#『奥深い一眼フィルムカメラの世界』|フィルムカメラの魅力 国分真央

国分真央

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はじめに

こんにちは。国分真央です。
これまで初心者でも親しみやすいフィルムカメラや、どれを使おうか迷いがちなフィルムの種類についてオススメを紹介してきました。
今回はより被写体を深掘りできる、『一眼フィルムカメラ』の魅力について、作例を通してご紹介させて頂きます。デジタル一眼でもコンパクトフィルムカメラでもなく、あえて一眼フィルムカメラを使う意味にも触れて行きます。

より被写体に近づいて

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■機材:Nikon F3 HP
■フィルム:Kodak PORTRA 400
花器に浮かんでいる水の表面が美しかった瞬間。

私が一眼のフィルムカメラを使う最大の理由は「被写体に寄れること」です。マクロの機能等が無い限り、コンパクトカメラでは寄って撮ることが難しいのですが、一眼レフであればそれが出来ます。
露出設定は絞り優先を使えば、思ったより簡単に被写界深度を微調整出来るのでマニュアルフォーカスでも容易に撮影を楽しむ事ができます。

例えば雨の日、花についた水滴が綺麗だなと思った瞬間、そういった着眼点を一眼フィルムカメラであれば表現する事ができ、喜びの一つとなります。

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■機材:CONTAX RX2
■フィルム:Kodak GOLD 200
■モデル:熊井りん
雪の中でモデルさんを撮影した1枚。モデルさんの存在感を出しつつも背景の景色を取り入れる事が出来た。

ただ、寄れるといっても写真を撮る上で”背景”は大切だと考えています。

ポートレートを撮る時、背景を意識している人は沢山いると思いますが、そういったバランス感覚を持って表現出来る幅が広がっていくのが、一眼フィルムカメラの魅力だと考えています。
もちろんデジタルでも同じ事が言えますが、次の項目でなぜフィルムで撮るのかを話しさせてください。

何気ない瞬間もあえてフィルムカメラで。作品としての昇華を目指す

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■機材:minolta SR101
■フィルム:Kodak Ektar 100
湖に落ちていた鳥の羽を水面に近づけて撮影した1枚です。
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■機材:minolta SR101
■フィルム:Kodak GOLD 200
桜が散り、春の循環を思わせる様な瞬間。

何気なくお出かけした時もフィルムカメラで撮ると、後で見返した時にグッとくる事が多々あります。デジタルと違い、現像にも時間がかかるからなのか、それとも別の意味合いもあるのか…私なりに考えてみました。

私は殆どの仕事がデジタルな為、デジタルでも写真をよく撮るのですが、それでもフィルムカメラを選んで撮る瞬間というのは、フィルム特有の繊細さや、光を映した時のきめ細かさ、独特な色合いや化学反応を楽しむ為でもあります。

そういったフィルムで撮る”良さ”を自分なりに知る事で、デジタルとの切り分けをして楽しんでいます。スマートフォンやデジタルカメラの様に簡単に撮れないからこそ、思い入れも大切に・丁寧に撮る気持ちが現れているのかもしれません。

オールドレンズの醍醐味であるゴーストを味方に

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■機材:minolta SR101
■フィルム:Lomography Color Negative 400
■モデル:熊井りん
虹色のゴーストを取り入れました。丁度モデルさんに風が吹いた瞬間に撮影し、より印象的な写真に。
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■機材:minolta SR101
■フィルム:Lomography Color Negative 400
■モデル:熊井りん
白い六角形の光が髪にかかって、温度・空気感がより伝わる写真となりました。

最近ではもう知られてだいぶ経ちますが、オールドレンズでの撮影時、逆光で撮影するとゴーストと呼ばれるものが発生します。写真にあるような実際には目で見えない虹色の光や、白い光(滲み)が映り込む事です。

理由は、レンズの作りにより発生するのですが、強い光を取り入れ、あえてゴーストを入れる事でより印象的な写真に仕上がると感じています。こういった写真も、オールドレンズで撮る醍醐味と言えそうです。
(※オールドレンズはデジタルカメラにも使う事は可能ですが、今回はフィルムカメラでの作例をご紹介しています。)

一眼だと被写体にもピントを合わせ、より完成度が増すと思いますので、是非オールドレンズを試してみてください。

暗さがより被写体を引き立てる

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■機材:PENTAX SP
■フィルム:Lomography Color Negative 400
■モデル:真実(@mayonakasayonara)
友人の目に西日が当たって、目の中の光がとても綺麗だった1枚。
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■機材:CONTAX RX2
■フィルム:Kodak Ektar 100
■モデル:真実(@mayonakasayonara)
モデルさんの表情と、冬の朝の静けさが伝わる瞬間。

デジタルだと解像度も高くなるにつれ、暗部の階調もより鮮明になっていくのですが、フィルムだと暗部のコントラストが増して、”見せたいものを引き立てる”方向に、シフトしていくと感じています。つまりは暗さがより濃いことで、被写体を引き立てる作用が働いているのかなと。

また以前の記事のコンパクトカメラと違い、一眼の場合は露出を調整出来るのでそういった点も、光の終着点が頭の中で明確になりやすいです。
撮影する際は光の向きを観察し、撮影してみましょう!

まとめ

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■機材:minolta SR101
■フィルム:Lomography Color Negative 400

今回は一眼のフィルムカメラを使うと、どういった効果が得られるかや、デジタルではなくあえてフィルムで撮る意味について書かせていただきました。まだ一眼のフィルムカメラは難しそう…と思っている方や、既にデジタルカメラを持っていて、フィルムの一眼レフを検討している方など、参考になれば幸いです!
ではまた、次回をお楽しみに!

■写真家:国分真央
東京都出身/写真家。映像制作会社や写真事務所を経て独立。2020年に山梨県に移住し関東を中心に活動。美しい色合いと自然が溶け込む様な写真が特徴的であり、独特な色合いが特徴的な世界観を確立させている。書籍や広告写真、CDジャケット等活動は多岐に渡り、近年はフィルム写真での活動も幅広く活動中。

フィルムカメラの魅力を紹介する連載記事はコチラ

#『コンパクトフィルムカメラの世界』|フィルムカメラの魅力 国分真央
https://www.kitamura.jp/shasha/article/485456605/

#『試してみたいフィルムの種類』|フィルムカメラの魅力 国分真央
https://www.kitamura.jp/shasha/article/486042701/

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