料理の動画はライブ感が命!パスタ作りを撮る|山口規子

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はじめに


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■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
■撮影環境:f/4 1/100 ISO400

 スマートフォンやカメラの動画機能も向上し、気軽に動画撮影を楽しむ人が増えてきました。撮る人も「これは、動画で撮る方が面白いね」「これは、写真で撮る方がいいね」など被写体によって使い分ける方も多いと思います。そこで、今回は料理の動画撮影。一瞬の瞬間を狙う写真も素敵ですが、次々と手から生まれる料理を見ていると、魔法のようでワクワクします。

 そう、料理動画は楽しい。では料理の動画はどう撮ればよいのか、ポイントをお教えします。料理の手順などの作業をカメラで追う説明動画もいいけれど、ちょっとイメージ寄りの楽しい動画にチャレンジ!まずはこちらの動画をご覧ください。


まずはイメージトレーニング


 まずは自分のイメージを考えておくことが大事です。世界の巨匠、映画監督の黒澤明氏も映画撮影の前に絵コンテを描いて、スタッフに説明していたといいます。自分が撮りたいイメージを料理する人に説明し、流れを共有。まずは撮らずに自分の動く動線を確保し、シミュレーションで動いてみます。

 そして、音も録音されるのが、写真と違うところ。被写体に対して言葉じゃなくて、スタートやストップを知らせるサインも考えておくといいですね。私の場合は左手でスタートは3、2、1と指をカウントし、ストップはぐっとと手を握るゲンコツを合図にしています。今回使用した機材は、カメラはNikon Z 6II、レンズはNIKKOR Z 24-70mm f/4 S。カメラ設定は動画モード、1920×1080 60P、ISO感度AUTO、オートエリアAF。では撮影スタート!
(※スチール写真は、カメラNikon Z 6II、レンズNIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sを使用)

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■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
■撮影環境:f/4 1/100 ISO400

寄りと引きをバランスよく


 なぜズームレンズを使うかというと、寄りも引きも撮りたからです。もちろん、単焦点レンズで、自分が前後に動けばよいかもしれませんが、料理の場合は、コンロなど火を扱うスペースなど近づけない場所もあるからです。動画の中に寄りの絵と引きの絵を入れ込むことによって、動画全体の中でリズム感がでてきます。ピントは液晶画面を見ながら、合わせたいところを指でタッチします。同じ画面でも奥の粉に合わせたり、手前の手に合わせたりできます。

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■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
■撮影環境:f/3 1/100 ISO400

ライブ感が大事


 何といっても一番大事なのはライブ感です。料理動画はその場の空気、つまり匂い、音、ツヤ、シズル感など「今、作っているよ!」的なライブ感が写せるといい感じになります。ライブ感を出すには、「長回し」。短く撮ってあとの編集で繋ぐより、とにかく長く撮ること。少々の手ブレなら気にせず、長く撮ることによって、その場の空気をまるごと写せるのです。

 映画「カメラを止めるな!」で、カメラが地面に落ちて横になったまま撮影し続けているシーンがありましたが、首を曲げて見たくなるほど画面は見づらいけど、なぜかその場の空気が伝わってきます。そして料理の場合は、味覚、嗅覚、視覚、触覚、聴覚の5感を考えながら、このシーンはアップで撮るべきか、引きで撮るべきかを判断すると、より充実した動画になります。

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■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
■撮影環境:f/3.2 1/80 ISO800

まとめ


 写真も同じですが、瞬時に判断して画角やピントを決めないと被写体の動きはどんどん先に進んでしまいます。だから撮る前のイメージトレーニングを必ずやってください。シミュレーションして動線と画角をチェック、本番に入ったら、とにかく長回し。そして、自分の気持ちを大切にしてください。動画は撮影者の気持ちが色濃く反映されてしまいますので、気を付けてくださいね。まずは自分の食べたい料理からチャレンジ!

05_サルディーニャパスタを作る様子.jpg
■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
■撮影環境:f/3 1/40 ISO400

おまけ情報 サルデーニャ島のパスタの話


 イタリアのサルデーニャ島は地中海に浮かぶ2番目に大きな島です。シチリア島の上に位置し、イタリアなのに、イタリア本島とは全く違う文化があり、パスタも独特な形のものが多いです。「サルデーニャでは村ごとにパスタの形が違って、村の数だけ種類があるのよ」と人々は言います。ほとんどがショートパスタで、代表的なのは「フレーゴラ」というつぶつぶのパスタです。魚の卵という意味のフレーゴラは、たらいのような底が平らなボウルに、セモリナ粉を入れ、塩とサフランを入れた卵水(全卵を水でといたもの)を、少しずつ垂らし入れ、シャカシャカと手の平を素早く動かしながら粒状にしていきます。

 そのほかにも復活祭前に子どものために作られていた鳩のような形の「カオンパザ」、モルゴンジョーリ村でお祭りのときに食べるリングの形の「ロレギッタス」、今では作れる人が少なくなってしまった神の糸という意味の「フィリンデゥ」、生地にマッシュポテトを包み込んだ餃子のような「クルルジョネス」など、話を聞いているだけでパスタ博物館にいるようです。今回のパスタは「マロレドゥス」というフレーゴラの次に伝統的なパスタです。かごや専用の器具を使って、筋の模様をつけるのでパスタソースがよく絡み、美味しくなるパスタです。


■料理協力:山内千夏(やまのうちちなつ)
料理家。イタリアへ料理留学後、神奈川県にてイタリア家庭料理教室を主宰。
イタリアのマンマが愛情たっぷりに作る滋味あふれる料理を探求している。

■写真家:山口規子(やまぐちのりこ)
栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。文藝春秋写真部を経て独立。女性誌や旅行誌を中心に活動。透明感のある独特な画面構成に定評がある。「イスタンブールの男」で第2回東京国際写真ビエンナーレ入選、「路上の芸人たち」で第16回日本雑誌写真記者会賞受賞。近著に旅と写真の楽しみ方を綴った「トルタビ~旅して撮って恋をして~」や柳行李職人を撮り続けた写真集「柳行李」など。料理本や暮らしに関する撮影書籍も多数。旅好き、ネコ好き、チョコレート好き。公益社団法人日本写真家協会理事


料理写真の撮り方についてはこちらの記事で紹介しています。


料理写真をうまく撮るコツとは?サルデーニャ料理でトライ!|山口規子
https://shasha.kitamura.jp/article/483836904.html



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