キヤノン RF16mm F2.8 STM レビュー|気軽に持ち歩ける超コンパクト広角レンズ

GOTO AKI

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はじめに

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 こんにちは。写真家のGOTO AKIです。今回はこれからの旅行シーズン、海へ山へと気軽に持ち運びやすく、風景写真から、スナップや自撮り撮影まで幅広く楽しめる「RF16mm F2.8 STM」をご紹介します。

 広角レンズといえば、筆者は「RF15-35mm F2.8L IS USM」を愛用していますが、同じ画角を含む「RF16mm F2.8 STM」も愛用しています。その魅力はどこにあるのか?作例をご覧いただきながらお伝えしていきたいと思います。

小さい!軽い!最強の携行性

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 愛用カメラのEOS R5に装着した「RF16mm F2.8 STM」の写真です。ご覧の通り、とにかくサイズが小さく、重さはたったの約165g。カメラと合わせても1kg以下の超軽量設計です。長さは約40.2mmと、携行性に優れているのが特徴です。「重いから~、大きいから~。」と言い訳せずにどこにでも連れ出したくなるサイズ感ですね。

 鏡筒はプラスチック構造でレンズマウントは金属製。リーズナブルな価格を思うと必要十分な作りです。夜間の星空撮影などでよく使うフォーカスリングは適度なトルクがあり、マニュアル撮影時のピント合わせもスムース。「RF16mm F2.8 STM」にはコントロールリングがありませんが、スイッチを切り替えてフォーカスリングに機能を割り当てることが可能です

 フルサイズ対応のF2.8の超広角レンズでこのサイズと軽さは反則級。撮影現場ではレンズ交換でポケットに簡単にしまえたり、カメラバッグでもスペースを取らず実用度が高いのもお気に入りのポイントです。

画質

 岩場の狭い箇所でカメラを構え、ローアングルで遠近を強調した迫力ある一枚。ピントは中央部に合わせています。絞りはF2.8、光線状態は反逆光で撮影しました。「RF16mm F2.8 STM」はLレンズと比べて、価格設定がとてもリーズナブルなレンズです。このコスパのよさでこの高画質を得られるのはなかなかの贅沢。特に画面中央部はヌケがよく気持ちの良い解像感です。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F2.8 1/4000秒 ISO400

 歪曲収差などが気になる場合はキヤノンの純正現像ソフト「DPP(Digital Photo Professional)」で現像すると、自動修正で補正されます。自然風景は曲線で構成されていることもあり、歪みはそれほど気にならないのですが、人物やスナップ、建物などを撮る時は「RF16mm F2.8 STM」とDPPをセットで使うといいでしょう。この写真はDPPの画面キャプチャーです。

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 撮影先で曇天の日がありましたが、フラットな光のもとでの描写力を確認しようと山を歩きました。登山道の足元に広がる石や砂は、RFレンズらしい立体感のある描写です。「RF16mm F2.8 STM」は、画面中央部では開放F2.8から解像感が高く、画面全体ではF8~F11に絞ると良好な印象。ピクニックなどのレジャーから登山までカメラ機材の荷物も多い場合は、軽くて小さいこのレンズを持っていけば、体力的にキツい場所でも気楽に高画質を楽しめ、余裕のできたカメラバックのスペースにもう一本別のレンズを持っていくことも可能です。小さくて軽いレンズは旅そのものを楽にしてくれます。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F8 1/160秒 ISO400

 同じく曇天のフラットな光の中で撮影した一枚。絞りはF11で木々の立体感を捉えています。Lレンズを使い慣れた方でも、納得できる質感描写です。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F11 1/640秒 ISO400

最短撮影距離13cm

 朝日を浴びる植物へ、ググ~っと近づいて撮影した一枚。「RF16mm F2.8 STM」の最短撮影距離はなんと13cm。撮影倍率は0.26倍で擬似的なマクロ感のある撮影が可能です。レンズの前面からですと5cm程の距離まで被写体に近づいてもAFが合う計算ですね。広角レンズを最短撮影距離で撮影すると被写体は大きく写り、同時に背景も写る広角マクロの効果が生まれるので、遠近感のある迫力ある絵作りが楽しめます。風景以外にも犬や猫をデフォルメした描写など、幅広い用途も魅力です。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F5.6 1/800秒 ISO400

 地上1.7mぐらいの高さに咲くツツジをほぼ真下から撮影した一枚。F2.8での撮影でも画面中央は非常に繊細な解像感。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F2.8 1/640秒 ISO400

 こちらは上の写真と同じツツジです。手を伸ばして色が溢れるカットをAFで撮りました。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F2.8 1/1000秒 ISO400

 単焦点レンズはズームができない分、被写体との距離感を変えることで多彩な表現が可能になります。2枚ともF2.8で背景をぼかした表現ですが、距離を変えることで印象がガラッと変わります。こうした撮影は手持ちで撮ることが多いのですが、「RF16mm F2.8 STM」はイメージスタビライザーが搭載されていないため、EOS R5などのボディ内手ブレ補正機構のあるカメラと使用すると手ブレの心配が減るでしょう。

 AFのスピードは素速く、直感的な反応で撮影が可能です。レンズ本体にAF/MF切替スイッチがないため、カメラ側のメニューでAFとMFを切り替えます。この作業を素速くするために、カメラのMY MENUにAF/MF切替スイッチを登録しておけば、切替え操作がスムースになります。

 こちらは滝の横から滲み出る小さな水の流れを撮影した一枚。最短撮影距離で広角マクロ的な切り取りをしています。手持ち撮影で、シャッター速度は1/400秒です。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F2.8 1/400秒 ISO1600

 登山道で木に絡む蔦の葉。葉のサイズは3cm程で最短撮影距離で撮影した一枚。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F2.8 1/125秒 ISO400

 三脚を広げてカメラを水面ぎりぎりに設置。水面と滝を1.3秒のスローシャッターで流しています。フィルターは未使用です。シャッターは2秒タイマーで撮影しブレを防いでいます。「RF16mm F2.8 STM」でピントを合わせた岩の質感がシャープに描かれています。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F16 1.3秒 ISO50

逆光耐性

 ゴーストやフレアーが出やすい環境をわざと作らない限り、実用上不満のないレベルの逆光耐性です。筆者はフードは使いませんが、有害光を避けたい方は別売りのフードで対策しましょう。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F11 1/250秒 ISO100

周辺減光

 満月の翌日で明るい夜空の中、F2.8で撮影したカットです。山に登る方で広角を持っていきたいけど、荷物を減らしたい時、「RF16mm F2.8 STM」の小さいサイズと軽さが身に染みてありがたく感じます。

 購入前に「周辺減光があるよ。」と聞いていたのですが、使ってみると個人的には気にならないレベルに感じました。気になる方は、画質のところで触れたDPP(CANONの純正現像アプリ)で現像すれば、レンズに合わせて自動補正してくれるので調整は超簡単です。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F2.8 104秒 ISO200

 こちらは森の新緑をF2.8で撮影しました。周辺減光はやはり気にならないなぁと思った一枚。

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■撮影機材:Canon EOS R5 + RF16mm F2.8 STM
■撮影環境:F2.8 1/3200秒 ISO400

動画

 「RF16mm F2.8 STM」は小さく軽いのでちょっとした動画撮影にも気軽に取り組めます。赤道儀やレールなどを使用しての撮影でも重量が軽いと機材の移動がなめらかで、振動によるブレやガタ付きが少ないことも安心材料です。フォーカスブリージングは多少あるので、フレーミングが厳密な撮影では三脚などでピントを固定して撮ることをおすすめします。VLOGなどでカジュアルに撮る時は全く気にしなくて良いので手持ちでもガンガン使い倒してください。

まとめ

 さて、今回ご紹介させていただいた「RF16mm F2.8 STM」はいかがでしたでしょうか。小ささや軽さといった携帯性の素晴らしさと同時に必要十二分な描写力も備わり、F2.8の明るいレンズが実売3万円台の価格を考えるとポチリとやっても損しないレンズかなぁと思います。旅先へのお供に大推薦の広角レンズです。

■写真家:GOTO AKI
1972年、川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。武蔵野美術大学造形構想学部映像学科・日本大学芸術学部写真学科 非常勤講師、キヤノンEOS学園東京校講師。

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