富士フイルム XF18mmF1.4 R LM WR レビュー|テーブルの上から風景までオールマイティーな撮影が楽しめる広角レンズ

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はじめに


 2020年10月に行われたライブイベントで開発アナウンスされていた、富士フイルム「XF18mmF1.4 R LM WR」の登場です。広角18mm(35mm換算/27mm相当)は、筆者にとってフィルムカメラの頃からなじみの深い焦点距離。スナップ撮影に使いやすいと言われています。スマホカメラのレンズと同等の画角でもあり、今や誰もが慣れ親しんでいる標準画角と言えるでしょう。

 そんな、XF18mmF1.4 R LM WRを使い早速撮影してみました。撮影日はあいにくの天気が続いたのですが、その分様々な条件下でXF18mmF1.4 R LM WRの魅力を体感することができましたのでレビューをお届けします。

XF18mmF1.4 R LM WRの特徴


01 XF18mmF1.4の製品画像.JPG

 XF18mmF1.4 R LM WRはX-T4ボディと組み合わせた時のバランスやホールド感がとても良く、F1.4大口径でありながら質量は370gと軽量で携行性も抜群。リニアモーターによって駆動させるインナーフォーカスを採用しており、ピントの合焦が非常に静かで速く快適です。屋外撮影時に頼れる防塵防滴機能も備わっています。

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写真左)XF16mmF1.4 R WR 写真右)XF18mmF1.4 R LM WR

 XF16mmF1.4 R WRのようにフォーカスクラッチ機構はないため、どちらかといえばかなりシンプルな見た目です。絞りリングにはA(オート)ポジションロックを搭載。撮影時には絞りリングが不意に動かないようロックすることができる上、Aポジションでの撮影時は、F値コントロールをリアコマンドダイヤルで行うことができます。絞りは1/3ステップ。滑らかで軽妙な操作感で切り替えが可能です。

近似する焦点距離のレンズで比較


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左から、XF16mmF1.4 R WR、XF18mmF1.4 R LM WR、XF18mmF2 R

 近似する焦点距離の3本のレンズを使用してみました。大口径F1.4の開放値が同じであるXF16mmF1.4 R WRは、サイズ感も重量もかなり近しいものですが画角が大きく異なります。2012年X-Pro1と同時発売された同じ焦点距離のXF18mmF2 Rは、コンパクトさが大いに魅力です。

 焦点距離が1mm違うと大きく画が変わると言われる広角レンズは、レンズの特性によって生じる歪曲収差が現れます。わずかに画角が広いXF16mmF1.4 R WRでは、レンズ周辺において広角らしいパースペクティブが見られますね。対して、レンズ収差を徹底的に取り除いた設計のXF18mmF1.4 R LM WRは、自然な遠近感であり、自分自身が被写体と対峙した時に客観視する感覚に近く、「寄るか、引くか。」を必然的に考える素直な写りと画角と言えるでしょう。

04 16mmと18mmの比較.jpg
写真上)XF18mmF1.4 R LM WR
写真下)XF16mmF1.4 R WR

 次に、同じ焦点距離であるパンケーキスタイルのXF18mmF2 Rでは開放値を比較してみました。XF18mmF1.4 R LM WRでは、解放から切れ味の良いシャープネスと美しいボケの両方を表現することができます。

05 18mm F1.4とF2.0の比較.jpg
写真上)XF18mmF1.4 R LM WR
写真下)XF18mmF2 R

解像性能を重視した光学設計のXF18mmF1.4 R LM WR
小さく作るということを最優先に作られたXF18mmF2 R

 もともと開発コンセプトが異なる光学設計のため、それぞれ別のレンズであると認識しておくのがベター。XF18mmF1.4 R LM WRは一枚一枚の描写を楽しみながら切り取り、XF18mmF2 Rにはパンケーキスタイルで小さく、サクサクと軽快に撮り歩く楽しさがあります。

F1.4の解像感あふれる立体的な描写力


 広角レンズにおいて特にスナップ撮影や風景、建築物撮影などで重視されるのがパンフォーカスでの描写力。非球面レンズ3枚とEDレンズ1枚を含む9群15枚でレンズ構成し、色収差やコマ収差などレンズ収差を徹底的に取り除くことで開放F1.4でも画面の隅々まで気持ちよくしっかりと写し込み、精細な画作りで極めて高い描写性能を発揮します。

06 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/2500秒 絞りF1.4 ISO200 WB AUTO雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:クラシッククローム(Classic Chrome)

 金属、ホーロー、木材などそれぞれ異なる材質の質感に加え、窓の外まで精巧に写し込まれており、まるでその場にいるような感覚を覚えるほど被写体に正対した時のリアリティある奥行きが表現できています。こうした臨場感を得られることがXF18mmF1.4 R LM WRの魅力。筆者が広角18mm(35mm換算/27mm相当)を好む無理の一つでもあります。

07 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/25秒 絞りF5.6 ISO800 WB AUTO雰囲気優先 露出補正+0.7
■フィルムシミュレーション:クラシックネガ(Classic Neg.)
■撮影協力:カフェダイニングLAND_A 東京ミズマチ

 カメラが高画素化しても使えることを追求した鋭い描写に、「XFレンズの中でも最高クラス」と言われる解像性能の高さを感じられることでしょう。

最短撮影距離20cmによる美しいボケ


 「あれ?どこまで寄れるんだろう。」と思うほど近づける最短撮影距離はセンサー面から20cm。レンズ前では11cmで、被写体にかなり近接して撮影が可能。解放F1.4での撮影時は、広角レンズとは思えない柔らかく美しいボケにより、「本当に広角レンズ?」と疑うほどです。

 橋梁下からフェンスをのぞき込んで遠方の橋を撮影したところ、レンズ前にあるはずの金網が溶けて見えなくなってしまいました。また、遠方の橋にいたっては雨降りのどんよりとした空にもかかわらず、しっかりと写し込まれているのがわかります。

08 18mm ボケF5.6とF1.4の比較.jpg
写真上)XF18mmF1.4 R LM WR(絞りF1.4)
写真下)XF18mmF1.4 R LM WR(絞りF5.6)

 広角レンズでは表現が難しいと言われているボケはどうなのだろうと思い、花を撮影してみましたが、優しさの中にニュアンスがあり雰囲気が残せる上、背景を程よく取り込む好ましい写りです。

09 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/180秒 絞りF1.4 ISO320 WB AUTO雰囲気優先 露出補正+1.7
■フィルムシミュレーション:Pro Neg. Hi
■撮影協力:アトリエショップ&ギャラリー tocolier(トコリエ)

 ピントがシビアになりやすい水滴。ここではリニアモーターにより駆動させているインナーフォーカスのAFスピードの素早さと正確さを実感。細部における描写は際立っていて背景ボケの階調も広角レンズと思えないほどの滑らかさ。

10 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/800秒 絞りF1.4 ISO320 WB AUTO雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:ASTIA/ソフト

 テーブルフォトではシズル感の描写も素晴らしく、素材の美味しさとみずみずしさを引き出し、カップ&ソーサーに反射した小さな光源までキャッチして玉ボケもアクセントになりました。

11 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/200秒 絞りF1.6 ISO320 WB AUTO雰囲気優先 露出補正+0.7
■フィルムシミュレーション:Pro Neg. Hi
■撮影協力:カフェダイニングLAND_A 東京ミズマチ

 「ちょっと撮りたいな。」というシーンに応えてくれる距離感が普段の撮影や旅先での思い出を楽しいものにしてくれます。ここまでの撮影でも、広角レンズ1本だけで「寄りと引き」を存分に楽しめることを実感しました。

雨の中でも頼れるタフネス構造


 屋外撮影時はあいにくの雨で、傘を差しながら片手での撮影を行っています。どうしても雨の日や光量の少ないシーンでの撮影は躊躇してしまいがちですが、撮影条件が悪いほどこのレンズの威力が発揮されます。

 絞り込んでもISO感度が補完してブレなくしっかり撮影できました。どっしりと構えた風貌がこのレンズの解像力によって迫力を増します。

12 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/25秒 絞りF9.0 ISO1250 AUTO WB雰囲気優先
■フィルムシミュレーション:Pro Neg. Hi

 どんよりとして暮れ行く雨の日の空は相当に暗いのですが、一本一本の線や雲の表面にもディティールが感じ取れるほどしっかりと写し込んでくれます。

13 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/500秒 絞りF8.0 ISO320 WB晴れ 露出補正+0.3
■フィルムシミュレーション:クラシックネガ(Classic Neg,)

 本降りの雨でレンズはかなり濡れましたが、防塵防滴という機能が大いに味方になってくれるので、安心感を得られ、歩きながらの撮影も意欲が湧きます。

14 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/1500秒 絞りF1.4 ISO320 WB晴れ
■フィルムシミュレーション:クラシッククローム(Classic Chrome)

夜間撮影など光量の少ない場合でも高画質


 夜間は三脚を用いずに手持ち撮影を行いました。レンズ側に手ブレ補正機能はありませんが、X-T4のボディ内5軸・6.5段の手ブレ補正効果に加え、大口径レンズの明るい開放値によって鮮明に写すことができます。ノイズが抑制された高画質な描写で、画面奥の建造物までしっかりと写し込んでいます。

15 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/6秒 絞りF1.4 ISO200 WB日陰
■フィルムシミュレーション:Velvia/ビビッド

 光量の少ない場所でもISO感度を上げる必要がなく、AFの速さと合焦の正確さによって楽々と撮影できてしまいます。夜歩きながら気になった被写体もサッと切り取れる心地よさも格別です。

16 作例.jpg
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/10秒 絞りF1.4 ISO500 WB日陰
■フィルムシミュレーション:クラシックネガ(Classic Neg.)

 ガード下のような薄暗い場所でも黒つぶれすることなく美しいグラデーションが表現されています。

17 作例.JPG
■撮影機材:富士フイルム X-T4 + XF18mmF1.4 R LM WR
■撮影環境:SS1/15秒 絞りF1.4 ISO400 WB晴れ
■フィルムシミュレーション:ACROS+Yeフィルター

 開放値F1.4単焦点レンズの実力を発揮し、撮りたい気持ちに応えてくれる信頼性ある写りに高い満足感を得ます。

 最後に、夜間手持ち撮影にて動画も撮影してみました。玉ボケの美しさも合せてご覧ください。


おわりに


 寄っても引いても抜群の解像力のあるXF18mmF1.4 R LM WRは、テーブルの上からスナップ、風景まであらゆるシーンでオールマイティーに活躍します。撮影していて日常のほとんどのものがこれ1本で写せてしまうのではないか?と感じました。

 透明感、ボケ、質感描写、天候、時間帯など撮影条件やシーン、環境を問わず使える満足度の高さです。私にとっては馴染み深い焦点距離でもあり、久しぶりに「これ欲しい!」と購買意欲をかき立てられました。XF18mmF1.4 R LM WRはXユーザーなら是非ともそばに置きたい一本になっています。


■写真家:こばやしかをる
デジタル写真の黎明期よりプリントデータを製作する現場で写真を学ぶ。スマホ~一眼レフまで幅広く指導。プロデューサー、ディレクター、アドバイザーとして企業とのコラボ企画・運営を手がけるなど写真を通じて活躍するクリエイターでもあり、ライターとしても活動中。



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