ライカとカレー。今日はあの駅で降りようか。Vol.8|ライカCL+エルマリート TL f2.8/18mm ASPH.

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はじめに


キリッとした青空の東京は、ピリッとする寒さ。先週までコートを着ないでも暖かいくらいの秋だったのに。そろそろ冬が始まりそうだ。昨日、大きな写真展が終了した。もう一つの大きな仕事も、もうそろそろ終盤に差し掛かっている。ここ半年はバタバタの渦中にいたので、久しぶりに思いっきり写真が撮りたい。

ライカと一緒に旅に出よう。
でも、今日はまだどこに行くかも決めていない。
どこに行こう。

そう思いながら寝ぼけ眼でInstagramのストーリーを眺める。クロワッサンの横のあつあつのコーヒーを飲みながら、ふと目に留まったお蕎麦屋さんの写真。素敵な外観。投稿しているのは、埼玉県戸田市のマクロビのお弁当屋さん「ゴハン屋フタバ」。一歳年下の私の妹と友人が運営しているお店だ。妹よ、美味しそうなお蕎麦屋さんに行っているなと、気になるのでそのお蕎麦屋さんのInstagramを見てみる。最近の投稿を見てみると、何やら気になる写真、と文章。

『来ちゃいましたね、この季節が。
このカレー南蛮を食べるために
冬はやってきてくれるんじゃないでしょうか。

うちのカレー南蛮は優しいんです。
美味しさの決め手は豆乳と胡麻。
とってもクリーミーなカレースープに
しっかり効いた鰹出汁と白菜の旨味。ええ本気です。』

ズキュン。

これは決まりです。
今日はここにお伺いいたします。
このカレー南蛮をいただきにまいります。
即決。

いつも思う。
どこに行こうと決まらない時は、決まるその時が絶対に来ると。直前まで決まっていなくても、いつもこんな風に何かが降ってくる。そして、ズバッと決まる。

さあ、ライカと一緒に旅に出よう。

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ライカCLとエルマリート TL f2.8/18mm ASPH.


今日、旅を一緒にする相棒は、ライカCL。
レンズは、エルマリート TL f2.8/18mm ASPH.。

ライカCLは、トラディショナルなボディに最新のデジタルテクノロジーが搭載された、記録画素数2400万画素、レンズ交換式、Wi-Fi経由でライカ専用のモバイルアプリLeica FOTOSに接続可能、4K動画撮影が出来る、APS-Cサイズセンサーを搭載したデジタルカメラ。質量は、403g(バッテリー含む)。ライカM10の660g(バッテリー含む)と比べてもとても軽い。
エルマリート TL f2.8/18mm ASPH.は、全長は21mm、重さは約80g。同クラスのレンズでは最小レベルのコンパクトなボディが最大の魅力。さらに、同クラスのレンズの中で群を抜く優れた描写力を発揮、高速オートフォーカスにも対応。

ボディは、トラディショナルで軽量、レンズは、超コンパクトで超軽量。
ライカのカメラの重厚感を味わいながら、フットワーク軽く撮影出来るという、二重にも三重にも嬉しい二つの組み合わせ。手に持ったファーストインプレッションは、やっぱり、軽い。この軽さにして、ライカを持っているという満足感が味わえるのは、かなり嬉しい。

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調布取水堰(ちょうふしゅすいせき)へ


目指すお蕎麦屋さんは、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線の戸塚(とつか)安行(あんぎょう)という駅の近くにある。どんな場所なのだろう。せっかく行くのならば、近くの撮影スポットも楽しみたい。Googleマップで拡大縮小しながら見ていると、ほど近くに気になる場所を発見。旧岩淵(きゅういわぶち)水門(すいもん)。タップすると写真まで見ることが出来る便利な世の中、早速写真を見ると、赤い色が美しい大きな水門がどんと写っている。なんて素敵な水門なのでしょう。これは見てみたい。撮りたい。私は建築物が好きだ。建築学科出身で前職は設計。だから、旅先を建築物や建造物を見たくて決めることが多い。トルコのブルーモスクもカッパドキアも、スペインのサグラダファミリアも、シンガポールのスーパーツリー・グローブも建物が見たくて旅に出た。体感したいし、写真を撮りたい。でも、あと、食べ物で決めることも多い。今回みたいにカレーが食べたくて旅先を決めることも。ふふふ。

水門を見るのならばと、いつも行くお散歩コースの中にも似たようなところがあるので、まずはそちらを訪れることに。調べると、調布取水堰(せき)と言う工業用水を取水するための建造物なのだそう。東急東横線の多摩川駅からすぐ、東横線に乗っていると見える取水堰(せき)。

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取水堰(せき)と川。
遠くに武蔵小杉のビル群。
なんといってもすぐ横を通ることが出来るのが嬉しい。
川の水と取水堰(せき)の迫力を間近で体感出来る。
楽しい。

ライカCLのメニューボタンを押し、フィルムモードはNAT(ナチュラル)、コントラストとシャープネスを低くし、彩度を高く設定。ライカでエアリーな写真を撮る準備も大分手際が良くなってきた。この連載「ライカとカレー。今日はどの駅で降りようか。」は、毎回山本まりこが異なるライカのカメラとレンズを持って電車に乗り、気になる駅で降りて旅をする。そしてカレーを食べて帰ってくる、という内容の企画。この連載も今回で8回目。たくさんのライカのカメラと一緒に旅をしてきたなあ。

今回は、焦点距離18mmのレンズ。APS-Cサイズセンサーなので、35mmサイズ換算で27mmの画角。近くの建築が適度に入る大きさ。広すぎず、狭すぎず。街スナップにはちょうどいい。さらに、ライカCLはデジタルズームで1.3倍、1.7倍で撮ることが出来る。35mm単焦点換算すると、1.3倍で約35mm、1.7倍で約46mm、で撮れるということ。27mm、35mm、46mm、この3つの画角で撮ることができるのはかなり嬉しい。そのあたりの焦点距離のレンズは、誰もが1本ずつは欲しいところでもある王道画角のレンズ。単焦点レンズを着けていても、3つの画角で撮れるのは嬉しい。

さあ、カレー南蛮を食べに行こう。

埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線の戸塚(とつか)安行(あんぎょう)までは、多摩川駅から直通もあるので、乗り換えなし。カレー南蛮を思いながら電車に揺れること1時間とちょっと。満席になった車両からどんどんと人が少なくなっていく。シートにライカCLを置いてパチリ。

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戸塚安行(とつかあんぎょう)駅で


戸塚(とつか)安行(あんぎょう)駅で地上に出ると、すうっと広い道路と青くて広い空。東京から埼玉県に来るだけで、少し開けた空気感が漂っている。住みやすそうな場所だなあと家々やスーパーを眺めながら数分歩くと、Instagramで見た通りのお店の外観が見える。「蕎麦と酒 ととの」。お店の料理の美味しさは、外観の佇まいや空気感でほぼ分かると思っている。外観の素材の洗練さや植栽の手入れの美しさ、入口周りの掃除が行き届いているとか、そういった全てが美味しいと伝えてくれると思っている。すっきりとしたファサードの中、木の温もりがある外観のお店。素敵。これは美味しいに間違いない。勇んで来たので、開店時間まであと数分ある。近所をお散歩して待っていよう。

空が青いなあ。

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開店時間ぴったりに行くと、看板を出している男性が。もう入れますかと聞くと、ハイと案内して下さる。とびきりの笑顔で。店内は、木の温もりがあり、まるでカフェのような可愛らしさもありながらすっきりとしている。オーダーメニューは、カレー南蛮に決まっている。「忘れちゃいけないのは〆のリゾットセット」とInstagramの投稿に書いてあったので、追加で注文。のんびりとInstagramを眺めながら待っていると、お待ちかねのカレー南蛮が到着。

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湯気と鰹節が、ゆらりゆらり。
胡麻たっぷり。
なんて美味しそうなのでしょう。

写真を撮っていいですかと聞くと、どうぞどうぞと、これまた満面の笑顔の男性スタッフさん。エルマリート TL f2.8/18mm ASPH.の最短撮影距離は、30cm。適度に寄れる。座りながら撮影。食べ物の撮影はいつも心が大変。撮りたいし、食べたい。でも今回は、カレー南蛮。お蕎麦が伸びないうちに食べましょう。撮影も早々にいただきます。

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まずはスープをいただく。とっても優しい中に、奥深いコクがある。次にお蕎麦ごといただく。柔らかいお蕎麦にスープがドロリと絡まる。お蕎麦は細かったり太かったり、とても柔らかい。胡麻や炒めた豚肉や白菜の旨味が、スープやお蕎麦に絡まっていて、すごく柔らかい全体感の中にコクのパンチがくる。カレーは、全体のまろやかさの中にふわりと香る。これは、美味しい。すごく、美味しい。そして、これは何かに似ている、と考えながら食べる。そうだ、お鍋をしていて最後の方で煮詰まって、最後に柔らかい麺を投入した時のようなこってり感とお楽しみ感だ、と気づく。たまに黒七味をかけて少し引き締めて食べるのも楽しい。新食感のカレー南蛮。

あっという間にお蕎麦を食べ、スープだけになる。ここで、リゾットセット登場。粉チーズがかかっているごはんを、スープの中にイン。今まで吹いていた和の風が、ここで急にイタリアの風に変わる。日本から、世界へ。こ、これは、楽しい。そして、美味しい。

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とっても美味しかったです。
店主の渡辺健一さんにそうお伝えすると、「出汁は、関東出汁と関西出汁の両方を使っていて、カツオとサバをがっつり効かせている中に、たっぷりの豆乳と胡麻が入っているから優しいんです。」とおっしゃる。優しい中にパンチが効いていましたと伝えると、ここの味にするのが大変でしたとニッコリ。全体感はとっても柔らかくまとまっているのに、まるでお肉の出汁で食べているようなパンチ力があるカレー南蛮。本当に美味しかった。

またお伺いします。

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旧岩淵水門(きゅういわぶちすいもん)へ


電車で赤羽(あかばね)岩淵(いわぶち)駅を目指し、旧岩淵(きゅういわぶち)水門(すいもん)がある荒川まで歩く。
まだ紅葉した葉が輝く木々を撮りながら、旧岩淵(きゅういわぶち)水門(すいもん)を目指す。
相変わらずキリッとした青空にピリッと冷たい空気。
時折強い風がびゅうと吹くと、12月の寒さだなあと思う。

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なにこれすごい。
そんな言葉が思わず口から出てしまう。海のように雄大な荒川にどんと鎮座する赤い水門。水門の奥には、紅葉した葉を茂らせた大きな銀杏の木が立つ中之島(水門公園)がある。ぷかぷかと浮かんでいるカモがびっくりしないように、そろりそろりと水門の近くまで歩く。

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びゅう
シャラシャラシャラ
風が強く吹いて、銀杏の葉が舞い上がる。

ごろん
シャラシャラシャラ
黄色の絨毯が広がっているところに寝転がって空を眺める。
黄色い銀杏の葉が勢いよく舞って秋が降ってくる。
まるで、真冬の雪のように。

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なんて気持ちいいんだろう。
ライカCLのファインダーを覗きながら、私はシャッターを切る。たくさん、切る。
久しぶりだ、この感じ。
青空と、カメラと、ドキドキと。
時間を忘れるくらい、しばらく夢中で撮影した。

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ライカCLは、ライカだけれど、気負わず気楽に撮れるところがいい。いつも、ライカを持っていると、ついつい大切に握りしめながら歩いてしまうけれど、なんだか今日はとっても気楽な気分だ。

ずいぶん長いこと、ごろんとしながら空に舞う銀杏の葉を撮っていた。気付いたらだいぶ体が冷えている。ぶるぶるぶる。風邪をひく前に、そろそろ帰ろう。ぶるぶるぶる。

帰り道で


帰り道は、何も考えずに、目に留まる面白いと思うものを撮った。空間をザクザクッと切るように撮った。

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途中、自由が丘駅で乗り換えると、駅に差し込んだ夕日が大きくて強い光を放っていた。まるで大きな花火のように、駅と行き交う人々を照らしていた。

おわりに


久しぶりのライカとの旅。ライカCLとエルマリート TL f2.8/18mm ASPH.との旅は、とても楽しかった。何がそんなに楽しかったのだろうと思うと、やっぱりそれは、コンパクトで扱いやすく、気楽に撮ることが出来るからだと思う。ライカの高級感を味わいながら、でも、フットワーク軽く撮りたい人には、おススメのカメラとレンズだ。猛烈におススメしたい。この組み合わせなら、広い景色から、寄りのごはんまで、楽しむことが出来る。

そうそう。妹のInstagram投稿だと思っていたお蕎麦屋さんの記事は、共同で営んでいる妹の友人が投稿したものだったそう。素敵な情報ありがとうと伝えると、お仕事のアシストができて嬉しいと喜んでくれた。忘れられぬカレー南蛮。出会えて嬉しい。また食べに行こう。

電車を降りると、外は、キリッとした澄んだ夜空が藍色に色づいてきている。ううう、寒い。でも、美しい。そろそろ、本格的に冬が来る。旧岩淵水門で見たあの銀杏の木も、今週には葉が落ちるだろう。そして、秋から冬の景色に変わるのだろう。

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■撮影協力
蕎麦と酒 ととの
埼玉県川口市長蔵1-23-12
048-242-5595
https://soba-sake-totono.com/


■写真家:山本まりこ
写真家。理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。25歳の春、「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持って放浪の旅に出発しそのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つ「airy(エアリー)」をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。


「ライカとカレー。今日はあの駅で降りようか。」の連載記事はこちらからご覧いただけます


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