【オールドレンズ】鷹の目と呼ばれる「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」

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はじめに


 今回のオールドレンズは、ヤシカコンタックス時代の「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」をピックアップしてみました。この 「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」は、初期のAEJ型(1982年発売)が早い時期に生産終了になり、一時市場価格が上がった事がありました。空白期間を経て後期のMMJ型が再販され、2005年に京セラがコンタックス事業を終了するまで発売されたレンズです。後期MMJ型ではCarl Zeiss社のTessar(テッサー)レンズ誕生100周年を記念して作られた限定生産モデル「100 Jahre」のMMJ(2002年発売)というのもありました。今回は筆者の持っている、比較的新しい後期のMMJ型で作例も含めて紹介します。

Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8 の魅力


01_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28の製品画像.jpg

 テッサー(Tessar)は、カール・ツァイスが設計した3群4枚のレンズです。レンズの枚数が4枚とシンプルなためレンズ自体を小さく作ることができます。また、非常にシャープな写りをするレンズで、ついた愛称が「鷹の目」。シャープな写りのため「鷹の目」のような写りと言われています。

 筆者は高校生の時に、「コンタックスRTS」に「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」AEJ型使っていました。初めて自分で買ったツアイスレンズで思い出に残っているレンズの1本です。当時プラナーの50mmが欲しかったのですが、高くて買うことができなくて「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」を買いました。当時ツアイスレンズで一番安く購入することができたレンズだったと記憶しています。

■「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」の基本的なスペック
・焦点距離:45mm
・最短撮影距離:0.60m
・絞り開放:F2.8
・レンズ構成:3群4枚
・絞り羽根枚数:6枚
・フィルター径:49mm ※100周年記念モデルは46mm
・マウント:Y/C(ヤシカコンタックス)マウント

 レンズ本体の大きさは、高さが18mmと非常に小さくパンケーキレンズと言われるタイプです。当時はコンタックスのボディにボディキャップの替わりにこのレンズを着けておきなさいと言われたぐらいの小さなレンズです。今回はソニーのα7R IIIに「K&F Concept KF-CYE.P」(ヤシカ・コンタックスマウントレンズ → ソニーEマウント変換)マウントアダプターを介して装着し撮影に臨みました。アダプターの大きさがあるのでパンケーキの感じでは無くなってしまいましたが、それでも大きさのバランスは非常に良い感じです。

02_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28をソニーα7R IIIに装着した画像.jpg

 オールドレンズを使って撮影する場合のカメラの設定やピント合わせなどのコツは、基本的にはこちらの記事「マウントアダプターを使ってオールドレンズを楽しんでみませんか?」を参照して欲しいのですが、このレンズに関しては、少し癖があるので以前に紹介した操作方法と違う部分が発生します。

 通常オールドレンズで撮影する場合、絞りを開放にセットしてピント合わせを行った後に目的の絞り値に合わせてシャッターを切るという手順で撮影をします。しかしこの「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」は、絞りの変更によって「焦点移動」が発生しますので、いつものような手順でピントを合わせて絞りを変更してシャッターを切るとピントがずれてピンぼけ写真になります。「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」を使用する時は、あらかじめ目的の絞り値にセットしてからピント合わせを行い、そのままシャッターを切るという手順で撮影をします。ちょっと注意が必要です。

 「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」は絞りを絞って撮影すれば、パンフォーカス的な撮影が可能です。初期型のAEJ型には、絞りF8の部分がグリーンで表示され、距離の表示部分でグリーンのパンフォーカス指標が3mの表示の少し右側についていて、このマークを合わせる事によってパンフォーカス撮影ができるようになっていました。しかしその表示は、MMJ型では省略されています。気楽にスナップでパンフォーカスを楽しむ場合は、絞りをF8にしピントの距離を3mより少し右の4mぐらいに合わせておくと、被写界深度表示(赤い→)の部分をみると分かりますが、その範囲でピントが合った画像を撮影する事ができます。とっさの場合の撮影でもパンフォーカス的な撮影を楽しめます。

03_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28をソニーα7R IIIに装着した画像.jpg

 「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」はオールドレンズといえども、まだ比較的新しい部類なので、非常に現代的な写りをするレンズです。「鷹の目」と呼ばれるだけあって非常にシャープでコントラストの高いキレのある描写を得ることができます。発色に関しては、非常に落ち着いたニュートラルで、スナップ撮影においてはその場の飾らない自然な空気感を表現できる落ち着いた味わいを醸し出すレンズです。

都内をスナップ撮影


 2022年の初詣をしながら、「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」で都内をスナップ撮影してきました。オールドレンズにありがちな絞り開放での滲みも無く、絞り開放での描写もピントの合った部分はシャープに描写し、背景のボケも非常に好感がもてる描写になっています。

04_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/100 絞りF2.8 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用


05_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用


06_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/1250 絞りF4 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用


07_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 絞り開放では中心部はそれなりの丸ボケを描写しますが、あまりこの効果を期待するレンズでは無さそうです。絞りを絞ってしまうと絞り羽根6枚の影響が出て、丸ボケが六角径の形になるので、撮影するシーンにもよりますが少し絞り値に気を使った方が良いと思います。

 絞りを絞って撮影すると使い勝手は大きく変わってきます。パンフォーカス撮影で煩わしい操作を省いて、気楽に気になったものを「写ルンです」感覚でパシャパシャ撮ることができます。

08_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF11 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 画面全域でのシャープさは、さすが「鷹の目」の愛称をもっているだけあります。シンプルなレンズ構成のおかげもあって、20年ほど経過しても「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」の映し出す画像の切れ味は、現在のレンズにも負けていません。

09_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/250 絞りF11 ISO800 焦点距離45m
※マウントアダプター焦点工房使用

 絞りを絞ってパンフォーカス撮影であれば、MFのレンズでもファインダーを見ないで頭上より高く上げたカメラでの撮影も気楽にできるのが魅力の一つです。

白黒スナップ撮影


10_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF22 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 筆者が最初に「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」を使ったのは、高校生の頃で38年程前になるのですが、白黒フイルム「FUJIFILM NEOPAN SS」や「Kodak TRI-X 400」を使い撮影し、高校の写真部の部室で現像していました。そんな事を思い出しながら、カメラの設定を白黒モードにして当時を思い出しながら撮影してみました。とはいってもフイルムとデジタルでは、かなり感覚が違うのですが、デジタルで気楽に撮影できるのは非常にありがたく楽しいですね。

 「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」はもともとシャープな描写をしますが、フイルムで撮影するよりも、デジタルの方がより硬い描写です。ですから雰囲気的には「FUJIFILM NEOPAN SS」よりは、「Kodak TRI-X 400」で撮影した感じに近い気がします。少し柔らかい感じで撮影したい場合は、カメラ側でコントラストやシャープネスの設定を下げても良いかもしれません。

11_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/320 絞りF8 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」は、絞れば絞るほど画面全域でシャープな描写をします。

12_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/15 絞りF16 ISO800 焦点距離45m
※マウントアダプター焦点工房使用


13_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/8000 絞りF2.8 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 絞りを開放で撮影すればピントを合わせた面はシャープな描写をし、その前後のボケは段階的な柔らかな描写をするので、街中スナップでも少し柔らかな表現をしたい場合には有効です。

14_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF2.8 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用

 パンフォーカス撮影でシャッターを切りながらスナップするのは、街の一瞬の表情を切り取るのに有効な撮影方法です。45mmという焦点距離もあって、肉眼でみている風景に近いイメージを切り取って撮影する事ができるのはとても魅力的です。

15_Carl Zeiss Tessar T 45mm F28で撮影した作例.JPG
■撮影機材:SONY α7R III + Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8
■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF8 ISO800 焦点距離45mm
※マウントアダプター焦点工房使用

まとめ


 コンタックス・ヤシカマウントの「Carl Zeiss」のオールドレンズと言えば、空気までも写すと言われている「Carl Zeiss PlanarT* 50mm F1.4」が有名で圧倒的な人気ですが、小さくて気軽に使える「Carl Zeiss Tessar T* 45mm F2.8」も隠れた一品のレンズです。個人的な思い入れもありますが(笑)。何よりも、元々の価格もそれほど高いレンズでは無かったので、中古でも比較的購入しやすい価格の「Carl Zeiss」レンズです。気になった方は是非、中古で探してみてくださいね。


■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。


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