カールツァイス ZEISS Loxia 2.4/25 レビュー|透明感を演出してくれる広角レンズ

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はじめに


 今回レビューをお送りする「ZEISS Loxia2.4/25」は、ソニーのフルサイズミラーレスカメラ用に設計された、マニュアルフォーカスのレンズです。25mmという広角の画角を、ポートレートのスチールとムービーでどのように使用するかも併せてご覧ください。

色収差を抑えた高い描写能力


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■撮影機材:ソニー α7C + ZEISS Loxia 2.4/25
■撮影環境:f/2.4 1/250秒 ISO125 AWB
■クリエイティブスタイル:ポートレート
■モデル:早瀬さな(株式会社オフィスパレット)

 本レンズは25mmの広角画角の単焦点レンズです。絞りはF2.4からF22まで使用可能、レンズ設計はDistagon8群10枚で、特殊低分散ガラスレンズ2枚と、非球面レンズ1枚が使われています。特殊低分散ガラスレンズは、光の波長の違いによって起こる結像位置のズレが生み出す色収差という現象を抑えて、描写性能を高めてくれる働きをします。

 ポートレートで多用する逆光耐性も素晴らしく、にじんだような優しい描写はお手の物です。絞り羽根枚数は10枚。背景の木漏れ日のボケの丸さと柔らかさは、撮影しながらもわかるほど美しくて筆者好みでした。

ポートレート・ショートムービー


■撮影機材:ソニー α7C + ZEISS Loxia 2.4/25
■クリエイティブスタイル:ポートレート
■モデル:早瀬さな(株式会社オフィスパレット)

 撮影日はかなり日差しが強く、前日に降った雨の名残で、場所によって地面は少し濡れている状況でした。水分を含んだ地面の照り返しは、通常よりも構図内のコントラストを高めてくれる役割をしてくれます。

 この後のスチールでも思ったのですが、コントラストの強いシーンでの描写性能が飛び抜けて素晴らしく、特に白飛びギリギリの箇所の、白飛びしそうでしないグラデーションが美しく、背景に明るいボケを作るのが楽しかったです。

 ムービーはスチールよりも、全体的に明るすぎたり白すぎると見ている方が疲れてしまうので、全体的にコントラストを抑えたり、アンダー目に撮影すると安定しやすいのですが、今回は明るいシーンを多用する珍しいムービーとなりました。

 また、スチールでもムービーでも、人物が被写体だと寄りたくなってしまうことが多い筆者ですが、今回は引きの画も意識して撮影しました。寄りだと、ともすればわざとらしく見えてしまうことがある、手動でピントを変動させて徐々にボカしていく手法ですが、ちょっと引き目の構図だと自然におさまってくれました。

 ラストのボケていくシーンは、上記の手法でジャストピントからアウトフォーカスに、ピントリングを動かして撮影しました。リングのトルクは操作しやすい適度な重みがあるので、構図と動作を見ながらじっくりとピントを変えていくのは、撮影していても楽しかったです。

スペックの数字だけではわからない美しさ


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■撮影機材:ソニー α7C + ZEISS Loxia 2.4/25
■撮影環境:f/2.4 1/250秒 ISO200 AWB
■クリエイティブスタイル:ポートレート
■モデル:早瀬さな(株式会社オフィスパレット)

 広角画角ながら、ディストーションはないと言ってもいいほど見当たらず、画面の隅々まで歪みなく正確に描ききっています。絞り開放時、周辺減光はほんの少し見られますが、ポートレートではドラマティックな表現と感じる程度でそれほど気になりません。

 絞り値は開放がF2.4と、ポートレート撮影で使用するには控えめな数字ですが、手前から奥に抜ける、自然ながらコックリとした深みのあるボケのグラデーションは、レンズはスペック上の数字だけではその描写力は計りきれないのだと、再認識できる美しさでした。

広角レンズならではの可愛らしい撮り方


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■撮影機材:ソニー α7C + ZEISS Loxia 2.4/25
■撮影環境:f/2.4 1/250秒 ISO200 AWB
■クリエイティブスタイル:ポートレート
■モデル:早瀬さな(株式会社オフィスパレット)

 広角レンズを使用したポートレートの表現方法として、背景を写し込む手法がポピュラーですが、上から見下ろすようなカットは、可愛らしいイメージを高めてくれます。この場合ですと、カメラに近い顔が大きく、顔よりもカメラから遠くなる手が小さく表現されるため、表情の存在感がぐっと増します。また、小さな手は小動物を連想させて、愛らしいイメージに仕上げてくれます。

 モデルが下を向いていると目と口の距離が開いてしまい、広角レンズの特徴でもある四隅を伸ばしたようなパースに引っ張られて、大きく間延びしたような顔に写ってしまいます。モデルには、レンズの方を向いてもらうように顔を上げてもらうと、パースのつきすぎない、可愛らしいカットを撮ることができます。

高い透明感、清涼感を生み出すレンズ


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■撮影機材:ソニー α7C + ZEISS Loxia 2.4/25
■撮影環境:f/2.4 1/250秒 ISO320 WB:5200K
■クリエイティブスタイル:ポートレート
■モデル:早瀬さな(株式会社オフィスパレット)

 ハイライト部の表現が美しかったので、背景はボケを求めながらも、明るい場所を選んで撮影しました。シャドウ部の粘りが強いレンズやカメラには、幸運なことに複数出会っていますが、ハイライト部の粘りが強いレンズで、これほど清涼感のある画を生み出せるレンズには、なかなか出会えないと言っていいでしょう。

 その清涼感をさらにあげるために、ここではホワイトバランスを5200Kにしています。人肌の自然な色味を出すのであれば、AWBでも綺麗に描かれていたのですが、冬のつんと冷たい風の表現を重視した色味にすると、全体に透明度の高い画にすることができました。

強い逆光シーンでもクリアーな描写


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■撮影機材:ソニー α7C + ZEISS Loxia 2.4/25
■撮影環境:f/2.4 1/250秒 ISO320 AWB
■クリエイティブスタイル:ポートレート
■モデル:早瀬さな(株式会社オフィスパレット)

 強い太陽を背にして、その光が漏れ出るようなシーンは、筆者が好んで撮影するシーンのひとつですが、レンズによっては全体に霞がかかってしまったり、フレアー・ゴーストが出やすいシーンでもあります。本レンズではそんな心配は杞憂と言わんばかりに、印象的なカットに仕上げてくれました。

 Loxiaシリーズはどのレンズも小型、軽量なのが本当に素晴らしい!本レンズの最大径は62mm、長さは88mmと、焦点距離25mmの広角画角なのに、手のひらサイズのコンパクトさ。重さも393gと軽量で、シンプルなストレートデザインは、街中での撮影にも溶け込みやすいです。

コンパクトなボディは撮影の自由度を上げる


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■撮影機材:ソニー α7C + ZEISS Loxia 2.4/25
■撮影環境:f/2.4 1/250秒 ISO640 WB:5700K
■クリエイティブスタイル:ポートレート
■モデル:早瀬さな(株式会社オフィスパレット)

 コンパクトなボディだからこそできるのが、このような下からの撮影。レンズが長いと、モデルとの距離を取るために段差があるところを探さないと、下から煽るような撮影方法は使えないのですが、短いレンズで広角画角の本レンズなら気軽に撮れるカットです。

 最短撮影距離は0.25mですので、ポートレートとしては十分寄れるレンズと言えます。モデルに寄ることで背景の印象を弱め、「主役はこちらです!」という、人物の印象の強いカットに仕上げられます。背景まで写し込みたいときは絞ったり、日中シンクロを使用しますが、街中のポートレートはナチュラルなほうが筆者は好みです。

期待に大きく応えてくれるレンズ


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■撮影機材:ソニー α7C + ZEISS Loxia 2.4/25
■撮影環境:f/2.4 1/250秒 ISO500 WB:5700K
■クリエイティブスタイル:ポートレート
■モデル:早瀬さな(株式会社オフィスパレット)

 普段なら、ポートレートを撮るには広角過ぎる画角で、撮影前にどうやって撮ろうかひと悩みする画角なのですが、Loxiaシリーズを使ってきて、各種収差がほとんどないことを体感していたので、「広く写る、寄れるレンズ」くらいの感覚で撮影に臨めました。

 広角ならではのパースもそれほどきつくないので、構図の四隅まで人物を配置できるし、逆光でも、背景を思いっきりハイキーにしても、余計な光や色収差が出ないだろうと安心感を持ってシャッターを押せましたし、その期待に応えてくれる仕上がりでした。

 風景やスナップを撮る方にもお勧めしたい本レンズは、マニュアルフォーカスということで二の足を踏んでいる方にこそ、ぜひ一度使ってみていただきたいと思います。


■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。



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