富士フイルム GFX50S II 開発者インタビュー|ラージフォーマットを身近にする5000万画素機

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はじめに


 富士フイルムからラージフォーマットセンサー搭載のミラーレスカメラ、GFXシリーズの最新作「GFX50S II」が2021年9月29日に発売されました。2017年に登場した「GFX 50S」の後継機種で、2021年2月に登場した「GFX100S」を踏襲することで性能向上を果たすとともに、より多くの人にGFXシリーズを使ってもらいたいとの想いから前モデルから大幅なプライスダウンも実現しています。

 今回はいち早く実機に触れる機会をいただきましたので、開発担当者へのインタビューも交えてGFX50S IIを解説していきたいと思います。GFX50S IIはボディ単体と、新作レンズ「GF35-70mmF4.5-5.6 WR」をセットしたレンズキットで販売されます。

5000万画素×ラージフォーマット


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フルサイズセンサーの1.7倍もの面積を持つラージフォーマットセンサー

 対角55mm(43.8×32.9mm)という、フルサイズセンサー比で約1.7倍もの面積を持つ富士フイルムのラージフォーマットセンサー。そのセンサーを搭載したミラーレスカメラが「GFX」であり、シリーズ初のモデルとして登場したのがGFX 50Sでした。5140万画素という高画素とラージフォーマットセンサーとの組み合わせにより、世界最高レベルの写真画質を実現。富士フイルムの新たな歴史を刻むモデルとなりました。

 2018年にはレンジファインダータイプの「GFX 50R」もリリースされ、2ラインアップで販売を続けてきたGFX50シリーズでしたが、GFX 50S登場から4年が経過し、遂に初のモデルチェンジを果たし第二世代機へと進化しました。

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カメラの左サイドにモデル名が刻まれる

 引き続き5140万画素は継承されており、受光面積の大きいラージフォーマットセンサーによって圧倒的な解像力や階調性能、色再現や広いダイナミックレンジを実現した超高画質な撮影を楽しめるのがGFX50S IIの特徴。メリハリのあるシャープさ、ノイズの少ないクリアな画像、被写界深度の浅い豊かなボケなど写真に求められる性能を高次元で達成しています。

 その上で、画像処理エンジンは富士フイルム最新のプロセッサーである「X-Processor 4」を搭載。処理能力の高速化により今まで以上のリズムで撮影が可能になったほか、最新アルゴリズムによる高速・高精度なオートフォーカスも実現しています。顔検出/瞳AFに関しても認識の精度や追従性が向上しており、ポートレート撮影もさらに快適性を増しています。

 さらに、富士フイルムならではの機能であるフィルムシミュレーションは、最新の「ノスタルジックネガ」を含む全19種類を搭載。ビビッドな色味の「ベルビア」、雰囲気のある画が撮れると人気の「クラシックネガ」や「クラシッククローム」、シネマ風の色合いで動画撮影にもぴったりの「エテルナ」など、様々な色表現を簡単に楽しむことができます。

より多くの人にラージフォーマットを


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サブ液晶モニターは前モデルよりも画面が大きくなった

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GFX100Sと同じくモードダイヤルを採用したシンプルな操作系統

 GFX50S IIはGFX100Sと共通のボディを採用することで操作性の統一とともにプライスダウンを実現。そこには、より多くの人にGFXを楽しんでもらいたいという想いが込められています。もはやフルサイズ機と遜色ない価格とサイズ感に仕上がっており、重量も約900g(バッテリー、 SDメモリーカード含む)と十分に機動性の高い撮影が可能になっています。サイズは幅約150mm、高さ約104mm、奥行約87mmです。

 前モデルであるGFX 50Sと比較すると、まずボディ内手ブレ補正機構の搭載が大きな改良点になります。しかも、GFX50S IIは手ブレ補正効果が5軸・6.5段。ベースとなったGFX100Sよりも0.5段分性能がアップしており、三脚を使用できない場所や光量が少ない場所での手持ち撮影をより強力にサポートしてくれます。

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背面液晶モニターは3方向チルト式で様々なアングルに対応できる

 軍艦部に目を移すと、GFX 50SではシャッタースピードダイヤルとISO感度ダイヤルが個別に配置されていましたが、今回はモードダイヤルのみとなり、よりシンプルな操作系統へと変更されています。モードダイヤルには好みの設定を保存しておけるカスタムポジションもC1~C6まで備わっているほか、その前側にはスチール/ムービーの切り替えスイッチも配されています。

 天面に配置されるサブ液晶モニターもGFX 50Sより画面が大きくなり、情報を確認しやすくなりました。このモニターは電源オフにしていても常時表示されるほか、ダイヤル風の表示やヒストグラム表示に切り替えることも可能です。また、背面液晶モニターは3.2インチで視野率100%。 上90°下45°右60°に可動する3方向チルト式のためハイアングル/ローアングル撮影も容易に行えます。

 GFX 50Sで着脱可能だったEVF(電子ビューファインダー)は、GFX50S IIではボディ一体型に。記録メディアはUHS-I/UHS-II対応のSDカードで、ハイアマチュアからプロユースには欠かせないダブルスロット仕様となります。筐体には高強度なマグネシウム合金が使用されており、加えて防塵・防滴・-10℃までの耐低温構造によって過酷な撮影環境でも安心して使うことができます。

手のひらサイズの新レンズ「GF35-70mmF4.5-5.6 WR」


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 GFX50S IIでキットレンズとしても用意されるGFレンズの新作「GF35-70mmF4.5-5.6 WR」。焦点距離35~70mm(35mm判換算28~55mm相当)をカバーする標準ズームレンズであり、GFレンズのズームタイプで最小・最軽量となる質量約390g、長さ約96.4mm(広角端)を実現しています。GFX50S IIと組み合わせても1,300gを切る質量で、軽快な撮影を楽しむことが可能です。

 レンズ鏡筒を収納できる沈胴構造を採用することで抜群の携帯性を実現。沈胴時の長さは約73.9mmと、非常にコンパクトなサイズながら非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚を含む9群11枚のレンズ構成が採用されており、十分に優れた描写性能を備えています。最短撮影距離は35cm。レンズ先端からは最短約25cmまで被写体に寄った撮影が可能です。レンズ単体では2021年11月発売予定。

開発担当者インタビュー


 今回は富士フイルム(株)イメージングソリューション事業部 統括マネージャーの上野氏にGFX50S IIとGF35-70mmF4.5-5.6 WRについて伺いました。

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― まずはGFX50S IIの開発コンセプト教えてください

 初代機GFX 50Sが出たのが2017年なので今年で4年経つのですが、モデルチェンジのタイミングとしてもちょうどいい頃なのかなと。ご存知の通りGFXは2019年のGFX100、そして2021年2月に出したGFX100Sと、ここのところ1億画素モデルを出してきました。しかし、お客様からは5000万画素のラージフォーマットが非常にバランスが良い、という声も引き続き多くいただいており、1億画素だけでなく5000万画素のGFXもちゃんとモデルチェンジしてしっかり作らなきゃな、と思っていたんです。

 では5000万画素モデルをやるとなった時に、最大のポイントは「GFXをより多くの人に使っていただけるカメラにしたい」ということでした。なおかつ、最新の機能や性能・画質を持った状態でより5000万画素を進化させたいと思ったんです。そうなったときに、やっぱりお値段というものが重要になってきます。機能や使い勝手はGFX100Sの時にかなり考えて作りましたから、それを活かしてさらにリーズナブルな価格帯でご提供する。そのためにはボディを共通化して操作性も一切同じにして、違いはセンサーだけという兄弟機の形で作っていこうと決めました。

― フルサイズでも高画素機はありますが、ラージフォーマットならではの良さは何ですか

 まず同じ5000万画素でもセンサー面積がフルサイズに比べて1.7倍大きいですから、1ピクセル当たりの面積も大きくなり、それだけ光を豊富に受けることができます。光の情報量が増えることで、同じ画素数でもフルサイズを凌駕する画質を実現できるわけです。色再現、階調再現、ダイナミックレンジ、高感度ノイズなど全ての面を合わせて画質と言えますが、やはりセンサーが大きい方がこれらの性能は良くなります。フルサイズで同じクラスの画素数を持ったカメラよりも、さらに高画質を実現できるという設計のもと開発されているのがGFXなのです。

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― 画像処理エンジンがX-Processor 4になって何が進化しましたか

 プロセッサーの能力が高くなったことであらゆる演算能力が上がっています。例えば、GFX 50SやGFX 50Rの時の第3世代プロセッサーですと、カラークロームエフェクトをかけて撮影すると、その処理に時間がかかってしまい撮影間隔が長くなっていました。今回X-Processor 4になってカラークロームエフェクトをオンにしてもリズムよく撮影できますし、顔/瞳検出能力も向上するなど、ハードウェアやソフトウェアの動き方って言うんですかね、それらが全て速くなっています。確かにセンサーだけは基本的にGFX 50S/GFX 50Rと同じものを使っていますが、それを動かすための頭脳が格段に速くなってますので、あらゆる面でレスポンスが上がっていると言えます。

― ボディはGFX100Sと同じですが、デバイスとしてはどう進化しましたか

 まずはなんといっても手ブレ補正が入ったという部分ですよね。しかも、GFX100Sの6.0段という補正効果よりも0.5段多い6.5段という、ある意味GFX100Sを凌駕している性能の手ブレ補正を積んでいる訳ですね。ここが圧倒的に目玉になっていると思います。

 また、GFX 50SまではシャッタースピードダイヤルやISO感度ダイヤルなど、Xシリーズの操作性を踏襲した形にしたのですが、今回GFX50S IIは見て分かる通りシンプルな操作性となっています。実はGFX100Sは他社カメラからの切替えや追加の1台として使うユーザーが非常に多いので、そういった方でも慣れ親しんだ操作性で使えるのは重要だと考えています。シンプルなコマンドダイヤルを使って構えながら覗きながらでも右手2本の指で、もしくはボタンでいろんな設定を変えられる即時性の方が合っているのかなと思っています。そういった操作系統の変化も大きいですね。

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― GFX50S IIはどんな撮影にマッチしますか

 どういう撮影にベストかと言えば、まずはやっぱり風景ですね。みなさんご存知だと思いますが、この5000万画素センサーには位相差画素がないんです。ですので、オートフォーカスは基本コントラストAFのみになり、AF速度で比べると少し遅くなります。そうなったときに風景写真でいわゆる爆速オートフォーカスってそんなに必要ないですよね。なんならマニュアルでじっくりと一点に合わせにいく方も多いと思いますので、そういったリズムで撮る分には十分速くて正確なAFが効きます。

 また、1億画素と5000万画素の差で顕著なのが画素ピッチからくるモアレや偽色の発生ですね。1億画素の方が解像力が高く、模様や色の判別力が上がるのでモアレや偽色は少なくなります。ただ、モアレが発生しやすい一定パターンを持った被写体などは風景撮影ではあまりないですよね。ですので、GFX100Sよりもモアレや偽色が発生しやすいデメリットも風景ならほぼ無視できると思います。

 続いてはポートレートにおすすめです。解像力やトリミング耐性、ファイルサイズなどを考慮しても人物撮影をするには5000万画素くらいが丁度いいと思います。一方的に高速動体を撮るわけではなく、ポートレートは基本的には1対1でしっかり構えて、意思疎通しながらリズムよく撮っていきますよね。そういったリズムでも十分使えるオートフォーカスになっています。

― また、GFX50S IIキットレンズでもあるGF35-70mmF4.5-5.6 WRはどんなレンズでしょうか

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 先ほどGFXをより多くの方に使っていただくにはお値段が重要だと言いました。これはボディだけではなくてレンズにも言えることです。ただ、GFXは富士フイルムのシステムの中ではいわゆるトップオブトップになるので、世の中でいうところのキットズームレンズがいるのかという議論はありました。それでも、GFX50S IIを広めるためには必要でしょうということで誕生したのがこのレンズです。

 お得な価格と性能を両立するために開発のグループが大変頑張ってくれました。F値を可変にするなど今までのGFレンズからいくつか譲っていいポイントは上げましたが、それでも開発のハードルは十分に高かったと思います。私もXシリーズを始めてからXレンズ・GFレンズで計40本くらいの企画に関わりましたが、このレンズほど狐につままれた感のあるレンズってないんですよね。結構な無理難題を言ったので、これはできませんとか重量が100g増えちゃいますとか色々開発側から言われると思っていましたが、ほぼ満点の形で返ってきたんです。

 絞り開放での周辺画質などはある程度妥協せざるを得ないと思っていましたが、もはや妥協とは言えないレベルにまで仕上がっており、本当にどなたにもファーストレンズとしておすすめできる製品が出来上がっていると思います。

― これだけ小型軽量化できた理由は何でしょう

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鏡筒が収納できる沈胴式を採用し携帯性を向上させた

 まず、耐久性や精度は犠牲にすることなく可能な限り軽い材質を選んでいます。さらに、沈胴式なので鏡筒が伸びた時に生まれるスペースを有効活用しています。F値に関しても無理のない設計なので、フォーカスレンズも小さくでき、GFレンズとしては初のステッピングモーターでフォーカス玉を動かすことができています。そうなるとリニアモーターのような重量物がなくなり軽量化に繋がります。

 そして最後にマウント部分。元々GFレンズは堅牢性を重視してマウント部に真鍮を採用していますが、これだけ軽く作れると真鍮だと過剰になってくるんです。ですのでGFレンズで初のアルミマウントにすることで、さらに重量を下げることができました。これら設計の工夫が重なって効果を生み、最終的に400gを下回る驚愕の軽さを達成したわけです。

 かといって全く安っぽくないのもポイントです。価格で言えば安いレンズと言えるかもしれませんが、決して安っぽくはありません。ですのでGFX100Sに装着しても、質感でも外観でも操作感でも見劣りしない良いレンズができたなと思っていますね。

 また、GF35-70mmF4.5-5.6 WRはGFレンズで14本目のレンズであり、これまでの開発経験が活きたレンズと言えます。お客様的には始めから出してほしかったと思うかもしれませんが、今までのGFXを通じて培われた経験値があるからこそできた部分は少なからずあると思います。加えて、絞りリングの採用を見送ったり開放F値の可変を許したり、コストダウンと軽量化のために思い切って決断した部分は多々あります。それでも実用上何も問題ない、画質や質感にも影響を与えない、そういった箇所を的確に探すこと。さらに経験値と設計能力が上がっていることの相乗効果でこのレンズが完成したと思っています。

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マウント部分に真鍮ではなくアルミを採用

― 著しい軽量化を果たしていますが、GFXシリーズの重量についてはどうお考えですか

 ミラーレス同士で比較してしまうとラージフォーマットはまだ少し重いですね。センサーが大きい分、どうしてもレンズも大きくなります。ただ、デジタル一眼レフの時代と比べたら逆にGFXの方が軽い部分もあり、なにより大きさは遜色ないですよね。カメラが大きいからGFXはちょっと……とはならないレベルにまできていると思います。それプラス写りの違いは明らかですので、十分にフルサイズにも対抗できるカメラになっていると思います。

― 最後にGFX50S IIのアピールを一言お願いします

 冒頭でも言いましたが、GFX50S IIはより多くの人にこのラージフォーマットを体感していただくために企画した製品になります。我々としても頑張ってレンズもボディも低価格に抑えました。価格的にもほぼフルサイズ同等、5000万画素クラスで考えれば同等になってきます。そこで注目していただきたいのがラージフォーマットならではの写りの雰囲気です。なかなかロジカルには説明しづらいですので、とにかくこれは撮っていただくしかない。確実に違いを体感いただけると思いますので、手の届きやすくなったこのGFX50S IIをぜひお試しいただいて、皆さんにとっての新しい表現にしていただけると富士フイルムとしては嬉しいですね。

さいごに


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 4年越しのモデルチェンジによって性能を進化させた「GFX50S II」。価格、性能、機動性あらゆる面でバランスに優れたカメラに仕上がっていると感じます。ぜひこのGFX50S IIから富士フイルムのラージフォーマットセンサーカメラを試してみてはいかがでしょうか。ラージフォーマットがもたらす高画質を体感いただければと思います。

特集ページ


 GFX50S IIは好評発売中。GFX50S II特集ページでは、他製品とのスペック比較や同製品に合う人気アクセサリーなども紹介しています。ぜひコチラの特集ページも合わせてご覧ください。

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