キヤノン RF100mm F2.8 L MACRO IS USM レビュー|驚きの最大撮影倍率1.4倍

05_作例.jpg

はじめに


 マクロレンズといえば「等倍撮影」という常識を打ち破り、最大撮影倍率1.4倍が特徴のRF100mm F2.8 L MACRO IS USMが登場しました。マクロ撮影から中望遠まで、RFレンズらしい高い描写性能とSAコントロールによる新たなボケの描写が魅力のハイスペックな一本です。

 今回のレビューは、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMの性能を活かした作例をご覧いただきながら、お届けしたいと思います。

01_RF100製品画像.jpg

デザイン・外観


 長さ148mm、重量約730gとマクロレンズとしては標準かやや大きいかなというサイズですが、SAコントロールリングなど新しい機能の実装を考えると十分コンパクト。細かな操作をすることも多いマクロレンズとしては、手に馴染むちょうどよいサイズ感です。レンズ側面には、フォーカスリミット、AF/MF切り替えスイッチ、イメージスタビライザースイッチの三つが配置されています。SAコントロールリングは視認性が高く見やすい配置です。

02_レンズ側面.jpg

最大撮影倍率1.4倍


 長年のマクロユーザーであるほど、「マクロ=等倍」のイメージが強いのではないかと思います。このRF100mm F2.8 L MACRO IS USMはその常識を破り、最大撮影倍率が1.4倍に大変身。スペック上の1.4倍という数字も凄いのですが、写真を見て比べるとその違いがわかりやすいので倍率の違う作例を早速見てみましょう。


等倍と1.4倍の比較


03_等倍.jpg
等倍:写真に写っている被写体の横幅実寸は約36mm

04_1.4倍.jpg
撮影倍率1.4倍

 ファインダーを覗いて撮っていると、「え?ここまで寄れるの?」というぐらい近くまで寄れます。RF100mm F2.8 L MACRO IS USMのセンサーから被写体までの最短撮影距離は26cmですが、実用上はフードを外した状態でのレンズ面から被写体までの距離が9cm弱ぐらいと覚えておくと便利です。また、近接撮影ではレンズ側部のフォーカスリミットを0.26m-0.5mに設定するとピント合わせが速いです。


撮影倍率1.4倍で撮影した作例


 長年、等倍で撮影してきたので、撮影倍率1.4倍は体感的には驚くほど近寄れる印象です。

05_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1000秒 ISO400

 マクロ撮影を超えて、顕微鏡の世界に入り込んだかのよう。

06_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/200秒 ISO800

 倍率1.4倍は葉脈などの質感や造形を切り取る時にも有効ですね。個性的な写真を撮りたい方に是非体感して欲しい世界です。

07_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1000秒 ISO400

 等倍撮影でも小さな被写体を十分大きく描写可能ですが、撮影倍率が1.4倍となると、まるで顕微鏡で覗いた時のような、肉眼で見えているようで見えていない被写体の表情を捉えることができます。近所の公園などでも見たことがないような写真を簡単に楽しめるので、散歩のお供としてもおすすめです。ご覧いただいた近接写真は、実は家から5分以内の公園や路地で撮影した作例です。身近な世界の驚きの表情が撮れるのが嬉しいですね。

SAコントロールリング


 さて、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMのスペックで、皆さんが気になるのは「SAコントロールリング」ではないでしょうか?SAとは球面収差のことですが、この言葉は覚えなくても大丈夫!皆さんに知っていただきたいのはボケ味をコントロールできるリングであるという点です。早速、写真を見て比べてみましょう。

■SAコントロールリングをセンターで撮影

08#.jpg

08センター.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/3200秒 ISO400

 SAコントロールリングを回すと、センターでカチッとなります。センターの状態にある時のみ、レンズ横にあるロックボタンが効きますので、普段はセンターでロックしておくとリングが回らずに撮りやすいです。

 今までのマクロレンズと同じ感覚で、ピントを合わせた箇所をシャープに描写したい時は、SAコントロールリングはセンターと覚えておくと便利。開放F2.8の撮影でも、ピントを合わせた被写体はシャープで繊細な線を描きます。それでいながら、被写体前後のボケ味はやわらかくて美しい描写です。シャープさとボケのメリハリが心地よいレンズです。

■SAコントロールリングを「+」で撮影

09#.jpg

09プラス.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/2500秒 ISO400

■SAコントロールリングを「ー」で撮影

10#.jpg

10マイナス.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/3200秒 ISO400

 まず最初にSAコントロールリングを「+」でも「ー」でもピントを合わせた被写体はソフトフォーカスフィルターを使ったかのようにやわらかい描写されることを覚えておきましょう。ピントが合っていないわけではないので心配しないでOKです。違うのはピントを合わせた被写体の前後のボケ具合です。

■ボケの特徴
ピントを合わせた被写体を基準にすると、
「+」は背景のボケが硬く、前景のボケはやわらかい。
「ー」は背景のボケがやわらかく、前景のボケは硬い。


 下の作例は、SAコントロールリングを「+」で撮影した一枚です。ボケの硬さを強調するためにメモリーの端までリングを回しています。リングの位置によって、ボケの強度は変わりますので、被写体をモニターかファインダーで確認しながら効果を調整して使うのがいいでしょう。

11_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/2000秒 ISO800

 下の作例はSAコントロールリングを「ー」で撮影した作例です。全体がやわらかい印象の写真になります。

12_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1600秒 ISO400

高画質の中望遠レンズ


 自然風景の撮影で、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMはマクロ撮影だけでなく中望遠の単焦点レンズとしても高い描写力を発揮するレンズです。マクロ撮影ではF2.8などの開放寄りの絞り数値をよく使いますが、中望遠では私自身はF8~F11前後に絞り、被写体である自然風景の細部を豊かに写し出して、今までにない解像感とシャープネスを楽しんでいます。

 マクロと中望遠という2本の役割が1本に収まり、実は汎用性が高いのもこのレンズの嬉しいポイントです。中望遠として使う時は、フォーカスリミットは、0.5m-∞で撮影しています。ナノUSMモーターで駆動するAFは超高速でストレスがありません。

 中望遠レンズの圧縮効果を使いながら、手持ちで神奈川県の城ヶ島の岩肌から海、空の表情までを微細に捉えた一枚。このレンズを手にしたら、是非プリントをしてその繊細な描写力を味わってみてください。

13_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F11 1/1000秒 ISO400

 上の写真と同じく、城ヶ島から眺めた相模湾のゆらめき。絞りF11で撮影することで、波頭を繊細に描くことができました。海を撮る時は明暗に注目すると質感のある波の表情を撮りやすいですね。RF100mm F2.8 L MACRO IS USMは中望遠レンズとしても超優秀なレンズです。

14_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F11 1/4000秒 ISO100

 こちらは和歌山県の那智の滝です。カメラはEOS R5で、EVF(電子ビューファインダー)を覗きながら、手持ち撮影しました。岩肌の造形と木々の細かな質感だけでなく、高速シャッターで水の一瞬の表情も捉えています。

15_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F11 1/2000秒 ISO400

手ブレ補正


 RF100mm F2.8 L MACRO IS USMはEOS R5のようなボディー内手ブレ補正機構のあるカメラとの協調制御で、8.0段分の手ブレ補正効果を発揮します。よく、マクロレンズはブレやすい、AFが合わなくて撮影が難しいという話を伺いますが、8.0段分の手ブレ補正効果があれば、絶対とは言えませんが、ほぼ大丈夫。

 小さなキノコの撮影などは足場が悪くて三脚が立てられない場面も多く、手持ちで撮影する機会が多いマクロですが、強力な協調手ブレ補正で撮影がかなり楽になりました。暗いシーンでもとても撮りやすいです。

 夕方の日が沈んだ後の時間帯。カメラとの協調制御のおかげで手ブレもなくピントがシャープ。シャッター速度は1/10秒というスローシャッター。

16_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/10秒 ISO1600

 ISをわざとオフにして撮影してみました。シャッター速度は同じ1/10秒です。上の写真と比べると、いかに手ブレ補正が効果を発揮しているかが分かると思います。

17_作例.jpg
■撮影機材:Canon EOS R5 + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
■撮影環境:F2.8 1/10秒 ISO1600

まとめ


 今回は、超近接撮影から中望遠までの幅広い撮影が楽しめるRF100mm F2.8 L MACRO IS USMをご紹介させていただきました。RFシリーズの新世代マクロレンズは描写がシャープなだけでなく、強力な手ブレ補正や個性的なSAコントロールリングによるボケの表現で、新たな写真の世界へ皆さんを連れて行ってくれるでしょう。


■写真家:GOTO AKI
1972年、川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。武蔵野美術大学造形構想学部映像学科・日本大学芸術学部写真学科 非常勤講師、キヤノンEOS学園東京校講師。


「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」関連記事はこちら


■キヤノン RF100mm F2.8 L MACRO IS USM×ポートレート|大村祐里子
https://shasha.kitamura.jp/article/483293604.html



その他の商品はこちらから