キヤノン RF70-200mm F2.8 L IS USM レビュー|EOS R3との組み合わせで撮影するBリーグ三遠ネオフェニックス

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はじめに


 バスケットボールの撮影で一番使用率が高いレンズは70-200mmのズームレンズです。私の場合は試合中の7割をこのレンズで撮影しています。EFレンズ時代から使い始め、RF70-200mm F2.8 L IS USMで4代目になります。限られた撮影ポジションで選手の動きを追いながら、多くの成果(写真)を残さなければならないシーンでは必須のズームレンズです。また、アリーナの明るさは会場によって大きく異なるため、カメラの高感度性能がよくなっても開放F値2.8のレンズを常用しています。

 今回は私がオフィシャルフォトを務める、Bリーグ三遠ネオフェニックスのホームゲームで撮影した写真を題材にご覧いただきます。

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■使用機材:キヤノン EOS R3 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 ISO6400 焦点距離104mm

絞り開放からシャープな描写


 バスケットボールに限らず屋内競技の会場は明るくないシーンがとても多いです。その中で選手の動きはとても速く、動きを止めた写真を撮影するためには速いシャッター速度と高感度性能が必要になります。その二つにプラスして、開放F値が明るいレンズが大きな武器になります。私の場合はシャッター速度を1/1000秒以上を基準にしており、ISO感度はISO6400-ISO8000を使用することが多く、それに合わせると開放F値はF2.8の絞り開放になることがほとんどです。

 また、屋内照明は最新式のLEDから水銀灯まで会場によって異なります。光の回り方がよくないシーンもあり、決して好条件とは言えないケースがあります。そのため、私の場合は開放からシャープで素晴らしい描写を実現してくれるのかを基準にレンズを見ています。その点でRF70-200mm F2.8 L IS USMはEFレンズと比較して画質の向上が図られていたため、すぐに購入を決意しました。

 EF時代と違い繰り出し式のズームレンズになり、収納時の全長が短いことも私にとってはメリットです。繰り出し式のズームレンズは強度を気にする声もよく聞かれますが、使用している中では気になりません。AFスピードや正確性もとても信頼がおけるレンズです。カメラバッグの中で縦に収納できるため、バッグ内のスペースを空けてもう一本レンズを入れることが出来ました。

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■使用機材:キヤノン EOS R3 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 ISO8000 焦点距離135mm

一本のレンズでバリエーションを作る


 バスケットボールは攻守の切り替えが多く、選手の動きも多岐に渡るため、1試合でたくさんのバリエーションが撮影できます。フォトグラファーとしては当然、それだけのバリエーションを求められることになります。攻撃、守備、ゴールシーンやベンチの様子など撮影シーンは幅広いです。また、試合の展開が速いため、レンズの交換やカメラを持ち換える時間をできるだけ省きたいと考えています。

 そんな時はズームレンズに限ります。加えて、70-200mmという画角帯はバスケットボールのコート内の広さをカバーするのに丁度いい焦点距離でもあります。テレ側からワイド側まで何度もズームを繰り返すため、開放F値が焦点距離によって変動しないレンズであることも必須条件になります。

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■使用機材:キヤノン EOS R3 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 ISO8000 焦点距離200mm

 ハーフラインからゴールに向かってくるところからゴールシーンまでの間に全身、バストアップ、状況を入れ込んだシーンなどを1本のレンズで撮影します。ここでレンズ交換が発生すると、目の前の試合は動いているため撮り逃すかもしれないとストレスがかかるため、このレンズのみでカバーすると決めて選手を追います。ズームレンズは気軽に焦点距離を変えられる利便性があるためフレーミングが作りやすい反面、同じような画角の写真を量産しやすい傾向もあると思います。

 そうならないために私はいくつかのことを意識しています。具体的には一人の選手を追う際にオフェンス(攻撃側)だけでなく、ディフェンス(守備側)に回ったシーンを狙ったり、後ろ姿や足元に注目したりと見る位置を変え、異なるストーリーが表現できるように意識しています。横位置、縦位置も積極的に入れ替えて撮影します。

 また、フレーミングで選手を小さく画面に入れ、周囲の空間を大きく入れ込むことで余韻が残る写真を意識することもあります。ワイド側(70mm)とテレ側(200mm)では背景のボケ味や見える空間の広さが全く異なるので、ズーミングしながら今自分が何ミリで撮影しているのかを頭の中で考えるように意識しています。

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■使用機材:キヤノン EOS R3 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 ISO8000 焦点距離168mm

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■使用機材:キヤノン EOS R3 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 ISO8000 焦点距離200mm

一歩先を想像して動きを見る


 スポーツに限らず、ファインダーで動きを追いながらシャッターを切ることは難しいというお話をお聞きします。私も初めてスポーツ撮影をした時は全く動きを追うことが出来ず、自分の思い描いていた写真は撮れませんでした。その中で私が最初に意識したのは選手の動きの一歩先を想像してみることでした。

 スポーツ撮影では被写体の動きを見てからシャッターを切ると、その時に狙った動きの一歩後の瞬間になってしまいます。これは少々慣れが必要になりますが、「動きの流れ」をよく観察しながらシャッターを切る練習をしてみることをお勧めします。練習なので上手くいかなくても気にする必要はありません。あくまで動きを見る練習が主体です。私自身今でも予測を外してしまい、うまく撮れなかったということがよくあります。そんな時は気持ちを切り替えて次に撮りたいシーンに狙いを定めます。試合中はその繰り返しです。

 バスケットボールは上下左右、前後の動きが短い時間の中で展開されます。その全てを捕捉するのはなかなか大変なので、撮影する選手を絞る、シュートシーンだけに集中するなど、的を絞りながら動きに慣れていき少しずつ守備範囲を広げていくことをお勧めします。

 選手の動きを追っている時は、必要以上にカメラを握っている手や指に力が入っていることが多いように思います。これは手ブレやシャッタータイミングを外してしまう原因の一つと考えています。それを解決するためにとてもアナログな方法ですが、時々客観的に自分を見て力んでいないか確認しています。

 操作部分ではボディ背面にあるAF-ONボタンを親指で押してフォーカスを動かし、人差し指はシャッターを押すだけにしています。シャッターとAFの2本の指に役割分担することで、シャッターを切るタイミングを計りやすいようにするためです。トラッキングや顔認証(瞳AF)はスポーツシーンでも大変有効な機能ですが、私がバスケットボールを撮影する際はフリースローなどのように選手が画面内に単体で写る時以外は使用していません。何度も選手が交差する際にメインの選手からフォーカスが外れてしまう可能性があるためで、任意でフォーカスエリアを決めています。瞳AFを使いたいシーンが来た場合に備えて、ボディのボタンカスタマイズでワンボタンの操作でオン/オフの切り替えができるように設定を行っています。

 ゴールに向かってスピードを上げて迫ってくるシーンを狙う瞬間をフレーミングする場合は、あらかじめメインの選手をどの位置に置きたいのかという目標を定めておく場合もあります。これは目指す写真のゴール地点を明確に定めておくことで、シャッターを切る直前の迷いを少なくするためです。私自身、シャッターを切る直前の一瞬の迷いで撮りたい瞬間を撮り逃した経験がたくさんあります。その教訓から上記を実行するようにしています。

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■使用機材:キヤノン EOS R3 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 ISO8000 焦点距離168mm

まとめ


 EF70-200mm F2.8L IS III USMからRF70-200mm F2.8 L IS USMに切り替えて1年以上が経過しました。バスケットボールを含むスポーツ撮影ではEOS R3との組み合わせがメインなっています。EFレンズ時代から小型軽量化され、持ち運びや長時間での撮影ではその恩恵を感じています。AFスピード・フォーカスの正確性、開放からキレのある描写を実現している点などこれに代わるレンズはありません。EOS R3やEOS R5との組み合わせでボディとの協調ISが効くことも嬉しい要素です。バスケットボール撮影ではこれからもメインレンズとして活躍してくれるはずです。


■撮影協力:三遠ネオフェニックス

■写真家:中西祐介
1979年東京生まれ 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。講談社写真部、フォトエージェンシーであるアフロスポーツを経てフリーランスフォトグラファーに。夏季オリンピック、冬季オリンピック等スポーツ取材経験多数。スポーツ媒体への原稿執筆、写真ワークショップや大学での講師も行う。現在はライフワークとして馬術競技に関わる人馬を中心とした「馬と人」をテーマに作品制作を行う。
・日本スポーツプレス協会会員
・国際スポーツプレス協会会員



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