頭にある風のオブジェは、都内でも屈指の有名撮影スポットです。東京湾に面した水が張られたオブジェがあり、オブジェの水面と東京湾をつなげたような撮影ができるのが特徴の撮影スポットです。日没後の空に青みが残っている時間帯がおすすめの撮影時間帯です。ここでの注意点は、海に面している場所なので比較的風の影響を受けやすく、水面が少し動いている事が多いです。少し長めのシャッター速度で水面をなめらかになるように撮影するのがポイントになります。

12_晴海ふ頭にある風のオブジェの作例_1.JPG
■撮影機材:SONY α7R IV + FE24-105mm F4G OSS
■撮影環境:シャッター速度30秒 絞りF10 ISO400 焦点距離 24mm 
※マルミM100 100 × 150 Soft GND4 + M100 PLフィルター使用

 撮影時間帯が異なりますが、上の写真の様に長秒露光をしないで撮影すると下の様な写真みたいに水面が滑らかではなくなり、せっかくの反射したオブジェが奇麗に写らない場合が多くなります。風などで水面が動いている場合は、スローシャッターで撮ることをおすすめします。

13_晴海ふ頭にある風のオブジェの作例_2.JPG
■撮影機材:SONY α7R IV + FE24-105mm F4G OSS
■撮影環境:シャッター速度1/25秒 絞りF8 ISO800 焦点距離 24mm 
※マルミM100 PLフィルター使用

 リフレクションは何も水ばかりではありません。床に映るリフレクションを撮影できる場所もあります。奇麗に磨かれた床に反射する世界は別世界の様子を見せてくれます。下の写真は、群馬県桐生市にある「宝徳寺」の「秋の床もみじ特別公開」で夜のライトアップを撮影した写真になります。お昼も撮影する事もできますが、秋の床もみじのライトアップは異次元の幻想的な様子を撮影する事ができます。

14_群馬県桐生市にある宝徳寺の作例.jpg
■撮影機材:SONY α7R IV + FE16-35mm F4 ZA OSS
■撮影環境:シャッター速度2.5秒 絞りF5 ISO800 焦点距離 16mm 
※マルミM100 100 × 150 Soft GND8 +M100 PLフィルター使用

 ライトアップ部がかなり明るく、床部は暗い為グラデーションNDフィルターをPLフィルターと合わせて使用しています。三脚は使用禁止の為、手ブレには細心の注意をはかり撮影をする必要があります。この宝徳寺は、秋の床もみじと春の床もみじの限定公開があります。4月後半から5月にかけて新緑の床もみじも撮影したいスポットです。

 リフレクションを活かした撮影方法は、実像を反射して写し込むだけではありません。水面に色を添えるのにとても効果的な撮影方法の一つでもあります。下の写真は公園の池で泳ぐカモを撮影したものですが、池の周りの紅葉が水面に奇麗に反射する場所を探して撮影しています。PLフィルターが無くても水面との角度を調整する事によって反射を最大限に活用することも可能です。

15_作例.JPG
■撮影機材:SONY α7RIII + FE100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
■撮影環境:シャッター速度1/200秒 絞りF5.6 ISO800 焦点距離 400mm 

まとめ


 リフレクションの撮影は不思議で魅力的な写真を撮影する事ができます。今回はリフレクション撮影の有名スポットを中心に紹介しましたが、雨上がりの街中などには水たまりができ、身近な場所でリフレクション撮影できるところも出現します。雨の日に普段歩いているところに水たまりができている所をピックアップして、どんな感じに撮影できるか想像してみるのもいいかも知れません。


■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師


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