これから始める星景写真 Vol.2|被写体を意識して撮影しよう!

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はじめに


 星景写真家・写真講師の北山輝泰です。「これから始める星景写真 Vol.1」はご覧いただけましたでしょうか? Vol.1では夜の撮影に慣れることをテーマに、自宅周辺での撮影についてご紹介しましたが、Vol.2では自宅を少し離れて被写体を探しながら撮影する際のポイントやテクニックについてご紹介したいと思います。

■「これから始める星景写真 Vol.1」はこちらからご覧頂けます。
前回記事(Vol.1)のキャプチャー画像.jpg

星景写真で大事なこと


 星景写真の面白さは、星空だけでなく風景を一緒に撮影することにあります。風景が変われば、たとえ同じ星空を撮影したとしてもまた違った印象の写真を残すことができます。目の前の風景にどのような星空をマッチングさせるかを考えるのが醍醐味であり、難しいところでもあります。

 風景の候補としては、自然の景観は元より、都市風景など様々なものがあります。雑食的に色々な風景と星空を撮影していくのも良いですが、まずは自分が一番得意なフィールドを作るのが良いでしょう。勝手が分かった場所であれば、落ち着いて被写体と向き合うことができるため、星景写真撮影で最も重要な「取捨選択をする力」を養うことができます。さらに、季節が変われば星空も風景もガラッと変わりますし、月明かりの有無でも撮影できる写真は変わってきます。同じフィールドで撮り続けることでしか発見できないこともありますので、通い続けることはとても大事です。

近くの公園や展望台に出かけよう


 星景写真の練習場所として理想的なのは、自由に歩ける広さがあり、色々な方角が撮影できる場所です。モチベーションを維持するためには、ある程度暗く星空がよく見える場所が良いでしょう。郊外にお住まいの方は、近場でもそういった場所を見つけやすいかもしれませんが、市街地にお住まいの方はそれなりに移動しないといけないかもしれません。電車移動の場合は、星空を撮影したあと終電で帰ってこられるような距離感の場所を探してみましょう。

 民間施設の場合は、出入りできる時間が決まっており、夜の撮影ができないことがほとんどですので、公共施設で24時間出入り可能な場所を探しましょう。おすすめは芝生広場があるような広い公園や展望台です。そこにある木立や木、遊具は、星景写真の立派な題材になります。展望台は、夜景と星空の撮影を練習する場所としては最適です。一部の方角しか開けていない展望台でも、時間帯を変えることで、マッチさせる星空を変えることができます。公共施設での撮影の際は、不特定多数の人がいる場合がありますので、周辺状況に配慮しながらマナーを守って撮影を行うようにしましょう。

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■撮影機材:ソニー α6400 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影環境:ISO800 F3.5 4秒 WB蛍光灯 焦点距離18mm(35mm判換算27mm相当)

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■撮影機材:ソニー α6400 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影環境:ISO800 F4.5 10秒 WB蛍光灯 焦点距離30mm(35mm判換算45mm相当)

撮影を始める前に


 星景写真を上手に撮るためには、一度昼間に行ってロケハンをするのがよいでしょう。ロケハンでは、風景の題材探しはもちろん、撮りたいと思った方向を定めたら、コンパスを使って方角を確認していきます。その後、星空アプリなどを使ってどのような星空と一緒に撮影するかを考えます。私が使用しているのは、天体望遠鏡メーカーのビクセンからリリースされている「Interval Book」です。このアプリは、月や太陽の連続写真を撮影する時の画角シミュレーション用のアプリになりますが、星景写真撮影でも大いに役立ちます。

■App Storeのビクセン「Interval Book」アプリはこちら
■Google Playのビクセン「Interval Book」アプリはこちら

アプリ操作画面をキャプチャーした画像.jpg

 緑色で表示されている枠が、設定画面で入力した焦点距離で撮影できる星空の範囲を示しています。方角の表記の上に敷かれている線は地平線です。あとは撮りたい方角に画面をスワイプした後、画面下部のスライドバーを操作し時間を変えながら、自分が撮ってみたいという星空が枠の中に来る時間を探します。撮りたい星空が分からない場合は、季節ごとの代表的な星座から撮影してみるのがいいでしょう。それ以外には、ご自身の誕生星座を探して撮影してみるのも面白いかもしれません。ちなみに、例えば11月15日生まれの方の星座は「さそり座」になりますが、さそり座は夏の星座なので11月に見ることができません。これは、誕生星座の考え方が「生まれた日の太陽の方向にある星座=誕生星座」だからです。そのため、自分の誕生星座を撮影したいと思った場合は、およそ半年後の夜の空を時間帯を変えながら探してみるといいでしょう。

 もし昼間にロケハンができない場合は、月明かりがある日に撮影に行くのも手です。そうすることで、夜でもおおよそどんな風景が目の前にあるか分かり、ライブビューを使った構図決めもしやすくなります。

 撮影現場に着き準備が整ったら、まずはピント合わせを行いましょう。ズームレンズの場合は一番広角側にします。次にVol.1でご紹介した目安となる露出設定(ISO感度、絞り、シャッタースピード)をカメラに入力し、ホワイトバランスも決めたら準備は完了です。ここで入力する露出設定はあくまで試し撮りの値になりますので、あとは実際に撮影した写真を見ながら「明るすぎるかな?」と思うくらいで撮影をするとちょうど良い明るさになるでしょう。

 ちなみに、今回私が撮影した場所は、山梨県大月市にある富士山を遠くに望める公園です。昼間は多くの親子連れで賑わう公園ですが、夜は私以外は誰もいませんでした。この日使用した機材は、前回と同じくソニーのα6400とE 18-135mm F3.5-5.6です。星景写真ではF値の明るいレンズが有利とVol.1でご紹介しましたが、今回のように月明かりがある日や、空が明るい場所で撮影をする場合には、F値が多少暗いレンズでも十分綺麗に撮影することができます。

焦点距離を変えながら撮影をする


 自宅周辺の撮影では夜の撮影に慣れることをテーマに「ピント合わせ」や「明るさの確認」について紹介しましたが、それらが問題なくできるようになったら焦点距離を変えながら構図を意識して撮影する練習をしましょう。焦点距離が変わるとピント位置も変わるため、その都度やり直す必要が生じますが、とにかく練習と思って頑張りましょう。今回使用したレンズのように、焦点距離によって開放F値が変わるレンズの場合、選択した焦点距離によって写真の明るさも変わってくるため注意が必要です。

 広角で撮影すると風景を広く切り取りつつ、星空もたくさん写すことができますので、使用頻度は一番多いです。広角では、実際の印象に比べると地上の被写体一つ一つの存在感は小さくなってしまうため、被写体との距離感が重要になってきます。大きさを強調したい被写体に近づき、遠近感を生かした撮影ができると印象的に仕上げることができるでしょう。

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右側の写真は大きさを強調したい被写体に近づき、遠近感を生かした構図づくりを心掛けています。
■撮影機材:ソニー α6400 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影環境:ISO800 F3.5 8秒 WB蛍光灯 焦点距離18mm(35mm判換算27mm相当)

 広角では余計なものが多く写ってしまう時には、焦点距離を標準にします。写る範囲は狭くなりますが、それだけ被写体をクローズアップして撮れますので、迫力のある画を見せたい時には有効的です。ある一つの星や天体をテーマに星景を撮る時には、35mm判換算で150mm以上の焦点距離にすることもありますが、短時間のシャッタースピードでも星の流れが目立ってしまうため、星の動きを追尾できる赤道儀を使って星を止めて撮影することになります。赤道儀を使った撮影についてはこちらの「ビクセン 星空雲台ポラリエUレビュー」にまとめておりますのでご参照ください。

▼18mm(35mm判換算27mm相当)で撮影
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■撮影機材:ソニー α6400 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影環境:ISO800 F3.5 8秒 WB蛍光灯 焦点距離18mm(35mm判換算27mm相当)

▼24mm(35mm判換算36mm相当)で撮影
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■撮影機材:ソニー α6400 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影環境:ISO800 F4.0 8秒 WB蛍光灯 焦点距離24mm(35mm判換算36mm相当)

▼32mm(35mm判換算48mm相当)で撮影
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■撮影機材:ソニー α6400 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影環境:ISO800 F4.5 8秒 WB蛍光灯 焦点距離32mm(35mm判換算48mm相当)

縦構図で撮影をする


 基本的な撮影に慣れてきたら、構図を縦にして撮影する練習も行いましょう。星景写真では、南中する(ちょうど真南にくる)天の川と風景を撮影する時など、縦構図の方が収まりが良いシーンも多いため、暗い中でもその切り替えができるようになっておくことが重要です。横の構図で撮影に慣れていると、縦にした時にボタンの配置なども変わるため、撮影のやりにくさを感じると思いますが、これも経験を積んで慣れるほかありません。三脚の雲台の種類によって縦構図の切り替えの仕方はバラバラですが、私の場合は、L字ブラケットとアルカスイス式の雲台を併用することでスムーズに切り替えができるようにしています。

08_作例.JPG
■撮影機材:ソニー α6400 + E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
■撮影環境:ISO800 F4.5 13秒 WB蛍光灯 焦点距離28mm(35mm判換算42mm相当)

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まとめ


 Vol.1とVol.2を通してご紹介してきたことをまとめると以下の項目になります。

・ピントの合わせ方
・試し撮りからの明るさの確認
・焦点距離を変えながら撮る
・横や縦など構図を変えながら撮る

 これらのことが場所や空の明るさが変わっても問題なくできるようになるまで、繰り返し練習をしましょう。ちなみに、今回使用したα6400をはじめ、ソニーのミラーレスカメラの一部には、ライブビューを明るくして暗い中での構図確認をしやすくする「ブライトモニタリング」機能が搭載されています。使用するためには、メニューの中にあるカスタムキーに登録をする必要があります。詳しくは下の動画で解説していますのでよろしければご覧ください。



 次回のVol.3では、いよいよ空が暗い本格的な撮影地に行った時の撮影ポイントや注意点についてご紹介したいと思います。お楽しみに!


■写真家:北山輝泰
東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。天文台インストラクター、天体望遠鏡メーカー勤務を経て、2017年に写真家として独立。世界各地で月食や日食、オーロラなど様々な天文現象を撮影しながら、天文雑誌「星ナビ」ライターとしても活動。また、タイムラプスを中心として動画製作にも力を入れており、観光プロモーションビデオなどの制作も行っている。星空の魅力を多くの人に伝えたいという思いから、全国各地で星空写真の撮り方セミナーを主催している。セミナーでは、ただ星空の撮り方を教えるのではなく、星空そのものの楽しさを知ってもらうために、星座やギリシャ神話についての解説も積極的に行なっている。


北山輝泰さん星景写真撮り方講座の連載記事はこちらからご覧頂けます


■これから始める星景写真 Vol.1|自宅周辺で夜の撮影に慣れよう
https://shasha.kitamura.jp/article/483663405.html

第2回「それぞれの宙を見上げて」星空フォトコンテスト2021のお知らせ


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 ビクセンでは第2回「それぞれの宙を見上げて」星空フォトコンテスト2021を開催しています。宙(そら)は、もっとも身近にある、スケールの大きな被写体です。満天に星の広がる高原や海辺から、歴史的な建造物とともに、都会の景色の中で、あるいはご自宅からも、星空を撮影することができます。みなさんの「宙を見上げる時の想い」を、ぜひ作品にしてご応募ください。お一人何点でもご応募可能です。

・募集締め切り:11月30日(火)
・募集テーマ:星にまつわる8つのテーマ(国内・海外問わず)
(1)自然風景
(2)山
(3)海
(4)建造物
(5)水鏡
(6)天体写真(星雲星団、惑星など)
(7)月
(8)自由
・応募方法:プリントまたはWeb
・各賞:グランプリ(1作品)ビクセンオンライン商品券5万円分 + 「星空雲台 ポラリエU」 ほか

詳細はビクセンホームページをご覧ください。



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