ニコン Z 6IIと高倍率ズームレンズでムービー撮影を楽しもう!|三井公一

三井公一

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はじめに

 ニコンのフルサイズミラーレス一眼カメラ「Z 6II」は、大口径ショートフランジバックの「ニコンZマウント」を採用して極めて高い画質を誇り、ニコンらしい使いやすさと信頼性とで人気を博しています。前モデルの「Z 6」から動画撮影にも定評がありましたが、「Z 6II」はその描写にさらに磨きをかけて、より映像も楽しめるようになっています。また高倍率ズームレンズの「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」も、旅やお出かけにピッタリの高性能ズームレンズで注目されています。今回はそれらを使ってのムービー撮影の魅力について探っていきましょう。

「Z 6II」は静止画も動画も美しく撮影できる!

 「Z 6II」は基本性能が高く、操作性もバツグンで、質実剛健で使っていてとても楽しいフルサイズミラーレス一眼カメラです。ふだんはスチル撮影を楽しんでいますが、瞬時にムービーモードに切り替え可能なので、スナップがてら渋谷でこのようなムービーを撮影して、BGMをつけて編集し、ショートムービーに仕上げてみました。

 どのように撮影したかというと、「Z 6II」に「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」を装着し、4K/30Pと4K/60Pの両方を切り替えながら、手持ちにて渋谷駅周辺をブラブラしながらシューティングしたのです。高倍率ズーム使用はフットワークが軽く、さまざまなアングルを足で稼いで探すのにもってこいでした。また画角も自在に調整できるので撮影場所に制限がある場合に重宝しました。カラーは重厚感が気に入っている「Creative Picture Control」の「グラファイト」をチョイス。ちょっとダークなイメージにしてみました。「Z 6II」はこのような雰囲気のものが誰でも撮れるのがスゴいですね。

 さて「Z 6II」の性能をカンタンに確認してみましょう。「Z 6II」は使いやすい画素数で高感度にも強く、画像処理エンジン「EXPEED 6」を2つ搭載し、処理速度をより高速化しています。またオートフォーカスを「ハイブリッドAF」として精度と速度を高め、「瞳AF/動物AF」に対応してポートレート撮影から、ネコやイヌまでしっかりと捉えることが可能です。もちろんボディー内センサーシフト方式VR(手ブレ補正機能)を備えているので、低照度や望遠レンズ撮影時でも鮮明なイメージを撮影できます。視認性が高いEVF(電子式ビューファインダー)も評価が高いです。

ムービー撮影機能では、
・フルフレーム・全画素読み出しの高画質4K UHD/30p動画
・スローモーションの自由度が高まるフルHD/120pのハイフレームレート撮影
・カメラ内で手軽に楽しめるスローモーション動画
・瞳AF/動物AF
・12bit RAW動画出力
・10bit N-Log
・10bit HDR(HLG)動画出力

と幅広く、外部レコーダーを使用してのプロフェッショナルな運用も可能なところに要注目です。
今回使用するレンズについてもおさらいしましょう。

・「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」のスペック
レンズ構成:15群19枚(EDレンズ2枚、ED非球面レンズ1枚、非球面レンズ2枚、アルネオコートあり、最前面のレンズ面にフッ素コートあり)
画角:84°-12° 20′(撮像範囲FX)61°-8°(撮像範囲DX)
ズーミング:ズームリングによる回転式
ピント合わせ:IF(インターナルフォーカス)方式
手ブレ補正:ボイスコイルモーター(VCM)によるレンズシフト方式 
手ブレ補正効果:5.0段 ※CIPA規格準拠
三脚使用時ブレ補正:有り
最短撮影距離:0.5m(焦点距離24mm)、0.7m(焦点距離200mm)
最大撮影倍率:0.28倍
絞り羽根枚数:7枚(円形絞り)
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ):67mm
寸法:約76.5mm(最大径)×114mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)
質量:約570g

と軽量コンパクトで高いズーム比を持ち、オールマイティーに使える高画質な一本となっています。

「Z 6II」と「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」がオススメな理由

 さて、「Z 6II」と「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」の組み合わせは、なぜ旅などの動画撮影に向いているのでしょうか。それはこのような4つのポイントがあるからです。

・高いズーム比による被写体カバー範囲
・FX(フルサイズ)DX(APS-C)との撮像範囲変更による表現領域の広さ
・レンズ交換を減らすことによるダスト問題をクリア
・スムーズなズーミングによる画角変更

高いズーム比による被写体カバー範囲

 こちらに関しては説明する必要もないでしょう。大口径、ショートフランジバックの「Z」マウントで一番の高倍率を誇るので、ワイド域の広々としたカットからテレ域の望遠効果を活かしたシーンを撮影できるからです。風景からスポーツなど被写体を選びません。フットワークも活かせ、さまざまな撮影場所を探しながら撮影するのにピッタリ。

FX(フルサイズ)DX(APS-C)との撮像範囲(画角)変更による表現領域の広さ

 「Z 6II」はフルサイズでの撮像範囲とAPS-Cでの撮像範囲をカンタンに切り替えることが可能です。DX(APS-C)を選択することによっておよそ1.5倍長い画角で撮影ができるので、より遠くの被写体を大きく捉えることができるのです(選択する動画フォーマット、フレームレートによってはDXのみの場合もあります)。

レンズ交換を減らすことによるダスト問題をクリア

 「Z」マウントレンズは光学的に優れているので、さまざまな交換レンズを使って撮影をしたいところですが、レンズ交換にはダストの混入というリスクも存在します。センサーにダストが付着すると絵に影響が出てしまいます。編集時の後処理で消すのはなかなかやっかいな作業なんですよね。もちろんダストリダクション機能もありますが、高倍率ズームレンズを使用することで、レンズ交換を減らしてクリーンなムービーを撮影できるのです。旅やお出かけ時には携行機材を減らせるというメリットもありますね。

スムーズなズーミングによる画角変更

 「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」はスリムで軽量コンパクトなルックスなのですが、操作性がなかなか良好です。スムーズなズームリングは、ズーミングしながらのムービー撮影が楽チンです。EVFをのぞきながらの撮影が実にしっくりきます。

というわけで「Z 6II」と「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」はとてもいいカップリングだと言えるのです。スチルもムービーも高画質かつ楽々と撮影できるこの組み合わせは、はじめてフルサイズミラーレス一眼カメラをお使いになる方にもオススメですね。

おすすめ機能

 個人的に気に入っている機能をピックアップしてみました。

アクティブD-ライティングが肉眼に近い仕上がりでイイ

 「アクティブD-ライティング」機能をムービー撮影時にONにすると、仕上がりが肉眼で見た光景に近く仕上げられます。具体的に言うと、ハイライト部の白飛びを抑え、シャドー部の黒つぶれを低減する効果があるのです。

 これは「アクティブD-ライティング」をオフにしたもの。シャドウ部が締まっていますが、肉眼ではもっと細部までディテールが見えています

 「アクティブD-ライティング」をオンにして撮影してみると、ハイライト部もクッキリとし、今まで潰れて見えていなかった室内の様子も確認できます。ゴザのディテールもきちんと見えていますね。このように「アクティブD-ライティング」はコントラストが激しいシーンでも自然に捉えることが可能なのです。

高性能なオートフォーカス、動物AFはまったり寝転ぶネコ撮影でもイイ!

 「Z 6II」はオートフォーカスも進化しています。ポートレート撮影での「瞳AF」はモデルの眼をしっかりと捉え続けてくれて重宝しますが、ネコ好きの自分としては「動物AF」が頼りになってよく使っています。

 リラックスしているクロネコとハチワレネコを撮影したものですが、しっかりとネコの瞳にピントがきています。カメラを動かしてもちゃんとピントが追従して、後ろのネコにもフォーカシングしてくれています。これは便利ですね。手前に生えている草にも惑わされず、確実にネコの瞳を捉えてくれています。フォーカス速度は設定で好みのスピードに調整が可能になっています。

音声付きのスローモーションムービーも撮影できる

 「Z 6II」はカメラまかせでカンタンにスローモーション撮影ができますが、音声の記録ができません。そこで「フルHD/120pのハイフレームレート撮影」の出番です。こちらならキチンと音声も収録ができ、素材として活用することができるのです。

 水田に稲が植えられ水が引かれていました。その用水を「フルHD/120pのハイフレームレート撮影」してみました。水と泡の様子がはっきりと見えますね。動きの比較ができるように、ムービーの途中からスローになっています。音声も同時にゆっくりとした再生になっていることがお分かりいただけるでしょう。

お手軽に撮影できるタイムラプス

 タイムラプス、いわゆる微速度撮影も「Z 6II」ならカンタンです。設定画面で希望の時間設定をするだけで撮影可能です。このムービーは高台から道路上を走行するクルマの様子を撮影しました。コミカルな動きがイイ感じですね。三脚に据えるだけでカンタンに撮影できますよ。

ユニークな表現ができる「Creative Picture Control」

 自分なりの色調にムービーを仕上げたい人には「Creative Picture Control」がオススメです。RAWで撮影してグレーディングするのもいいですが、周辺機器等なかなか敷居が高いので、このモードから好みのカラーを探して調整、適用するといいでしょう。このムービーは「グラファイト」をチョイスして、自分が歩いているシーンを三脚に「Z 6II」を取り付けて撮影したものです。硬調で渋い色合いが気に入っています。オートフォーカスは「オートエリアAF」にしましたが、しっかりと追従してフォーカスし続けているのがわかるでしょう。

 こちらは田んぼにいたカモを撮ってみました。「ドリーム」を適用して淡い印象を狙いました。「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」は遠くの被写体でも正確にフォーカスし続けてくれました。頼もしいレンズですね。

さいごに

 このように「Z 6II」と「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」の組み合わせは、ムービー撮影をフットワークよく、手軽に撮影できるのです。「Z 6II」の基本性能の高さと、「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」の高いズーム比と描写力は、スチルだけでなくムービーで大いに威力を発揮するのです。ちょっとした旅行やお出かけ時の撮影がグンと楽しくなること間違いなしです。ぜひキタムラ店頭で実機を手に取って体感してみてください。

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。

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