最新スマートフォンで気軽に撮影を楽しもう!|三井公一

三井公一

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はじめに

 この秋もたくさんのスマートフォンが登場しました。どの端末もカメラの性能に磨きをかけて、美しく素晴らしい写真が誰でも撮影できるようになっています。

 今回はその中でも注目の、アップル「iPhone 13 Pro」とグーグル「Pixel 6 Pro」を使った写真撮影のコツをお伝えいたします。特にカメラ性能に優れたこの2機種を使用することで、デジタルカメラと同様にスナップ撮影が楽しくなりますよ。

スマートフォンのカメラは「感じて」シャッターを切ろう

 ShaSha読者の皆さんなら、毎週末のようにデジタルカメラと交換レンズを持って、さまざまな場所へ撮影に行っていることでしょう。中には平日の通勤、通学時にもカメラを携行して、素晴らしい光景との出会いに胸を躍らしている強者もいるはずです。

 しかし、プロフェッショナル・フォトグラファーならともかく、常時デジタルカメラと交換レンズを持ち歩ける人は多くありません。やはり普段はスマートフォンのみ、という人がほとんどなのではないでしょうか。

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いつでもどこにでも持って行けるデジタルカメラがスマートフォンでしょう。機内から美しい日本をiPhone 13 Proで撮りました。気軽に携行できるのでいいシーンを撮る機会が増えるのがいいですね。

 幸いなことにこの数年スマートフォンのカメラ性能が格段に向上しています。画素数はもとより、「AI(機械学習)」を活用しての「コンピュテーショナルフォトグラフィー」が進化して、端末についている小さなレンズとセンサーでも目を見張るほどの写真を撮れるようになりました。「HDR」による白飛びと黒つぶれを抑えたショットや、数秒にわたるスローシャッターの夜間撮影でも手ブレしなかったり、計算によって美しく背景ボケを作り出せたりと機能の充実度が止まりません。

 コンパクトデジタルカメラを市場から駆逐してしまうのを納得できるほどです。誰でもスマートフォンを構えてシャッターを押すだけでキレイな写真がカンタンに撮れてしまうのですから。

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「いいな!」と思ったら感覚的に撮影できるのがスマートフォンのカメラですね。湘南の夕景をPixel 6 Proで撮ったカットですが、デジタルカメラだと露出補正などを考えてしまい、パッと撮影できなかったかもしれません。

 デジタルカメラで撮影する場合、多く人はシャッターを切る瞬間にこんなことを考えるはずです。「この露出モードでいいのだろうか?」「このレンズで画角はあっているだろうか?」「露出補正はどれくらいにしようか?」などと。乱暴に言ってしまうとスマートフォンの場合はあまり考えなくて済みます。「構図」にさえ集中すれば「AI」が何とかしてくれるのです。スマートフォンで撮影する時は難しいことを考えずに、楽しんで気軽にたくさんのシャッターを切ることが大切です。

 「考えて撮る」デジタルカメラ、「感じて撮る」スマートフォン、と心に刻み込んで撮影するといいでしょう。デジタルカメラを持ち歩いていないときでも、素晴らしいシーンやシャッターチャンスはあるものです。そんな時「!」と感じた瞬間にスマートフォンのカメラで撮影してみましょう。

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建物のプレートが反射する光に「!」と思い、iPhone 13 Proのシャッターを切りました。スマホは常時携行できる手軽なデジタルカメラと言えます。

とっさのシャッターチャンスに備えよう

 冬であればジャケットのポケット、夏であればパンツのポケットなどにスマートフォンをしまっているはずです。ある日の午後に散歩中、いいシーンが目の前に現れたとします。「撮りたい!」と思った時、スマートフォンのカメラをどうやって起動していますか?毎回、顔認証もしくは指紋認証をしてロック解除してカメラを立ち上げていないでしょうか?それではとっさのシャッターチャンスを逃してしまうかもしれません。

 ポケットに手を入れて、スマホを握って外に出すタイミングでカメラを立ち上げられるようにしておけばその心配も無用でしょう。そのためには、

・iPhone 13 Proの場合:待ち受け画面右下にあるカメラアイコンを横にスワイプする
・グーグル Pixel 6 Pro:電源ボタンをダブルクリック

と憶えておきましょう。これでとっさのシーンでも、スマートフォンを見ずにカメラを起動できるはずです。あとは望むように構図を決めてシャッターを切るだけです。練習しておくといざという時に役立つでしょう。

 iPhone 13 Proは「A15 Bionic」、Pixel 6 Proは「Tensor」と独自のチップを採用しているので、起動も撮影もスピーディーに行えますよ。

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土手の上をランナーが走ってくるのを歩行中に発見。ポケットから取り出すと同時にカメラを起動してPixel 6 Proのシャッターを切りました。電源スイッチのダブルクリックで手探りでもカメラ起動できるPixel 6 Proはシャッターチャンスに強いスマホですね。

グリッドを表示して構図の参考にしよう

 「感じた」ままに撮ろうと前述しましたが、こだわりたいのは構図です。撮りたい被写体をど真ん中に捉える「日の丸構図」もストレートでいいですが、「グリッド」を表示してその線上や線の交点に被写体を置くと安定感がある写真になります。ですので常にグリッドを表示しておくといいでしょう。

・iPhone 13 Proの場合:「設定」→「カメラ」→構図の「グリッド」をオンにする
・グーグル Pixel 6 Pro:「カメラ」の左上の歯車アイコンをタップ→「その他の設定」→構成の「グリッドの種類」→「3 x 3」を選ぶ

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ふと立ち寄ったスタンディングのワインバーで。グリッドを常に表示しておけばガイドとして利用できるので、水平が傾かない写真撮影が行えます。

カメラを効果的に切り替えて撮影しよう

 iPhone 13 Proもグーグル Pixel 6 Proもカメラを3つ搭載しています。広い範囲を写し撮る「ウルトラワイドカメラ」と、一般的な撮影をこなす「広角カメラ」、そして遠くのものを大きく写しだす「望遠カメラ」です。

 この3つの眼を、見つけた被写体に合わせてうまく選択すると写真がグンと見違えてきます。カメラ機能をとっさに起動した時に、すかさず使いたいカメラに切り替える練習もしておくことをオススメします。

 また、iPhone 13 Proはウルトラワイドカメラでマクロ撮影が可能ですし、Pixel 6 Proは4倍の光学ズームに加えて20倍ものデジタルズームで鮮明な望遠写真を撮影できますよ。

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iPhone 13 Proの望遠カメラは3倍になりました。前モデルより長めになったので、人によっては使いにくく感じるかもしれません。室内よりもこのような屋外ではその威力を発揮する可能性大です。
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iPhone 13 Proはマクロ機能が搭載された。ググッと被写体に迫ってのクローズアップ写真も手軽に撮れますね。

コンピュテーショナルフォトグラフィーを楽しもう!

 「AI」を活用した撮影機能もスマートフォンカメラの特徴です。計算によってボケ効果を作り出す「ポートレートモード」が代表的なものですね。これは人物ポートレートだけでなく、静物などでも有効なので積極的に使って印象深い写真を撮ってみましょう。

 「ポートレートモード」はボケ量を撮影時またはあとから変更できるのが便利ですね。Pixel 6 Proの場合はピント位置も自在に変えられるのがいいですね。

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紅葉を「ポートレートモード」で。まるで大口径単焦点レンズをデジタルカメラに装着して撮影したかのようなカットが撮れました。Pixel 6 Proはあとからピント位置の調整も可能です。

 また「夜間モード」も面白い機能の一つです。スマートフォンのカメラは1回のシャッターを切ったときに、実は複数枚の画像を取得しています。露出の明暗差、ボケとブレの量、トーンやノイズなどをその何枚かの画像を解析して、最適と思われる画像を写真としてアウトプットしてくれているのです。「夜間モード」は光源を飛ばさずに暗部を持ち上げ、ノイズを抑制して手ブレを低減した画像を写しだしてくれます。

 iPhone 13 Proは「ナイトモード」を自動的に、Pixel 6 Proは「夜景モード」を選択して撮影できます。長秒露光時でも「AI」のおかげで三脚いらずの手ブレのない写真撮影を楽しむことが可能です。

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Pixel 6 Proの「夜景モード」で郊外ニュータウンのイルミネーションを撮りました。手持ちで気軽に美しい夜景を撮影できるスマートフォンの「AI」は本当にスゴいですね。
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逆光でも明暗差をうまくコントロールしてくれるので、ヒトの見た目に近い仕上がりをしてくれます。独自のチップを採用したPixel 6 Proは落ち葉の精細感も高く、光芒も美しく捉えてくれました。

まとめ

 スマートフォンは常に携帯する「デジタルカメラ」です。情報端末でもありますが「カメラ」だと思って持ち歩いていると、自然とさまざまな被写体に出会い、いいシーンが見えてくるようになるものです。

 デジタルカメラの相棒として、新しいスマートフォンで写真生活をエンジョイするのもオススメです。お近くのカメラのキタムラでは最新のカメラ機能を搭載したスマートフォンを取りそろえています。ぜひチェックしに訪れてみてください!

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。

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