富士フイルム XF33mmF1.4 R LM WR & XF23mmF1.4 R LM WR|開発担当者インタビューから新レンズの魅力に迫る

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はじめに


 富士フイルムからXシリーズ用交換レンズとして、新たに「XF33mmF1.4 R LM WR」と「XF23mmF1.4 R LM WR」の2本が発表されました。ともに”MORE SHARPNESS(モア シャープネス)”をコンセプトに掲げたレンズであり、リッチな光学設計によって収差を徹底的に取り除き、圧倒的な解像力を実現しています。2021年5月に発売されたXF18mmF1.4 R LM WRと合わせて、新世代の「大口径プライム」シリーズとしてラインナップされる製品です。そんなXF33mmF1.4 R LM WRは2021年9月29日発売、XF23mmF1.4 R LM WRは2022年2月発売予定となっています。

 今回は先行して製品に触れる機会を設けていただきましたので、開発担当者へのインタビューも交えつつ2本の新作レンズを紹介していきます。

XF33mmF1.4 R LM WR


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 XF33mmF1.4 R LM WRは圧倒的な解像性能と開放F値1.4の明るさを実現した大口径単焦点レンズ。焦点距離33mm(35mm判換算50mm相当)という人間の視野に近い標準画角によって、自然な遠近感を表現することが可能です。第1群6枚、第2群にも6枚、第3群には3枚の計15枚(うち非球面2枚、EDレンズ3枚)という贅沢なレンズ構成によってコマ収差を抑制し、軸上色収差を低減することで非常にシャープな描写性能を実現しています。

 開放F1.4の大口径かつ優れた解像性能が与えられつつも、重さは400gを下回る約360gに仕上がっており、持つことが負担にならない高い機動力も魅力の一つ。実際にX-T4に装着した際もレンズが大きいとは一切感じず、パッと被写体にカメラを向けられる取り回しの良さを感じました。最大径はØ67mm、長さは73.5mm、最短撮影距離は30cmです。

 絞りリングにはA(オート)のポジションで固定できるAポジションロックも搭載。撮影時に絞りリングが不用意に動かないようロックすることができ、快適に撮影を楽しむことが可能です。絞りリングは回したときに明確なクリック感が指先に伝わるため、操作感は非常に良いと感じました。

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絞りリングの動きを固定するAポジションロックを搭載

 また、フォーカス駆動にリニアモーターを使用したインナーフォーカス方式を採用。静粛性に優れているほか、フォーカス群の移動する範囲を短く設計したことで、最短約0.04秒の高速・高精度AFを実現しています。実際にピントを合わせた際の駆動音も耳を澄まさないと聞こえないほどです。

 さらには、過酷な環境下でも撮影できる防塵・防滴・-10℃の耐低温構造を採用。X-T4やX-Pro3など防塵防滴機能を備えたカメラと組み合わせれば雨天でも安心して使用することができ、埃が舞う環境や冬の天体撮影などあらゆるシーンに持ち出せるタフネスさも備えています。

XF23mmF1.4 R LM WR


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 XF23mmF1.4 R LM WRは目で見た光景に限りなく近い画角を切り取ることの出来る、焦点距離23mm(35mm判換算35mm相当)の大口径単焦点レンズ。こちらも10群15枚のリッチなレンズ構成によって収差を徹底的に除去し、圧倒的な解像性能を実現しています。最短撮影距離は19cmと従来モデルのXF23mmF1.4 Rよりもさらに寄れるスペックを獲得し、被写体をクローズアップしながら背景を大きく取り入れたダイナミックな撮影を楽しむことが可能です。

 サイズはXF33mmF1.4 R LM WRとほぼ同じで、最大径はØ67mm、長さは77.8mm、質量は約375gと大口径レンズながら持ち運びやすいコンパクトな設計となっています。絞りリングへのAポジションロック搭載、リニアモーターによる高速・高精度なAF、防塵・防滴・-10℃の耐低温構造なども共通で、最新のスペックを備えた高性能レンズに仕上がっています。

開発担当者インタビュー


 今回は富士フイルム(株)イメージングソリューション事業部 統括マネージャーの上野氏にXF33mmF1.4 R LM WRとXF23mmF1.4 R LM WRについて伺いました。

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― まずはこの2本のレンズのコンセプトを教えてください

 富士フイルムがミラーレスカメラをやり始めて10年。その間にデバイスがどんどん進化し、APS-Cとはいえ高解像化の波は今後確実にやって来るだろうと思っています。そこで高解像化に対応できる第二世代レンズに着手し、まずXF18mmF1.4 R LM WRを開発しました。そして、それと全く同じ設計思想で開発したのが今回のXF33mmF1.4 R LM WRとXF23mmF1.4 R LM WRです。よって、この2本は収差を徹底的に除去して高解像度対応したレンズとなっています。 

― 実に多くのレンズが使われていますがどんな効果があるのでしょう

 解像度を上げることは、イコール収差を取り除くことである、ということはXF18mmF1.4 R LM WRの時にもお話しました。そのために非球面レンズを2枚、EDレンズを3枚を含む10群15枚ものレンズを採用しています。この贅沢なレンズ構成が球面収差の除去や色収差の低減に貢献しているのです。

 同時にリニアモーターも搭載しています。リニアモーターはピント位置での停止精度が非常に高く、AFスピードも断然速いです。どんなにレンズの設計が良くても、ピント位置が1、2パルスずれているだけでそれが発揮できないわけですから、やっぱり精度の高い高速オートフォーカスシステムは必要です。光学設計とメカ設計が合わさって高画質化が実現されており、レンズの組み方や防塵防滴なども含めトータルで性能向上を果たしています。

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左:XF33mmF1.4 R LM WR 中央:XF23mmF1.4 R LM WR 右:XF18mmF1.4 R LM WR

― 解像力の向上は写りにどのような影響を与えていますか

 人の目はやはり優れていて、収差が発生して画面全体の印象やスッキリ感に悪影響があると、それを敏感に感じ取ってしまいます。例えばX-T4で言えばどのレンズをつけても2600万画素は一緒で、センサー側での解像力は変わりません。ただ、センサーは同じでも高解像レンズを付けた時は、一個一個の画素への焦点の合い方が違うとでも言いましょうか、撮影して画面に表示された瞬間に「すごくスッキリしてない?」「クリアじゃない?」という印象を受けることでしょう。目に飛び込んでくる情報量の豊富さ、という部分で大きな違いを感じていただけると思います。

― 従来のXF23mmF1.4 RやXF35mmF1.4 Rと比べたときに解像力の違いは感じられますか

 仮にピクセル等倍のようにPC上で見え方の違いを確認せずとも、ぱっと見でクリアさの違いを感じられると思います。ただ、このクリアさが写真の価値を上げるかと問われれば、それはちょっと別の話でしょう。例えばベールが一枚かかったような写真でも、それがすごく魅力的で味があれば、それはその人にとって良いレンズということになりますよね。どっちが良いということはありませんが、今回の2本はよりクリアな解像感が発揮されてきますので、別の魅力が生まれたと捉えていただきたいですね。

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2本ともフィルター径は58mm

― 今回のレンズは解像性能が注目箇所ではありますが、一方でボケ感の進化はいかがですか

 XF23mmF1.4 R LM WRは最短撮影距離が19cmと従来モデル以上に寄れるようになりましたので、当然被写体に寄ることで背景はグッとボケてきますよね。そして、XF23mmF1.4 R LM WRはそのボケがなんとも滑らかなのが特徴です。

 XF33mmF1.4 R LM WRは併売モデルであり人気のXF35mmF1.4 Rと比べてみると、個人的に使ってみた感じでは、かなり負けず劣らずの滑らかなボケになっていると思います。画面端の方にいっても口径食が強烈に出てくることはありません。ただ、XF35mmF1.4 Rに比べて焦点距離が2mm短くなっているので、その差によるボケ感の違いはあると思います。1mmでも焦点距離が長い方がボケの量は大きくなるでしょうからね。ただ、解像度が上がればボケが固くなるような先入観がありましたが、そんなことは全くありません。撮ってみてかなりクリーミーなボケの表現に驚きました。なので、そこは期待していただければと思います。

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開放F1.4の大口径がもらたす滑らかなボケも魅力

― 33mmと35mmの画角の違いで撮れる画は変わってきますか
 焦点距離の差はたった2mmですので、意識をすれば画角の違いも感じていただけるとは思いますが、画に対する影響はそこまで大きくはないと思います。もちろん先ほど言ったようにボケに違いがあったりはしますが、そこはそれほど大きなことではなく、XF33mmF1.4 R LM WRのクリアな表現が良いのか、XF35mmF1.4 Rのまろやかな表現が良いのか。この2つの表現の差の方が、2mmの差よりも大きいと思いますね。

 なので、XF35mmF1.4 Rをお持ちの方がXF33mmF1.4 R LM WRに買い替える必要があるかと問われれば、それは別の話ではないかと思います。ただ、XF33mmF1.4 R LM WRは独自の表現力を持っていると思いますし、もっと言うとDCコアレスモーターで重たい100g以上のフォーカスユニットを全群繰り出しでごそっと動かしているXF35mmF1.4 Rと、一方でリニアモーターを搭載したXF33mmF1.4 R LM WRでは撮影のリズムや向いている被写体も変わってきます。そのため、性格の全く違うこの2つのレンズを好みによって使い分けていただきたいですね。

― 既存のXF23mmF1.4 RやXF35mmF1.4 Rよりもサイズや重量はアップしていますね

 XF33mmF1.4 R LM WRはXF35mmF1.4 Rにくらべて重量は倍近くなっていますが、レンズ構成が片や6群8枚、片や10群15枚ともなれば重さも当然変わってきます。ただ、そうは言っても収納した状態でのXF18-55mmF2.8-4 R LM OISと同じかそれよりも少し小さいぐらいですよね。逆にフルサイズで50mmのF1.4のレンズとなればさらに大きい訳ですから、そういった意味では高解像力を求めた中でも400g以下に抑えて、機動力を失わないように工夫したのがこのレンズだと思っていただけるとありがたいですね。

― 外装へのこだわりポイントも教えてください

 XF18mmF1.4 R LM WRと共通の装いを採用しており、ローレットの間隔が広くなってゴミの目詰まりも減りましたし、絞りリングを回した時のしっかり感にもこだわっています。XF35mmF1.4 RもXF23mmF1.4 Rも登場からかなり経っているので、そこから見た目の質感だけでなく操作した時の質感も向上させました。そのため、撮影する際今まで以上に快適な操作が出来ると思います。

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操作リングのローレット加工など使い勝手と質感を両立する仕上げとなっている

― どういったシーンで使いやすいレンズとなっているのでしょうか

 まずXF23mmF1.4 R LM WRは35mm判換算で35mm相当。キング・オブ・スナップレンズと呼べるのがこのレンズだと思います。人間が何気なく自然に見ている画角が換算35mmだと言われているように、非常に自然な表現が可能です。逆に言うと誇張があまりなく、大きなボケやワイド感、圧縮感があるわけではありません。そのため難しいレンズとも言えると思います。ただ、35mmのレンズを使いこなす人って「写真が上手いな、魅力的だな」って個人的には感じるんですよね。人間の自然な視覚で撮ったようなスナップや風景、人物など、何気ないけど魅力的な写真を撮っていただきたいですね。

 一方のXF33mmF1.4 R LM WRは35mm判換算50mm相当の画角で、感覚的に若干狭いように感じるんですよね。標準レンズの焦点距離は、フォーマットの対角線と同じという話もあり、フルサイズで言えば24mm×36mmですから対角線だと43mm。そうしてみると50mmはそれより長く狭いわけです。この感覚は個人的にはかなりしっくりきていて、人間の視覚で言うならギュッと見つめた時の視界に近いと思っています。とはいえ、望遠レンズのように圧縮感のある視覚効果が現れるわけではありませんので、若干の視覚効果と注目ポイントを切り抜く様な撮り方が換算50mmの魅力だと思います。そのため、XF33mmF1.4 R LM WRは「そこに着目したんだ」という人間の視点のおもしろさを、高速AFとクリアな画質で切り取っていただけると嬉しいです。

さいごに


XF33mmF1.4 R LM WR、XF23mmF1.4 R LM WR (2).jpg

 最も汎用性の高い換算50mmと35mmのレンズだけに、最新作を待ちわびていたXシリーズユーザーも少なくないはず。さらなる解像性能を獲得し、加えてAF性能の向上、防塵防滴構造の採用など全方位に性能を進化させています。今まで以上のシャープさとクリアさを求めるなら、是非とも手に入れてほしいレンズとなっています。次世代を見据え開発を続ける富士フイルムから目が離せません。


■更新
・2021年10月14日:XF23mmF1.4 R LM WRの発売延期を受け、内容を修正しました。



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