富士フイルム GFX100Sレビュー|ポートレートで見せるラージフォーマットの世界

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はじめに


 現在、私は富士フイルムのGFX100をメイン機として愛用している。それまでの10数年はスタジオでのビューティー系の撮影業務や作品撮影で中判デジタルバック(leaf aptusやphase one、ハッセルブラッド)を使用し、カメラボディはMamiya RZ67 pro2、Contax645、ハッセルブラッド503CWなど様々なカメラを使い、ロケでのファッションや商業撮影は、キヤノンなどのフルサイズ機を使ってきた。この2セットはマウントが異なるため、サブ機も含めると機材を持ち歩く際はかなりの重量になっていたので、どうにか一つのマウントにまとめられないかと常々思っていた。

富士フイルムとの出会い


 私と富士フイルムとの出会いは、GF250mmのレビューの仕事でGFX 50Sとの組み合わせで使わせてもらった時で、その時の驚きは忘れることはできない。富士フイルムのラージフォーマット機のGFXシリーズは、それまでの古い中判フィルムカメラとデジタルバックという組み合わせの撮影で得られる"質感・立体感”と35mmフルサイズでの撮影で得られる”機動力”を持ち合わせていると感じた。現在、GFXシステムを採用し、ビューティー、ポートレートジャンルの広告や雑誌の撮影、取材やパーティー、商品撮影、美術品のカタログなど、幅広い状況下でシステムを変えることなく撮影ができるようになった。これだけでも富士フイルムに切り替えてよかったと感じている。愛機GFX100で最高最良のシステムが構築できたと思っていた。

驚愕のGFX100Sの爆誕


 2021年2月、GFX100Sという一億画素をさらに気軽に持ち歩ける軽量コンパクトなラージフォーマットカメラが爆誕した。

・既存のラージフォーマット(デジタルバックなどを含め)ではありえない衝撃の低価格
・画質、AF性能は、GFX100と同等以上の性能(AF性能は、2021年7月1日の最新ファームVer.4.00により同等になった)
・既存のラージフォーマットセンサーの中でも小さいと思っているGFX100から、さらにコンパクトかつ軽量になり、ハンドリングしやすいカメラになった。そして、手振れ補正機構が小さなボディに入った上に、GFX100の5.5段分から6段分へ向上
・グリップが深めで、大口径の大きなレンズをつけた際にもバランス良く持つことが可能
・GFX100からバッテリーが変更になり、撮影時間が短くなるのではと心配したが、ポートレート撮影においては充分な容量と感じる

GFX100Sでポートレート撮影をした感想


 今回のワンオペ撮影は、GFX100SとGF30mm、GF110mm、GF100-200mm(35mm換算で24mm、87mm、79-158mm相当)、Profoto A1X、バッテリー数個をショルダータイプのカメラバックに収納し、色々なところを歩きながら撮影してきた。標準域のない特殊なレンズ構成で江ノ島の夏を感じるポートレートを撮影している。前述したが、筆者はGFX100を愛機として仕事をしているので、それを踏まえた上で作例と共に使用感を述べていく。

 木漏れ日が綺麗な芝生の上に寝転んでもらい撮影をしている。モデルと二人でのワンオペ撮影の場合、機材重量はすごく重要で、重いというだけで億劫になるのが正直なところだ。この作品のように寝そべっている姿を手持ちで真俯瞰から写したい場合は、手を伸ばし無理な体制で撮影することになるため、大きなカメラでは厳しい条件だったが、GFX100Sのサイズであればティルトモニターを起こし、無理なく様々な角度から撮影ができた。レンズはGF30mmを使用している。広角レンズにありがちな歪みはなく、レンズ重量も軽く、ディティールの描写がすごく綺麗だ。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF30mmF3.5 R WR
■撮影環境:ISO100 / F3.5 / 1/500s /マニュアル/ノスタルジックネガ
■モデル:川辺優紀子

 天候が最高。海と雲がすごく素敵だったので、その様子とモデルの両方をイメージ通りに切りとる為に、日中シンクロで撮影している。ラージフォーマットの良さの一つだが、ボケに頼らず、被写界深度が深めでもモデルは惹き立ち、雲のディティール、立体感を感じさせることができる。他メーカーのカメラであれば、CPLフィルターを使い空の青を引き出すところだが、GFX100Sのカラークロームブルーで、深い青と自然な鮮やかさを簡単に加えることができる(三段階で調整が可能)。この澄み渡る青が写真全体を引き締め、夏らしい作品に仕上がった。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF30mmF3.5 R WR
■撮影環境:ISO100 / F8 / 1/50s / マニュアル/プロビア/カラークロームブルー
■モデル:川辺優紀子

 木漏れ日が入るベンチで撮影。晴天の中での撮影では、たまに日陰に入り休憩がてら、ゆったりとしたシーンを撮るといい。軽量で携帯性の高いGF100-200mmはズームレンズでありながら、単焦点レンズを彷彿とさせるナチュラルなボケと忠実な色再現やリアルな質感がいい。そよ風に揺れる髪の毛の一本一本を感じることができる。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:ISO500/F5.6/ 1/60s /マニュアル/アスティア
■モデル:川辺優紀子

 木漏れ日がとても美しかったので、その光が寝そべったモデルに当たるように撮影。ラージフォーマット特有の立体感と開放F2という大口径のGF110mm(35mm換算87mm相当)はナチュラルにモデルが浮き立ち、透明感のある描写を得ることができた。フィルムシミュレーションはアスティアを選択。色合いがよく、柔らかな肌色の表現・階調表現がとても良い。撮影では顔検出、瞳AFを使用して撮影をしているが、しっかりと手前の瞳にピントが合う。また、一億画素という超高画素機はブレに相当シビアだが、ボディ内手ブレ補正がしっかり効いているので、手持ちで俯瞰撮影を行った時もブレのない美しい描写を得ることができた。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF110mmF2 R LM WR
■撮影環境:ISO200 / F2/ 1/125s /マニュアル/アスティア
■モデル:川辺優紀子

 この写真は日差しが良いタイミングで橋を歩きながら撮影をしている。モデルの顔に麦わら帽子から漏れる光がさしており夏を感じる1枚になった。この場合、センター構図にするより三分割構図にすることで見せたいモデルの顔に視線誘導することができ、更に奥行きを感じる写真にすることが出来る。撮影で使用したGF100-200mmはOISが搭載してあり、望遠ズームの中では軽量コンパクトでありながら高速オートフォーカス、超高解像度を併せ持っている。軽量コンパクトでグリップの深いGFX100Sとの相性はすごく良く、ハンドリングもしやすい。こういう撮影では動きながら、構図を決めていくのですごく重宝した。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:126mm/ISO320/F5.6/ 1/320s /マニュアル/ノスタルジックネガ
■モデル:川辺優紀子

 一点透視図法の消失点の方向にモデルの顔を置くことで、モデルの涼やかな表情に視線を誘導している。ラージフォーマット機では広角でも開放で撮影することで背景がナチュラルにボケて被写体が立体的に浮き立った描写になる。日差しがあたった肌、イヤリング、帽子の質感描写もとても良く、深みのある空のコントラストにより、奥行きのある写真に仕上がっている。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF30mmF3.5 R WR
■撮影環境:ISO100/F3.5/ 1/1600s /マニュアル/ACROS R
■モデル:川辺優紀子

 ロケーション撮影では天気によって光が左右され、曇天のまったりとした光の中で、ポートレートの王道レンズであるGF110mmの開放F2で撮影をしている。なにげなく座り、風を感じながらこっちを向いてもらうだけでも、奥行きのある写真になる。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF110mmF2 R LM WR
■撮影環境:ISO160/ F2 / 1/1600s /マニュアル/ ACROS Ye
■モデル:川辺優紀子

 アトリエに帰り、ふと窓の外を眺めている姿が素敵だったので撮影した。GFX100Sをさっとカメラバックから取り出して、ナチュラルで雰囲気のよい写真が撮れた。ラージフォーマット機で一億画素オーバーの超高画素カメラでありがなら、ハンドリングも良く、手ブレ補正がしっかり効いて、最高画質を得られるGFX100Sは唯一無二の存在だ。

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■撮影機材:富士フイルム GFX100S + GF110mmF2 R LM WR
■撮影環境:ISO250 / F2 / 1/60s /マニュアル/ アスティア
■モデル:川辺優紀子

まとめ


 GFX100Sはポートレートにおいて、大切なものを網羅しているカメラだ。軽量かつコンパクトなボディによる携帯性、操作性の良さ、ハンドリングのしやすさと質感をしっかり写し出す解像力、視線誘導を容易にするナチュラルなボケ、16bitの色再現、描写、スローシャッターにも耐えるボディ内手ぶれ補正機構、最新プロセッサーによる顔検出、瞳AFと正確で速いオートフォーカスを持ち合わせている。GFレンズはどのレンズでも1億画素センサーに対応し、前ボケ後ボケ共にナチュラルで美しいボケを愉しむことが出来る。そして、すべてのレンズが防塵・防滴・-10℃という過酷な環境でも使える仕様になっている。GFX100SとGFレンズはどんな環境でも最高のパフォーマンスを見せてくれるだろう。

 また私の愛機であるGFX100も大型のファームウェアが公開された。大きなところだとフィルムシミュレーション「ノスタルジックネガ」が搭載されたことだろう。今までも撮って出しJPEGがすごくよかったが、さらにトーンカーブのハイライト・シャドウがそれぞれ0.5段刻みで調整ができるようになり、更に撮って出しのJPEGを追い込めるようになったのはすごく嬉しいところだ。その他にも機能追加や操作性が改善され、今まで気になっていた部分が改善されたことでGFX100が今まで以上に使いやすくなっている。


■写真家:高桑正義
大学卒業後、印刷会社入社。アシスタントを経て、フリーフォトグラファーとして独立。現在はBeauty Fashion 広告、雑誌、カタログなどを中心に活動している。撮影からレタッチまでの全てを自身が手掛ける。クオリティには定評があり、特にBeautyの分野ではその才能が如実に表れている。

NY世界最高峰の国際コンペ international Photography Awards
・2012 International Photography awards 広告:Beauty Pro 部門 受賞
・2013 International Photography awards 広告:Beauty Pro 部門 受賞
・2015 BEAUTY INNOVATOR AWARD グランプリ受賞
・2017 International Photography awards 広告:Fashion Pro 部門 受賞


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