キヤノン RF14-35mm F4 L IS USM × スナップ|鶴巻育子

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はじめに

 
 高画質とコンパクトを両立させたキヤノンRFレンズF4 Lシリーズの超広角ズーム「RF14-35mm F4 L IS USM」をご紹介します。愛用カメラEOS R6と一緒に街や海へ繰り出しました。広角端14mmのパースペクティブを存分に生かした表現方法と操作性や携帯性、描写力について写真盛りだくさんでお伝えします。

F4 Lならではの軽量小型サイズ

  
 サイズ感については、キヤノン公式サイトと同様にEFレンズ同クラスのEF16-35mm F4L IS USMと比較するとわかりやすいでしょう。

■RF14-35mm F4 L IS USM:全長約99.8mm、重量約540g  
■EF16-35mm F4 L IS USM:全長約112.8mm、重量約615g

 それぞれEOS R6、EOS 6Dに装着時では、全長約14%短縮、質量約12%軽量化されています。

 実際に撮影すると軽さも実感しますが、手に収まりやすいコンパクトなサイズ感に快適さを覚えました。カメラバッグへの収まりや出し入れも楽々。ちょっとしたことですが、撮影に集中する際に少しでもストレスを軽減できることは大事です。

 フィルター径は、他のF4 LレンズRF24-105mm F4 L IS USM、RF70-200mm F4 L IS USMと同様の77mmに統一されています。同じフィルターを使用できレンズキャップも迷わずにはめられる。地味に便利なのです。

 接合部分などにはシーリングが施された防塵防滴構造となっています。自然を相手にする撮影では欠かせない仕様ですが、都心での撮影や旅行先でも何かと安心できます。

別世界・超広角の表現

  
 カメラ内で歪曲収差補正を前提とした設計により、焦点距離の拡張に成功。本レンズで撮影するなら、まずは広角端の14mmで撮るしかないでしょう。16mmでも十分奥行きのある描写は得られますが、よりダイナミックな14mmの表現は全く別世界。わずか2mm、角度で言うと7度の差で表現力が驚くほどアップします。

 壮大な風景の表現はもちろん、街中の小さな路地や都心のビル群でもパースペクティブを強調した表現が楽しめますし、狭い室内での撮影にも重宝します。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO800 SS1/125 F4

 超広角レンズを装着し街を歩くとついつい狭い道に入りたくなります。懐かしさが残る商店街を歩いてみました。トタン屋根や電球、そして現在もレジとして使われているザルが吊らされている八百屋の店先。昭和にタイムスリップしたような気分になります。パースがついた奥行きある描写は超広角レンズならでは。不自然な歪みは生じず、その場の雰囲気をそのまま写し止めてくれます。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO200 SS1/25 F9

 線路脇の路地でワイシャツの男性と自転車の女性がすれ違う瞬間。白と赤の服の色のコントラストが効いています。カメラは金網の方へ向けており、通り過ぎる人はまさかこんなに広い範囲が写るとは気づかないでしょう。撮影時には人物の方へ意識がいっていたため、画面下に置いてある空き缶は撮影後に気づきました。写り込んでしまった、それもスナップ写真の面白さと言えるでしょう。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO200 SS1/1000 F8

 街スナップをしていると、つい撮ってしまう被写体は誰にでもあると思います。私はシートに覆われている車やバイクに目がありません。シートの中にはカッコイイ車やバイクが隠れているはずですが、滑稽に見えて愛らしく感じてしまいます。

 もうひとつの超広角レンズの醍醐味はデフォルメ効果。手前にあるものが大きく写る特性を生かせば、肉眼とは違ったフォルムとなり写真にインパクトを与えます。人物撮影でも、ローアングルで脚長効果を狙ったり、子どもを高い位置から捉えて頭でっかちに写したりと、アングルや距離感の工夫で撮影のバリエーションも広がります。ただし、顔のパーツが離れて見えたり歪みが生じたりするので、ポートレート撮影ではアングルや距離感に注意が必要です。

抜群の描写力

  
 レンズは広角になるほど収差が起こりやすく、補正が難しいとされています。RF14-35mm F4 L IS USMでは、自由度の高いRFマウント大口径ショートバックフォーカスの設計、UDレンズ、UD非球面レンズ、ガラスモールド非球面レンズの採用によって、小型ながら高画質化の両立が実現しています。

 ズーム全域で高解像度、抜けの良さが際立つ抜群の写りで文句なし。絞り開放時の色にじみは多少見受けられますが、レビューのため目を凝らして見つけるわけで、通常の撮影では全く気になることはありませんでした。気になる場合は1段絞って撮影するのがベターかもしれません。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO200 SS1/1000 F8

 ビルの屋上から狙った一枚。都心のビル風景は、解像感の高さを確認するのに良い被写体です。

 銀座は新しいビルが次々と建設されていますが、裏道にはまだまだ古いビルも残っています。年代によって建材も違ったり、室外機の多さに驚いたりと写真に収めることで、改めて気づくことがいろいろあります。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO200 SS1/1000 F8

 誰の仕業かわかりませんが、砂浜に刺さった落ち葉を見つけました。葉脈の細かなラインが鮮明に写し出され、葉っぱの立体感、濡れた砂の一粒一粒も美しく再現されています。背景にある砂浜のキラキラが美しくぼけて、静かで爽やかな浜辺の雰囲気を演出してくれました。

 風景写真でも街スナップでも、強い太陽光はドラマチックなシーンには欠かせません。SWC(Subwavelength Structure Coating)とASC(Air Sphere Coating)のコーティングを採用することでフレアやゴーストの発生が抑えられ、逆光のシーンでも積極的に撮影を楽しみたくなります。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO100 SS1/1250 F14

 太陽を画面内に配置し逆光で捉えた風景です。フレアが若干発生しているのは確認できますが、画像の美しさに影響を与えるほどではありません。F値を絞って設定することで、太陽の光芒を出すことができます。岩や木のシルエット、水面のキラキラと空の表情が際立つよう露出はマイナス補正に設定しています。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO100 SS1/8000 F4

 泡のハイライト部分から岩のシャドー部までの階調を確認したくモノクロに設定して撮影してみました。足元まで波が押し寄せてきたところを広角端14mmで撮影し、迫力あるシーンを捉えることができました。

強力な手ぶれ補正


 強力なレンズシフト方式の手ぶれ補正機構を搭載しているRF14-35mm F4 L IS USM。その効果はレンズ単体で5.5段分。EOS R5やR6などのボディ内手ぶれ補正との協調制御では約7段の手ぶれ補正効果が得られます。

 常に三脚を持ち歩く手間もなく、手持ちによる低ISO感度の夜景風景や暗所での撮影も可能です。スローシャッターで被写体ブレを生かしたスナップも気軽に行えます。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO400 SS1秒 F4

 ISO感度400、シャッタースピード1秒、手持ちで撮影。高ISO感度でもノイズが軽減されているとは言え、できれば低ISO感度でシャープに写せたら嬉しい。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO100 SS1/8000 F4

 横断歩道を渡る人々をシャッタースピード1/4秒で捉えました。地面についた足はシャープに、動いている足はぶれて写り躍動感ある描写に。素早くシャッタースピードを変更するには、RFレンズに搭載されているコントロールリングにシャッタースピードを割り当てる手もありますね。

マクロ的な描写まで

  
 最短撮影距離はズーム全域で約0.2m、最大撮影倍率は焦点距離35mm時で0.38倍の近接撮影を実現。

 因みに、EF16-35mm F4 L IS USMでは0.28m、0.23倍。最短撮影距離が大幅に縮まったことでマクロ的な撮影も気軽に楽しむことができ、植物やテーブルフォトなどでの撮影にも重宝するでしょう。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO400 SS1/500 F4

 小さな花の葯にピントを合わせ最短撮影距離で近づきました。絞りは開放F4。被写体に近づくほど被写界深度は浅くなり、ボケが大きくなるレンズの特性によってふんわりと仕上りました。

 撮影距離を短くして撮影する場合は、ピント位置を正確に合わせることが大事。少しでもずれてしまうと意図した表現から外れてしまいます。また、背景の明るさや色合いにも配慮してより美しく表現しましょう。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO400 SS1/800 F8

 管状花の集合体の部分に接近して撮影。ちょうどサイドから光が差していたため、立体感も生まれ迫力ある描写になりました。植物のディテールを出すため絞りはF8に設定しています。どのように被写体を表現したいか、被写体のどの部分を見せたいかを考えて、絞りの数値を決定しましょう。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO800 SS1/250 F4

 スナップにも近距離撮影を生かせば、表現の幅が広がります。剥がれかけたポスターに近づいて斜め下から狙いました。広角レンズは被写体そのものだけでなく、周囲の状況も一緒に写り込みますのでその場の空気感を表現するのにマッチしたレンズだと思います。

 ポスターの紙の質感と外光によって透けたトタンの色を再現できるよう露出に気を使いながら撮影しました。

ズームレンズならではのメリットを生かして

  
 画角を瞬時に変えることができるズームレンズの操作性を武器に、撮影を楽しみましょう。

 単焦点で撮影する際に使われる「足を使って撮れ」という言葉。ズームレンズにも同様のことが言えます。ズームレンズと言えども足を使うことを忘れずに。自分がどの画角で撮影しているか把握し、被写体と背景の組み合わせなどを考えズームを動かしながら、足も動かす!

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO100 SS1/2500 F4

 カーブに差し掛かったところでシャッターを切りました(もちろん助手席から)。このような状況ではズームが重宝します。走行中ですので、次々と変わる風景を見ながらズームリングに手を添えて画角調整を行います。フロントガラスの枠を入れて額縁効果を狙うのもアリですね。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO100 SS1/1000 F4.5

 「ひとりで行動するのが好き」と話していた女性。独特な存在感に魅かれ声をかけて撮影させていただきました。

 横位置、35mmの画角で撮影場所の状況を入れたポートレートを好む私には本レンズがぴったりハマります。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO100 SS1/3200 F4

 海岸沿いで見つけた植物。背景に海が入るようにアングルを調整して画角を決定します。逆光の光も相まって、立体感のある絵が浮かび上がりました。美しいボケ味が主役を引き立ててくれます。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO100 SS1/8000 F4

 ノスタルジーな雰囲気が漂う小さな海水浴場。改築中の建物の上をトンビやカラスが舞っていました。テレ端35mmを選んで、ボーッと眺めているような見た目に近い自然な雰囲気を出しました。露出をマイナス方向に設定し光と影の存在を何気なく強調しています。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO100 SS1/2500 F4

 激しい鳴き声が聞こえたので上を見上げると、電信柱のてっぺんにカラスの巣を発見。3方向に広がる電線も主役と考え、テレ端35mmで大きく捉えるのを避け少し広げ焦点距離27mmで収めました。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO400 SS1/3200 F8

 超広角レンズで都心を写すと見慣れた場所でも新しい世界が広がりテンションも上がります。とにかく画面内に色々と入り込んでしまうからおもしろい。強い日差しの日は影も魅力的な被写体に。地面にくっきり出る影を生かしてフレーミング。日傘と帽子が初夏の街のいいアクセントになりました。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO400 SS1/1000 F8

 縦位置のスナップは緊張感を感じます。陽が傾いた頃にビルの壁に映る影を探しました。フォルムやラインを意識しながら画面構成を行うことで、おしゃれなスナップ写真が仕上がります。

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■使用機材:Canon EOS R6 + RF14-35mm F4 L IS USM
■撮影環境:ISO200 SS1/400 F4

 あてもなく散歩をしている途中の出会いにはワクワクします。家庭菜園を夫婦で楽しんでいるという男性。育てている野菜や若い頃行った旅の話をしてくれました。

 新聞配達員から夕刊を受け取ったところを一枚。ズームレンズで焦点距離を微調整できるので、今と思った瞬間を思いのまま写し止めることができます。

まとめ


 ズーム全域で高画質、強力な手ぶれ補正と短い最短撮影距離の機能、そして2mm広がった14mmの画角で表現力が広がるはず。撮り慣れた場所もRF14-35mm F4 L IS USMで撮影すると、新鮮で新しい世界に出会えるかもしれません。


■写真家:鶴巻育子
1972年、東京生まれ。広告写真、カメラ雑誌の執筆のほか、ワークショップやセミナー開催など幅広く活動。写真家として活動する傍ら、東京・目黒、写真専門ギャラリーJam Photo Gallery 主宰を務める。ライフワークでは、これまでに世界20カ国、40以上の都市を訪れ、街スナップや人物を撮影。主な写真展 Brighton-a little different(2012年、オリンパスギャラリー)、東京・オオカミの山(2013年、エプソンイメージングギャラリーエプサイト)、3[サン] (2015年、表参道スパイラルガーデン)、THE BUS(2018 年、ピクトリコギャラリー・PLACE M)、PERFECT DAY(2020年、キヤノンギャラリー銀座)など。THE BUS(2018年、自費出版)、PERFECT DAY(2020年、冬青社)、夢(2021年、Jam Books)がある。



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