霧と雲海の風景写真の楽しみ方|齋藤朱門

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はじめに


今回は、筆者が普段撮っている霧や雲海の風景の紹介と撮影方法などについて紹介したいと思います。霧や雲海があることで、普段は撮影せずに通り過ぎてしまうような何気ない場所も印象的・幻想的なシーンに変化し楽しむことができます。

霧と雲海の風景写真を撮る


霧と雲海の作例をいくつか紹介したいと思います。

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■撮影機材:ソニー α7R IV + ソニー FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:マニュアル露出・51mm・F11・ISO100・6.0秒

苔で有名な白駒池にて。この場所は池が近いのと標高が高いせいか早朝以外にも霧が発生することがあります。この日は全体的にうっすらとした霧に覆われて、より幻想的な雰囲気が漂っていました。

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■撮影機材:Fujifilm GFX100S + ペンタックス smc FA645 80-160mmF4.5
■撮影環境:マニュアル露出・80mm・F11・ISO100・1.0秒

秋田で撮影した一枚。実は夜明け前に到着した時はまったく雲海が発生しそうな感じもなかったのですが、日が昇ってくると放射冷却のためか徐々に雲(霧)が増え始め、あっという間に一面が霧に覆われていきました。陽の光が差し込み、美しい色に染まっていくシーンがとても印象的でした。

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■撮影機材:シグマ sd Quattro H + シグマ 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM
■撮影環境:マニュアル露出・143mm・F8・ISO100・1.0秒

霧に包まれる丘の上の小屋を望遠レンズで切り取った一枚。広大な場所なので、広角レンズでも撮影していましたが、遠くの霧の中に見え隠れする小屋が気になり、望遠レンズに持ち替えて撮影しています。霧の濃淡が目まぐるしく変わっていたので、何枚か撮影していましたが、中でも一番霧と雰囲気が良いものを選んでいます

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■撮影機材:ソニー α7R II + ソニー 70-400mm F4-5.6 G SSM II
■撮影環境:マニュアル露出・70mm・F16・ISO50・1/100秒

北海道にて撮影。うねるように動き続ける雲海とそれを赤く染める太陽が印象的な一枚。

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■撮影機材:Fujifilm GFX100S + Fujifilm GF45-100mmF4 R LM OIS WR
■撮影環境:マニュアル露出・100mm・F14・ISO100・1.3秒

紅葉撮影で訪れた福島にて。雨上がりの後だったこともあり、霧が濃過ぎてほとんど何も見えない状況でした。風が強かったこともあり、一瞬霧が晴れるタイミングを狙って撮影した一枚。

撮影場所と天候


霧は雲と同じように水蒸気が放射冷却などで冷やされることで発生します。たとえば、雨が降った後の風がなく晴れ上がった冷え込みが厳しい朝などで霧となることが多いようです。これらを踏まえると、湖沼・川の近くのような水分が多い場所や土が多くの水分を含むことから、山でもよく発生すると言われています。

雲海の場合も発生するメカニズムとしては霧と似ていますが、盆地などで冷気が溜まりやすい場所を山の上などの高い場所から見下ろすと雲海として見えるようです。雲海が発生しやすい場所というのは、だいたいは決まっていたりもしますので、過去の雲海発生時の条件や時期を予め確認しておくと、比較的、撮影タイミングを狙うことができると思います。

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■撮影機材:Fujifilm GFX100S + Fujifilm GF30mmF3.5 R WR
■撮影環境:マニュアル露出・30mm・F10・ISO100・2.0秒

福島の裏磐梯の周辺にて撮影。小雨が降ったり止んだりの不安定な天候でしたが、森の中に霧が立ち込め印象的なシーンとなっていました。

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冬の裏磐梯にて撮影した一枚。降り積もった雪の森でしたが、撮影時には霧も発生してくれたおかげで幻想的な冬の森を撮ることができました。


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■撮影機材:ソニー α7R IV+ ソニー FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:マニュアル露出・28mm・F13・ISO100・1/30秒

残雪期の西穂高付近から撮った一枚。

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■撮影機材:ソニー α7R IV+ ソニー FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:マニュアル露出・68mm・F13・ISO100・6.0秒

唐松岳の山小屋付近から夜明け前に撮影した一枚。遠くに見える富士山と手前に広がる壮大な雲海に見とれていました。登山では多くの機材を持っていくのが難しいですが、三脚とNDフィルターはなるべく持つようにしています。

撮影機材と撮影テクニック


基本的には通常の風景撮影と同様にカメラ・レンズ・三脚があれば撮影できます。時間帯的に薄暗い時間帯となる場合が多かったり、後述する長時間露光撮影のためにNDフィルターでシャッタースピードを遅くすることがありますので三脚が必須となってきます。

また、霧のシーンでは機材が濡れてしまう場合があるので、タオルなどでこまめに機材についた水分を拭うと安心だと思います。


長時間露光


霧が発生しやすい早朝はもともと森や林も薄暗いことが多いので、必然的に多少の長秒露光になることが多いでしょう。

また、標高の高い場所など、強い風で流れ込んでくる雲が霧となるような場所での撮影や、雲海の動きが早い場合には、NDフィルターを使ったり、絞りを調整しながら露光時間を変えるだけでさまざまな表現の風景写真が撮影できる場合があります。

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■撮影機材:ソニー α7R IV+ ソニー FE 24-105mm F4 G OSS
■撮影環境:マニュアル露出・74mm・F18・ISO100・2.0秒

立山にて撮影。激しい雨が上がった後、徐々に雲の隙間から山々が見え始めてきたシーンで撮った一枚。

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■撮影機材:ソニー α7R+ ソニー FE 70-200mm GM OSS + 2X テレコンバーター
■撮影環境:マニュアル露出・140mm・F16・ISO50・45.0秒

雲海が発生しやすいことで有名な北海道の津別峠での一枚。雲海が畝るように動いていたため、NDフィルターで長秒露光で撮影しています。木々に絡まるような雲の流れを撮ることができました。

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■撮影機材:Canon EOS 6D + Canon EF70-200 f/4L IS USM
■撮影環境:マニュアル露出・200mm・F20・ISO100・46.0秒

こちらは数年前に海外(アメリカ、サンフランシスコ)で撮影した雲海の一枚。サンフランシスコも時期によっては雲海発生率が高いことで知られているため、この日は夜明け前から雲海を狙って撮影していました。

さいごに


今回は筆者なりの霧と雲海の風景写真と撮影方法をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。なんとなく天気が良くない日が続くと風景撮影が難しいと感じることもありますが、雨の翌日に晴れる日は霧や雲海の発生率が高まりますので、狙って撮影してみるのも面白いと思います。霧や雲海のシーンを狙った撮影をする機会があれば、是非この記事の内容を参考にしていただけると嬉しいです


齋藤朱門さんの撮影テクニック連載記事はこちら


・丘や山での撮影テクニック|齋藤朱門
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・星景写真の撮影テクニックと機材|齋藤朱門
https://shasha.kitamura.jp/article/483154709.html

・滝・渓流での撮影テクニック|齋藤朱門
https://shasha.kitamura.jp/article/482531059.html

・海での風景撮影テクニック|齋藤朱門
https://shasha.kitamura.jp/article/484586478.html

・冬の風景撮影とテクニック|齋藤朱門
https://shasha.kitamura.jp/article/485081309.html

・望遠ズームレンズで切り取る風景撮影の楽しみ方|齋藤朱門
https://shasha.kitamura.jp/article/485398095.html

・標準レンズで切り取る風景撮影の楽しみ方|齋藤朱門
https://shasha.kitamura.jp/article/485888321.html

・広角レンズで切り取る風景撮影の楽しみ方|齋藤朱門
https://shasha.kitamura.jp/article/486245114.html


■写真家:齋藤朱門
宮城県出身。都内在住。2013年カリフォルニアにて、あるランドスケープフォトグラファーとの出会いをきっかけにカメラを手に取り活動を始める。海外での活動中に目にした作品の臨場感の素晴らしさに刺激を受け、自らがその場にいるかのような臨場感を出す撮影手法や現像技術の重要性を感じ、独学で風景写真を学ぶ。カメラ誌や書籍での執筆、Web等を通じて自身で学んだ撮影方法やRAW現像テクニックを公開中。


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