シグマ 28-70mm F2.8 DG DN Contemporary|ポートレート向きのF2.8通しズームレンズ

水咲奈々

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はじめに

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 シグマの「28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary」は、今年の3月に発売された大口径のズームレンズです。F2.8通しという明るさを考えると、信じられないほどコンパクトで、常に持ち歩けるサイズ感、画面の隅々までしっかりと描ききる堅実な描写性能と、どんな被写体でも楽しめるレンズに仕上がっています。今回は、このレンズでストリートポートレート・スナップ&ムービーを撮影しましたので、ポートレートの観点からレビューしたいと思います。

隅々までシャープに表現

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■使用機材:SIGMA fp+28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f2.8・1/320秒・ISO400・WB5000K・カラーモード(ポートレート)
■モデル:芹沢あかり

 スタジオでなく街中でポートレート撮影をするときは、建物などが背景になることが多く、そんなときに気になるのが画面周辺の収差問題です。歪みなどもそうですが、描写が甘くなって質感が損なわれると、せっかくモデルがいい表情をしていても、背景という、画面の大きな部分を占めるムードに力がなくなってしまって、写真としての魅力は半減してしまいます。

 本レンズは非球面レンズ3枚、FLD2枚、SLD2枚の特殊硝材を採用しており、軸上色収差やサジタルコマ収差の補正に力を入れています。その効果は、画面の中心よりも構図の隅々を見ると実感できます。ピントを合わせた中心部がシャープに綺麗に描写されるのは当たり前として、収差の出やすい隅々までもがキレのある描写をしているのは、撮影している段階で、カメラの背面液晶でも実感できました。

 背景を大きくボカすだけではなくその空間のムードも写し込みたい、そんなときに頼りになってくれるレンズです。

ストリートポートレート・ショートムービー

■使用機材:SIGMA fp+28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary+ジンバル
■撮影環境:カラーモード(ポートレート)
■モデル:芹沢あかり

 今回のショートムービーは、環境音もそのまま使用しています。BGMの奥に聞こえる滝の音や子供たちの遊び声、鳥のさえずりも一緒にお楽しみください。外部マイクは使用せず、SIGMA fpの内蔵マイクのみで録音しています。

 また、歩いているムードを出したかったので三脚は使用せず、ジンバルを持って動きながらの撮影を多用しました。土や石の質感を強調するために、地面ギリギリのローアングルでの撮影も多かったので、ジンバルを片手に持って低い位置にしゃがみながら歩くと、機材が重かったり、レンズが長いとちょっと撮影しにくくなるのですが、本レンズはそのようなこともなく、バランス良く撮影できました。

 今回のように、三脚に据え置きではなくジンバルに装着して歩き回るような動画撮影では、カメラだけでなく、装着するレンズの軽さ、小ささも、筆者は重要視しています。特に長さのあるレンズだと、パンやチルトのときに気を使うので、できれば短めがありがたいのが本音。結果、本レンズのサイズ感には合格点を出したいと思いました。

逆光撮影時に見えるレンズの底力

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■使用機材:SIGMA fp+28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f2.8・1/250秒・ISO400・WB5000K・カラーモード(ポートレート)
■モデル:芹沢あかり

 標準画角のズームレンズでポートレートを撮影することはあまりないのですが、画角の変えられるF2.8の明るいレンズだと思うと、望遠側でポートレートの王道的なカットが撮りたくなるものです。強い逆光の状態で、モデルの白い服の袖が大きく広がるデザインだったので、顔の周りに腕を上げてもらって、レフ板効果を狙いました。

 撮影している筆者は目が痛いほど強い逆光だったのですが、スーパーマルチレイヤーコートとナノポーラスコーティングのお陰で、どのカットにも不要な光は入り込んでいませんでした。白飛びギリギリの白さが表現するブラウスの柔らかさ、そこから微かに見える腕の質感、ピントの合っているマツゲと前髪のシャープさ、優しいボケとして表現されている背景の木々と木漏れ日など、意図する表現をレンズがすべて描ききってくれたシーンでした。

瞬間を切り取れる機動力

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■使用機材:SIGMA fp+28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f2.8・1/320秒・ISO400・WB5000K・カラーモード(ポートレート)
■モデル:芹沢あかり

 「今!」と思った瞬間にシャッターが切れないと困るのは、ポートレートも同じです。そこで重要になってくるのがレンズ本体の取り回しの良さ。シンプルなデザインで小型軽量のレンズは、シャッターチャンスを逃さない、頼もしいパートナーになってくれます。

 今回筆者が使用したLマウントは最大径72.2mm、長さ101.5mm、重さ470gと、フルサイズミラーレス用の大口径のズームレンズとしては、破格のコンパクトさを誇っています。歩きながらや、狭い場所でさっとカメラが構えられるかは、カメラに装着しているレンズの形状に依るところが大きいのです。

 また、無用な凹凸がなく、間違って手が触れて作動するようなスイッチ形状をしていないのと、操作リングのトルクに少し重みがあるのが筆者好みでした。操作リングは金属製のものと比べると高級感は敵いませんが、プラスチック製にしては粘りがあって、安っぽいスカスカ感がないのがいいですね。

 外装もこっくりと深い黒に、シルバーに光る「C」の文字がスタイリッシュです。花形のレンズフードは深くかっちりと装着できるので、カメラを肩から下げて移動しているときに、体に当たった衝撃で回ってしまって、気がついたら落ちて無くなっていた……なんて、悲しい出来事は、きっと起こらないでしょう。

被写体と自然な距離感を保てるバランスの良いレンズ

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■使用機材:SIGMA fp+28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
■撮影環境:f2.8・1/320秒・ISO100・WB5000K・カラーモード(ポートレート)
■モデル:芹沢あかり

 今回は、あまり場所をかっちりと決めず、歩きながら気になった場所、光の綺麗な場所で撮影をしてみました。大口径の望遠レンズも描写は綺麗ですが、都内の街中のようにモデルとの距離を空けられないような、撮影スペースに限りがある場合は、断然ズームレンズが有利になります。

 撮影のスタンスによって、撮影場所によって、レンズを変えるのは当たり前といえば当たり前ですが、この、コンパクトでF2.8の明るさは、そんな撮影のときには絶大に頼れるスペックでした。そして、そのスペックに負けない、撮影するとわかるナチュラルでキレのある描写は、ポートレート向きの太鼓判を押したいと強く感じました。

■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。 (社)日本写真家協会(JPS)会員。

「28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary」はこちらの記事でも紹介されています

■シグマ 28-70mm F2.8 DG DN Contemporary レビュー|三井公一
https://www.kitamura.jp/shasha/article/480573513/

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